映画「氷点」


「氷点」若尾文子

若尾文子                       大楠道代

今回は山本薩夫監督1966年製作「氷点」をピックアップする。
本作は三浦綾子氏の同名小説を映画化したもので、氷点とは心が凍るほどの凍え死ぬ限界点を意味するそうだ。何と言っても若尾文子さん、大楠道代さんを始めとする俳優陣の存在感が壮絶だ。
現在のテレビドラマ俳優にはない女優オーラがある。

1965年11月末、大映が「氷点」の映画化を決定、永田社長から山本薩夫監督に声がかかる。山本監督は2時間前後のカラー作品にしたかったが、テレビが終わるまでに封切るため、公開開始の3月末という予定は動かせず、1時間37分の白黒映画となり、陽子が白紙の答辞を読むシーンはカットされた。翌年3月23日、朝日新聞東京本社で映画『氷点』の試写会が2回開かれるが、社告が出てから5日間の間に21,739通の応募があり、締切後も2,000通の応募があったという。1966年3月26日、大映映画『氷点』が公開される。
封切り直後の土・日曜の全国主要4館(東京・浅草、名古屋、京都、大阪・梅田)の入館者数から推定すると、同社の看板シリーズである「座頭市」に匹敵する観客動員数160万人、興行収入3億2千万が見込まれ、地元の旭川では人口の約1割に当たる2万5千人が前売り券を買ったという。(「氷点」を旅する参照)


船越英二、鈴木瑞穂                船越英二、森光子

【ストリー】
辻口啓造(船越英二)は父の遺した病院を継いでいる。博愛家でとおってきた彼が、娘ルリ子を殺害した犯人の娘妻夏枝(若尾文子)に秘密で養女にすることを思いたったのは、ルリ子の代りに女の子を育てたいという夏枝の望みを迎える風を装いながら、娘を殺された時刻に夏枝が眼科医村井(成田三樹夫)と不貞を働いていたのでは、との猜疑の拭いきれないあせりのためではなかったのか。夏枝は何も知らない。彼女はその養女陽子(大楠道代)をを異常なほど溺愛した。そんなある日、乳児院に勤める啓造の親友高木(鈴木瑞穂)に宛てた夫の手紙を見て、夏技は陽子の出世の秘密を知った。人格の一変した夏枝に、啓造も自分の偏狭さと軽卒を侮いた。長男徹(山本圭)は直感で陽子の秘密を知り、ただ一人の庇護者になろうと心に決めた。八年過った。その間に徹は妹の秘密を知ったが、陽子の方も母の冷い仕打に耐えて明るい娘に成長していた。徹はそんな彼女を異性として愛するようになっていたが、大学の親友北原(津川雅彦)に陽子を託す心づもりで、彼を夏休みに紹介した。二人はなんとなく直感で愛しあうようにみえた。が、夏枝の方が北原に興味を示し、歓待した。その頃、夏枝の親友で陽子も慕っている辰子(森光子)が、啓造に陽子を養女に欲しいと申し出た。辰子の同情だった。夏枝は陽子宛の北原の手紙を陽子の意思と偽って返送したり、妹との写真を婚約者と写したものだと言ったりして二人を離そうとしたが、やがて陽子たちの仲が氷解したとき、夏枝は陽子の面前で北原に彼女の過去をぶちまけた。罪の血に絶望した陽子は遺書を認め、ルリ子が殺された川原で睡眠薬を呑んだ。その間、北原はその真実を求めて陽子を世話した高木に会った。高木は実はかつての仲間の不義の子を、犯人の子として啓造たちに育てさせていたのだった。それは彼の同情でもあった。皆、後悔した。悔いの中で、陽子の生命は再び息づきはじめていた。


成田三樹夫                     大楠道代、山本圭

題名:氷点
監督:山本薩夫
企画:三輪孝仁、伊藤武郎
原作:三浦綾子
脚本:水木洋子
撮影:中川芳久
照明:渡辺長治
録音:須田武雄
美術:間野重雄
編集:中静達治
音楽:池野成
製作主任:林秀樹
助監督:崎山周
スチール:柳沢英雄
出演:若尾文子、大楠道代(現:大楠道代)、山本圭、津川雅彦、森光子、船越英二、成田三樹夫、鈴木瑞穂、明星雅子、仲村隆
1966年日本・大映/シネスコサイズ・モノクロ107分35mmフィルム
氷点 -DVD-
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大楠道代、津川雅彦                津川雅彦、大楠道代

若尾文子、大楠道代