映画「帝銀事件死刑囚」

帝銀事件死刑囚帝銀事件死刑囚
内藤武敏                       信欣三

今回は熊井啓監督1964年製作「帝銀事件死刑囚」をピックアップする。
戦後の混乱期に発生した大量毒殺事件である帝銀事件の犯人として逮捕され、死刑が確定した平沢貞通氏の冤罪を扱った作品である。死刑宣告をされ、釈放されないまま、逮捕から獄死(1987年)までの39年間を死刑囚独房で過ごしたのだ。こんな不条理な事実を行う捜査当局、司法は、何なのだろうか?死刑制度の賛否は、被害者側の立場に立つと分からないでもないと思うが、冤罪で死の恐怖を39年間も受けた平沢貞通氏とその家族に対する報いは、誰が責任を取るのというのか?これは史実であり、フィクションではないのだ。

帝銀事件死刑囚帝銀事件死刑囚
笹森礼子                        井上昭文

【ストリー】
昭和23年1月26日の午後3時すぎ、豊島区の帝国銀行椎名町支店に、中肉中背の中年の男が訪れた。男は東京都衛生課、厚生省医学博士の名刺を出し、赤痢の予防薬と称して、進駐軍の命により予防薬を行員、家族16名に飲ませた。ピペットで白濁の液を茶碗に分ける手つきは、職業的な鮮かさであった。が、数分後、その液を飲んだ行員は、苦悶の絶叫とともに、血を吐いて倒れていった。犯人は、現金、証券18万円を奪って逃走した。警察、新聞、国民の眼は一斉に活動を始めた。昭和新報の敏腕記者、大野木(鈴木瑞穂)、笠原(庄司永建)、武井(内藤武敏)らも動き始めた。被害者のうち12名が死亡していた。毒物の捜査班は、犯人の使った青酸性化合物が、終戦直前、731部隊で極秘裡につくられた毒物と知った。武井は731の生き残り将校佐伯に会い、毒物について、追求したが、佐伯は語ろうとしなかった。デスクの大野木は、その直前GHQのバートン主席から、731部隊を追求するのをやめるよう注文された。一方、国木田警部補(陶隆司)ら名刺捜査班は、名刺の所有者である、モンタージュ写真に似た画家平沢貞通(信欣三)を逮捕した。事件直後、かなりな金を預金しているのだ。首実検の結果、大半は彼を否定し犯人と言いきる者は一人もいなかった。国木田と森田検事(草薙幸二郎)は、筆跡鑑定の結果クロをもって、執拗に食いさがった。9月、平沢はついに真犯人であることを自供した。しかし、彼はすぐそれをひるがえした。強圧的な肉体的、精神的尋問に耐えられず自白したというのだ。しかし、東京地方裁は、死刑を宣告し、東京高裁も死刑を確定した。だが、刑の執行は、いまだに行われない。彼は、仙台宮城刑務所に移送されているのだが……。娘の俊子(柳川慶子)は、国籍を捨てアメリカに渡っていった。そして、それからみつけられた数々の事実は、平沢のシロを証明するものばかりなのだが……。

帝銀事件死刑囚帝銀事件死刑囚
高品格

題名:帝銀事件死刑囚
監督:熊井啓
企画:柳川武夫
脚本:熊井啓
撮影:岩佐一泉
照明:吉田協佐
録音:古山恒夫
美術:千葉和彦
編集:丹治睦夫
音楽:伊福部昭
製作担当者:栗橋正利
助監督:渡辺昇
スチール:目黒祐司
出演:信欣三、内藤武敏、笹森礼子、柳川慶子、井上昭文、北林谷栄、平田大三郎、庄司永建、藤岡重慶、木浦佑三、伊藤寿章、長尾敏之助、草薙幸二郎、高品格、陶隆司
1964年日本・日活/シネスコサイズ・モノクロ108分35mmフィルム

帝銀事件死刑囚帝銀事件死刑囚
北林谷栄                         柳川慶子