映画「北国の帝王」

北国の帝王北国の帝王
リー・マーヴィン                 アーネスト・ボーグナイン

今回はロバート・アルドリッチ監督1973年製作「北国の帝王(EMPEROR OF THE NORTH)」をピックアップする。本作は1930年台のオレゴン州を背景に、鉄道を利用して移動するホーボーと呼ばれた浮浪者たちの中の帝王と彼らの無賃乗車を拒む冷酷な車掌との戦いを描いたものだ。走る列車の上で繰り広げられるアクションは、セット撮影ではなく本物の鉄道を使っているから迫力はある。あくまでも無賃乗車を巡る命がけの闘いに終始する内容に、文化の違いを感じたがおもしろかった。

北国の帝王北国の帝王
北国の帝王(EMPEROR OF THE NORTH)      キース・キャラダイン

【ストリー】
1929年からアメリカを襲った経済史上空前の不況のために、失業者は浮浪者と化し、彼らはホーボーと呼ばれていた。ホーボーたちは鉄道を利用して野宿地から他の野宿地へ移動した。彼らは貨物列車や家畜車に乗るのが常套手段であったが、やむを得ない場合は車輪と車輪の空間に巧みに身を忍ばせて移動するという危ない綱渡りもした。だが、オレゴン州のウィラメット・バレーに来るホーボーたちは、そこを通過する19号車に乗ることは避けていた。この列車の車掌シャック(アーネスト・ボーグナイン)は冷酷無比な男で、彼はホーボーたちの無賃乗車は絶対に許さなかった。ハンマーを携え、ホーボーたちを見つけたらその場で殴り殺すというすさまじさだった。だが、この狡猾なシャックの裏をかいて、いつも悠々と19号車に乗っているホーボーがいた。Aナンバー・ワン(リー・マーヴィン)と呼ばれ、ホーボーから“北国の帝王”というニックネームを贈られている男だ。ある日、Aナンバー・ワンのニワトリを盗もうとして失敗したシガレット(ース・キャラダイン)という若者が彼の王座を奪おうと、行動を共にするようになった。そのために19号車で思わぬ失敗を犯したが、そんなことでひるむA・ナンバー・ワンではなかった。崖下でひと息いれると、彼はあたりに捨ててあった油の空きカンを集めて、それを持って再び線路に現われた。A・ナンバー・ワンはその空きカンの底に残っていた油を集めてレールに塗り始めた。シガレットもそれをまねた。これはやがてここを通過する客車の機関車の車輪を空回りさせて、1時停止させ、その間に列車に乗り込み、ある地点で19号車においついたとき、それに乗り換える方法だった。この計画は見事に成功した。それから3日目の朝、シャックは2人のホーボーが車の下に潜んでいるとにらみ、得意の鉄棒つきの綱で2人を撃退する手を使った。この戦法は効を奏してAナンバー・ワンはさんざん痛めつけられ危うくなった。シガレットはその気になれば彼を助けられたのに知らん顔をしていた。それでもAナンバー・ワンは降参しなかった。鉄棒の責苦をのがれるためにAナンバー・ワンは、車のエア・ブレーキをかけて列車を急停車させたからたまらない。シャックはふり落とされ、火夫は傷つき、機関士は気を失い、最後部に乗っていたブレーキ係りは死んだ。やがてシャックの指図により19号車は発車した。そして彼は、車によじ登ろうとしているシガレットを見つけ、鉄製のクサリで殴り殺そうとした。Aナンバー・ワンはシャックに怒鳴った。「シャック、貴様の年貢の納め時が来たぞ!」。無蓋車の上で鎖を手にしたシャックと、それに立ち向かうAナンバー・ワンとの血みどろの決闘が始まった。Aナンバー・ワンが無蓋車の羽目板にかけてあったマサカリをとって反撃に出て、シャックに重傷を負わせ、車から突き落とした。彼はシガレットをも突き落とした。19号車はばく進を続け、Aナンバー・ワンの叫び声だけが木霊する。「貴様のようなチンピラに“北国の帝王”をまねる資格はない。貴様のようなチンピラは物ごいをして歩くのが分相応だ、金輪際人まねをするんじゃねえぞ」。

北国の帝王北国の帝王
北国の帝王(EMPEROR OF THE NORTH)        リー・マーヴィン

題名:EMPEROR OF THE NORTH
邦題:北国の帝王
監督:ロバート・アルドリッチ
製作総指揮:ケネス・ハイマン
製作:スタン・ヒュー
原案:ジャック・ロンドン
脚本:クリストファー・ノップ
撮影:ジョセフ・F・バイロック
編集:マイケル・ルチアーノ
音楽:フランク・デヴォール 主題歌:マーティ・ロビンズ “A MAN AND A TRAIN”
現像:デラックスカラー
出演:リー・マーヴィン、アーネスト・ボーグナイン、キース・キャラダイン、チャールズ・タイナー、マルコム・アタベリー、サイモン・オークランド
1973年アメリカ/ビスタサイズ・カラー121分35mmフィルム
北国の帝王 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

北国の帝王北国の帝王
北国の帝王(EMPEROR OF THE NORTH)

映画「プリティ・ベビー」

プリティ・ベビープリティ・ベビー
ブルック・シールズ           ブルック・シールズ、スーザン・サランドン

今回はルイ・マル監督1978年製作「プリティ・ベビー(PRETTY BABY/LA PETITE)」をピックアップする。
本作は、1976年にフランスからアメリカへ移住したルイ・マル監督が、無名子役だったブルック・シールズを一躍スターにした作品であり、1980年代に日本で多数のTVCMで親しまれてきたが、本作撮影時は13歳だった。(ブルック・シールズ:1965年5月31日生まれ現在50歳)

作品リスト

プリティ・ベビープリティ・ベビー
スーザン・サランドン         キース・キャラダイン、ブルック・シールズ

【ストリー】
1917年のニューオリンズ。ここには大きな赤線地区があり、なかでも、マダム・ネル(フランセス・フェイ)が経営する女郎屋は金持ばかりが集まる老舗である。黒人のピアニスト『教授』(アントニオ・ファーガス)がピアノを弾くと開店だ。この店には今年12歳のバイオレット(ブルック・シールズ)という幼い娼婦がいた。バイオレットの母はハティ(スーザン・サランドン)という淫売で、淫売の子は淫売になるということを当り前のことと考えていた。こうした環境で育ったバイオレットは、すでに男と女の営みのすべてを知っていた。ある日、この家にベロック(キース・キャラダイン)という若い写真家の男がこの界隈の女たちの写真を撮りにやってくる。ベロックはハティをはじめ店の女たちとなじみを深め、よく顔を出すようになるが決して店の女には手を出さなかった。これまで、そういう男を知らなかったバイオレットは、いつしかベロックに特別な感情を抱くようになっていた。そして、バイオレットの『水揚げ』の日がやってきた。着かざって大きな輿に乗せられたバイオレットは400ドルという値段でせり落とされ、2階に連れていかれる。階下に残された者たちのやりきれぬ後めたさにも関わらずバイオレットは立派な稼ぎ手として勤めを果たす。ある日突然、ハティが、常連の客だった男と結婚すると言い出し、バイオレットを残し、その男の住むセントルイスに発ってしまう。母がいなくなってもバイオレットの生活は変わらなかった。ある日、黒人の少年にいたずらしたところをマダム・ネルに見つかりひどく叱られる。この仕打ちに腹をたてたバイオレットはマダム・ネルの家を飛び出しベロックの下宿におしかける。いつの間にかバイオレットに魅かれていたベロックの心は乱れ、その日2人は結ばれる。しかし、2人の同棲生活は長続きしなかった。子供扱いにされたことを怒ったバイオレットがマダム・ネルのもとへ帰ってしまったのだ。そして、繁昌していたマダム・ネルの店も赤線の衰退にともなって、遂に閉鎖することになる。さすがに心細い思いをしているバイオレットの前にベロックが現われ、正式に結婚を申しこむ。教会での結婚式が済んで2人の新婚生活がはじまるが、その生活も思いがけぬ方向から崩される。音信不通だったハティが夫と連れだって、突然バイオレットをひき取りに来たのだ。彼女をセントルイスへ連れていき、学校へ通わせ世間なみの子供として育てたいというのだ。母の腕に抱きかかえられるようにして連れ去られるバイオレットを、ベロックはただ茫然と見守るだけだった。

プリティ・ベビープリティ・ベビー

題名:PRETTY BABY/LA PETITE
邦題:プリティ・ベビー
監督:ルイ・マル
製作:ルイ・マル
原作:ポリー・プラット、ルイ・マル
脚本:ポリー・プラット
撮影:スヴェン・ニクヴィスト
編集:スザンヌ・フェン
音楽:ジェリー・ウェクスラー
撮影機材:アリフレックス
現像:メトロカラー
出演者:ブルック・シールズ、スーザン・サランドン、キース・キャラダイン、フランセス・フェイ、バーバラ・スティール、アントニオ・ファーガス、マシュー・アントン
1978年アメリカ/ビスタサイズ・カラー109分35mmフィルム
プリティ・ベビー [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

プリティ・ベビープリティ・ベビー