映画「左利きの女」

左利きの女左利きの女

今回はペーター・ハントケ監督1977年製作「左利きの女(THE LEFT-HANDED WOMAN)」をピックアップする。
本作のプロデューサーはヴィム・ヴェンダース氏が担当し、同監督作品「まわり道(1974年)」「ベルリン・天使の詩(1987年)」の脚本を担当したペーター・ハントケ氏が本作の監督をしている。
劇中、小津安二郎監督をオマージュした肖像写真と映画館のシーンで1930年代に製作されたと思われるサイレント映画作品が出て来る。それらは小津調には程遠いが、随所に影響を受けたと思われるイメージがインサートされている。日本劇場未公開作品とあってDVD原版が、色補正の取れてないダメージプリントをポジテレシネ→キャプチャーした為に画質が悪いのが残念だった。

左利きの女左利きの女

【ストリー】
長期出張に出かけていたブルーノが家に戻って来る。妻マリアンヌはブルーノに別れを告げ、彼は一晩も自分の家に泊まることなく出て行くことになる。マリアンヌには8歳になる一人息子のステファンがいる。昔つとめていた出版社を頼り、フランス語の翻訳の仕事を得て、自立しようとする。なかなか集中できずいらだつことも多い。友人のフランチェスカからは寂しくないのかと聞かれ、つらいと答えるマリアンヌ。ブルーノも復縁を迫るが、マリアンヌの決心は動きそうもない。 心配して父親もやってくる。そうこうしているうちに春になり、マリアンヌは少しずつ元気を出していくが・・・。

左利きの女左利きの女

題名:DIE LINKESHANDIGE FRAU/THE LEFT-HANDED WOMAN
邦題:左利きの女
監督:ペーター・ハントケ
製作:ヴィム・ヴェンダース
脚本:ペーター・ハントケ
撮影:ロビー・ミューラー
出演:エディット・クレヴァー、ブルーノ・ガンツ、マルクス・ミューライゼン、アンゲラ・ヴィンクラー、ジェラール・ドパルデュー、ベルンハルト・ヴィッキ
1977年西ドイツ/スタンダードサイズ・カラー115分35mmフィルム[日本劇場未公開]
左利きの女 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

左利きの女左利きの女

映画「パリ、テキサス」


パリ、テキサス(PARIS, TEXAS)
パリ、テキサスパリ、テキサス
ナスターシャ・キンスキー                                   ハリー・ディーン・スタントン

今回はヴィム・ヴェンダース監督1984年製作「パリ、テキサス(PARIS, TEXAS)」高評価作品sをピックアップする。
本作は80年代ロードムービーの金字塔と言われる名作で、テキサスに存在するという地”パリ”を探して放浪の旅に出たトラヴィスが、再会を果たした元妻との愛の告白は、映画史上最も美しく悲しいシーンだ。このシーンだけで「男と女の愛とは何か」を描ききっていると言えよう。それは、男女の愛、すれ違い、距離感、愛の幻影を見事に象徴している。ストーリー、音楽、キャスティング、撮影が、静寂の魅力と哀しみの美学で貫かれた凄い映画、凄い監督の傑作だ。原作は、俳優・劇作家で知られるサム・シェパードの著作「モーテル・クロニクルズ」音楽は、ライ・クーダーが担当している。

作品リスト

【追記・訃報】
本作及び「レポマン」「ツイン・ピークス」などに出演の俳優、ハリー・ディーン・スタントン氏が2017年9月15日に米ロサンゼルスの病院にて91歳で亡くなりました。謹んでお悔やみ申し上げます。

パリ、テキサスパリ、テキサス
ディーン・ストックウェル                                          オーロール・クレマン

【ストリー】
テキサスの原野。一人の男(ハリー・ディーン・スタントン)が思いつめたように歩いている。彼はガソリン・スタンドに入り、水を飲むと、そのまま倒れた。病院にかつぎこまれた彼は、身分証明もなく、医者(ベルンハルト・ヴィッキ)は一枚の名刺から男の弟ウォルト(ディーン・ストックウェル)に電話することができた。男はトラヴィスといい、4年前に失踪したままになっていたのだ。病院から逃げ出したトラヴィスをウォルトが追うが、トラヴィスは記憶を喪失している様子だった。トラヴィスは口をきかず飛行機に乗ることも拒む。車の中でウォルトは、さりげなく、妻ジェーン(ナスターシャ・キンスキー)のこと、ウォルトと妻のアンヌ(オーロール・クレマン)が預かっている息子ハンター(ハンター・カーソン)のことを聞くが、何も答えない。ただ、〈パリ、テキサス〉という、自分がかつて買った地所のことを呟いた。そこは、砂しかないテキサスの荒地だが、父と母が初めて愛をかわした所だとトラヴィスは説明した。ロサンゼルスのウォルト家に着いたトラヴィスを、アンヌと7歳に成長したハンターが迎えた。ハンターとトラヴィスの再会はぎこちなく、お互いのわだかまりが感じられた。しかし、数日経つうちにうちとけだした二人。彼らに複雑な思いを感じるウォルトとアンヌ。実の息子同然にこれまで育ててきたのだから……。トラヴィスの記憶が戻るようになりはじめたある日、5年前に撮った8ミリ映画をみなで見た。幸福そのものだった自分の家庭のフィルムを見て、必死に何かをこらえるトラヴィス。父親らしい服装でハンターを迎えに学校へ行ったトラヴィスはその日の夜、ジェーンがヒューストンの銀行から毎月ハンターのためにわずかながら送金を続けていることを、アンヌから聞いた。トラヴィスは、中古のフォード・ランチェロ58を買い、ハンターにジェーンを探しに行くと告げた。それを聞いて、ハンターは自分も行きたいと言い、そのまま共にヒューストンに旅立った。ヒューストンの銀行からジェーンらしき人物が乗った赤い車が出てゆくのを見た二人は車を追って、ある不思議な建物に辿りつき、ハンターを車に残して、トラヴィスは建物の中に入った。そこはキー・ホール・クラブで、階下の個室は、客の側からだけ、ブースの中の女の姿が見えるマジック・ミラーを設けた一種のピープ・ショーになっていた。ジェーンを呼んで部屋に入ったトラヴィスに、客の姿が見えないジェーンが話しかけるが、トラヴィスは何も告げずに出て行った。ヒューストンを離れ、途中のさびれた町で酒をのみながら、ハンターに自分の母のことを話すトラヴィス。翌日、もう一度ジェーンに会う決心をしたトラヴィスは、ハンターに別れを告げてキー・ホール・クラブへ行った。再びジェーンを呼び、自分の気持ちを語るトラヴィス。やがて、姿を見なくてもそれがトラヴィスであることを知ったジェーンも、涙ながらに、自分の気持ちを語った。最後に、ハンターのいるホテルのルーム・ナンバーを告げて、トラヴィスは去った。ホテルで一人でいるハンターの前に、ジェーンが現われた。二人が寄りそう影を窓に確認すると、トラヴィスは車でその場を去るのだった。

パリ、テキサスパリ、テキサス
ナスターシャ・キンスキー

題名:PARIS, TEXAS
邦題:パリ、テキサス
監督:ヴィム・ヴェンダース
製作総指揮:アナトール・ドーマン
製作:クリス・ジーヴァニッヒ
脚本:サム・シェパード 脚色:L・M・キット・カーソン
撮影:ロビー・ミュラー
美術:Kato Altman
衣装:Birgitta Bjerke
編集:ペーター・プルツィゴッダ
音楽:ライ・クーダー
出演:ハリー・ディーン・スタントン、ナスターシャ・キンスキー、オロール・クレマン、ハンター・カーソン、ベルンハルト・ヴィッキ
1984年カンヌ映画祭グランプリ(パルムドール)&国際映画批評家大賞&国際カトリック映画事務局賞1984年イギリス・アカデミー外国映画再収集監督賞&イギリス批評家協会作品賞・主演男優賞受賞1984年フランス映画批評家協会賞受賞1984年ドイツ撮影賞(劇映画部門)1985年バイエルン映画撮影賞1985年連邦映画賞銀のフィルム賞
1984年ドイツ・フランス/ビスタサイズ・カラー147分35mmフィルム
パリ、テキサス [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

パリ、テキサスパリ、テキサス
パリ、テキサス(PARIS, TEXAS)

映画「パレルモ・シューティング」

パレルモ・シューティング

今回はヴィム・ヴェンダース監督2008年製作「パレルモ・シューティング(PALERMO SHOOTING)」をピックアップする。本作は、アメリカでの撮影が続いていたヴィム・ヴェンダース監督が、12年ぶりにヨーロッパを舞台に撮り上げたロード・ムービーだ。多忙な生活に疲れた写真家が、旅行先のパレルモでの新たな出会いを経て、生きることを見つめ直すという内容の作品だが、観念的なイメージが素晴らしい作品だ。劇中で「デジタルは実在を保証しない- 好き勝手に手を加えられる-“すべてが混乱し-いい加減なものになり”-本質は失われる」と死神が言うが、ヴェンダース監督はプロダクションノートで次の様に語っている。

「あらゆるイメージは、まさに(デジタルの)原子まで分解され、”オリジナル”と”フェイク”のカテゴリーは消滅する。それぞれの画像は、改めて私たちに質問を突きつける。 未だにそれが真実から導き出されたものだと、誰が信じたいのだろうか。もしそうなら、それは何を意味するのか。 私たちすべてが今日対峙するデジタルの世界によって、多くの人が苦しんでいる現実の喪失が明らかになる。もしすべてがコントロールされているのだとしたら、私たちは何をまじめに受け止めるべきなのだろう。」

パレルモ・シューティングパレルモ・シューティング
カンピーノ

出演はミュージシャンとして活躍するカンピーノ、「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女(VINCERE)/2009年マルコ・ベロッキオ監督」のジョアンナ・メッゾジョルノ、「アメリカの友人(DER AMERIKANISCHE FREUND/1977年ヴィム・ヴェンダース監督)」のデニス・ホッパーだ。
本作は、フィルム(ドイツでのシーンは35mm、パレルモでは16mm)で撮影され、 その後すべてのシーンをスキャニング、様々なデジタル加工が施されて完成したそうだ。

パレルモ・シューティングパレルモ・シューティング
ジョヴァンナ・メッツォジョルノ        ミラ・ジョヴォヴィッチ

【ストリー】
フィン(カンピーノ)はアート写真からモード写真まで手がける世界的写真家。彼の写真はデジタル処理を駆使して、“現実”を組み替えることでまったく新しい世界を作り出す。活動拠点のデュッセルドルフでは、常に人に注目される生活。どこへ行くにも携帯電話が手放せず、イヤホンから聴こえる音楽だけが唯一心を落ち着かせる存在だった。ほとんど眠ることができない彼は、いつも“死”にまつわる短い夢の始まりで目を覚ます。あるとき、車を運転しながら風景を撮影していると、偶然ある男の姿を写真に収めてしまった。それと同時に、車はコントロールを失い、危うく大事故を引き起こしそうになる。フラフラと車から抜け出し、立ち寄ったパブで彼を待っていたのは、さらに不思議な体験だった。そしてフィンは旅に出る決意を固める。行き先は偶然ライン川で見かけた船に書かれていた地名、パレルモである。それはデュッセルドルフでの撮影に満足しなかったミラ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)のためでもあった。そして、撮影後もひとりパレルモに残るフィン。そこでは執拗に彼を追い、矢で付け狙うミステリアスな男に悩まされる。そしてもう1人、この街で魅力的な人物と出会う。街の美術館で巨大な壁画『死の勝利』の修復を行うフラヴィア(ジョアンナ・メッゾジョルノ)だった。彼女はフィンから矢に狙われた話を聞き、彼が自分の抱えてきた疑問を埋める存在であることを理解する。彼女もまた過去の出来事から“死”に取り憑かれた人物だったのだ。フィンの身に危険が迫っていることを心配したフラヴィアは、祖母との思い出の地、ガンジに彼を連れ出す。そこは彼女が唯一安心できて、本当の幸せを思い出させてくれる場所だった。フラヴィアの祖母の家で眠りにつくふたり。だがフィンはそこでついに、その男=“死”(デニス・ホッパー)と対面することになる……。

パレルモ・シューティングパレルモ・シューティング

題名:PALERMO SHOOTING
邦題:パレルモ・シューティング
監督:ヴィム・ヴェンダース

製作:ジャン=ピエロ・リンゲル、ヴィム・ヴェンダース
脚本:ヴィム・ヴェンダース
撮影:フランツ・ルスティヒ、フランツ・ラスティグ
美術:セバスティアン・ソウクプ
衣装:ザビーナ・マグリア
編集:ペーター・プルツィゴッダ 、 オリー・ワイス
音楽:イルミン・シュミット
撮影機材:アリフレックス
出演:カンピーノ、ジョヴァンナ・メッツォジョルノ、デニス・ホッパー、ルー・リード、ミラ・ジョヴォヴィッチ、インガ・ブッシュ、アクセル・シクロフスキ、ゲアハート・グートベアレット
2008年ドイツ・フランス・イタリア/ビスタサイズ・イーストマンカラー108分35mmフィルム16mmフィルム
パレルモ・シューティング [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

パレルモ・シューティングパレルモ・シューティング
デニス・ホッパー              ジョヴァンナ・メッツォジョルノ

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