「デビュー60年 女優・岩下志麻」に行ってみた。


岩下志麻(近影)

今日(2019年1月20日)、池袋の新文芸坐で日本を代表する女優・岩下志麻さんの特集を35mmフィルムで上映するので行ってみた。
それは正月に「美しく、狂おしく 岩下志麻の女優道(春日太一著・文藝春秋刊)」を読み終えて作品をDVDで見直していた時に知ったからだ。今日はご本人の登壇もあるので行く価値は十ニ分にある。新文芸坐は3階にあるのだが、開演30分前に着いた時、観客が1階から長蛇の列だった。大女優を甘く見ている訳ではないのだが、7時半から並んでいた人もいたそうだ。十数名の立ち見が出る程の満席で10時10分に「心中天網島」の上映が始まり「はなれ瞽女おりん」は午後2時30分頃終了し、トークイベントが始まった。

「はなれ瞽女おりん」のエピソードで岩下志麻さんは、昨年亡くなった共演の樹木希林さんについて「希林さんは目を開けたままの目の不自由な役でした。瞬きができないんです。瞬きを1度もしないで演じてました。凄いなと思いました。新潟から帰る時、作品で使った裸足に藁草履姿でそのまま船に乗って、新幹線で帰って行きました。ユニークで楽しい方でした」と笑顔で語り、津川雅彦さんは「温かいすばらしい方。役作りをとことんやる人でした」加藤剛さんは「誠実で優しい方」と亡くなった共演者への思いを語った。これらの言葉に、岩下志麻さんは世界を達観し、腰が据わっている本当のプロ、映画女優だなぁと、私は実感した。

秋刀魚の味
小津安二郎監督1962年「秋刀魚の味」           中村登監督1962年「古都best

最後は岩下志麻さんの今後を紹介してくれた。「女優グロリア・スワンソンがやった「サンセット大通り(1950年公開)」という映画があるのですが、これをやってみたい。女優のなれの果てをやりたいなと準備にかかっています。虚栄心の強い、傲慢でエゴイストの女優が最後に殺人事件を起こす話。私は自己否定と自己嫌悪が往復している女優なので、こういうザ女優に憧れていて、ぜひ演じてみたいです。私は平凡な女なので」と言うと館内は笑いに包まれた。やはり極妻のイメージが強いのだろうか?

私は、様々な役へ憑依した様な存在感ある演技で、本物の映画女優を凛として魅せてくれる岩下志麻さんを尊敬する。

美しく、狂おしく 岩下志麻の女優道(春日太一著・文藝春秋刊)」は、岩下志麻さんと春日太一さんがテレビで紹介していたので知り、昨年末にAmazonで頼んでいた。読み終えて、映画史という観点を基軸に、女優岩下志麻を丹念にドキュメントしている。余計な装飾はなく好感が持てる内容だった。

※「心中天網島」の上映プリントはスクラッチや中ヌケが多かったが「はなれ瞽女おりん」は比較的良好なプリントだった。
DCPばかり見慣れているが、やはりフィルムの再現性は、デジタルを異次元に超えていると思う。
※各作品のリンクは、予約投稿で表示しないページがありますが、後日表示されます。


山田洋次監督1964年「いいかげん馬鹿」            今井正監督1971年「婉という女


1969年篠田正浩監督「心中天網島」     1977年篠田正浩監督「はなれ瞽女おりん


篠田正浩監督1970年「無頼漢」                    野村芳太郎監督1978年「鬼畜

2019年1月20日(日)~29日(火) 新文芸坐
<上映作品>
1月20日(日)「心中天網島」「はなれ瞽女おりん」
1月21日(月)「五瓣の椿」「雪国(1965年)」
1月22日(火)「古都(1963年)」「暖春」
1月23日(水)「婉という女」「宴」
1月24日(木)「疑惑」「内海の輪」
1月25日(金)「魔の刻」「北の螢」
1月26日(土)「好人好日」「秋刀魚の味」
1月27日(日)「七つの顔の女」「その人は女教師」
1月28日(月)「極道の妻たち」「極道の妻たち 最後の戦い」
1月29日(火)「桜の樹の下で」「この子の七つのお祝いに」
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料金:一般 1,350円 / 学生 1,250円 / 友の会、シニア、障害者、小学生以下(3歳以上)1,100円
新文芸坐:東京都豊島区東池袋1-43-5 マルハン池袋ビル3F


野村芳太郎監督1982年「疑惑」         五社英雄監督1986年「極道の妻たち