映画「満員電車」

満員電車満員電車
川口浩

今回は市川崑監督1957年製作「満員電車」をピックアップする。
本作は「今の日本は、満員電車と同じ。一度乗り遅れたらたら、そう簡単に乗り込めるものではない」というテーマを高度経済成長に入る前の日本においてシュールなブラック・コメディ感覚の鋭い作品を作った市川崑監督に感服する作品だ。
やはり脚本がすこぶる良のだろう。助監督には増村保造氏がクレジットされているのにも注目だ。プリント原版は最良とは言えないが、DVDで観れた事でも意義はあった。

満員電車満員電車
マットペイント画の合成          1956年御茶ノ水駅(丸の内線と中央線)

【ストリー】
茂呂井民雄(川口浩)は平和大学を卒業し駱駝麦酒株式会社に就職した。日本には我々が希望をもって坐れる席は空いてない。訳もなくはりきらなくては、というのが彼の持論。社員講習の日、一の関の高校の教師となって行く同窓の壱岐留奈に逢い二人は軽くキスして別れた。講習が済むと民雄は尼ヶ崎へ赴任した。そこで彼は同僚、更利満(船越英二)から「健康が第一、怠けず休まず働かず」というサラリーマンの原則をきかされる。ある日、故郷の父(笠智衆)から母(杉村春子)が発狂したと知らせてきた。民雄は平和大学生課に月二千円で母の発狂の原因、治療を研究する学生を依頼した。
応募したのは和紙破太郎(川崎敬三)。彼は民雄の父に会い市の有力者であることを利用して精神病院の設立を約束させる。ある日民雄の許に、県の財政縮小で整理された留奈が訪ねて来、生きるために結婚を迫った。しかし気持はあっても毎月の失費に追われる彼としては断るほかなく彼女はあっさり帰って行く。その後、民雄は膝の痛みでうった注射に苦しみ高熱のため髪が真白になってしまう。
そこへ気狂いになった筈の母がきて、狂ったのは父だときかされる。民雄は病院で和紙に会い父を利用した彼を難詰する。そしてチャンスを利用する三段とびの持論をふりまわす和紙はそのゼスチュアの勢いが余ってバスにはねられ、止めようとした民雄は電柱に頭をぶっつけて昏倒。目がさめると髪はもとの黒。看護婦は精神に休養を与えたからだという。しかし尼ヶ崎に帰った彼はクビになっていた。
安定所で職を求める彼に小学校の小使の口。そして群衆の中でばったり留奈に逢った彼は嬉しさの余り結婚を申込むが既に彼女は小使と結婚していた。そして--ある小学校での入学式に万国旗をあげる民雄の小使姿があった。

満員電車満員電車
川崎敬三                       船越英二

題名:満員電車
監督:市川崑
製作:永田秀雄
脚本:和田夏十、市川崑
企画:土井逸雄
撮影:村井博
特撮:的場徹
照明:米山勇
美術:下河原友雄
録音:渡辺利一
記録:土屋テル子
編集:中静達治
音楽:宅孝二
助監督:増村保造
出演:川口浩、川崎敬三、船越英二、笠智衆、杉村春子、小野道子、山茶花究、浜村純、潮万太郎、見明凡太朗、山茶花究、入江洋佑
1957年日本・大映/スタンダードサイズ・モノクロ99分35mmフィルム
満員電車 [DVD]
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笠智衆                        杉村春子