映画「かくも長き不在」

かくも長き不在かくも長き不在
アリダ・ヴァリ                 ジョルジュ・ウィルソン

今回はアンリ・コルピ監督1960年製作「かくも長き不在(UNE AUSSI LONGUE ABSENCE)」bestをピックアップする。
本作はアラン・レネ監督「二十四時間の情事(1959年)」「去年マリエンバートで(1961年)」の編集技師であるアンリ・コルピ氏が監督した第14回カンヌ国際映画祭パルム・ドール、ルイ・デリュック賞を受賞した作品である。デジタル修復版はフランス国立映画センターの協力により、オリジナル・ネガから4K解像度でスキャンされ、2K解像度で修復が行われた。

かくも長き不在かくも長き不在
ディアナ・レプブリエ              アリダ・ヴァリ、ジャック・アルダン

【ストリー】
テレーズ(アリダ・ヴァリ)は、セーヌの河岸に近い、“古い教会のカフェ”の女主人。貧しい人々の憩の場である。しっかりものと評判高かったが、女盛りを独り身で過したのだ。運転手のピエール(ジャック・アルダン)の親切にほだされるのも無理からぬことだった。彼女が、朝と夕方、店の前を通る浮浪者(ジョルジュ・ウィルソン)の姿に目をとめたのは、そんなある日だった。16年前、ゲシュタポに捕えられたまま、消息を絶った夫アルベールに似ているのだ。彼女は不安の混った期待でその男の通るのを待つようになった。ある暮れ方、手伝の娘に男を導き入れさせ、物陰で男の言葉に耳を傾けた。男は記憶を喪失したのだという。彼女は男の後をどこまでも尾けて行った。セーヌの河岸のささやかな小屋。その夜、そこから離れなかった。翌朝、男と初めて言葉を交した。彼女はもしや……という気持が、もう動かせない確信に変っていった。何日か後、アルベールの叔母と甥を故郷から呼び、記憶を呼び戻すような環境を作ってその結果に期待したが、彼の表情に変化は認められなかった。叔母は否定的だったが、彼女は信じて疑わなくなった。ある夜、男を招いて二人だけの晩さんをした。ダンスをした。それは幸福な記憶に誘う。彼女の眼にはいつしか涙が光っていた。夫の記憶を取り戻す術はないのか。背を向けて立ち去ろうとする男に、思わず叫んだ。「アルベール!」聞えぬげに歩み去る男に、それまでの一部始終を伺っていた近所の人たちも、口々に呼びかけた。瞬間、男は立ち止った。記憶が甦ったのか?一瞬、彼は脱兎の如く逃げ出した。その行く手にトラックが立ちふさがった。あっという間の出来事であった。目撃者のひとり、ピエールのなぐさめの言葉に、テレーズは一人言のように呟いた。「寒くなったら戻ってくるかもしれない。冬を待つんだわ」

かくも長き不在かくも長き不在
ジョルジュ・ウィルソン                アリダ・ヴァリ

題名:UNE AUSSI LONGUE ABSENCE
邦題:かくも長き不在
監督:アンリ・コルピ
製作:クロード・イエーガー
脚本:マルグリット・デュラス 台詞:ジェラール・ジャルロ
撮影:マルセル・ウェイス
編集:ジャクリーヌ・メピエル、ジャスミン・チェスニー
音楽:ジョルジュ・ドルリュー 主題歌:コラ・ヴォケール「三つの小さな音符」
現像:L.T.C
出演:アリダ・ヴァリ、ジョルジュ・ウィルソン、ジャック・アルダン、ディアナ・レプブリエ、カトリーヌ・フォントネー
1961年第14回カンヌ国際映画祭パルム・ドール、ルイ・デリュック賞受賞。
1960年フランス・イタリア/ディアリスコープ(シネスコサイズ)・モノクロ98分35mmフィルム
かくも長き不在(デジタル修復版) -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

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アリダ・ヴァリ            かくも長き不在(UNE AUSSI LONGUE ABSENCE)

映画「第三の男」

第三の男第三の男
オーソン・ウェルズ                ジョゼフ・コットン

今回はキャロル・リード監督1949年の名作「第三の男(THE THIRD MAN)」高評価作品sをピックアップした。
第二次世界大戦で破壊され荒廃したウィーンを舞台にしたクライムサスペンスである本作の撮影は、1948年10月から12月にかけてオーストリア・ウィーンで撮影され、スタッフはイギリスに帰還し、ロンドンのシェパートン・スタジオで残りの部分を撮影したそうだ。時を経てもドラマの展開やモノクロトーンの美しさが、いささかも劣化してない名作である。
余談になるが、主演のジョゼフ・コットンは、セルジオ・コルブッチ監督1966年製作のマカロニウエスタン「黄金の棺」で主演をしている。

第三の男第三の男
アリダ・ヴァリ                                                         トレヴァー・ハワード

【ストリー】
米国の西部作家ホリイ・マーティンス(ジョゼフ・コットン)は、旧友ハリー・ライムに呼ばれて、四国管理下にある戦後のウィーンにやって来たが、ハリーは自動車事故で死亡し、まさにその葬式が行われていた。マーティンスは墓場で英国のMPキャロウェー少佐(トレヴァー・ハワード)と連れになり、ハリーが闇屋であったときかされたが、信ずる気になれなかった。ハリーは生前女優のアンナ(アリダ・ヴァリ)と恋仲であったが、彼女と知り合ったマーティンスは、彼女に対する関心も手伝ってハリーの死の真相を探ろうと決意、ハリーの宿の門衛(パウル・ヘルビガー)などに訊ねた結果、彼の死を目撃した男が三人いることをつきとめた。そのうち二人はようやく判ったが、“第三の男”だけはどうしても判明しないまま、マーティンスは何者かに脅かされはじめ、門衛も殺されてしまった。一方アンナは偽の旅券を所持する廉でソ連MPに粒致されることになり、それとも知らずに彼女の家から出て来たマーティンスは、街の物蔭に死んだ筈のハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)をみつけた。ハリーがペニシリンの大闇で多数の人々を害した悪漢であることを聞かされていたマーティンスはこれをMPに急報し、アンナの釈放と引きかえに彼の逮捕の助力をするようキャロウェイから要請された。マーティンスはハリーとメリイゴウラウンドの上で逢い、改めて彼の兇悪振りを悟って、親友を売るもやむを得ずと決意したが、釈放されたアンナはマーティンスを烈しく罵った。しかし病院を視察してハリーの流した害毒を目のあたり見たマーティンスは結局ハリー狩りに参加、囮となって彼をカフェに侍った。現れたハリーは警戒を知るや下水道に飛込み、ここに地下の拳銃戦が開始され、追いつめられた彼はついにマーティンスの一弾に倒れた。かくて改めてこの“第三男”の埋葬が行われた日、マーティンスは墓地でアンナを待ったが、彼女は表情をかたくしたまま彼の前を歩み去って行った。

第三の男第三の男

題名:THE THIRD MAN
邦題:第三の男
監督:キャロル・リード
製作:アレクサンダー・コルダ、デイヴィッド・O・セルズニック、キャロル・リード
原作:グレアム・グリーン
脚本:グレアム・グリーン
撮影監督:ロバート・クラスカー
撮影:テッド・スケイフ、デニス・クープ
追加撮影:ジョン・ウィルコックス、スタン・ペーヴィ
美術:ヴィンセント・コルダ、ジョン・ホークスワース、ジョゼフ・バトー
録音:ジョン・コックス
編集:オズワルド・ハーフェンリクター
音楽:アントン・カラス
出演:ジョゼフ・コットン、オーソン・ウェルズ、アリダ・ヴァリ、トレヴァー・ハワード、バーナード・リー、パウル・ヘルビガー、エルンスト・ドイッチ
1950年アカデミー賞撮影賞(白黒部門)受賞
1949年イギリス/スタンダードサイズ・モノクロ104分35mmフィルム
第三の男 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

第三の男第三の男

映画「さすらい」

さすらい(IL GRIDO)さすらい(IL GRIDO)
スティーヴ・コクラン アリダ・ヴァリ

今回はミケランジェロ・アントニオーニ監督1957年製作の「さすらい(IL GRIDO)」高評価作品sをピックアップした。
紛れもない名作とは本作の事だ。物語の舞台は、イタリア北部に流れるポー川の流域、霧に包まれた見渡す限り平坦で荒涼とした土地で、彷徨う主人公アルドが4人の女に拾われるという時間をモノクロスタンダードの映像で愛の不毛を描き出す。当時世界の映画作りを根こそぎ変えた衝撃作としてイデオロジカル・ロマンチシズムと評されたそうだ。日本では初登場のミケランジェロ・アントニオーニ監督作品であった。巨匠は残念ながら2007年7月30日に94歳で亡くなった。

作品リスト

【本ブログで紹介したミケランジェロ・アントニオーニ監督作品】
1966年「欲望(BLOWUP)」
1970年「砂丘(ZABRISKIE POINT)」

さすらい(IL GRIDO)さすらい(IL GRIDO)
ベッツィ・ブレア

【ストリー】
アルド(スティーヴ・コクラン)は、北イタリアの寒村に住む労働者である。彼は近くの精糖工場に勤め、イルマ(アリダ・ヴァリ)という女と同棲して七年に なる。二人の間には女の子があるが、イルマはなぜか正式の妻になろうとしなかった。ある日、イルマのもとへ、濠州で働いている夫の死亡通知がとどいた。だ が彼女の心には、アルドではない別の男への思慕が芽ばえていた。アルドは、イルマの愛情を取りもどそうと努力した。しかし、彼女の心はもどらなかった。彼 は娘をつれて家を出た。
目的も慰めもない放浪の旅がはじまった。七年前、アルドが愛したことのあるエルヴィア(ベッツィ・ブレア)を訪ねた。だが、イルマが忘れられず、長く居る ことは出来なかった。父娘はハイウェイのかたわらにあるガソリン・スタンドまで来た。若い精力的な女ヴィルジニア(ドリアン・グレイ)と老父の二人がい た。二人は急速に接近し、アルドはガソリン・スタンドになくてはならぬ男になった。娘を故郷に帰した。ここでも、アルドはイルマの思い出に心を悩ませた。 ヴィルジニアの手をふり切ってまた旅に出た。再び放浪生活がはじまった。彼はその日その日を送るにすぎなかった。彼は河岸の小屋で、アンドレイーナ(リ ン・ショウ)という肺病の女にあった。彼女は無邪気な娼婦で、彼と一緒に泥沼のような生活から浮び上ろうとした。が、失敗した。アルドの足は本能的に、自 分の村へ向った。
彼は真直ぐにイルマの家に行った。イルマは、彼の留守中に生んだ赤ん坊に湯を使わせていた。すべては終った。アルドは放心したように、精糖工場の塔に登っ た。眼下にはポー河が延び、田園が果てしなく広がっていた。イルマは彼の後を追って工場へ来た。アルドに塔から下りるようにいった。アルドは塔の真下のイ ルマをみた。彼の眼には涙があふれていた。突然、彼の体が揺れた。アルドの体は地上に落ちた。あたりにイルマの絶叫が響いた。

さすらい(IL GRIDO)さすらい(IL GRIDO)
ドリアン・グレイ

題名:IL GRIDO
邦題:さすらい
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
脚本:エンニオ・デ・コンチーニ、エリオ・バルトリーニ、ミケランジェロ・アントニオーニ
撮影:ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ
美術:Franco Fontana
編集:エラルド・ダ・ローマ
音楽:ジョバンニ・フスコ
出演:スティーブ・コクラン、アリダ・バリ、ドリアングレイ、ベッツィ・ブレア、リン・ショウ
1957年イタリア/スタンダードサイズ・モノクロ111分35mmフィルム
さすらい [DVD]
2013年12月現在、DVDレンタルはありません。
さすらい(IL GRIDO)さすらい(IL GRIDO)
アンドレイーナ