映画「新・脱獄の用心棒」


フランコ・ネロ                  イーライ・ウォラック

今回はドゥッチオ・テッサリ監督1972年製作「新・脱獄の用心棒(LONG LIVE YOUR DEATH)」をピックアップする。

ミッキー・ノックスのプランを拒否したフランコ・ネロ
本作の製作総指揮(エグゼクティブ・プロデューサー)を務めたのは、1921年にニューヨークで生まれたミッキー・ノックスである。1947年に俳優としてデビューした彼は、1950年代初頭にハリウッドを震撼させた反共産主義運動”マッカーシズム(赤狩り)”のブラックリストに加えられた事でイタリアに渡り、「続・夕陽のガンマン/地獄の決斗(1966年)」「ウエスタン(1968年)」などでアメリカ人俳優に対する台詞指導や英語台本などを担当した。ちなみに、マカロニ・ウエスタンの熱心なファンであるクエンティン・タランティーノは、原案を手掛けた「ナチュラル・ボーン・キラーズ(1994年/監督:オリバー・ストーン)」の主役の名を”ミッキー・ノックス”と名付けている。そんなミッキー・ノックスは本作の製作にあたり、監督をセルジオ・コルブッチの起用をフランコ・ネロが拒否。ノックスの説得に応じようとしなかった為、ジュリアーノ・ジェンマ主演の「夕陽の用心棒」「続・荒野の1ドル銀貨」「荒野の大活劇」などで知られるドゥッチオ・テッサリ監督が起用されたのである。当時、フランコ・ネロが拒否した理由は「ガンマン大連合」でセルジオ・コルブッチ監督がトーマス・ミリアンを贔屓したからだと噂された。しかし、ネロは後年のインタビューで、この噂を否定。スペインで撮影された「ガンマン大連合」のフィルムがイタリアに運ばれた際、自分の出演シーンを含む数カットが紛失してしまった事が一因だった事を明かしつつ「私が少し若すぎて、偉大なコルブッチ監督に反発してしまったのかもしれないね。今では後悔しているよ」とコメントしている。
(マカロニウエスタン傑作映画DVDプロダクションノートより)

フランコ・ネロとリン・レッドグレーヴの関係
本作のヒロイン、新聞記者のメアリー・オドネルを演じたリン・レッドグレーヴは、祖父母、両親、兄と姉が俳優というイギリス演劇界の名門家で生まれ育った。彼女の祖父であるロイは、サイレント時代の大スター、父マイケルはアルフレッド・ヒッチコック監督の「バルカン特急(1938年)」を始めとする数々の名がに出演し、ナイトの称号を授与された名優なのだ。そして、リンの6歳年長で、1966年の「モーガン」でカンヌ映画祭女優賞を受賞した姉ヴァネッサは、1967年「キャメロット」でフランコ・ネロと共演。夫と二人の娘がありながら恋に落ち、離婚後の1969年、ネロの息子ガブリエルを生んだ。「新・脱獄の用心棒」の撮影当時、籍こそ入ってなかったものの、ネロはリンの義理の兄だったのである。ヴァネッサとネロはその数年後に破局。互いに派手な浮名を流したが、1990年代に交際を復活させ、2006年に正式に結婚した。リンが亡くなったのは、その4年後の事だった。
(マカロニウエスタン傑作映画DVDプロダクションノートより)


リン・レッドグレーヴ、イーライ・ウォラック     リン・レッドグレーヴ、エドゥアルド・ファヤルド

【ストリー】
牧師に扮して、教会で強盗を働き逃げる途中、3人の男たちに呼び止められるドミトリー・ヴァシロビッチ・オルロウスキー皇太子(フランコ・ネロ)。オルロウスキーを脅し、瀕死の父親からメキシコ知事が隠したという100万ドルの在り処を聞き出させようとする。彼を牧師と信じた老人は、金はピエドラス・ネグラスいう村にあるが、正確な場所はユマの刑務所に投獄されているアルフォンゾ・ロゾヤという男が知っていることを告げる。3人の男たちはオルロウスキーから話を聞き出そうとするが、逆にオルロウスキーに殺されてしまう。一方、アイルランド人のジャーナリストであるメアリー・オドンネル(リン・レッドグレーヴ)は、ユマの保安官 ランドールを買収し、メキシコ革命の英雄 エル・サルバドルを脱獄させるよう依頼する。ランドール保安官は刑務所に向かい、所長にエル・サルバドルを脱獄させるように頼む。しかし、半年前にエル・サルバドルは獄死していたのであった。金の在り処を聞き出すため、牧師に成りすまして、刑務所でロゾヤ(イーライ・ウォラック)に面会をするオルロウスキー。そこへやって来るランドール保安官。彼は、オルロウスキーのせいで、鋼鉄の甲冑のようなものをつけなくてはならない破目に遭っていたのであった。エル・サルバドルだということにして、ロゾヤを脱獄させる所長とランドール保安官。手引きをする看守を倒し、拷問されていたオルロウスキーを助け出すロゾヤ。金を探すためには、村の名前を知っているオルロウスキーが必要だったのだ。メアリーの本当の狙いは、メキシコ革命を成功させることであった。ロゾヤがエル・サルバドルではないと知っても、彼女は貧しい農民たちを惹きつける英雄が必要だったため、彼をエル・サルバドルに仕立てようとする。そこへウエルタ将軍率いるメキシコ軍がやって来て、二人を捕らえ、処刑しようとする。しかし、メアリーの助けによって、三人は逃げ出すことに成功する。金を埋めた場所を知る男を探す二人。最初の男は、悪徳鉱山主のところで働く マニュエル・メンドーサという男であった。実はメキシコ人男性にとって最大の屈辱は他人に尻を見せることなのだが、それを逆手にとって、その男の尻に情報が書かれていた。そこには「泉の南西」と書かれていたが、そこからの距離の情報がなかった。次に二人は二人目の男 オラシオ・ヴィレガスの屋敷に向かった。しかし、そこで二人が見つけたのは、ヴィレガスの墓だった。ロゾヤを疑ったオルロウスキーは銃で脅して、ズボンを脱がせる。ロゾヤの尻には、「真っ直ぐ28歩、左へ34歩」と書かれていた。さらにオルロウスキーはロゾヤにウォッカを飲ませ、倒れた隙に一人で金を探しに行き、掘り当てる。ようやく穴から取り出した時にやって来たロゾヤに金を奪われてしまう。しかし、さらにそこにウエルタ将軍のメキシコ軍が現れ、金を没収されてしまう。またもや捕らわれ、死刑にされそうになっていた二人だったが、メアリーが自慢のボクシングでメキシコ兵士を倒し、救出してくれる。三人は金を取り返すため、ウエルタ将軍のいるサン・トマスの町に向かう。メアリーがウエルタ将軍を誘惑するという作戦を取る一方、祭りに乗じて農民たちと襲撃を開始する二人。激しい銃撃の末、金を取り返すが、革命活動に目覚めたロゾヤは農民たちに全ての金を分け与えてしまう。怒ったオルロウスキーは彼らを後に去って行く。一部の金を革命の戦いのための銃取引に使ったのだったが、その取引場所の砦にやって来るロゾヤたち革命軍。そこへ現れたのは、オルロウスキーを連れたウエルタ将軍のメキシコ軍だった。オルロウスキーは、2万ドルの報酬のため寝返ったのだった。いよいよロゾヤがエル・サルバドルとして銃殺されてしまう。用済みとなったオルロウスキーはメキシコ軍に捕らわれてしまう。しかし、それを見越していたオルロウスキーは将軍の自動車に爆弾を仕掛けており、それが爆発する。金とロゾヤの遺体を入れた棺桶を積んだ馬車で逃げるオルロウスキー。そこへ今度はランドール保安官たちが追って来る。万事休すと思われた時、棺桶から飛び出し、保安官の手下たちを倒すロゾヤ。実はオルロウスキーがメキシコ軍兵士の銃に空砲を詰めていたのだった。

題名:LONG LIVE YOUR DEATH/VIVA LA MUERTE…TUA!
邦題:新・脱獄の用心棒
監督:ドゥッチオ・テッサリ
製作総指揮:ミッキー・ノックス
脚本:マッシモ・デ・リタ、ギュンター・エバート、ディノ・マイウリ
撮影:ホセ・F・アグアイヨ
音楽:ジャンニ・フェリオ
出演:フランコ・ネロ、イーライ・ウォラック、リン・レッドグレーヴ、エドゥアルド・ファヤルド、ホルスト・ヤンソン、ヴィクター・イズラエル、ジゼラ・ハーン、マリル・トロ
1972年イタリア・スペイン・西ドイツ/テクニカラー・テクニスコープ111分35mmフィルム[日本劇場未公開]
新・脱獄の用心棒 -DVD-
2017年2月現在、DVDレンタルはありません。


新・脱獄の用心棒(LONG LIVE YOUR DEATH)

新・脱獄の用心棒(LONG LIVE YOUR DEATH)

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