映画「哀しみのトリスターナ」


「哀しみのトリスターナ(TRISTANA)」カトリーヌ・ドヌーヴ

カトリーヌ・ドヌーヴ                                フェルナンド・レイ

今回はルイス・ブニュエル監督1970年製作「哀しみのトリスターナ(TRISTANA)」をピックアップする。
1920年代末のスペイン・トリエステを舞台に、薄幸の美女の愛と憎しみを描いた本作の主演は、フランスの名女優カトリーヌ・ドヌーヴ、共演に「ガンマン大連合」などのマカロニ・ウエスタンでお馴染みのスペイン人俳優フェルナンド・レイと「続・荒野の用心棒(DJANGO)」のイタリア人俳優フランコ・ネロが名優ぶりを魅せている。”愛なき結婚の孤独を、自らの片足のない裸体を、口のきけぬ下男に晒す”シーンは、凄絶の極みである。


フランコ・ネロ、カトリーヌ・ドヌーヴ          カトリーヌ・ドヌーヴ、フェルナンド・レイ

【ストリー】
幼ない時に父を失い、16歳の時、母が死んだトリスターナ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、母の知人ドン・ロペ(フェルナンド・レイ)に引き取られた。ドン・ロペは貴族であり、職業を持たず、先祖から伝わる土地や財産で食べていた。人間で一番幸福なのは働かない事だと彼は言う。しかし、1920年代終りのこの頃では、そういった生活は苦しいものだった。邸にはサトゥルナ(アントニオ・カサス)という女中が居て、トリスターナは、ロペの簡単な身のまわりをすれば良かった。或る日、サトゥルナの息子達と遊ぶうちに教会の鐘楼に登った彼女は、鐘をつかせて貰った。その夜、トリスターナは無気味な夢を見る。鐘にぶら下がってカッと眼をひらいたドン・ロペの生首だった。彼女は、悲鳴をあげて目を覚ました。ロペが来て、気を落着かせるが、彼はトリスターナのゆるめた寝間着の下の胸のふくらみが意外と成熟しているのを見逃さなかった。そして彼は、暮しがいよいよ苦しくなっているのもいさいかまわず、喫茶店に入りびたり、またトリスターナをわが物にと心がける。或る夜「愛とは自由なものだ。鎖も祝福もいらぬ」と語り、トリスターナを組み敷いた。そのうち、ドン・ロペは風邪をひく。病いに臥せる姿に老醜が浮かんだ。「自由とはいっても限度があるのだ、それお前自身で判断して、儂の名誉とお前の愛情を保つのだ」と彼は訂正した。ロペの風邪が治るとトリスターナは久し振りに外出して、画家のオラーシオ(フランコ・ネロ)と知り合う。彼女は度々外出しはじめ、夜遅くにまで及んだ。嫉妬するロペに対し、彼女は「私は自由よ。そう言ったでしょ」と答える。オラーシオを知ってからトリスターナは以前にも増して親切になるドン・ロペを心から憎み始める。彼女の過去を聞いたオラーシオは一度は怒るが、一緒に生活しようと決心する。そして「お前の母から、お前を後見し、名誉を守るよう遺言されている儂だ!」というドン・ロペに「名誉ですって!あなたのおかげで、私はそれを失くしたのに!」とトリスターナは応酬し、私は出ていくと言う。その夜、オラーシオに掛け合いに行ったロペは、てもなく殴り倒される。翌日、二人は出立した。「また戻る。きっと戻ってくる!」とドン・ロペは呟いた。ロペと仲の悪かった姉(アントニオ・カサス)が突然死に、巨額の遺産がころがり込んで来た。今迄に売った家具、食器を買い戻したが、ロペはトリスターナが忘れらなかった。そんな或る日、サトゥルナがトリスターナが町に戻ったと告げに来た。足にデキモノが出来て、トリスターナのたっての願いで町へ戻ったとオラーシオは言った。足の切断という手術が必要だったのだ。彼女はドン・ロペの家に引き取られた。トリスターナはすっかり冷たい女となっていたがロペは溺愛する。オラーシオは去った。老衰が目立つロペだが、毎日、彼女の車椅子を押し、散歩を続け、トリスターナの冷たい素振りにも耐え続ける。そして、結婚してくれと言った。トリスターナは鼻でせせら笑うが、後日二人は結婚する。かつては無神論を唱えたロペは教会で式をあげ、神父を招いてもてなす好々爺となった。が、トリスターナは彼と別の寝室をとり、口も利かぬ日が続いた。ある夜、ドン・ロペが発作を起こす。隣室から来たトリスターナに「医者を呼んでくれ」と言うが、居間に行った彼女は受話器を取り上げるがソッと切り、医者に電話をかけたように装う。寝室に戻ったトリスターナは窓を開けた。雪が風に舞っていた。しばらく苦しんでいたロペはもう動かなくなった。トリスターナは相変らず無表情で窓を閉めた。


哀しみのトリスターナ(TRISTANA)

哀しみのトリスターナ(TRISTANA)カトリーヌ・ドヌーヴ

題名:TRISTANA
邦題:哀しみのトリスターナ
監督:ルイス・ブニュエル
原作:ベニート・ペレス・ガルドス
脚本:ルイス・ブニュエル、ジュリオ・アレジァントロ
撮影:ホセ・F・アグアーヨ
音楽:クロード・デュラン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、フェルナンド・レイ、フランコ・ネロ、ロラ・ガオス、アントニオ・カサス
1970年スペイン・フランス・イタリア/ビスタサイズ・カラー99分35mmフィルム
哀しみのトリスターナ -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


哀しみのトリスターナ(TRISTANA)

映画「続・荒野の七人」


ロバート・フラー、ユル・ブリンナー 「続・荒野の七人(RETURN OF THE SEVEN)」

ユル・ブリンナー                  ロバート・フラー

今回はバート・ケネディ監督1966年製作「続・荒野の七人(RETURN OF THE SEVEN)」をピックアップする。
本作の撮影は前作のアメリカからスペイン・バレンシア州アリカンテとマドリッドのブロンストンスタジオで行われた。
どおりでマカロニウエスタンで見慣れた風景やロケセットに見覚えがある。本作は原作(七人の侍)にはない内容で、以降「新・荒野の七人 馬上の決闘(1969年)」「荒野の七人・真昼の決闘(1972年)」の続編が作られた。


クロード・エイキンズ

【ストリー】
19世紀も終わりに近いころのメキシコ。貧しい農民たちが砂漠に囲まれた不毛の土地にしがみついて細々と暮しをたてていた。ある日、そのあたり一帯を勢力下に治め悪業の限りをつくしている男ロルカ(エミリオ・フェルナンデス)一味が村を襲い、男たちをひっ捕らえて消えた。ロルカは戦いで破壊された自分の領地を再生しようと、農夫を集め奴隷のように労働させていたのだ。捕えられた男の中には、かつて6人の仲間と村人のために馬賊と闘った経験のあるガンマン、チコ(ジュリアン・マテオス)がいた。彼は村娘ペトラと結ばれて以来、平和な農村生活を送っていたのだった。その頃、チコの昔の仲間クリス(ユル・ブリンナー)とビン(ロバート・フラー)は近くの町で闘牛見物に興じていた。そこへチコの危急の報が1人の少年によってもたらされた。ふたりは早速村へ急行すべく仲間集めを開始した。昔の仲間は4人とも馬賊との戦いで死んでしまったから、新たに屈強のガンマンを探さねばならなかった。しかし、それは雑作なかった。たちまちそれぞれ腕に一癖ある男たち、フランク、ルイ、コルビー(ウォーレン・オーツ)、マヌエルの4人が仲間となった。クリスたちがロルカの本拠“悪魔の背骨”に騎首を進めている頃、チコは300人の農民とロルカの牢から脱出に成功していた。チコと合流して昔どおりの7人にかえった一同は、村人を指揮して教会を急ごしらえの砦に改変し、敵の襲撃を待った。戦いは翌朝を皮切りに、2回3回と続いた。7人の果敢な攻撃は重装備で騎馬に乗ったロルカ一味をかきまわし、決戦を次の日の朝に持ちこした。敵の背後に回ったマヌエルの投じたダイナマイトで一味は大半壊滅した。猛り狂ったロルカもクリスの正確な一発で倒された。再び平和を取り戻した村に響く鐘楼の鐘の音は、壮烈な死をとげたフランクやルイを追悼し、去って行くクリスとビンを惜しんでいるようであった。


エミリオ・フェルナンデス

題名:RETURN OF THE SEVEN
邦題:続・荒野の七人
監督:バート・ケネディ
製作:テッド・リッチモンド
脚本:ラリー・コーエン
撮影:ポール・C・ヴォーゲル
編集:バート・ベイツ
音楽:エルマー・バーンスタイン
撮影機材:パナビジョン
現像:FOTOFILM ESPANA プリント:デラックス
出演:ユル・ブリンナー、ロバート・フラー、ジュリアン・マテオス、ロゼンダ・モンテロス、ウォーレン・オーツ、エミリオ・フェルナンデス、クロード・エイキンズ、フェルナンド・レイ、ジョーダン・クリストファー
1966年アメリカ/シネスコサイズ・カラー96分35mmフィルム
続・荒野の七人 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


続・荒野の七人(RETURN OF THE SEVEN)

フェルナンド・レイ、ジュリアン・マテオス、ロゼンダ・モンテロス

マカロニウエスタン傑作映画DVDコレクション「怒りの用心棒 復讐のダラス」


ジュリアーノ・ジェンマ        ジュリアーノ・ジェンマ、ウォーレン・ヴァンダース

朝日新聞出版より6月8日発売の「マカロニウエスタン傑作映画DVDコレクション」第31号が届いた。二作品のうち今回はトニーノ・ヴァレリ監督1969年製作「怒りの用心棒(THE PRICE OF POUER)」をピックアップする。
マカロニ・ウェスタン傑作映画DVDコレクション 31号 2017年 6/18号 [分冊百科]


ベニト・ステファネッリ                  レイ・サンダース

ケネディ暗殺事件の謎を取り上げた先駆的な作品
本作に登場するアメリカ合衆国大統領は、遊説先のテキサス州ダラスで、夫人と共に臨んだパレードの最中、何者かによって狙撃されてしまう。映画の時代設定は南北戦争(1861~1865年)の数年後だが、致命傷となった弾丸が発射された方向と容疑者が発砲されたとする場所との相違、単独犯とされながら大統領に命中した複数の弾丸の存在、逮捕された容疑者が護送中に殺害される………など、題材となったのは1963年11月22日に起こったジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件である。
同事件にまつわる一連の謎を取り上げた映画には、デビット・ミラー監督の「ダラスの熱い日(1973年)」メル・スチュアート監督の「ダラスの長い日/ケネディ大統領暗殺事件(1978年)」オリヴァー・ストーン監督「JFK(1991年)」などがよく知られているが、本作は、その先駆けともいえる作品だった。ちなみに、初代ジョージ・ワシントンから現在のドナルド・トランプまでの45代44人(クローバー・クリープランドは、22代と24代の大統領を務めた)の大統領のうち、在職中に暗殺されたのは、16代エイブラハム・リンカーン(1865年)、20代ジェームズ・ガーフィールド(1881年)、25代ウィリアム・マッキンリー(1901年)、35代ケネディの4名である。
(マカロニウエスタン傑作映画DVDプロダクションノートより)


フェルナンド・レイ                ホセ・カルヴォ

ホセ・スアレス                 ヴァン・ジョンソン

※上の画はクリックすると別画面で拡大されます。
怒りの用心棒(THE PRICE OF POUER)
mwdvd
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映画「怒りの用心棒 復讐のダラス」当ブログ2013年2月27日公開

怒りの用心棒(復讐のダラス)
ジュリアーノ・ジェンマ

今回は名匠トニーノ・ヴァレリ監督1969年製作「怒りの用心棒(THE PRICE OF POUER)」をピックアップした。本作は日本で劇場未公開だったが、邦題が「怒りの用心棒」「ダラス・ブリット」「怒りと復讐の果て」「復讐のダラス」 と四つもある。VHS販売、テレビ放映で題名を変えられ、DVD版では「怒りの用心棒 復讐のダラス」となっている。マカロニウエスタンの邦題は実にいい加減だ。本作の英語題名”THE PRICE OF POWER”は「権力の代償」。
1963年のケネディ大統領暗殺をモチーフにしている本作は、1973年「ダラスの熱い日」よりも早く題材にした訳だが、劇中のガーフィールド大統領は歴 史上に実在する合衆国第20代大統領で、実際に1881年にダラスではなくワシントンDCで暗殺されている。
この歴史的事実とフィクションをシャッフルし 再構築した内容は、マカロニ作品にしてはシリアスでおもしろかった。派手なアクション・ガンプレイも少なくジュリアーノ・ジェンマと絡むヒロインもいない。

怒りの用心棒(復讐のダラス)怒りの用心棒(復讐のダラス)

本作は助演陣も凄い。黒幕の銀行家を演じるフェルナンド・レイは、ルイス・ブニュエル監督1970年「哀しみのトリスターナ(TRISTANA)」 1972年「ブルジョワジーの秘かな愉しみ(LE CHARME DISCRET DE LA BOURGEOISIE)」やウィリアム・フリードキン監督1971年「フレンチ・コネクション(THE FRENCH CONNECTION)」に出演したスペインの俳優(1994年没)、悪徳保安官を演じたベニート・ステファネッリは、「夕陽のガンマン」「怒りの荒野」ほか多数のマカロニウエスタンに出演している。その他にもマカロニ作品で顔馴染みの中堅俳優が多数出演しているのが嬉しい。

怒りの用心棒(復讐のダラス)怒りの用心棒(復讐のダラス)
ジュリアーノ・ジェンマ、ヴァン・ジョンソン

【ストリー】
1881年のダラス。南北戦争の遺恨がくすぶるこの街にガーフィールド大統領が遊説にやってくるが、彼の政策を快く思わない保守派連中はならず者を雇い大 統領を暗殺。その生贄に選ばれたのが黒人青年ジャック。彼を大統領狙撃犯に仕立て白人の黒人に対する憎悪を煽ろうとする。かつてジャックと共に北軍兵士として戦った戦友のウィリアム(ジュリア―ノ・ジェンマ)はこの企てに父を殺したならず者のウォレス一派が加わっている事を 掴み、ジャックの救出と共に真相を公にすべく奔走。しかしジャックは殺され真相も闇の中に葬られようとする最中、副大統領補佐官も真相究明に乗り出す…。

怒りの用心棒(復讐のダラス)怒りの用心棒(復讐のダラス)

題名:THE PRICE OF POUER / IL PREZZO DEL POTERE
邦題:怒りの用心棒 / ダラス・ブリット / 怒りと復讐の果て / 復讐のダラス
監督:トニーノ・ヴァレリ
脚本:マッシモ・パトリッツィ
撮影:スティルヴィオ・マッシ
音楽:ルイス・エンリケス・バカロフ
フィルム:イーストマンコダック
出演:ジュリアーノ・ジェンマ、ウォーレン・ヴァンダース、ヴァン・ジョンソン、フェルナンド・レイ、ベニト・ステファネッリ、レイ・サンダース、ホセ・カルヴォ、ホセ・スアレス
1969年イタリア/テクノスコープ・テクニカラー109分35mmフィルム [日本劇場未公開]
怒りの用心棒 [DVD]

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