映画「獣の戯れ」

獣の戯れ獣の戯れ
若尾文子                    伊藤孝雄、若尾文子
獣の戯れ獣の戯れ
若尾文子

今回は富本壮吉監督1964年製作「獣の戯れ」をピックアップする。
本作は三島由紀夫氏の同名小説を映画化したものだが、若尾文子さんの魅力=男を惑わす魔性に今更ながらパンチを喰らう作品だった。富本壮吉監督は大映で溝口健二、伊藤大輔、豊田四郎、成瀬巳喜男、島耕二ら各氏の助監督を経て1960年「暁の翼」で監督デビューし、フリーになってからTV朝日土曜ワイド劇場「家政婦は見た!」シリーズをヒットさせた事で知られていたが、1989年5月に62歳で亡くなっている。

獣の戯れ獣の戯れ
河津清三郎                 伊藤孝雄、若尾文子、河津清三郎

【ストリー】
草門優子は、夫の逸平が、乱行をきわめているにもかかわらず、一言も文句を言わない、貞淑な妻であった。幸二はそんな逸平が社長であった「美陶苑」でアルバイトをしていた学生だが、優子が逸平に虐待されているのを知り同情にも似た思慕を感じるようになっていった。ある日、逸平のあまりの乱行をみかねた幸二は、逸平の浮気の現場に優子を連れていった。しかし逸平は、すがりついて哀願する優子を逆になぐりつけた。怒りに燃えた幸二は持っていたスパナで逸平をなぐりつけ、不具の身としてしまった。そんな幸二に同情した優子は、服役を終って出所した、よるべのない幸二を、伊豆の別荘にむかえた。それから、三人の奇妙な同棲生活が始った。失語症の上、半身不随になった逸平は、すっかり人が変ってしまい、放心したような微笑を絶えずうかべていた。そんな逸平を優子は毎日散歩につれていくのだったが、あるとき優子に客が来て幸二がかわって逸平を散歩につれだした。そして途中、幸二は優子を愛していることを告白し、逸平のみだらな生活をなじった。しかし、逸平はただ「死にたい」というだけだった。その夜、伊豆は暴風雨となった。夫の寝言で眼をさました優子は、押えきれぬ欲情に身をまかせて幸二に迫った。しかし、幸二はふとふりかえった隣の部屋から、逸平が放心した微笑をうかべて二人をみつめているのを見て、夢中で逸平にとびかかった。暴風で明滅する光の中に逸平の冷いむくろが、横たわり、その前で激しく抱き合う幸二と優子の姿があった。

獣の戯れ獣の戯れ

題名:獣の戯れ
監督:富本壮吉
企画:藤井浩明
原作:三島由紀夫
脚本:舟橋和郎
撮影:宗川信夫
照明:安田繁
録音:渡辺利一
美術:間野重雄
編集:関口章治
音楽:入野義郎
スチール:柳沢英雄
出演:若尾文子、河津清三郎、伊藤孝雄、三島雅夫、加藤嘉
1964年日本・大映/シネスコサイズ・モノクロ94分35mmフィルム
獣の戯れ [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

獣の戯れ獣の戯れ

映画「豚と軍艦」


長門裕之

今回は今村昌平監督1961年製作「豚と軍艦」をピックアップする。
本作は、朝鮮戦争前後の日本を背景に、米軍基地の町(横須賀)を舞台に軍から排出される残飯で豚を飼育して荒稼ぎするヤクザが自滅するまでをシニカルに描いた内容だ。
今村昌平氏が言う重喜劇性が顕著に表現された作品になっている。


吉村実子                    吉村実子 ・ 山内明

撮影は日活の名匠姫田真佐久氏。当時新人だった吉村実子さんを囲む俳優陣が凄い。長門裕之・南田洋子、小沢昭一、中原早苗、丹波哲郎、加藤武、西村晃、殿山泰司、三島雅夫、各氏の演技はその後の日本映画を支えた事は言うまでもない。
今村昌平監督は、本作後に「にっぽん昆虫記(1963年)」「赤い殺意(1964年)」と佳作が続き、1975年に横浜放送映画専門学院(現:日本映画大学)を開校する。私の知り合いにも卒業生は多い。「ゼブラーマン(2004年)「SUKIYAKI WESTERN ジャンゴ(2007年)」の三池崇史監督、「踊る大捜査線(1997年)」の本広克行 監督も卒業生だそうだ。


山内明 ・ 殿山泰司

その後、今村昌平監督の主な作品は「復讐するは我にあり(1979年)」「ええじゃないか(1981年)」「楢山節考(1983年)カンヌ映画祭パ ルムドール賞を受賞」 「黒い雨(1989年)」「うなぎ(997年)」そして2002年「11’09”01/セプテンバー11 日本編」を最後に2006年5月に79歳で亡くなられている。
また本作の助監督としてタイトルされている浦山桐朗氏は、大竹しのぶさんのデビュー作「青春の門(1975年)」「青春の門・自立篇(1976年)」、吉永小百合さん主演「夢千代日記(1985年)」で有名な監督だったが、1985年10月に他界されている。


丹波哲郎

【ストリー】
米海軍基地。遂に軍艦が入ると、水兵相手のキャバレーが立ちならぶ町の中心地ドブ板通りは俄然活気を呈してくる。ところが、そんな鼻息をよそに青息吐息の 一群があった。当局の取締りで根こそぎやられてしまったモグリ売春ハウスの連中、日森一家だ。ゆきづまった日森一家は、豚肉の払底から大量の豚の飼育を考 えついた。ハワイからきた崎山が基地の残飯を提供するという耳よりな話もある。ゆすり、たかり、押し売りからスト破りまでやってのけて金をつくり、彼らの “日米畜産協会”もメドがつき始めた。流れやくざの春駒がタカリに来た。応待に出た幹部格で胃病もちの鉄次の目が光った。たたき起されたチンピラの欣太は 春駒の死体を沖合まで捨てにいった。
「欣太、万一の場合には代人に立つんだ。くせえ飯を食ってくりゃすぐ兄貴分だ」という星野の言葉に、単純な欣太はすぐ その気になった。彼は恋人の春子と暮したい気持でいっぱいなのだ。
春子の家は、姉の弘美のオンリー生活で左うちわだったが、彼女はこの町のみにくさを憎悪 し、欣太には地道に生きようと言って喧嘩した。ある夜、豚を食った一家の連中は、春駒の死体をその豚に食わせたと聞き、口をおさえてとび出した。鉄次は血 まで吐いた。鉄次の入院で日森一家の屋台骨はグラグラになった。

会計係の星野が有金をさらってドロンし、崎山も残飯代を前金でしぼり取るとハワイに逃げて しまった。鉄次の見立ての結果は、ひどい胃癌で三日ももたないという。鉄次は殺し屋の王に殺してくれとすがりついた。欣太とはげしく口喧嘩をした春子は町 にとび出し、酔った水兵になぶりものにされた。日森一家は組長の日森と、軍治・大八とに分裂してしまった。両者とも勝手に豚を売りとばそうと企み、軍治た ちは夜にまぎれての運搬を欣太に命じた。鉄次の診断はあやまりで、単なる胃潰瘍だったが、それを知る前に王に殺されるのを知って血を吐いて倒れた。欣太は 豚をつみこむ寸前に先まわりした日森らにつかまってしまった。
豚をのせ走り出す日森のトラック群。それを追う軍治らのトラック。六分四分で手を打とうとい う日森だったが、欣太はもうだまされないと小型機関銃をぶっ放した。ドブ板通りには何百頭という豚の大群があれ狂った。誰もかも、豚の暴走にまきこまれ、 踏みつぶされた。
・・・数日後、一人になった春子は家出した。基地の町では、相変らず水兵と女と客引きがごったがえしていた。

題名:豚と軍艦
監督:今村昌平
脚本:山内久
撮影:姫田真佐久
照明:岩木保夫
美術:中村公彦
録音:橋本文雄
編集:丹治睦夫
音楽:黛敏郎
助監督:浦山桐朗
出演:長門裕之、吉村実子、三島雅夫、小沢昭一、中原早苗、丹波哲郎、山内明、加藤武、殿山泰司、西村晃、南田洋子
1961年ブルーリボン賞・作品賞受賞作品
1961年日本・日活/シネスコサイズ・モノクロ108分35mmフィルム
豚と軍艦 HDリマスター版 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

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