映画「極道の妻たち 最後の戦い」


岩下志麻                        かたせ梨乃

今回は山下耕作監督1990年製作「極道の妻たち 最後の戦い」をピックアップする。
本作は家田荘子氏の原作ルポルタージュをベースにした新しいタイプの任侠映画として、極妻(極道の妻)に焦点を当てたヒットシリーズ第4作で、内容的には第1作に劣るが、見事な嵌り役を魅せた岩下志麻さんの凄みが素晴らしい。本作以降、岩下志麻さん主演で以下の6作品が作られた。

1991年「新極道の妻たち(監督:中島貞夫)」
1993年「新極道の妻たち 覚悟しいや(監督:山下耕作)」
1994年「新極道の妻たち 惚れたら地獄(監督:降旗康男)」
1995年「極道の妻たち 赫い絆(監督:関本郁夫)」
1996年「極道の妻たち 危険な賭け(監督:中島貞夫)」
1998年「極道の妻たち 決着[けじめ](監督:中島貞夫)」


小林稔侍                         中尾彬

津川雅彦                       かたせ梨乃、岩下志麻

【ストリー】
関西地区を牛耳る広域暴力組織の中松組が跡目相続問題で分裂した。5年後、枝分かれをした川越会本部では病床の川越会長(須賀不二男)をはじめ、幹部連中が集まっていた。その中に服役中の瀬上組々長瀬上雅之(小林稔侍)の妻芙有(岩下志麻)の姿もあった。彼女は夫の服役中、気丈の強さで組織の運営を務めているのだ。そんな時、5年前に中松組の銃弾で夫を失った伊勢夏見(かたせ梨乃)という女が残った組員の根津豊(哀川翔)を連れて大阪へやって来る。そしてふとした事件で出会った芙有と夏見は固い友情で結ばれるのだった。亡き夫の復讐に燃える夏見は、瀬上組を中松組と互角に張り合える組織へ拡大しようとする芙有に協力するが、川越会系組長の光石(品川隆二)の裏切りにあい、夏見は乱闘の末光石を射殺しそのまま身を隠してしまう。夏見からの連絡も途絶え、妹分の安否が気にかかった芙有は確たるあてもなく夏見の故郷である美浜へと足を向けた。だがそんな芙有の心配をよそに夏見は仇である中松組々長田所亮次(中尾彬)を射めようとするが、逆に銃弾を浴び息絶えてしまうのだった。それは中松組に丸め込まれた川越会が解散をした直後であった。出所後、中松組におだてあげられていた瀬上は結局自分がただの道化役であったことに気付き、戦争を再開しようとするが、芙有は豊らを連れて組を去って行く。そして夏見の死に決着をつけるべく、芙有は田所を射止めるのだった。


石田ゆり子                        森永奈緒美

哀川翔、石田ゆり子                   中尾彬、岩下志麻

題名:極道の妻たち 最後の戦い
監督:山下耕作
企画:日下部五朗
製作:奈村協、天野和人
原作:家田荘子
脚本:高田宏治
撮影:木村大作
照明:増田悦章
録音:伊藤宏一
整音:荒川輝彦
音効:堀池美夫、栗山日出登
美術:井川徳道
装置:梶谷信男
装飾:極並浩史
背景:西村三郎
衣裳:宮川信男
美粧:田中利男
結髪:山田真左子
擬斗:菅原俊夫
配役:葛原隆康
記録:田中美佐江
編集:市田勇
音楽:津島利章
現像:東映化学
製作主任:長岡功
製作進行:尾崎隆夫
助監督:鈴木秀雄
監督助手:長岡鉦司、石川一郎
演技事務:藤原勝
撮影補佐:信坂利文
撮影助手:田中勇二、松本嘉通、木子尚久、村上喜代美
照明助手:磯野雅宏、三上日出志、魚住俊哉、矢島俊幸、永坂良一、山口晴弘
録音助手:山口勉、近藤義兼
美術助手:今井高瑞、秋好泰海、後藤雄一郎
編集助手:坂口由美、藤田和延
装置助手:平始 装飾助手:宮村敏正、岩花学
衣装助手:中村恵 結髪助手:生長幸子
スタイリスト:市原みちよ、金丸照美
ヘアメイク:小島大誠(岩下志麻)、早藤みちよ(かたせ梨乃)、村上景子(石田ゆり子)
刺青:毛利清二
スチール:中山健司
出演:岩下志麻、かたせ梨乃、小林稔侍、哀川翔、津川雅彦、石田ゆり子、森永奈緒美、中尾彬、西村和彦、曽根晴美、三上真一郎、平泉成、品川隆二、中村美律子、緒形幹太、浜田晃、須賀不二男、野口貴史
1990年日本・東映京都撮影所/ビスタサイズ・カラー116分35mmフィルム
極道の妻たち 最後の戦い -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


岩下志麻                      極道の妻たち 最後の戦い

映画「無宿 (やどなし)」



高倉健                        勝新太郎

今回は斉藤耕一監督1974年製作「無宿 (やどなし)」をピックアップする。
本作は刑務所で知り合った性格の対照的な二人の男が、対立しながらも奇妙な友情に結ばれ、足抜けさせた女郎とともに海に沈んでいる大金を探しだそうとする冒険を描いたものだ。
当時の撮影について2018年3月12日に発刊された梶芽衣子さんの著書「真実」によると……..。

映画の撮影は丹後半島にある日本海に面した間人(たいざ)で行われたのですが、「寺内貫太郎一家」と時期が重なっていましたので、私たちは東京と間人とを何度も往復し、向田邦子さんの脚本があがらずに、ヒヤヒヤすることもありました。
翌日に「無宿」の撮影を控えている時は少しでも早い新幹線に乗りたいのが心情です。どんなに撮影が押しても最終には乗れるだろうと思っていても結局はかなわず、翌日の始発に間に合うかどうか、などということもありました。ですからそんな時は宿で休む時間もなくそのまま現場へ直行しなければなりませんでした。
間人へは一か月近く通っていたのですが、週に四日はTBSでドラマの収録があるので私は二~三日しかいられません。ですからそのスケジュールに合わせて私の出演シーンを集中的に撮っていくことになります。現場に入っていつもまず目にするのは勝さんと健さんが斎藤監督とディスカッションしている姿でした。
せりふの多い映画ではありませんから、それだけにそれぞれがどう演じ監督がどう撮るかによって印象はさまざまに変わります。いつもにも増してお互いの意見交換を重要視していらしたのもよくわかります。それが終わらないと撮影に入れませんから、私はただただ待つしかありません。討論は一時間以上続くということもありました。
勝さんは夢中になるとどんどんアイディアが湧いてくる方で、本番のカメラが回っている時でも突然それを実践することがありました。玄造とサキエがうな丼を食べているシーンで勝さんは「もっとガツガツ食えよ」と言っていますが、あのセリフは台本にはないものでした。勝さんはご自身のことだけでなく私の芝居を見て「もうちょっとこういうふうにやってみな」とアドバイスしてくださることもありました。
「真実」梶芽衣子 著 文藝春秋刊より


梶芽衣子                       安藤昇 

【ストリー】
昭和12年夏、粋な着流しの穴吹錠吉(高倉健)と、白い麻の背広に力ンカン帽の駒形玄造(勝新太郎)が出所した。駒玄は坂東梅之丞率いるドサ廻りの芝居小屋に舞い戻った。錠吉の方は、兄費分の女房ユキノを女郎屋へ訪ねるが、既にユキノは死んでいた。女郎のサキエ(梶芽衣子)は、ユキノの死因は自殺で、自分も同じ道を巡るのは嫌だ、足抜けさせて欲しい、と錠吉に哀願する。丁度、遊びに来ていた駒玄の助けを貸りて、錠吉はサキエを足抜きさせてやった。しかし、人混みで錠吉を見失ってしまったサキエは、梅之丞一座にいる駒玄と出会った。その時駒玄は、サキエから、錠吉が元潜水夫だった事を聞き、自分の「計画」に錠吉を引き込む決意をした。駒玄とサキエは兄貴分の仇・人斬り仙蔵(安藤昇)を狙っている錠吉を捜し廻った。そして、とある宿屋で錠吉を見つけた駒玄は、錠吉に、山陰沖に沈んでいるバルチック艦隊の軍用金引き上げの話を持ちかけるが、錠吉は無視し、再び姿を消した。サキエを追って来た玉井組に追われた駒玄とサキエは、とある賭場で錠吉が捜し求めている仙蔵と会った。そこへ錠吉もやって来た。駒玄が止めるのを振り切った錠吉は、仙蔵と対決、兄貴分の仇を討った。だが仙蔵は死ぬ間際、兄貴分を殺せ、と命じたのは親分の大場(大滝秀治)である事を錠吉に告げた。そして、錠吉はまたもや駒玄とサキエの前から姿を消した。錠吉の事を諦めた駒玄は、サキエとともに山陰の海へ行き、駒玄の父の使用人だった為造(殿山泰司)の家へ巡り着いた。目指す海域は軍の立入禁止区域となっていたが、駒玄は為造から舟を買い、サキエに呼吸ポンプをこがせて、自ら潜って金を探し廻った。そんな時、大場親分を殺し、追手から逃れて来た錠吉が、二人のいる海岸へやって来た。そして、錠吉も駒玄と交替で海に潜ることになった。数日後、沈んでいる船の残骸を発見、大金はもうすぐ目の前とばかり大喜びする。しかし、そこへ錠吉を追っている大場の子分の辰平(中谷一郎)たちが現われた。辰平たちと対決しようとする錠吉を、駒玄は持っていた舟の残骸で殴り倒し、「ここは立入禁止区域だ!」と叫びながら彼らに近づくが、いきなり拳銃で射たれてしまった。気が付いた錠吉も駒玄に近づこうとした時、弾丸が二、三発命中、その場に倒れた。二人が死ぬのを見ていたサキエは、愕然として、砂浜に膝を落とすのだった。


石橋蓮司                   梶芽衣子、高倉健、勝新太郎

題名:無宿 (やどなし)
監督:斉藤耕一
製作:勝新太郎、西岡弘善、真田正典
脚本:中島丈博、蘇武道夫
撮影:坂本典隆
照明:中岡源権
録音:大角正夫
音効:倉嶋暢
美術:太田誠一
装置:渡辺善太郎
装飾:草川啓
背景:森瀬茂男
衣装:伊藤なつ
美粧:今義巳
結髪:石井エミ
技斗:楠本栄一
記録:山本礼子
編集:谷口登司夫
音楽:青山八郎
製作主任:小山孝和
助監督:市古聖智
色彩計測:渡辺貢
宣伝:大門正雄
現像:東洋現像所
スチール:大谷栄一
出演:勝新太郎、高倉健、梶芽衣子、安藤昇、藤間紫、山城新伍、中谷一郎、大滝秀治、荒木道子、殿山泰司、三上真一郎、今井健二、神津善行、石橋蓮司
1974年日本・勝プロダクション/シネスコサイズ・カラー97分35mmフィルム
無宿 (やどなし) -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


梶芽衣子、勝新太郎                 無宿 (やどなし)

映画「秋日和」


原節子                      佐分利信

今回は小津安二郎監督1960年製作「秋日和」をピックアップする。
本作は夫を亡くした母と娘のお互いを思いやる気持ちを中心に、亡夫の友人たちが起こす騒動を安定したローアングルと50mmレンズ1本で描いている。また小津作品の撮影チーフ助手(色彩計測)を務めた川又昂氏の監修による4Kスキャニング・デジタル修復を実施したHDマスターが2013年11月23日より東京神田の神保町シアター「生誕110年・没後50年記念 映画監督 小津安二郎」にて上映された。

作品リスト


司葉子                     岡田茉莉子

【ストリー】
亡友三輪の七回忌、末亡への秋子(原節子)は相変らず美しかった。娘のアヤ子(司葉子)も美しく育ちすでに婚期を迎えていた。旧友たち、間官(佐分利信)、田口(中村伸郎)、平山(北竜二)はアヤ子にいいお婿さんを探そうと、ついお節介心を起した。が、アヤ子がまだ結婚する気がないというので、話は立ち消えた。秋子は友達の経営する服飾学院の仕事を手伝い、アヤ子は商事会社に勤めて、親子二人郊外のアパートにつつましく暮している。たまの休みに街に出て一緒に過すのが、何よりのたのしみだった。母も娘も、娘の結婚はまだまだ先のことのように思えた。或る日母の使いで間宮を会社に訪ねたアヤ子は、間宮の部下の後藤(佐田啓二)に紹介された。後藤はアヤ子の会社に勤める杉山(渡辺文雄)と同窓だった。土曜日の午後、間宮は喫茶店で、杉山や後藤と一緒にいるアヤ子を見た。後藤とアヤ子の間に恋愛が生れたもの、と間宮は思った。ゴルフ場で田口や平山に話すとアヤ子は母親への思いやりで結婚出来ない、という結論になった。秋子の再婚ということになった。候補者はやもめの平山だった。息子まで極力賛成されてみると、平山もまんざらではない。秋子を訪ねた田口は、亡夫への追慕の情たちがたい秋子にとっても再婚の話はもち出せない。アヤ子を呼んで説得したところ、アヤ子は母は父の親友と再婚するものと早合点して、母と正面衝突した。アヤ子は親友の百合子に相談した。百合子は田口、平山、間宮を訪ねると、その独断を責め立てたので、三人もいささか降参し、アヤ子は、一時は誤解したものの、母の知らない話だと分ってみれば、和解も早い。これから先、長く一人で暮す母を思って、二人は休暇をとって、思い出の旅に出た。伊香保では三輪の兄の周吉(笠智衆)が経営する旅館があった。周吉は秋子の再婚にも、アヤ子の結婚にも賛成だった。その旅の夜、秋子は娘に自分がこれから先も亡き夫とともに生きることを語った。アヤ子と後藤の結婚式は吉日を選んで挙げられた。間宮も、田口も、平山も、ほっとした。ひとりアパートに帰った秋子は、その朝まで、そこにいたアヤ子を思うと、さすがにさびしかった。


岡田茉莉子、渡辺文雄

題名:秋日和
監督:小津安二郎
製作:山内静夫
原作:里見とん
脚本:野田高梧、小津安二郎
撮影:厚田雄春
照明:石渡健蔵
録音:妹尾芳三郎
美術:浜田辰雄
編集:浜村義康
音楽:斎藤高順
フィルム:アグファカラー
現像:東京現像所
色彩計測:老川元薫
デジタル修復監修:川又昂
出演:原節子、司葉子、佐分利信、岡田茉莉子、佐田啓二、桑野みゆき、三上真一郎、笠智衆、中村伸郎、三宅邦子、岩下志麻、十朱久雄、渡辺文雄、北竜二
1960年日本・松竹/スタンダードサイズ・カラー128分35mmフィルム
秋日和 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


笠智衆                    佐田啓二、司葉子

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