映画「暴走パニック 大激突」


渡瀬恒彦                                杉本美樹

今回は深作欣二監督1976年製作「暴走パニック 大激突」をピックアップする。
本作は「いつかギラギラする日」の原型となったと言われる”日本で最初のカーチェイス映画”であり、ドル箱シリーズ「仁義なき戦い 完結篇」の一旦終了から派生したカーチェイス要素を新機軸とした。この東映カーアクション路線は、本作と中島貞夫監督「狂った野獣」の2作だけで、共に興行は振るわずその後は続かなかった。

余談になるが、1979年10月から石原プロモーション制作による「西部警察」がテレビ映画(16mm)で始まった。パート3が1984年10月まで続くが、テレビ映画作品にもかかわらずカーチェイスの物量、破壊力、市街地ロケーションなどでの画の迫力は、本作よりかなり上回っている。これはプロデュース、企画力の違いであると思う。

※「西部警察(テレビ朝日系)」の破格の製作費は、広告代理店を通さずテレビ朝日との直接契約だった。
これは広告代理店から無条件に手数料を搾取されるリスクはなくなり、その分を制作費に回せた。
CMスポンサー獲得は、積極的に石原プロモーションが行い、取りまとめを東急エージェンシーが行ったそうだ。


小林稔侍                            室田日出男

【ストリー】
混血の元モデル・緑川ミチとバーテンの山中高志は海外への生活を夢み、仲間の関光男と組んで、銀行強盗を続けていたが、神戸の銀行を襲った時に、光男が車にはねられて死んだ。光男の兄・勝男は、浮浪者同様の生活をしていたが、山中と光男が銀行強盗をしていた事を知り、山中を追いかけ始めた。指命手配の山中を追う警官の中の一人畠野は、大学卒の上役にいびられてさっぱり仕事に熱が入らず、婦人警官の愛子と寝てばかりいる。少年院出身でガソリンスタンドで働く益夫は、客から預ったスポーツカーを持ち出したが、暴走族に傷をつけられ帰るにも帰れなくなってしまった。一方、山中とミチは銀行を襲い大金を手に入れたが非常線にひっかかり、とあるモーテルに身を隠した。その頃、畠野は愛子を他の警官に寝取られてしまい、そのうっ奮を山中へと向けた。そして、上司の指示に従がわず、山中のいるモーテルに単身乗り込み、二人を逃がしてしまった。逃げる山中とミチの車を、畠野のパトカー、その後を山中の金を横取りすべく勝男の車が追った。やがて、勝男の車は電柱に追突したために、勝男は丁度通りかかった益夫のスポーツカーに乗り込み、さらに二人を追った。しばらく三つ巴のカーチェイスが続いた後、パトカー、白バイが続々と連らなり、やがて、暴走族、ダンプカー、観光バスまでを捲き込んで、狂ったように車と車をぶつけ始めた。横転した車が炎上し、消防車、救急車、機動隊が駆けつけるが、それらも狂走集団に捲き込まれてしまう。集った野次馬は逃げまどいながら投石を始め、凄まじいパニック状態に発展していった……。


渡辺やよい、川谷拓三                            潮健児

題名:暴走パニック 大激突
監督:深作欣二
企画:本田達男、杉本直幸
脚本:神波史男、田中陽造、深作欣二
撮影:中島徹
照明:若木得二
録音:中山茂二
美術:富田治郎
装置:吉岡茂一
装飾:西田忠男
背景:西村三郎
美粧:田中利男
結髪:白鳥里子
衣装:高安彦司
擬斗:上野隆三
カー・アクション:東洋レーシングチーム
記録:田中美佐江
編集:市田勇
音楽:津島利章
製作主任:長岡功
助監督:篠塚正秀
演技事務:森村英次
スチール:中山健司
出演:渡瀬恒彦、杉本美樹、渡辺やよい、室田日出男、川谷拓三、小林稔侍、風戸佑介、三谷昇、潮健児、汐路章、片桐竜次
1976年日本・東映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー85分35mmフィルム
暴走パニック 大激突 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


渡辺やよい、川谷拓三

暴走パニック 大激突                   杉本美樹、渡瀬恒彦

映画「大病人」


三國連太郎                       宮本信子

今回は伊丹十三監督1993年製作「大病人」をピックアップする。
本作は、今までの伊丹監督作品と違い、死をテーマにしている。ガンを宣告された俳優が、死を前にしてそれまでを如何に生きていくかを描いている。コメディ要素を入れる事で、死への緊張感に緩急をつけて病名告知や延命治療といった現代医療に疑問を呈しているが、当時の最新CGで臨死体験を描いたシーンは、頂けないと思ったが、冒頭を始めとする映画撮影の現場シーンは、長年映画業界にいらした伊丹監督だけあって、描き方は的確であり無駄がない。

【伊丹十三監督作品】
1984年「お葬式
1985年「タンポポ
1987年「マルサの女
1988年「マルサの女2
1990年「あげまん
1992年「ミンボーの女
1993年「大病人」
1995年「静かな生活
1996年「スーパーの女
1997年「マルタイの女
※各作品のリンクは、予約投稿で表示しないページがありますが、後日表示されます。


津川雅彦                  三國連太郎、宮本信子、津川雅彦、木内みどり

【ストリー】
俳優兼映画監督の向井武平(三國連太郎)は、癌で余命いくばくもないオーケストラの指揮者が最後のコンサートに挑むという映画を自ら監督・主演していたが、撮影中に倒れて病院に運ばれる。妻・万里子(宮本信子)の大学時代の友人でもある医師の緒方洪一郎(津川雅彦)が担当医となるが、向井の体はあともって1年という癌に冒されていた。緒方は向井に病名を偽り手術を施すが、暫くすると向井はまた倒れてしまう。映画の共演者であり愛人である神島彩(高瀬春奈)を病室に密かに呼び出し情事を行うなど、何かと問題患者の向井に怒った緒方はつい軽率な発言をしてしまい、向井はショックのあまり自殺を図る。一命を取りとめた向井は緒方に真実を告げてくれと訴え、いがみあっていた二人は協力して死を迎えることになった。向井の映画の最後のクライマックス、彼の指揮するカンタータ『般若心経』のシーンも無事撮り終えた。向井は万里子や緒方、映画のスタッフたちが見守る中、最後の日々を満足して生き、死を迎えられたことを喜びつつ息をひきとるのだった。


高瀬春奈                          左時枝

題名:大病人
監督:伊丹十三
製作:玉置泰
脚本:伊丹十三
撮影:前田米造
照明:矢部一男
特機:落合保雄
録音:小野寺修
音効:渡部健一 (東洋音響カモメ) リーレコ:中村洋
美術:中村州志
装飾:山崎輝、豊島隆、小林聖樹
背景:島倉二千六
小道具:山浦克己、荒井雄樹、松本周子
衣裳:小合恵美子、岩崎文雄、鈴木智子、三浦みち子、石涼啓子
化粧:吉野節子、石川雅代(アートメイク・トキ)
特殊メイク:江川悦子、宗理起也、寺田まゆみ、神田文裕
デジタル合成:島村達雄(白組)、山崎貴(白組)
水中撮影:中村宏治 (日本水中映像)
技斗:高瀬将嗣、森聖二
配役:田中忠雄
記録:石山久美子
編集:鈴木晄 ネガ編集:高橋孝一
音楽:本多俊之 音楽監督:立川直樹
現像:イマジカ タイミング:小椋俊一
撮影機材:パナビジョン(三和映材社)
フィルム:富士フィルム
製作担当:鎌田賢一
製作進行:森太郎、尾崎友康、後藤弘樹
演技事務:城戸史郎
助監督:中嶋竹彦
監督助手:蝶野博、中村隆彦、遠藤秀一郎
撮影助手:栗山修司、石山稔、斎藤圭祐、神村志宏
特機助手:松田弘志
照明助手:赤井淳一、関野高弘、関根謙一、中村和也、加藤耕史、森川知
美術助手:山崎秀満、金勝浩一、深川絵美、新田隆之
録音助手:桜井敬悟、白取真、石井ますみ、大塚学
編集助手:米山幹一
医療指導:三崎晴嘉 医療コーディネーター:竹内廣徳
看護婦指導:長島美和子
指揮指導:鈴木行一 演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
合唱:東京混声合唱団 お経:真言宗冨山派不二会
記憶合金の花:渡辺裕子
フード・スタイリスト:石森いずみ
湯気効果:谷口承
ヴイック制作:アデランス
エクゼクティブ・プロデューサー:竹中行雄
コ・エクゼクティブ・プロデューサー:NIDEL SINCLAIR
プロデューサー:細越省吾 製作協力:細越省吾事務所
プロデューサー補:川崎隆
カンタータ般若心経作曲・指揮:黛敏郎
スタジオ:にっかつ撮影所
ロケ協力:東十条病院、倉本記念病院(現:セコメディック病院)、横浜総合病院、東京都立松沢病院
グラフテック・デザイン:佐村憲一
製作デスク:吉川次郎
製作宣伝:早乙女明子、モーションプロ
スチール:瀬古正二、岩崎輝義
出演:三國連太郎、津川雅彦、宮本信子、木内みどり、高瀬春奈、熊谷真実、田中明夫、三谷昇、高橋長英、左時枝、南美希子、清水よし子、渡辺哲、田中明夫、村田雄浩
1993年日本・伊丹フィルムズ/ビスタサイズ・カラー116分35mmフィルム
大病人 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


三國連太郎                  田中明夫、宮本信子、熊谷真実

映画「マルタイの女」


宮本信子                       西村雅彦、宮本信子

今回は伊丹十三監督1997年製作「マルタイの女」をピックアップする。
“マルタイ”とは警察用語で身辺保護の対象者の事を言う。1992年の「ミンボーの女」の公開直後に伊丹監督が、暴力団の男たちに斬りつけられた事件が起きた際に、夫人である宮本信子さんと共に警察のマルタイになった。
その時の体験をモチーフに本作を制作したそうだ。
そして伊丹十三監督は、本作公開から3ヵ月後に不可解な死を遂げ、残念ながら本作が遺作となった。
警察は自殺で処理しているが、そんな筈はない。私は強烈なイメージと共に未だ納得できないでいる。

【伊丹十三監督作品】
1984年「お葬式
1985年「タンポポ
1987年「マルサの女
1988年「マルサの女2
1990年「あげまん
1992年「ミンボーの女
1993年「大病人
1995年「静かな生活
1996年「スーパーの女
1997年「マルタイの女
※各作品のリンクは、予約投稿で表示しないページがありますが、後日表示されます。


宮本信子、村田雄浩                津川雅彦、宮本信子

【ストリー】
わがままで有名な女優の磯野ビワコ(宮本信子)は、ふとしたことから弁護士夫婦が殺害される現場を目撃してしまい、それに気づいた犯人に殺されそうになったが、危ういところで助けられた。逃走した犯人は殺された弁護士と対立していたカルト宗教集団真理の羊の一員らしく、警察の事情聴取を受けたビワコは、殺到したマスコミを相手に会見を行い、裁判で証言台に立つことを約束する。重要証人となったビワコの身を守るため、警察は彼女をマルタイと呼ばれる身辺保護対象者とし、立花(西村雅彦)と近松(村田雄浩)のふたりの刑事をガードに送り込んだ。ふたりの刑事はビワコのマンション、仕事場、小唄や踊りの稽古場はもちろん、移動中の車にも必ず片方が同乗し、ショッピングなどのプライベートにまでもぴったりと張り付いて彼女の身辺を保護する。彼らはあくまで私生活には干渉しないが、ビワコは愛人関係にあるテレビの編成局長・真行寺(津川雅彦)との不倫の現場にまでもついてこようとするふたりの刑事に、落ち着かない生活を強いられた。一方、ふたりの刑事の方も、昔からビワコのファンでミーハーぶりを隠せないでいる近松に対し、ひたすら職務を全うしようとする堅物の立花は、傍若無人なビワコの振る舞いにいらだちを覚える。しばらくして、教団幹部の命令で身を隠していた犯人の大木(高橋和也)が逮捕された。すぐに面通しが行われ、ビワコは記憶をたどりながら彼が犯人だと証言する。大木が犯行を自白し、ビワコの証言がより重要性を持つようになってくると、教団は顧問弁護士の二本松(江守徹)を通じてビワコに証言をやめさせるよう、なりふり構わぬ脅しを始めた。愛犬を殺された上、真行寺との不倫をマスコミにバラされたビワコは、精神的に大きなダメージを受け、証言をためらうようになってしまう。ふたりの刑事は勇気を持つようビワコを励ますが、スキャンダルが原因で舞台を降板させられた彼女は、舞台衣裳のまま楽屋から姿を消した。もともと彼女の想い出の場所であった目撃現場で教団の実行部隊に襲われたビワコは、駆け付けた立花に危ういところを救われる。さらにビワコを乗せて裁判所へ向かう途中の車を襲った教団に対しても、命がけで立ち向かっていく立花たちの姿に、ビワコはどんなことがあっても証言をするという覚悟を決めて、裁判所に入っていった。


六平直政、名古屋章               村田雄浩、西村雅彦、あき竹城

題名:マルタイの女
監督:伊丹十三
製作:玉置泰
脚本:伊丹十三
撮影:前田米造
照明:加藤松作
特機:落合保雄
録音:小野寺修、桜井敬悟
音効:斉藤昌利、北田雅也 リーレコ:神保小四郎
美術:川口直次
装置:木村浩之
装飾:佐藤結樹 (ポハイアート)、大坂和美、中山誠、松田光畝、竹内洋平
衣裳:岩崎文男、熊谷友江
美粧:豊川京子、宮崎智子
擬斗:高瀬将嗣
配役:斉藤謙司
記録:松沢一美
編集:鈴木晄 ネガ編集:奥原好幸
音楽:本多俊之 音楽プロデューサー:立川直樹、梶原浩史
現像:イマジカ タイミング:小椋俊一
撮影機材:三和映材社
照明機材:日本照明
フィルム:日本コダック
ステディカム:佐光朗
デジタル合成:島村達雄 (白組)、田口健太郎、牧野有美、金子敏雄、武坂耕二
特殊メイク:江川悦子、神田文裕、寺田まゆみ
スタント:高橋勝大、安多武士、山口富美雄、平田道、田辺秀輝
スタイリスト:鈴木智子、豊平ちせ
フードコーディネーター:石森いづみ
湯気師:谷口承
プロデューサー:川崎隆
製作主任:森太郎、毛利達也
製作進行:荒木正人、飯塚信弘
製作担当:鎌田賢一
演技事務:増田悟司、片野早苗
製作デスク、吉川次郎
製作宣伝:池田順子、小西晴文
企画協力:三谷幸喜、細越省吾
助監督:中嶋竹彦
監督助手:中村隆彦、山内健嗣、直路秀樹
撮影助手:石山稔、岩崎登、中澤正行、吉田好伸
特機助手:大谷慎司
照明助手:立石和彦、堀直之、疋田善健、関口賢、金子康博、関野高弘
録音助手:白取貢、松本昇和、矢沢仁
録音スタジオ・スタッフ:石井ますみ、大野誠、下野留之
美術助手:瀬下幸治、矢内京子、五十苅知子
編集助手:三條知生 デジタル編集助手:穂垣順之助
製作進行(セカンドユニット):前村祐子
助監督(セカンドユニット):蝶野博
撮影(セカンドユニット):藤澤順一、高瀬比呂志、猪本雅三、田中潤、上野彰吾
撮影助手(セカンドユニット):平康真二、中川克也、村埜茂樹、小松高志、中飯明央、佐藤治、葛西誉仁、向後光徳、西村博光、釘宮慎治、村木千春、鏡早智、井上隆夫、阿部孝
録音助手(セカンドユニット):藤本賢一、西山徹、前田一穂
撮影スタジオ:日活撮影所
録音スタジオ:日活スタジオセンター
グラフィック・デザイン:佐村憲一
出演:宮本信子、西村雅彦、村田雄浩、津川雅彦、江守徹、名古屋章、宝田明、あき竹城、高橋和也、六平直政、渡辺哲、小日向文世、高橋長英、木下ほうか、山本太郎、伊集院光、近藤芳正、三谷昇、仲谷昇、小林克也
1997年日本・伊丹プロダクション/ビスタサイズ・カラー135分35mmフィルム
マルタイの女 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


宮本信子                       マルタイの女

 追悼 伊丹十三監督

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