映画「風船」

風船風船
森雅之                         三橋達也

今回は川島雄三監督1956年製作「風船」をピックアップする。
本作は「鞍馬天狗」の原作者で知られる大佛次郎氏の毎日新聞連載小説「風船」を基に、川島雄三監督と当時チーフ助監督だった今村昌平氏が、”揺れ動く人間関係と人の心”を「風船」に見立てて脚色し、映画化した作品である。クランクインは、1955年12月5日に始まり、翌年2月7日にアップした。59日間の実働は41日で直接製作費は2,681万円、観客動員数は69,791人だったそうである。
(DVD版プロダクションノート参照)

作品リスト

風船風船
二本柳寛、芦川いづみ                 新珠三千代

驚くのは現代のアイドル顔負けの芦川いづみさんだ。チャーミングで清らかさがあり、今でも魅了される。
タイプの違う四人のヒロインを演じた新珠三千代さん、北原三枝さん、芦川いづみさん、左幸子さんが着ている衣裳を担当したのは、世界的デザイナーの森英恵さんである。
これまでもの日本映画の衣裳を手掛けてきたが、クレジットは本作が初めてだそうだ。
彼女の貢献に対する川島監督の計らいだったという。

風船風船
北原三枝                     左幸子、芦川いづみ

【ストリー】
かつて天才画家と謳われた村上春樹(森雅之)は実業界に転じ、今では写真工業会社の社長として確固たる地盤を築いていた。妻房子(高野由美)との間に一男一女があり、圭吉(三橋達也)は父の会社の部長をつとめ、珠子(芦川いづみ)は幼い頃に病んだ小児マヒのため身も心も弱く、部屋に閉じこもって絵画に親しむ日が多かった。恩師山口純峰画伯の告別式で春樹夫婦は純峰の息子都築正隆(二本柳寛)に再会した。彼は上海、シンガポール、パリを放浪していた男で、現在はナイトクラブのマネージャーである。圭吉の愛人山名久美子(新珠三千代)は、戦争で良人を失ってから酒場で働くうち、圭吉の世話を受けるようになった純情一途の女性である。正隆は自分と関係のあったシャンソン歌手三木原ミキ子(北原三枝)を、お坊ちゃん育ちの圭吉に接近させた。ミキ子はおもしのつけてない風船のような女で、圭吉は忽ち心を惹かれた。一方、商用で京都へ出かけた春樹は、戦時中、自分が下宿していた阿蘇家の娘るい子(左幸子)に会った。両親をなくした彼女は、弟の学資を得るため夜はバー、昼はヌード・スタジオで働いている健気さにうたれ春樹は同家の二階を借りることにした。圭吉の心がミキ子に傾いたと知って、久美子は悲しみの余り自殺した。京都から帰った春樹は圭吉の不行跡と誠意のなさに、激しい怒りを覚えずにはいられなかった。久美子の死によって、心に大きな打撃をうけたのは正隆だった。彼の人生の途上に、踏んでも蹴ってもなお縋りついてくる女があるとしたら、パリの女を、上海の女を求める必要はなかった筈である。圭吉も久美子を不愍に思い、父の会社を出て、ひとりで生きる決心をした。そして春樹は周囲の反対を押し切って京都を定住の地に選んだ。古都に長く伝わる舞扇作りに老後の生きかたを見出したのである。珠子が父を慕って京都へ着いたのは、夏祭の宵のことであった。

風船風船
1956年「風船」監督:川島雄三
風船風船

題名:風船
監督:川島雄三
製作:山本武
原作:大佛次郎
脚本:川島雄三、今村昌平
撮影:高村倉太郎
照明:大西美津男
録音:橋本文雄
美術:中村公彦
衣装:森英恵
編集:中村正
音楽:黛敏郎
助監督:今村昌平
出演:森雅之、三橋達也、芦川いづみ、北原三枝、新珠三千代、左幸子、二本柳寛、高野由美
1956年日本・日活/スタンダードサイズ・モノクロ110分35mmフィルム
風船 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

風船風船
芦川いづみ、新珠三千代                森雅之、高野由美