Memory in the 1990's
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作成:1995年
Cineon
東映化学工業に設置してあるシネオン・ジェネシスフィルムスキャナー
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速報!シネオンストリームFX導入決定!!
日本で初めてジェネシスMP35デジタルフィルムスキャナーを導入して以来、高品質のデジタルデータ変換とレコーディングを提供している東映化学デジタルテックに、Indigo2 R10000、Ciprico6910、 Accom WSD Xtreme8(Ultra SCSI Disk Array)をベースとしたシネオンストームFXシステムの導入が決定しました。
このシステムの導入により、入力から出力までのイメージングチェインが完成し、ネットワークを介し、ワークステーションへのスキャニングデータのダイレクト転送や、合成済みデータのダイレクトレコーディングが実現されます。また、京都の東映デジタルフィルムと回線経由で作業データを交換することで、シームレスな共同作業が行われる予定です。
1997.05.01 KODAK SHOOTING EYE NO,31より
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目  次(表題をクリックして下さい)

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シネオンデジタルフィルムシステム デジタルフィルムスキャニングとフィルムレコーディング
シネオンデジタルフィルムシステム(1) プロローグ  CCDフィルムスキャナーの設計
特 徴 デジタルフィルムレコーダーの設計
シネオンデジタルフィルムシステム(2) 解像度と量子化
構 成 装 置 ノイズ キャリブレーション  デンシティ
シネオンデジタルフィルムレコーダー 画像フォーマットとデータの保存
シネオンデジタルフィルムワークステーション オペレーションとプロセスコントロール
フレームサイズとレゾリューション 映画「インデペンデンス・ディ」
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シネオンデジタルフィルムシステム(1)
「シネオンデジタルフィルムシステム」は、映画フィルムの画像を高速、高解像度でデジタルデータに変換し、合成加工後、再び映画フィルムに記録するもので、アメリカでは1993年9月から発売され、現在までにハリウッドで300作品以上の劇映画の特殊効果製作や画像修復などに利用されています。
最近の作品では「トゥルーライズ」「スピード 」「フォレストガンプ(一期一会)」などの特殊効果製作や「白雪姫」の画像修復に「シネオンデジタルフィルムシステム」が利用されています。
特殊効果の製作には、往来、オブチカルプリンターを用いた光学処理が使われてきましたが結果を確認するのに時間がかかる上、複雑な特殊効果の製作や品質に限界がありました。また、ビデオ規格のD−1やHDTVなどのデジタルビデオシステムを用いた画像加工では、対話形式で自由な画像加工が出来ますが、その最終出力フィルムから得られる画像はオリジナルフィルムより大幅に劣化したものになってしいます。
「シネオンデジタルフィルムシステム」では、映画用のSFX(特殊効果)の製作、画像の修復などを簡単に、短時間で、しかも高品質で行うことが出来ます。加工処理したデジタル画像は、オリジナルフィルムに匹敵する高画質で映画フィルム上に出力することはもちろん、その画像をビデオ(HDTVやNTSC)、CD−ROMなどのあらゆるフォーマットに変換して使用することができます。
「シネオンデジタルフィルムシステム」フィルム画像をデジタルデータに高速、高解像度で変換する。
「シネオンデジタルフィルムスキャナー」高解像度の画像を加工処理する。
「シネオンデジタルワークステーション」デジタルデータを高画質でフィルムに記録する。
「シネオンデジタルフィルムリコーダー」の3つの装置で構成されています。
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特徴
オリジナルフィルムに匹敵する高画質

オリジナルの映画フィルムを1ライン当たり最大4,096画素という高解像度でスキャンし、ワークステーション上で合成加工後、画質を劣化することなく再びフィルムに記録します。
マルチレゾリューションシステム
取り扱える画像の解像度はプロ用ビデオ規格のD−1(NTSC)の解像度から映画用フィルムの解像度まで幅広く対応しています。
自由なカスタマイズが可能なオープンシステム
購入予算や制作プロジェクトに応じたワークステーションのプロセッサーの数やハードディスクの容量、周辺機器の組み合わせが可能。アップグレードにより常に最新のハードウェアの更新が可能なシステムです。また、ユーザーの開発した特殊効果をデベロッパーズツールキットを使ってシネオンの機能の一部として登録が可能です。
今回、日本コダック社が販売を開始したフィルムスキャナーは、少量で高品質の特殊効果を処理する為に設計された「シネオンジェネシスデジ タルフィルムスキャナー」で、35mm用と65mm用の2モデルがあります。また、ワークステーションはシリコングラフイックス社のグラフィックスーパーコンピューターにコダックが開発したソフトウエアを搭載した「シネオンデジタルワークステーション」です。なお、これについてはシリコングラフイックス社とイーストマンコダック社との間でVAR(付加価値再販)契約が交されています。
業界最高速の「シネオンライトニングデジタルフィルムレコーダー」によるデジタルフィルムレコーディングには、日本コダックの仲介によりシネサイト社で行われます。シネサイト社は、コダック社がハリウッドとロンドンに設置した、「シネオンデジタルシステム」を使用したデジタルフィルムサービスを提供する会社です。
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シネオンデジタルフィルムシステム(2)
1992年9月、シネオンデジタルフィルムシステムのプログラムは、ハリウッド地区にコダック社の100%子会社であるシネサイト社とうデジタル処理による画像処理のサービスファシリティを設立する事でスタートしました。翌年10月には、シネサイト社のロンドンフアシリティを解説しました。シネオンデジタルフィルムシステムの製品群の出荷は、北米で1993年9月より開始され、現在3つのファシリティで稼働しています。
すでにハリウッドの映画製作者の間で、シネオンはリアリティ溢れる特殊効果の製作などに欠かせないシステムとして高い評価を得ています。
日本の劇映画でも「RAMPO奥山バージョン」「ノストラダムス戦慄の啓示」「ガメラ怪獣空中戦」などに使用されており、今後この様なデジタルフィルム処理が国内の映画製作でも活発になると予想されます。このようないわゆるSFX(特殊効果)以外での使用でも様々な可能性をもっています。
ディズニーの「白雪姫」は57年前に製作された最初のアニメーションですが、この原版の全編修復にもシネオンが使用されています。欧州では、劇場CMの製作が活発ですが、シネオン上で高解像度のデジタル画像で製作し、その画像をもとに上映用フィルム原版とテレビ放映用原版を同時に製作しています。
1994年3月に市場投入したジェネシスフィルムスキャナーによって65mmの大型フィルムのスキャニングが可能になり、今後の大型映像、博覧会や展示会での映像 、テーマパーク映像への利用が期待されます。
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構成装置
シネオンデジタルフィルムを構成する各装置の主な機能・特長は次のと おりです。
シネオンデジタルフィルムスキャナー
シネオンデジタルフィルムスキャナーは、映画用カラーネガフィルムの全ての色調を捉える事の出来る唯一のスキャナーであり、アナログのフィルム画像をデジタルデータへ忠実に変換します。シネオンデジタルフィルムスキャナーには次の2つのタイプがあります。
シネオンジェネシスデジタルフィルムスキャナー
コダック社の長年にわたるイメージング技術に基ずくこのスキャナーは、35mm映画フィルムのアカデミーサイズ1コマを40MBのデジタルデータに変換します。スキャニング速度以外の主要スペックはライトニングに準処。コダックの映画用フィルムの分光色素濃度に合致したダイクロックフィルターを使用した忠実な色再現。35mm映画用フォーマットの全てに対応するモデルと65mmの大型映像のフォーマット(65mm5P,8P,10P,15P)に対応のモデルがあります。独自の拡散照明システムでフィルム面上の塵やスクラッチ(傷)を消去します。
シネオンライトニングデジタルフィルムスキャナー
コダック社の長年にわたるイメージング技術に基ずくこのスキャナーは、35mm映画フィルムのアカデミーサイズ1コマを40MBのデジタルデータに変換します。コダック社のリニアCCDアレイを搭載した最高速スキャナー。例えば、テープドライブにアンペックスDSTを使用し、アカデミーサイズの映画用フィルムを1ライン当たり3,656画素のフル解像度でスキャンした場合、1フレーム(40MB)のデジ タルデータを10秒でデータテープに収録出来ます。
全ての35mm映画用フォーマットアカデミーサイズ、ビスタビジョン、シネマスコープ、フルフレームのスキャニングが可能。コダックの映画用フィルムの分光色素濃度に合致したダイクロックフィルターを使用した忠実な色再現。独自のピンレジストレーションドラムトランスポートは±3ミクロンの精度でフィルムを搬送。独自の拡散照明システムでフィルム面上の塵やスクラッチ(傷)を消去します。
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シネオンデジタルフィルムレコーダー
シネオンライトニングフィルムレコーダーは、シネオンデジタルフィルムスキャナーでスキャンされたデジタルデータを、オリジナルフィルム(撮影用オリジナルネガフィルム)と同等の品質で超微粒子の「イーストマンカラーインターメディエイトフィルム5244」上に記録する事が出来ます。
オリジナルフィルムの持つ粒状さえも極めてオリジナルに近い再現がなされる為、その出力画像をオリジナルフィルムと見分けることは事実上困難です。シネオンライトニングデジタルフィルムレコーダーはシネサイト社が行っています。RGBの可視光ガスレーザーを搭載した最高速のフィルムレコーダーです。
イーストマンカラーインターメディエイトフィルム「5244」の分光感度に合致した波長のRGB可視光ガスレーザーで、混色のない忠実な色再現。全ての35mm映画用フォーマットアカデミーサイズ、ビスタビジョン、シネマスコープ、フルフレームのレコーディングが可能。独自のピンレジストレーションドラムトランスポートは±3ミク ロンの精度でフィルムを搬送。
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シネオンデジタルフィルムワークステーション
シリコングラフイックス社のグラフイックスーパーコンピューターである”オニキス(ONYX)”をプラットホームとし、コダック社開発のソフトウェアを搭載しています。出力の解像度に依存しないデジタル画 像処理が可能です。
スケーラブル
ユーザーは予算に合わせてシステムを組み、将来必要に応じて、ハードウェアやソフトウェアをアップグレードすることが可能で す。
拡張性
シネオンは、様々な周辺機器、記録・保存装置、そしてネットワ ークと共に作業することが可能です。
生産性
シネオンは、デジタルビデオポストプロダクションの持つ”効率 ”をフルタイムにもたらします。
創造性
シネオンのフローグラフ・ユーザーインターフェイスは、ユーザーに快適で簡単なオペレーションをもたらします。映画の試写室の環境にキャリブレーションされたモニターを使用することにより、正確な仕上がりを予測可能。
アルチマット社のマット合成アルゴリズムを搭載し、高品質のデジタルマットを作成可能。
他のCGIソフトウェアで作成した画像を入力し、実写と合成する事が容易。合成する画像のレイヤー数を問わず、どんなに複雑な特殊効果でも処理可能なソフトウェア。自動的に塵やスクラッチを検知し、消去する「ダストバスティング」動きを追尾する「モーショントラッキング」画ブレを安定させる「イメージスタビライザー」感度の異なる素材の粒状性を一致させる「グレインマッチング」等のオプション機能を搭載。
汎用のグラフィックスーパーコンピューターを使用しているので、予算に応じたフレキシブルな組み合わせや仕事のニーズに応じた将来のアップグレードが可能。
シネオンデベロッパーズツールキットシネオンのユーザーやソフトウェア会社が、シネオンデジタルフィルムワークステーション用の拡張機能を製作することを可能にする包括的なソフトウェア開発パッケージです。これによりユーザーは、自由に自分自身で作り出した特殊効果のテクニックをシネオンの機能の一部として登録することが出来ます。
日本コダック社「映画用デジタル画像処理システムの国内販売を本格的に開始。映像の特殊効果製作などの 高度な画像処理を行う「シネオンデジタルフィルムシステム」より
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フレームサイズとレゾリューション(4K解像度の場合)
画郭 画素数 フィルム面上のスキャニングエリア
Academy 3656×2664  21.936±0.012mm×15.984±0.012mm
Cinemascope 3656×3112  21.936±0.012mm×18.672±0.012mm
Full Aperture 4096×3112  24.576±0.012mm×18.672±0.012mm
Vista Vision 4096×6144  24.576±0.012mm×36.864±0.012mm
16mm (opt.) 1728×1240  10.368±0.012mm×7.440±0.012mm
Super 16 (opt.) 2048×1240  12.228±0.012mm×7.440±0.012mm
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スループット:100フレーム以上スキャニング時の平均値(単位:秒)
画郭 デバイス 解像度 (4K) 1/2 解像度 (2K)
35mm Academy  Sony-DTF 28 15
35mm Academy  TEAC RSP2150 60 20
35mm Academy  Exabyte 93 25
35mm Academy  Network (FDDI or ATM) 28 15
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プロローグ
デシダルフィルム制作の技術は、フィルム、ビデオそしてコンピュータで生成されたイメージを一つのコンピュータプラットホーム上に統合する事を実現しました。
1993年の夏は、そのデジタルフィルム技術の実践的な応用がなされた年として映画産業界に広く知られます。その応用事例として、ILM社の「ジェラシック・パーク」におけるコンピュータで生成された恐竜の高度の描画技術から、シネサイト社の「白雪姫七人の小人」の完全なデジタル修復において、ごみやスクラッチを取り除いた最新技術まで全般的な事が挙げられます。
デジタルフィルムスキャニングとレコーディングの技術はデジタル(コンピュータ)とアナログ(フィルム)の間に重要なゲートウェイをもたらしています。
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CCDフィルムスキャナーの設計
何年にもわたり、カソードレイチューブ(CRT)、レーザーフライングスポット、電子荷結合素子(CCD)などの技術が、フィルムスキャニングに使われてきました。
CCD技術は高解像度のデジタルフィルムスキャニングに最も広く利用されています。CCDイメージセンサーに加えて、映画フィルムスキャナーにおける重要なコンポーネントは、照明システム、ピンレジストレーション付きフィルムトランスポート、結像レンズ、デジタルデータパス、外部インターフェイスなどが挙げられます。
エリアとリニアソソソシxイメージングアレイはともにデタルフィルムスキャナーに使用されています。往来のオプチカルプリンターのフィルムカメラを置き換えることで、デジタルカメラのエリアアレイは標準 的なフィルムトランスポート、照明システムに簡単に組み合わせることが可能です。
コダックは、デジタルカメラ用にエリアCCDを製造していますが、リニアCCDアレイはコダックのフィルムスキャニング製品群に優先的に使用されています。シネオンデジタルフィルムスキャナーも、4096画素(4K)のトリリニアセンサーを基本としています。
ここでは、センサーを覆う特別に設計されたRGBのダイクロイックフィルターが使用されています。そのトリリニアCCDのアーキテクチャーは、より少ない欠陥、高いスループット、より優れたカラーセパレーション、より拡散可能な照明、より効率の良い電荷転送などの多くの理由から、エリアアレイより好まれて選択されています。
シネオンデジタルフィルムシステムにおける照明システムは、クセノンランプ、リキッド入りのライトパイプ、独自の積分シリンダーで構成されています。クセノンランプは往来のタングステンハロゲンランプよりも多量のブルーのエネルギーを含んでいます。これは、イエローのベース濃度を持つネガやインターメディエイトフィルムをスキャニングする場合、特に重要となります。
フィードバック回路が、光学的な安定性を維持する為に使用されています。そして、積分シリンダーがスキャニングライン方向に均一な拡散照明をもたらします。照明の均一性は、デジタルシェーデイング補正の必要性を最小限にします。この拡散光の特性により、フィルムのスクラッチや指紋、小さな埃の粒子を隠す事が出来ます。
デジタル合成に使用される為、高精度のピンレジストレーション付きのフィルムトランスポートが、高解像度のフィルムスキャナーには必要されます。今日まで、多くのフィルムスキャナーは、オプチカルプリンターに使用されている一般的なフィルムシャトルを使用していました。
シネオンデジタルフィルムスキャナーでは、標準的な映画用のフィルムシャトルに使用されている高精度のピンレジストレーションと、高解像度の写真製版に使用されているドラムスキャナーの曲面を組み合わせた、独自のフィルムトランスポートを使用しています。ドラムの曲面にフィルムを巻き付ける事により、ドラムを横切るフィルム面の平面性は、往来のフィルムゲートに比較してより厳しい誤差で維持出来ます。
厳密な合成作業におけるフレーム間のレジストレーション(安定性)については、機械的な誤差は±0.0001インチ(±3ミクロン)に維持されなければなりません。結像レンズでも、重要なコンポーネントです。シネオンデジタルフィルムスキャナーでは、本質的に回折を排除した特定のf値で使用できる高品質のプリンティングレンズを使用しています。CCDイメージャーによって作られたアナログ信号は、A/Dコンバータによって14ビット/カラー(リニア)にデジタル化されます。
暗電流ノイズは、リニアスペースでピクセル毎に引き算をしてゆく事によって消去されます。対数のルックアップテープル(LUT)は、データをデンシティ(濃度)スペースに変換する為に使用され、ここで各色10ビットで表現されます。ゲイン補正は、残留する不均一性を補正します。
シネオンデジタルフィルムスキャナーのデジタルデータパスには、カラーマトリックスとアパチャーコレクションのボードが含まれています。そのカラーマトリックスは、スキャナーのカラーレスポンスを標準的な映画プリンターで焼き付けた標準的なカラープリントフィルムのカラーレスポンスに変換する為に使われます。
これは、スキャナーがカラープリントフィルムと同じ様にそのフィルムを’見ている’のと同じ事です。アパチャーコレクションボートは、フィルムスキャナーの複合された光学的ロスを補う補正を行い、フィルムの全てのディテールと粒子構 造をそのデジタルの表現の中に維持します。デジタルデータのイメージデータは、インターリーブのRGBピクセルフォーマットでフレームストアに保存されます。ファイルヘッダーが付け加えられ、イメージファイルは外部のSCSIコマンドを使用するテープデバイスに記録されます。
シネオンデジタルフィルムスキャナーでは、Fast/Wide SCSI−2インターフェースで、AmpexDSTテープドライブと共に使用した時、15MB/Sの転送レートが得られます。
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デジタルフィルムレコーダーの設計
過去に、カソレードレイチューブ(CRT)、レーザーフランングスポット、ライトバルブの技術の全てがフィルムレコーディングに使用されていました。
今日では、CRT技術が高解像度のフィルムレコーディングに広く応用されています。しかしながら、レーザー技術は、精緻にスポットサイズをコントロール出来ると共に、高いエネルギーを作り出すので、有利なパフォーマンスをもたらします。CRT技術に内在しているフレアによる画質の限界は、レーザー光では避ける事が出来ます。加えて、レーザー光は波長の選択性がありますので、記録に使用するフィルムの分光感度に合う適切なレーザー光を選択する事が出来ます。
レーザー光に加えて、レーザーフィルムレコーダーの重要なコンポーネントは、音響光学変調子(AOM)、ビームシェイピング光学系、ポリゴン偏向システム、結像レンズ、フィルムトランスポート、デジタルデータパス、そして外部インターフェースなどが挙げられます。
シネオンデジタルフィルムレコーダーのデザインコンセプトは下図の様になります。高精度のピンレジストレーション付きフィルムトランスポートとSCSI−2インターフェースは、シネオンデジタルフィルムスキャナーと共通のものです。シネオンデジタルフィルムレコーダーのレーザー光は、超微粒子のイーストマンEXRカラーインターメディエイトフィルム5244にクロストークなしにRGBの露光が出来る様に選択されています。
シネオンデジタルフィルムレコーダーは、458nm(B)アルゴンレーザー、543nm(G)と633nm(R)ヘリウムネオンレーザーを使用しています。音響光学変調子(AOM)は、一般的に”Nois−eaters”と呼ばれるフィードバックグループを通してレーザー光の出力の安定化を図る為使用されます。
AOMはまた、RGBのレーザービームのピクセルレートの変調を行います。複雑な光学系では、RGBそれぞれのレーザービームと、それらを一つの一致するカラースポットに結合した光に対して、独立したシェイピングを施します。カラースポットは、独自のポリゴンまたは、多面体の回転ミラーによってフィルム面で横方向に偏向されます。
シネオンデジタルフィルムレコーダーにおいては、ポリゴンは16面を持ち、毎分6120回転します。結像レンズには、高性能でシネオンレコーダーの為に設計された色補正されたf−θレンズが使用されています。シネオンデジタルフィルムレコーダーのデジタルデータパスは、スキャナーと同様の、フレームストア、カラーマトリックス、アパチャーコレクションボードなど多くのコンポーネントを含みます。
レーザー露光システムの変調器をドライブさせる為に10ビットプリンティングデンシティ(焼き付け濃度)から14ビットリニアに変換するルックアップテーブル(LUT)が、各カラーチャンネルに対して使用されます。また 、もう一つのLUTが面間の反射率を補正する為に使用されています。
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解像度と量子化
解像度
デジタルフィルムシステムに必要とされる解像度は、サンプリング構造の関数として変調伝達関数(MTF)をモデル化する事で試算する事が出来ます。
シネオンシステムは、スキャナーとフィルムレコーダーによるMTFのロスをアパチャーコレクションで補正する事により、約4Kの解像度で設計されています。
シネオンデジタルフィルムスキャナーとフレコーダーは、主な35mm映画フィルムのフォーマット全てに対応する様に設計されています。スキャンそしてレコードされる画面のサイズは、最適のパフォーマンスと再現性をもたらす様に決められています。すなわち、サンプルのピッチ幅が6ミクロンに相当する1666.67サンプル/mmのサンプリン グが選択されています。

量子化
デジタルシステムのもう一つの重要なイメージクオリティのパラメータは、量子化、すなわち信号レベルを表現するビットの数です。
量子化の必要条件は、人間の視覚が認知出来るコントラストの限界から導き出す事が出来ます。シネオンデジタルフィルムレコーダーは、リニアのDAコンバータによる量子化が視覚的にContouring(バンドジャ ンプ、縞)を生じる事がない様に設計されています。
DAコンバータでのビット数は、露光におけるLSB(LeastSignificantBit)の一つの変化が、出力されたフィルムの濃度において認知できないほどの纔な変化となる様に決められています。
シネオンデジタルフィルムシステムでは、画像は濃度の単位(ログ)で保存さけます。濃度スペースでは、どのくらいのビット数が必要とされるのでしょうか?2.0以上の濃度域について先と同様の量子化のエラーに維持する為には、濃度(ログスペース)で10ビットが必要で、露光(リニアスペース)の14ビットと合致すると言う事が出来ます。
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ノイズ
シネオンデジタルフィルムスキャナーは、そのシステムのノイズ特性がスキャンされるフィルムの粒状性よりも低くなる様に設計されています。
イーストマンEXRカラーネガティブフィルム5245のR(赤)層がリファレンスとして使われました。これは最も微粒子の撮影用ネガフィルムの最も微粒子の層だからです。最小濃度(Dmin)の変動を見込んだ上で、撮影用ネガフィルムの全てのラチチュードを捕える為には2.0の濃度域が必要です。
スキャナーシステムのノイズは2.0の濃度域に相当する100対1以上の透過領域においてフィルムの粒状性よりも低くなっています。量子化エラーは、最小のシステムノイズよりも4倍以上低くなっています。このマージンによって、視覚で認知出来るContouring(バンドジャンプ、縞)がスキャンされた画像に生じません。

カラー
色再現は、イメージクォリティのもう一つの重要な要素です。シネオンデジタルフィルムシステムのカラーキャリブレーション(校正)の目標はプリントに焼き付け、映写して評価した時に、撮影用ネガフィルムの色特性とグレイスケールが一致したデジタルの複製ネガティブをフィルムレコーダーで作り出す事です。
そのデータ保存の単位は、最小濃度(Dmin)を基準とする焼き付け濃度(Printing Density)です。分光色彩的に言うと、焼き付け濃度はイーストマンカラープリントフィルムの分光感度とラッテン2Bフィルターを入れたベル&ハウェルモデルC加色プリンターの分光放射によって決定されます。焼き付け濃度という単位は、いくつかの重要な特性を持っています。すなわち、撮影用ネガフィルムの特性は全て維持されます。グレイスケールのデータは、RGBで等しい値になり、濃度のデータは効率的に量子化され、保存されます。
シネオンデジタルフィルムスキャナーの分光特性は、焼き付け濃度のレスポンスに近似する様に設計されています。またシネオンデジタルフィルムレコーダーでは、レーザー光の波長と出力フィルム分光感度は、重要な色の特性の要因です。カラーセパレーションもしくはRGB各記録感度の違いが、2.0以上ある事に注意して下さい。EXR5244のガンマは1.0なので、これは、2.0の濃度域を混色する事なく記録出来る事を意味しています。
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キャリブレーション(校正)
シネオンデジタルフィルムスキャナーで作り出されデジタルネガティブは、典型的なカラーネガのデジタルでの表現と言えます。シネオンデジタルフィルムスキャナーは、2.048の濃度域に対してキヤブレーション(校正)を行っています。これは、足部と肩に若干のマージンを持たせせ、ネガフィルムの全てのラチチュードを捕える事を可能にします。
スキャナーの光源は、フィルムが適切な色温度で露光された場合、最終的なデジタルの画像が中性色のカラーバランスを持つ様に、フィルムの最小濃度(Dmin)に応じてバランスされています。デジタルカラーネガティブは、オーバー露光されたネガフィルムや広いコントラストレンジを持つシーンを取り扱う為に、名目上の白ポイント以上に広大なヘッドルーム(余裕)を含んでいます。
2.048の濃度域に対して各色10ビットを使うので、最終的な量子化のステップサイズは、1コード値当たり0.002の濃度値になります。これは、Contouring(バンドジャンプ、縞)を視覚的に認知する限界点以下です。さらに、8ビットよりも10ビットを採用する事により、シネオンデジタルフィルムスキャナーは、ネガフィルムのより広大なヘッドルームを捕える事が出来ます。
デジタルネガティブのフィルムレコーディングを行う為には、フィルムレコーダーの特性を理解する事とそれを適切にキャブレーシヨンする必要があります。シネオンデジタルフィルムレコーダーは、オリジナルネガティブの色特性と濃度域に合致したデジタルネガティブのデータから複製ネガティブを作ります。これは、複製されたネガティブに、プリント時の焼き度調整とオリジナルネガティブと同じ柔軟性を持たせる事が出来ます。
複製のネガティブフィルムは、超微粒子のイーストマンカラーインターメディエイトフィルムEXR5244で作られます。複製ネガティブは、コード値の455がLAD(Laboratory Aim Density)の目標値になる様に露光されます。一方、CRTフィルムレコーダーは、フレアによる限界により狭い濃度域(1.20)にキャリブレーションされています。出力の限界により撮影用感材(EXR5248または5245)が使用されます。従ってCRTフィルムレコーダーで作られた複製ネガティブは、シネオンデジタルフィルムレコーダーで超微粒子のEXR5244に記録したものよ りも粒子が荒く、先鋭度が落ちます。
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デンシティ(濃度)
焼き付け濃度(Printing Density)
シネオンデジタルフィルムワークステーションは、映写中のプリントフィルムの特性を再現する様にキャリブレーションされた高解像度のグラフィックスディスプレイモニターを使用しています。
ディスプレイモニターは、映画の映写スタンダードに合致した5400Kの色温度と最大1000:1のコントラストレンジを再現する様にコダック社わり調整・ キヤリブレーションされています。これらの特性は共に、標準的なグラフィックモニターの’優れた特性’とは異なるものです。
ルックアップテーブル(LUT)は、プリントを映写した時の明るさの伝達関数に合致する様に計算されています。そしてユーザーが設置した場所で、フォトメーターとソフトウェアを使用してキャリブレーションのLUTを更新出来ます。フィルム出力と一致しないかもしれませんが、シネオンデジタルフィルムスキャナーからの10ビット焼き付け濃度のデータを簡易的にカスタムのLUTを作る事により標準的なグラフィクスディスプレイでも表示する事が出来ます。このLUTは、入力のホワイトポイントコード(コード値685)をディスプレイ出力の最大コード値255に合わせる事で構築する事が出来ます。
焼き付け濃度のコード値は濃度値に変換され、フィルムのガンマ値で除算したのち、露光量に変換する為アンチログ計算します。そして、ガンマ補正を行い、8ビットの出力範囲を満たす様にスケーリングします。グラフィックディスプレイモニターに対する 標準的な補正値は、1.7です。
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画像のフォーマットとデータの保存
画像ファイルのフォーマット
デジタルビクチャーに対するSMPTEのワーキンググループH9.16は、フィルムやTVそしてコンピュータでの応用においてデジタル画像の互換を容易にする推奨手順と規格を立案する為に結成されました。調査に基ずき、そのグループは、50以上の画像ファイルフォーマットが現在使用中であると報告しました。
製造業界やフィルムやテレビの製 作会社、ソフトウェアの代表者からなるワーキンググループは、デジタル動画の互換の為の標準フォーマットDPX(Digital MovingPicture Exchange)を立案しました。この規格は1993年11月にSMPTEよりSMPTE268Mとして受け入れられました。
SMPTE268M"File Format for Digital Moving Picture Exchange(DPX)は、コンピュータを基盤とするシステム間で様々なメディア上のデジタル動画を交換する為のファイルフォーマットを定義しています。この柔軟で、解像度の制限のないファイルフォーマットは、属性を定義したバイナリファイルヘッダと共にピクセルベース(ラスター)の画像を記述します。このファイルフォーマットはシネオンデジタルフィ ルムシステムでもサポートされています。

画像データの保存
高解像度のデジタル画像の保存には、高密度で高いスループットを持つ テープデバイスが必要とされます。
今日、画像データの保存に最も一般 的に使用されているデバイスは、Exabyte8500ドライブです。
さらに最近では、Metrum RSP-2500 テープドライブの使用が増えてきています。両者共にSCSIを使用しています。シネオンデジタルファイルシステムは、さらにSCSI−2を使用した高速のAmpex D STテープドライブをサポートしています。
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テープドライブの特長
容量 600MB 1.2GB 5GB
米数 15m 54m 112m
品名 QG-15M QG-54M QG-112M
EXAbyte tape (Fuji)
Exabyte 8500 0.5MB/s
5GB/tape
Metrum RSP-2500
2.0MB/s
14GB/tape
Ampex DST
15MB/s
150GB/tape
35mmフルフレーム
サイズ 画素(PXL) 容量
2K 1,828×1,332 7.2MB
4K 3,656×2,664 40MB
2Kサイズ−24コマ/秒のデータ容量
時間 1秒 10秒 30秒 60秒
容量 176MB 1.752GB 5.256GB 10.52GB
駒数 24K 240K 720K 1440K
尺数 1.5feet 15feet 45feet 90feet
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UNIXのコンピュータシステム上では、TAR(Tape Archive Recording)が画像データを保存する為に一般的に使用されています。
高解像度の画像に対しては、ファイルマークをスキップする事で個々の画像へのランダムアクセスを可能にする様に、各々の画像ファイルを分割されたTARボリュームとして記録する事が推奨されます。これは、ディスクスペースに制限を持つコンピュータ上への高解像度の画像ロードを可能にします。
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オペレーションとプロセスコントロール
オペレーション上の事項
デジタルフィルムスキャナーのオペレーション上では、いくつかの注意すべき事柄があります。
スキャニングの為にネガやインターポジを準備する事は、頭と尻にリーダーを付ける事はもちろん、編集やスプライスの工程が必要になります。いくつかのシーン(素材)がお互いつなぎ合わされ、スキャナーオペレーターに適切なフレームカウントを指示します。
それぞれのシーンは、もしディレクターがシーンの頭または尻の長さを延ばそうと決めた場合、再スキャニングが可能な様に”ルーズカット”されるべきです。もしインターポジ(IP)素材をスキャする場合、インターポジはLAD(Laboratory Aim Density)の目標値で作成されなければなりまん。
シーン毎のタイミングのとれたインターポジを作成する為にカラー タイミングを行うべきです。つまり、オリジナルネガからインターポジにそのシーンの全ての情報が変換される事を確認する事が重要です。
ちょうどオプチカルプリンターの様に、ごみをコントロールする事は、シネオンデジタルフィルムスキャナーの拡散光の照明システムは、小さなごみの粒子を隠し、パーティクルトランスフーローラは、フィルム表面のルーズなごみを取り除きます。超音波洗浄機を使ってクリーニングする事は、やは重要です。
もしフィルムがいくらかの余分の最小濃度(Dmin)のフレームを持っている場合、キャリブレーションのリファランスとして使用する事が可能です。もしそうでなければ、スキャナーはフィルムストックの最小濃度の目標値にセットアップされます。
また、シネオンデジタルフィルムスキャナーは、フィルム粒子の標準偏差値を最大化する事によって焦点を結ぶオートフォーカスの機能を持っています。画像をプレビューする機能は、フレーミングの位置が正しいかシネオンデジタルフィルムスキャナーは、オリジナルネガの全ての情報を捕え、デジタルポストプロダクションをフレキシブルなものにする為に、最大の撮影有効サイズを適切なフォーマット(アカデミー、フルフレーム、シネマスコープ、ビスタビジョン)でスキャンする様に調整されています。
自動のキャリブレーションと先に述べたオートフォーカス機能を組み合わせる事で、デジタルネガティブのサイズや位置、シャープネス、色特性を均一で繰り返し精度の高いものにしています。ただし、もしデジタルのフレームが失われたりダメージを受けた場合は、その1駒を取り出すよりも、連続性の為、シーンの全長を再スキャンするのが良い方法と言えます。
スキャナーとレコーダーのスループットは、生産能力とフレーム当たりの作業コストを決定するのに最も重要な要素です。シネオンデジタルフィルムスキャナーとレコーダーはアンペックスDSTドライブを使用し た時、10秒/フレーム以下(フル解像度、アカデミー)の連続したスループットを提供します。
この高速スループットは、仕事の完了時間が他のスキャナーを使用した場合よりも早く、ますますタイトになのつつある制作スケジュールにおいては重要な要素です。デジタルフィルムレコーダーのキャリブレーションの一貫性をモニターする為に標準のテストパターンを露光し、得られた濃度を測定する方法があります。完全なキャリブレーションには、21ステップかそれ以上のグレイスケールが推奨されます。
日々のキャリブレーションチェックには、LADのパッチで十分です。多くのファシリティでは、グレイパッチと女性のクローズアップを含むコダック社の”LAD Girl”のデジタル版が使用されます。その他のテストパターンが現在、SMPTEのデジタルピクチャーに関するワーキンググループで決定されつつあります。これは、デジタルフィルムプロダクションの作業に使用される”DPXリーダー”という標準テスト画像の使用に対して推奨手順を 決定する目的で作業されています。
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プロセスコントロール
エピローグ
映画フィルムは撮像と大型スクリーンでの投影に理想的なメディアであり続けるでしょう。コンピュータプラットホームは、画像加工にますますパワフルな道具となります。
デジタルフィルムスキャナーとレコーダーは、コンピュータの世界を結ぶ架け橋です。近年の高性能の映画フィルムスキャナーとレコーダーは、デジタルフィルム制作の実用化の扉を開きました。デジタルフィルムの技術と実践は現在も進化の途上です。
しかし、すでに我々は、視覚効果に幅広く応用されるのを見る事が出来ます。デジタルフィルムスキャナーとレコーダーはいくつかの応用で往来のオプチカルプリンターと置き換わりはじめています。しかしながら、単純なフェイドやディゾルブ、タイトルなどの往来のオプチカルプリンターを使った方が未だ安上がりの場合があります。技術の置き換えは、デジタルフィルム制作のコストの低下に従って続いていくでしょう。
SMPTE Tutorials
デジタルフィルムスキャニングとレコーディングそのテクノロジーと実際 グレス・ケネル(1994) より
文中、グラフ及びその記述、古いデータは割愛しました。
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10ビットログカラースペース
映画「インディペインデンス・デイ」
この映画の監督であるローランド・エメリッヒ氏とプロデューサーのディーン・デブリン氏は、映画を制作するにあたって、「タワーリングインフェルノ」や「ポセイドンアドベンチャー」などの過去の様々なスペクタル映画の成功例から、バットマンの様な個性の強いキャラクターを中心にストーリーを進めるのではなく、エフェクト(視覚効果)を用い たスペタクルな映像を駆使しようと考えました。
彼らは340ショット以上のエフェクトを想定し、そのまとめ役であるデジタルエフェクトスーパーバイザーとしてトリシア・アシュフォード氏と契約しました。アシフォード氏は、「この映画における膨大なエフェクト作業は、数社のポストハウスに振り分ける必要がありました。私は、ポストハウスに作業を依頼する条件として
  • 製作期間中、作業に集中できる人材がいること。
  • その人たちは作品に対し前向きな姿勢を持った人であること。
  • エフェクト作業のスループットを十分に管理できる所であるということ。 以上の点を考えました。また、
  • シネオンを所持していることも絶対条件でした。
何故なら、私は10ビットログのカラースペースに絶対の信頼を置いているからです。
事実、このプロジェクトの終了時にはみんながシネオンのクオリティに大変満足していました。」と語っています。この、シネオンというコダックが開発したイメージマニピレーションシステムでは、映画フィルムのイメージをフレーム毎にスキャニングし、そのデータをコンピュータファイルに変換します。そのデータをワークステーションへ送り、他のジタル素材とシームレスで、高解像度の合成をすることが可能です。
アッシュフォード氏は、他のコンピュータグラフィックスシステムより優れたディテールを表現することのできるシネオンのテクノロジーに全幅の信頼を置いていました。
ポストハウスの選定時、POP(Pacific Ocean Post)がアシュフォード氏の条件に合致しましたPOPは「インディペンデンスディ」の製作責任者としてアンドレラ・ドアミコ氏とスタン・ジュマンキ氏を選出しました。彼らに与えられた時間は15分のエフェクトを製作するのにたった8ケ月でした。
POPでは最終的に210ものエフェクト作業を行い、合成チームのリーダーであるケン・アンド・ローレンス・リトルトン兄弟は、シネオンソフトウェアがインストールされたSGI社のInfinite Realityを使用して、大部分のエフェクト作業を担当しました。また、その他のショットは、フレームを用いて作られました。
アシュフォード氏は、「合成自体は他のグループでもできたと思いますが、我々が到した高いクオリティには及ばないでしょう。」と声高に言っています。この高いクオリティを実現するためには、ファシリティ間の色再現の一貫性が不可欠でした。この責任者には各ショットのつながり具合を管理するグレッグ・ギンブル氏が選ばれました。ギンブル氏は各ポストハウスにカラーキーを配布し、オペレーターと一緒にラッシュをチェックし、均一なアプローチを確立するために各ファトリティを回りました。
POPで作業されたすべてのショットは、ま最初にシネオンシステムで色補正されました。ギンブル氏にとってシネオンのオープンアーキテクチャーの理念は、ファイルフォーマットに依存しない色の一貫性を簡単に提供してくれる素晴しいものでした。また、シネオンのカラーキャブレートモニターを用いることにより、オペレーターはスクリーン上で得られる最終結果をそのモニター上で確認することができました。
スキャニングとカラー補正の後、ショットは合成過程に入ります。ショットにもよりますが、背景の素材は、モーションコントロールを使って撮影した模型、光線、煙、モーションブラー、爆破、デジタルマットペインティング、CGの煙や炎、ブルーバックで撮影したライブアクションシーンなど様々な素材と合成されます。
そして、最終的なイメージは2Kのレゾリューションでフィルムにレコーディングされました。ちょっと前までは観客に不信感を抱かせるを恐れるあまり、1分にも及ぶエフェクトを制作しようとはしませんでした。今では、デジタルイメージング技術の進歩に誰もがエフェクトを大量に取り入れています。
アシュフォード氏の条件に合致したもうひとつのポストハウス、The Post Groupは2つのシネオンワークステーションわ含むシステムを揃えていました。当初、ここでは22ショットの予定でしたが、最終的には52ショットのエフェクトを制作しました。The Post Groupのピータースターンリッヒ氏とトム・スミス氏は2つのドッグファイトシーンを担当し、「そのショットは、たくさんの素材と様々なファクターを組み合わせた、映画の中でも最大の山場のシーンでした。」とスミス氏は述べています。ドッグファイトのシーンはエイリアンの宇宙船とF−18戦闘機の戦いを描いたものでした。
その中でデストロイヤーの模型は、煙、F−18、空、雲、その他コンピュータで作られたものと一緒に登場しました。当初の予定では模型と、モーションコントロールを使って仕上げる予定でしたがエメリッヒ氏からの要請もあり、CGで作られた戦闘機も頻繁に使われました。POPとThe Post Groupの両方とも、複雑で難しいエフェクト作業は優れた合成機能を持つシネオンワークステーションで行われました。
10ビットログのファイルは、各ピクセルの詳細な情報を保持しているので、実際のより細かな調整はマットを引き出した後でも可能です。ピーター・スタンリッヒ氏は、マットを使用するとき、その特性がどの様に最終的な合成に影響するかを、リアルタイムに近い形で予測することができると強調します。
シネオンのフローラフというインターフェースを使って、ユーザーは合成のどの段階に影響するノードを調整し、最終合成結果をすぐ確認することができます。この機能は時間とコストの大きな節約になりました。このような様々なエレメントを映像にするには高度な技術が必要ですが、その鍵となるのはアーティストの目です。
「前景に幅18マイルの母船があり、戦闘機が2マイルの距離であなたの方向に向かってくると仮定した場合、あなたが違和感なく感じるような、その雰囲気、色、粒子、画面の奥行きを表現するのはとても厳しいことです。」とスミス氏は述べています。スミス氏のオプチカルとフィルムの経験が、フィルム上で如何にリアルに見せるかを教えてくれました。
「コンピュータ上で見るのではなくレンズを通して見たときに、何がどう見えるべきかを知る必要がある。」と述べています。また、スターンリッヒ氏は、「この映画では、使い古された空間でのライブアクションは採用しなかったので遠近法、ローテーション、モーションコントロールを使ったトラッキングを多用するこ とになりました。CGで作った戦闘機と模型の戦闘機を併用したり、奥行き感をだすために光学的なゆがみを利用し、15mmのワイドレンズを使って12フィートのデストロイヤーの下部分の模型を撮影したりしました。
ドッグファイトシーンでは、シネオンのモーショントラッキングを使用しました。例えば、母船上の複数のポイントを指定して、変化するそれぞれのエレメントの動きを追従します。そのデータに合わせて他のエレメンの動きの相関関係には、特に注意を払う必要がありました。」と述べています。スターンリッヒ氏は業界の今後の展望を次のように述べています。
「この映画でも多くの新しい技術が使われましたが、このようなイメージのプロセスは今以上にデジタル化が進むと思います。そしてそのイメージは、デジタルファイルとして保存されていくのではないでしょうか。そして、必要に応じてイメージは、デジタルファイルからDVD、衛星放送、ケーブルテレビ、インターネットなど様々出力方式へとダウンロードされて行くでしょう。しかし、将来でも、一番最初にイメージに記録する媒体はフィルム以外に考えられないでしょう。」
CUT.August 1996/KODAK SHOOTING EYE 1997.4 NO,31より
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