映画「青い山脈」

青い山脈
浜田光夫、吉永小百合
青い山脈青い山脈
吉永小百合、芦川いづみ               浜田光夫

今回は西河克己監督1962年製作(1963年1月公開)「青い山脈」をピックアップする。
石坂洋次郎氏の原作は、1949年今井正監督(東宝),1957年松林宗惠監督(東宝),1975年河崎義祐監督(東宝),1988年斎藤耕一監督(松竹)と映画化された。本作では設定を時代に合わせて旧制・高等女学校から新制・女子高等学校に、旧制高校生から大学生に変更し、原作では東北が舞台だが、ロケーションは滋賀県彦根市で行われた。
内容は当時の爽やかな青春映画で、可憐な女子高生を演じる吉永小百合さんと凛とした英語教師を演じる芦川いづみさんに、時代を超えて魅了される。嗚呼、私も麗しのいづみさんに叱られたい!

青い山脈青い山脈
二谷英明、芦川いづみ              南田洋子、二谷英明
青い山脈青い山脈
高橋英樹                    藤村雄幸
青い山脈青い山脈
芦川いづみ、北林谷栄              井上昭文

【ストリー】
城下町にあるこの女子高校に転校してきた寺沢新子(吉永小百合)はちょっと変っていた。前の学校で恋愛問題を起して退学になったのだという噂もとんでいた。が、新子は級友たちの反感の渦の中でも少しも悪びれなかった。ある日、英語教師の島崎雪子(芦川いづみ)の所に新子が一通のラブレターを持って来た。これはクラスの誰かのいたずらだ、と新子にいわれてみれば、誤字だらけの文章はどうみても大学生の手紙ではない。雪子は丁度そこに来合わせた校医の沼田(二谷英明)に相談した。徹底的に究明しようといきりたつ雪子に、沼田は事を荒立てるなと忠告した。ひそかに雪子を愛する彼は、彼女がいつまでも前向きの姿勢でいることを危ぶんでいたのだった。数日後、雪子はとうとうラブレターの一件を生徒たちに切り出したが、強い反撃にあった。犯人は松山浅子(進千賀子)と分ったものの新子が男の子とキスをしたという発言があって教室は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。そのあとの休み時間に、丘に連れ出し気分を晴らすように踊りながら話を聞く雪子に、新子は事件が誤解であることを訴えた。翌日、新子はキス事件の相手として騒がれている六助(浜田光夫)と出逢った。話を聞いて目を丸くした六助と親友のガンさん(高橋英樹)。二人とも進歩的な青年をもって任じているだけあって、大いに新子に同情し力を合わせることを約束したが、折も折、三人が街を歩いていると浅子たちがやって来たのでまたまた一騒動である。問題は日毎に大きくなった。父兄たちの反響、ことにPTA会長の井口(三島雅夫)の怒りを恐れた校長(下元勉)は職員会議を聞いて善処を要望したが、教員の殆んどは雪子の行き過ぎを非難した。ただ、沼田だけが雪子を支持し励ました。井口は雪子と新子、それに沼田の締め出しにかかった。沼田もすぐ雪子、新子それに六助とガンさんを呼んで対策をねった。そしてPTA会議、六助とガンさんも父兄代表に化けてのりこみ断固として井口一派と対決するのだった。

青い山脈青い山脈
吉永小百合、進千賀子

題名:青い山脈
監督:西河克己
企画:坂上静翁
原作:石坂洋次郎
脚本:井手俊郎、西河克己
撮影:萩原憲治
照明:安藤真之助
録音:中村敏夫
編集:鈴木晄
音楽:池田正義
現像:東洋現像所
製作主任:亀井欽一
助監督:白鳥信一
色彩計測:前田米造
スチール:斎藤誠一
出演:吉永小百合、浜田光夫、芦川いづみ、二谷英明、高橋英樹、田代みどり、南田洋子、松尾嘉代、下元勉、織田政雄、井上昭文、殿山泰司、浜村純、藤村有弘、北林谷栄、進千賀子、三島雅夫、左卜全
1962年日本・日活/シネスコサイズ・カラー99分35mmフィルム
青い山脈 HDリマスター版 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

青い山脈青い山脈

青い山脈
吉永小百合

麗しの芦川いづみさん
青い山脈
青い山脈青い山脈
青い山脈青い山脈

映画「真空地帯」

真空地帯真空地帯
木村功                      木村功、三島雅夫

今回は山本薩夫監督1952年製作「真空地帯」をピックアップする。
本作は、旧日本軍の軍隊生活を本格的にリアリズムに徹して見事に描き出している。
撮影は、終戦後も残されていた佐倉連隊の元兵舎(千葉県佐倉市)が使用されたそうだ。
当時、新星映画社のプロデューサーであった岩崎昶氏は「日本の悲劇」「真空地帯」「ここに泉あり」を製作し、日本映画の良心を守り続け、映画評論家としも著名な方だ。
本作は私の生まれる前の作品だが、1974年頃に先生とお会いする事が出来た。先生は、若き映画少年の戯言に耳を傾けて下さり、土本典昭監督、成島東一郎撮影監督を紹介して下さり、大変お世話になった。その後、私は紹介先のプロダクションで製作見習いを半年程させて戴き、撮影部見習いを始める事になった。1981年9月16日にお亡くなりになり、後日お仏壇に手を合わさせて戴いたのを思い出す。

真空地帯真空地帯

【ストリー】
週番士官の金入れを盗んだというかどで、二年間服役していた木谷一等兵は、敗戦の前年の冬に大坂の原隊に帰っていた。彼は入隊後二年目にすぐ入獄したのですでに四年兵だったが、中隊には同年兵は全くおらず、出むかえに来た立澤准尉も班長の吉田、大住軍曹も全く見覚えのない人々であった。部隊の様子はすっかり変わってた。木谷に対する班内の反応はさまざまであった。彼は名目上病院帰りとなっていたが、何もせず寝台の上に坐ったきりの彼は古年兵達の反感と疑惑をつのらせた。木谷が金入れをとったのは偶然であった。しかし被害者の林中尉は当時反対派の中堀中尉と経理委員の地位を争って居り、木谷は中堀派と思いこまれた事から林中尉の策動によって事件は拡大され、木谷の愛人山海樓の娼妓花枝のもとから押収された木谷の手紙の一寸した事も反軍的なものとして、一方的に審理は進められたのだった。兵隊達が唯一の楽しみにしている外出の日、外出の出来なかった木谷は班内でただ一人彼に好意をもっている曾田一等兵に軍隊のこうした出鱈目さを語るのだった。班内にはさまざまな人間がうごめいている。地野上等兵の獣性、補充兵達の猥褻な自慰、安西初年兵のエゴイズム。事務室要員の曾田は軍隊を「真空地帯」と呼んでいた。ここでは人間は強い圧力で人間らしさをふるいとられて一個の兵隊--真空管となるからだ。或日、野戦行十五名を出せという命令が出た。木谷は選外にあったが、曾田は陣営具倉庫で、金子班千葉県有為が隣室でしつこく木谷を野戦行きに廻す様に准尉に頼んでいるのを聞き驚いた。金子班長はあの事件の時中堀派の一人として木谷の面倒をみたのだが、今は木谷との関わり合いがうるさかったのだ。木谷が監獄帰りと聞こえがしに云う上等兵達の言葉に木谷は猛然と踊りかかっていった。木谷を監獄帰りにさせた真空地帯をぶちこわそうとする憎しみに燃えた鉄拳が彼等の頬に飛んだそれから木谷は最後の力をふりしぼって林中尉を探しまわった。彼に不利な証言をした林中尉に野戦行きの前に会わねば死んでも死にきれなかった。ついに二中隊の舎前で彼を発見した。彼の必死の弁解に対し木谷の拳骨は頬にとんだ。やがて、転属者が戦地に行く日が来た。花枝の写真を懐に抱いて船上の人となった木谷に、ようやく自分をきりきり舞いをさせた軍隊の機構、その実態のいくらかがわかりかけてきた。見知らぬ死の戦場へとおもむく乗組員達の捨てばちな野卑な歌声が隣から流れてくる。しかし木谷の眼からはもはや涙も流れなかった。

真空地帯真空地帯
岡田英次

題名:真空地帯
監督:山本薩夫
製作:岩崎昶、嵯峨善兵
原作:野間宏
脚本:山形雄策
撮影:前田實
照明:伊藤一男
録音:空閑昌敏
美術:川島泰三、平川透徹
音楽:団伊玖磨
出演:木村功、加藤嘉、西村晃一、岡田英次、利根はる恵、沼田曜一、川島雄夫、三島雅夫、佐野浅夫、下元勉
1952年日本・新星映画社/スタンダードサイズ・モノクロ129分35mmフィルム
真空地帯 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

真空地帯真空地帯
利根はる恵

映画「日本列島」

日本列島日本列島
宇野重吉

今回は熊井啓監督1965年製作「日本列島」高評価作品sをピックアップする。
吉原公一郎氏の同名原作を映画化したものだが「帝銀事件死刑囚」で日活から監督デビューした熊井啓氏がその翌年に撮った作品だ。本作は戦後の日本で起こった謎の多い諸事件を米国の謀略と関連付けて追及し、探究する表現力を持って完結させている。キャノン機関を思わせる謀略集団、下山・松川・三鷹事件、BOACスチュワーデス殺人事件等、戦後の混乱期に実際に起こった謎の事件が盛り込まれている。ご本人も著書で「日本軍部およびアメリカ占領軍は、歴史や事件の真実を秘匿した。それらを多少とも明らかにし、後世に伝える義務がある(戦争責任について)」と述べている。今の日本映画でこの様な反骨精神のある監督、スタッフ、作品は見当たらない。

日本列島日本列島
宇野重吉、二谷英明

【熊井啓監督作品】
1964年「帝銀事件 死刑囚」
1965年「日本列島」
1968年「黒部の太陽」
1970年「地の群れ」
1972年「忍ぶ川」
1973年「朝やけの詩」
1974年「サンダカン八番娼館 望郷」ベルリン国際映画祭銀熊賞・主演女優賞
1976年「北の岬」
1978年「お吟さま」※戦後日本映画で初の中国ロケ
1980年「天平の甍」
1981年「日本の熱い日々 謀殺・下山事件」
1986年「海と毒薬」国際映画祭審査員特別賞
1989年「千利休 本覺坊遺文」ヴェネツィア国際映画祭監督賞、シカゴ国際映画祭銀賞
1990年「式部物語」モントリオール世界映画祭芸術貢献賞
1992年「ひかりごけ」
1995年「深い河」モントリオール世界映画祭エキュメニカル賞
1997年「愛する」
2001年「日本の黒い夏─冤罪」ベルリン国際映画祭特別功労賞
2002年「海は見ていた」

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※熊井啓監督は2007年5月にお亡りにくなった。(満76歳没)

日本列島日本列島

【ストリー】
昭和34年秋SキャンプCID(犯罪調査課)のポラック中尉は、通訳主任秋山に、リミット曹長事件の解明を命令した。一年前、リミットが水死体となって発 見されるや、米軍は死体を本国に送還すると、日本の警察を無視して事故死と発表した。秋山はかつて最愛の妻が米兵に暴行を受け、事故死として死体が引渡さ れた事件を思い、怒りを新たにした。この事件を執拗に追う昭和新報記者の原島と共に、秋山は、警視庁捜査三課黒崎から、リミットが死の直前日本に出た贋ド ルを追っていたこと、そして、精巧なドイツ製印刷機とその技術者伊集院元少佐が消えた事実を知らされた。伊集院の一人娘和子を訪れた秋山は、伊集院が数年前正体不明の男に連れ去られ、涸沢と名乗る男が他言せぬよう家族を脅迫すると立ち去ったことを聞いた。涸 沢は米軍占領時代謀略機関で活躍した謎の男であった。昭和二十九年、贋ドルにまつわる信交会事件に、当時検事として立ち会った弁護士日高は、滝沢の部下 佐々木の口から、サン・ピエール教会を根城として、不良外国人がたむろすることを調べていた。佐々木を訪れた秋山、原島は、佐々木が滝沢にリミットが贋ド ルを追及していると知らせた事実を知り驚愕とした。やはりリミットは涸沢に消されたのか!数日後、佐々木は水死体となってあがった。突然秋山にポラック中 尉から調査中止命令が出た。秋山はキャンプをやめて調査を続行した。三十五年外国航空スチュワーデス椎名加代子が水死体となってあがった。容疑者として出頭したサンピエール教会サミエル神父は、取り調べの終らぬまま突然帰国した。多くの疑問を残したまま三年が過ぎた。三十八年、スペンサー大尉から沖縄に伊集院らしい男が陳陽成と名乗っていると聞き、秋山は和子に了解を得ると沖縄に飛んだ。だが秋山も、陳陽成と名乗る男も、何者かに殺害され、当局は真相は永久にわからぬだろうと発表した。昭和39年、この事件を追及するため沖縄に飛ぶ原島を和子は、励まし見送った・・・。

日本列島日本列島
芦川いづみ

題名:日本列島
監督:熊井啓
企画:大塚和
原作:吉原公一郎
脚本:熊井啓
撮影:姫田真佐久
照明:岩木保夫
録音:沼倉範夫
美術:千葉和彦
編集:丹治睦夫
音楽:伊福部昭
スチール:斎藤誠一
出演:宇野重吉、芦川いづみ、二谷英明、鈴木瑞穂、下元勉、滝秀治、武藤章生、佐野浅夫、内藤武敏、加藤嘉
1965年日本・日活/シネスコサイズ・モノクロ115分35mmフィルム
日本列島 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

日本列島日本列島
左から熊井啓監督・姫田真佐久氏(撮影)・岩木保夫氏(照明)キャメラはNC Michell 35mm
※撮影は1965年(昭和40年)2月15日~4月5日、延べ51日間で行われたそうだ。

 

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