映画「乳母車」



芦川いづみ                      石原裕次郎

今回は田坂具隆監督1956年製作「乳母車」をピックアップする。
芦川いづみさん主演の本作は、石坂洋次郎氏原作の不倫をテーマに女性の自立を考察した内容だが、登場人物に「一線を越えてません!」なんて言う様な奴がいなかったのが良かった。私はまり子ちゃんと同世代なので、本作を劇場で観る事はなかったが、昭和31年の社会に突き付けた考察は、意義があったに違いない。舞台となった鎌倉と世田谷区奥沢にある東急大井町線「九品仏」駅、住宅、浄真寺境内など62年前の風景も貴重な記録になっている。


新珠三千代                      山根寿子

【ストリー】
ゆみ子(芦川いづみ)は父(宇野重吉)に愛人のいることを友人から聞かされて愕然。翌日、その愛人の家を訪ねた。とも子(新珠三千代)は留守だったが、そこで弟の宗雄(石原裕次郎)に会い、父ととも子が互いに愛し合って現在の関係になったことを知る。間もなく帰って来たとも子。宗雄は寝ていた赤ん坊を乳母車に乗せて散歩へ。ゆみ子と向い合ったとも子は「お母さまやあなたを愛していらっしゃるお父さまが好きだったんです。お父さまが家庭を壊すような方だったら、お父さまを好きになれなかったかもしれません」と述懐。とも子の家を出たゆみ子は寺の境内で昼寝している宗雄のスキをうかがい不敵にも乳母車をさらってしまう。その夜、ゆみ子は宗雄宛に「まりちゃんと私は血を分けあった姉妹であることをはっきり感じて、私は一生この子の味方になろうと、そのとき決心したのです」と謝り状を書いた。夏休み、まり子(森京子)の帽子を作りゆみ子はとも子の家へ。だが玄関に父の靴。帰り途、宗雄に会ったゆみ子は二人でまり子の味方になってやろうと約束。宗雄はまり子のことを次郎に話しに行くがとも子との睦まじい姿を見て黙って引き返す。母たま子(山根寿子)は、ゆみ子まで父の肩をもち、二号の家へ通っているのを知って、遂に実家へ帰る。これを知ったとも子は次郎に二人の関係を解消しようと申出で、仕事を見つけて新生活へ。しかし、まり子は……。ゆみ子と宗雄は、まり子を幸福にしてやるため次郎、たま子、とも子の三人を合せ、話し合いをさせることを企てる。しかし意外なところで三人が顔を合せたものの何ら解決を見せず、結局、とも子が会社に行っている間は、まり子を乳児院へ預けることになる。夏休みの終りの日、ゆみ子は宗雄と乳児院へ。そして散歩に出た途中、「赤ちゃんコンクール」の立看板を見て、急に応募。薄幸なまり子の両親になって審査にのぞむ。見事三等入選。報告をすませた二人は家路へ。「果して父や、母は来てくれるだろうか、大人の気持は複雑だから判らない。僕たちがあんなにいっても、まり子の問題は結局どうにもならなかったんだからね。でも、いいさ。まり子には僕たちがついているよ。」乳母車を押しながら二人は誓い合った。


宇野重吉

題名:乳母車
監督:田坂具隆
製作:高木雅行
原作:石坂洋次郎
脚本:澤村勉
撮影:伊佐山三郎
照明:高橋勇
録音:八木多木之助
美術:木村威夫
記録:秋山みよ
編集:辻井正則
音楽:斎藤一郎
製作主任:中井景
助監督:牛原陽一
スチール:石川久宣
出演:芦川いづみ、石原裕次郎、新珠三千代、宇野重吉、山根寿子、杉幸彦、中原早苗、中原啓七、織田政雄
1956年日本・日活/スタンダードサイズ・モノクロ110分35mmフィルム
乳母車 -DVD-
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「乳母車」石原裕次郎、芦川いづみ

麗しの芦川いづみさん