万華鏡の女 女優ひし美ゆり子

万華鏡の女 女優ひし美ゆり子

2011年に刊行された「万華鏡の女 女優ひし美ゆり子」が文庫版として発売されたので買って読み終えた。
ひし美ゆり子さんは、1967年10月から翌年9月まで報映されたTBS系テレビ映画「ウルトラセブン」のアンヌ隊員役で多くの人に知られる女優さんである。私も中学生の時にリアルタイムで見ていて「綺麗で色気のあるお姉さんだなぁ」と憧れたものである。その後、テレビより映画のスクリーンで見る事が多くなるのだが、最後の映画女優という本著の位置付けと時代考察に感動する。
彼女を「流されて…(Travolti da un insolito destino nell’azzurro mare d’agosto)1974年リナ・ウェルトミューラー監督」のヒロインに例えるあたり、共著の樋口尚文氏が2018年に製作した「葬式の名人」を監督された方であるからだろうか。(昨年夏に撮影の中堀正夫氏から現場の様子をお聞きした。)
ビデオテープ・DVD・Blu-rayの出現による「ウルトラセブン」二次使用での新たな若いファンの登場、そして、ひし美ゆり子さん自身がPCを駆使し、SNSで発信するネットアイドル化、人気は今も衰えないというのは、ファンとして嬉しいが、彼女が恣意的に行った事ではなく「流されて…」という事なのだ。それには全くイヤミがなく好感が持てた。
本著は、日本映画終焉期(1960年代後期~)の映画史、ひし美ゆり子さんの作品歴と心象風景を丁寧に調べ上げた貴重なドキュメントである。

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本著で驚いたのは、1972年製作「鏡の中の野心」という作品である。ピンク映画製作会社の東活プロ(松竹系)で小林悟監督が撮られている。私は1978年頃から1980年頃迄に撮影助手として東活プロで小林悟監督のもと、門口カメラマン、加藤ライトマンと10数本をご一緒させて戴いた。もっと早く生まれていれば、ひし美ゆり子さんに会えたのにと思うと悔しくてならない。

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当ブログで掲載したひし美ゆり子さん(クリックすると作品紹介にリンクします)

1969年「ブラボー!若大将」岩内克己監督       1970年「俺の空だぜ!若大将」小谷承靖監督

1972年「不良番長 一網打尽」野田幸男監督     1972年「不良番長 骨までしゃぶれ」野田幸男監督

1973年「まむしの兄弟 刑務所暮し四年半」山下耕作監督 1975年「新・仁義なき戦い 組長の首」深作欣二監督
海潮音四畳半色の濡衣
1980年「海潮音」橋浦方人監督         1983年「四畳半色の濡衣」向井寛監督