映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
レオナルド・ディカプリオ              ブラッド・ピット

今回は8月30日に日本で劇場公開されたクエンティン・タランティーノ監督2019年製作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD)」を9月12日にTOHOシネマズ府中スクリーン4で観て来た。
第9回監督作品である本作は、1969年の黄金期のハリウッドを舞台に、落ち目の俳優とその専属スタントマンが映画界で奔走する姿を映画愛で描いたものだ。5年間に渡って書き上げられた脚本は、リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)のモデルがバート・レイノルズであるそうだが、イタリアに渡ってマカロニ・ウエスタンに出演した作品は、セルジオ・コルプッチ監督1966年製作「さすらいのガンマン(Navajo Joe)」だが、作品名を変えている。シャロン・テート(マーゴット・ロビー)が、街の映画館で自分の作品を観るが、フィル・カールソン監督1968年製作「サイレンサー第4弾/破壊部隊(The Wrecking Crew)」、こちらは本物を使っていた。
本作はフィルムスキャンしたものをDCP上映で観たのだが、35mmフィルムで撮られている。
イーストマン・コダックのVISION3 500T(5219)、200T(5213)で現像はフォトケムである。とても素晴らしい作品だった。本作こそ本物の映画である。

作品リスト

撮影監督のロバート・リチャードソン氏によると(コダックメルマガVOL,143より)
「クエンティンは、ズームやリッチで血気盛んな色彩であるテクニカラー(ダイ・トランスファー)のルックを使った、 リック・ダルトンのテレビ西部劇からのシーンやより古い時代とも調和する1969年当時を思わせる映像を求めていました。フィ ルムかデジタルかという議論はありませんでした。デジタルという言葉は、クエンティンの辞書にはありません。彼との共作はすべてコダックフィルムで撮影し ています。
2人がこれまでに35mmフィルムで撮影した作品は、2003年「キル・ビル」「キル・ビル Vol.2」2009年「イングロリアス・バスターズ」2012年「ジャンゴ 繋がれざる者」があり、「ヘイトフル・エイト」は65mmフィルムで撮影されました。

かなり早い段階から、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のフォーマットは、ワイドスクリーンと決 まっていました。
35mmのアナモフィックです。リック・ダルトンのテレビ西部劇シリーズだけは、35mmの白黒フィルムを使い、アスフェリカルのズームレ ンズでほぼすべて1:1.33で撮影しています。また、シャロン・テートとロマン・ポランスキー夫妻の自宅での2シーンは、コダック エクタクロームで撮影し、一方は16mmでもう一方はスーパー8です。」

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
マーゴット・ロビー
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
マーゴット・ロビー                  レオナルド・ディカプリオ  

【ストリー】
リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は人気のピークを過ぎたTV俳優。映画スター転身の道を目指し焦る日々が続いてい た。そんなリックを支えるクリフ・ブース(ブラッド・ピット)は彼に雇われた付き人でスタントマン、そして親友でもある。
目まぐるしく変 化するハリウッドで生き抜くことに精神をすり減らしているリックとは対照的に、いつも自分らしさを失わないクリフ。パーフェクトな友情で結ばれた二人だったが、時代は大きな転換期を迎えようとしていた。
そんなある日、リックの隣に時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と新進の女優シャロン・テート(マーゴット・ロビー)夫妻が越してくる。今まさに最高の輝きを放つ二人。この明暗こそハリウッド。リックは再び俳優としての光明を求め、イタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演する決意をするが―。そして、1969年8月9日-それぞれの人生を巻き込み映画史を塗り替える事件は起こる。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD)
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD)

題名:ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD
邦題:ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
監督:クエンティン・タランティーノ
製作総指揮:ジョージア・カカンデス
製作:デイヴィッド・ヘイマン、シャノン・マッキントッシュ、クエンティン・タランティーノ
脚本:クエンティン・タランティーノ
撮影:ロバート・リチャードソン
美術:バーバラ・リング
衣裳:アリアンヌ・フィリップス
編集:フレッド・ラスキン
フィルム:イーストマンコダック
※カラーネガティブ フィルム:VISION3 500T(5219)、200T(5213)
撮影機材:パナビジョン
※パナビジョンCとEシリーズのアナモフィックレンズを使用
現像:フォトケム
出演:レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、アル・パチーノ、マーゴット・ロビー、ブルース・ダーン、ダコタ・ファニング、ジェームズ・マースデン、ルーク・ペリー、ティム・ロス、マイケル・マドセン、カート・ラッセル、エミール・ハーシュ、ティモシー・オリファント、ダミアン・ルイス
2019年アメリカ・イギリス/シネスコサイズ・カラー161分35mmフィルム
公式サイト


ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

映画「ナチュラル・ボーン・キラーズ」


ナチュラル・ボーン・キラーズ(NATURALBORNKILLERS)

ウディ・ハレルソン                ジュリエット・ルイス 

今回はオリバー・ストーン監督1994年製作「ナチュラル・ボーン・キラーズ(NATURAL BORN KILLERS)」をピックアップする。本作はクエンティン・タランティーノ監督の原作を映画化したものだが、カラーからモノクロ、16mmからのブローアップ、ペーカムSD-VTRからのキネコなどを35mmインターネガに起こし、殺人を繰り返すカップルの心情を表現しているが、ベースは35mmパナビジョンキャメラであり、フィルムはイーストマンコダックだ。この実験的映像は、今見ると斬新さは希薄だと感じたが、さぞかしクエンティン・タランティーノ監督が撮りたかったのだろうなと勝手に想像してしまう。


ナチュラル・ボーン・キラーズ(NATURALBORNKILLERS)

トミー・リー・ジョーンズ           ロバート・ダウニー・ジュニア

【ストリー】
片田舎の名もない町のハイウェイ沿いのレストラン。客もまばらな店に、ミッキー(ウディ・ハレルソン)とマロリー(ジュリエット・ルイス)の2人が立ち寄る。ジュークボックスに合わせて踊るマロリーを卑猥な仕種ではやし立てる地元の中年男たち。突如マロリーは彼らに襲いかかり、強烈なパンチを食わせ、ミッキーの銃が火を吹く。楽しむようにいあわせた者を惨殺した2人は、レジの金を掴むとただ1人だけ生かしておいた女に「ミッキーとマロリーがやったと言え」と告げる。マロリーは幼い頃から父親(ロドニー・デンジャーフィールド)に性的虐待を受け、母親(エディ・マクラーグ)は黙って見ているだけだった。ある日、マロリーは肉屋の配達人だったミッキーと出会う。互いにひと目惚れした2人は父親の車を盗んで旅立つがあえなく捕まり、ミッキーは刑務所へ。強制労働の最中に竜巻に乗じて脱走したミッキーはマロリーの家へ向かい、2人で父親の頭を金魚鉢に沈め、母親をベッドに縛って火を放つ。やっと自由を手にした2人はルート666をひた走る。傷つけた手の平を合わせて血を分かち合い、永遠の愛を誓った。道を教えてくれた警官を射殺したり、町で拾った女の子をモーテルの部屋に監禁してその前で行為に耽る2人は、いつしかマスコミによって英雄に崇められる。52人を殺した彼らに憧れる若者は後を絶たなかった。そんな彼らを、有名犯罪者を捕らえて名声を手に入れ、ベストセラーを書きたいと考える暴力刑事ジャック・スキャグネッティ(トム・サイズモア)と、2人をスターに仕立てて独占インタビューを行い、視聴率を上げようと画策するTV番組キャスターのウェイン・ゲール(ロバート・ダウニー・ジュニア)が追っていた。道に迷ったミッキーとマロリーはインディアンの呪術師の老人の小屋に泊めてもらうが、悪夢にうなされたミッキーは誤って老人を撃ち殺す。初めて後悔した2人は逃げる時にガラガラ蛇に噛まれ、町のドラッグストアに駆け込むが、スキャグネッティら警察に包囲され、ついに逮捕される。2人が別々の独房に入れられた刑務所は、嗜虐的な所長ドワイト・マクラスキ-(トミー・リー・ジョーンズ)によって日夜、囚人たちへの虐待が行われていた。2人の逮捕から1年後、所長と本人の許可によりゲイルによるミッキーのインタビューが監獄内からの独占生中継で行われることになった。「殺人こそが純粋な行為だ」とうそぶくミッキーは、メディアへの痛烈な批判を語る。一方、所内にいあわせたスキャグネッティはマロリーの独房を訪れ、彼女に性行為を強要する。TV中継は所内の娯楽室でも流れており、見ていた囚人たちの興奮が高まった末に暴動へと発展。ミッキーは隙を見て警備員の銃を奪うと、マロリーの元へ急ぎ、スキチャグネッティを殺す。再会した2人は、愛を確かめ合った。暴動で所内は大混乱となり、ミッキーとマロリーは殺戮を開始する。人質のはずのゲールもこれに加わった。脱出した2人は惨めに命乞いするゲールを殺し、いずこともなく消えた。

題名:NATURAL BORN KILLERS
邦題:ナチュラル・ボーン・キラーズ
監督:オリバー・ストーン
製作総指揮:アーノン・ミルチャン、トム・マウント
製作:ジェーン・ハムシャー、ドン・マーフィー、クレイトン・タウンゼント
共同製作:ランド・ヴォスラー
原作:クエンティン・タランティーノ
脚本:デイヴィッド・ヴェローズ、リチャード・ルトウスキー、オリヴァー・ストーン
撮影:ロバート・リチャードソン
録音:ロン・ベンダー、トム・フライシュマン、ゲイリー・A・ヘッカー、ワイリー・ステイトマン、マイケル・ミンクラー
美術:ヴィクター・ケンプスター
衣装:リチャード・ホーナング
特殊メイク:マシュー・W・マングル、ゴードン・J・スミス
配役:リサ・ブラモン・ガルシア
編集:ハンク・コーウィン、ブライアン・バーダン
音楽:トレント・レズナー
助監督:ハーブ・ゲインズ
撮影機材:パナビジョン
現像:テクニカラー
出演:ウディ・ハレルソン、ジュリエット・ルイス、ロバート・ダウニー・Jr、トミー・リー・ジョーンズ、トム・サイズモア、ロドニー・デンジャーフィールド、エディ・マクラーグ
1994年アメリカ/ビスタサイズ・パートカラー119分35mmフィルム
ナチュラル・ボーン・キラーズ -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


ナチュラル・ボーン・キラーズ(NATURALBORNKILLERS)

ナチュラル・ボーン・キラーズ(NATURALBORNKILLERS)

映画「ヘイトフル・エイト」

ヘイトフル・エイト
サミュエル・L・ジャクソン

クエンティン・タランティーノ監督の長編第8作目となる新作「The Hateful Eight(原題)」が、ギャガ配給により「ヘイトフル・エイト」の邦題で、2016年2月27日(土)より全国公開がされた。私は、3月2日にTOHOシネマ六本木ヒルズ・スクリーン2、DCP上映で観た。

TOHOシネマズ六本木ヒルズ
TOHOシネマ六本木ヒルズ
The Hateful EightPre_004

本作は、タランティーノ監督のキャリア初となる密室ミステリー。山の上のロッジを舞台に、ワケありの7人の男と1人の女という人種も境遇もバラバラの8人をめぐり、全員が嘘をついているという事だけが分かっているという設定のなか、犯人、動機、8人の本当の関係の謎を解く西部劇と言うよりサスペンスドラマになっている。オープニングから、すべての会話と視線、何気ない身振りに緻密な伏線が仕掛けられおり、タランティーノの真骨頂であるブラックな笑いと過剰なアクションも満載だ。特にタランティーノ監督が悲願のエンニオ・モリコーネ氏が製作した音楽が素晴らしかった。

The Hateful EightThe Hateful Eight
ウルトラ・パナビジョン70

本作は、撮影前の2014年にオンライン上の脚本流出による制作中断や、70mm上映用のカメラ「ウルトラ・パナビジョン70」と65mmフィルムを用い撮影されている事も話題を呼んでいた。そして、日本からも美術監督の種田陽平氏がスタッフとして参加されている。アメリカでは既に、2015年12月25日から100の劇場で70mmフィルムで上映されることが決まっており、そのためにボストンの企業が120台の70mmフィルム映写機を調達したことも報道されていた。フィルム上映以外の全米各地の劇場でも、2016年1月8日よりDCP上映が行われる。日本では残念ながら配給会社が、くだらないテレビドラマや番組を映画と偽って上映する事ばかりに熱心なので70mmフィルムでの上映は望めないであろう。
※2016年2月27日(土)新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

作品リスト

【ストリー】
どこまでも続く白銀の世界。北部の元騎兵隊で今は賞金稼ぎのマーキス・ウォーレン(サミュエル・L・ジャクソン)が、レッドロックへ運ぶお尋ね者3人の 凍った死体を椅子代わりに座っている。寒さで馬がやられ、誰かが通りかかり拾ってくれるのを待っているのだ。やがて1台の駅馬車がウォーレンの前で停ま る。馬車の客は、同じく賞金稼ぎのジョン・ルース(カート・ラッセル)。腕にはめた手錠の先には、連行中のデイジー・ドメルグ(ジェニファー・ジェイソ ン・リー)が繋がれていた。1万ドルもの賞金をかけられた重罪犯のその女は、散々殴られた顔で不敵に笑っている。迫り来る猛吹雪から避難するため、ルース はレッドロックまでの中継地でうまいコーヒーにシチュー、装飾品から武器まで何でも揃っているミニーの紳士用品店へ向かうという。途中、クリス・マニック ス(ウォルトン・ゴギンズ)が乗り込み、新任保安官だと名乗るが、ルースは彼が黒人殺しで名を馳せる凶悪な南部の略奪団の一員だと知っていた。ミニーの店 へ着くと、見知らぬメキシコ人・ボブ(デミアン・ビチル)が現れ、母親に会いに行ったミニーの代わりに店番をしていると話す。ルースは早速ストーブの上の コーヒーを飲むが、ボブが作ったらしいそれは泥水のようにマズく、自分の手で淹れ直す。店には3人の先客が吹雪で閉じ込められていた。絞首刑執行人のオズ ワルド・モブレー(ティム・ロス)は、洗練されているがどこか胡散臭い英国訛りの男。カウボーイのジョー・ゲージ(マイケル・マドセン)は、何を考えてい るかわからず、母親とクリスマスを過ごすために帰る途中だということ以外は一切語らない。そしてサンディ・スミザーズ(ブルース・ダーン)は、大勢の黒人 を虐殺した南部の元将軍。ルースはこの怪しげな男たちに疑いの目を向けていた。この中にドメルグの仲間がいて奪還するチャンスを待っているのではないか。 あるいは1万ドルのお宝を横取りしようとしているのではないか……。
偶然集まった他人同士のはずが、マニックスは父親がヒーローと崇めていたスミザーズと の出会いに感激し、そのスミザーズの息子の謎の死につてウォーレンが何かを知っていた。それぞれの過去の糸が複雑にもつれ出した時、コーヒーを飲んだ者が 激しく苦しみ、間もなく息絶える。夜も更け、外の吹雪はますます激しくなっていく……。


題名:THE HATEFUL EIGHT
邦題:ヘイトフル・エイト
監督:クエンティン・タランティーノ
製作総指揮:ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン、ジョージア・カカンデス
製作:リチャード・N・グラッドスタイン、ステイシー・シェア、シャノン・マッキントッシュ
脚本:クエンティン・タランティーノ
撮影:ロバート・リチャードソン
美術:種田陽平
衣装:コートニー・ホフマン
配役:ヴィクトリア・トーマス
編集:フレッド・ラスキン
音楽:エンニオ・モリコーネ
撮影機材:ウルトラ・パナビジョン70
出演:サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンス、デミアン・ビチル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーン
2015年アメリカ/ビスタサイズ・カラー168分70mmフィルム
ヘイトフル・エイト -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

【当ブログで紹介したクエンティン・タランティーノ監督作品】
1991年「レザボア・ドッグス
1994年「パルプ・フィクション
1994年「ジャッキー・ブラウン
2003年「キル・ビルVol.1
2004年「キル・ビルVol.2
2009年「イングロリアス・バスターズ
2012年「ジャンゴ 繋がれざる者

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