映画「十階のモスキート」

十階のモスキート
「十階のモスキート」内田裕也
十階のモスキート十階のモスキート
内田裕也                         吉行和子

今回は崔洋一監督1983年製作「十階のモスキート」をピックアップする。
本作は、内田裕也氏が企画・脚本・主演を務め、崔洋一監督のデビュー作である。
内容は、万年係長の交番勤務の警官が、無味乾燥な日々の中、サラ金地獄に陥り、ついに郵便局強盗を実行してしまうといったものだが、すべてが物悲しく映っている。
破滅に向かって進む人物像は、想定内の物語ではあるが「餌食(若松孝二監督1979年)」「水のないプール(若松孝二監督1981年)」そして本作でも内田裕也氏が演じたから成立した固有な作品になっている事は間違いない。全編ロケーション撮影は、千葉県君津市で主に行われたそうだ。

十階のモスキート
「十階のモスキート」中村れい子
十階のモスキート十階のモスキート
中村れい子                        佐藤慶

【ストリー】
男(内田裕也)は万年係長のサエない警察官で、妻のTOSHIE(吉行和子)はそんな男に愛想をつかし、娘のRIE(小泉今日子)を引き取って離婚していた。娘は原宿のロックンロール族に狂い、時々、男に金をせびりに来るが、男は娘にだけは甘い。団地の十階に住み、毎月の慰謝料や養育費もとどこおりがちな男の気晴らしは、スナック・ヒーローで酒を飲むことと、その店の女、KEIKO(中村れい子)とのセックスだ。男はいつも落ちている昇進試験のためにサラ金から借金をしてパソコンを購入する。男は妻への支払い、サラ金への返済で出費がかさみ、競艇に手を出し、さらにサラ金から金を借りるという悪循環が続き、とうとう、返済の催促は交番にまで及んだ。追いつめられた男は、自分の部屋に駆けつけると窓からパソコンを放り投げる。男は、その足で郵便局に押し入り、金を出せと拳銃を乱射する。郵便局の外にはパトカー、TV局やヤジ馬が殺到している。やがて、群集が見守る中、男は同僚の警官にかかえられ、手錠をかけられたまま連れ出されてくるのだった。

十階のモスキート十階のモスキート
小泉今日子                        アン・ルイス
十階のモスキート十階のモスキート
横山やすし                      ビートたけし

題名:十階のモスキート
監督:崔洋一
企画:内田裕也
製作:結城良煕
脚本:内田裕也、崔洋一
撮影:森勝
照明:小山勲
録音:佐藤富士男
音効:坂井三郎
美術:細石照美
装飾:落合亮司、橋本良二
結髪:榊原暁美 (山田かつら)
衣裳:第一衣裳
記録:中川初子
編集:山田真司
音楽:大野克夫 挿入歌:白竜「誰のためでもない」選曲:小野寺修
現像:東洋現像所
製作担当:栗原啓祐
製作進行:小橋孝裕
俳優担当:笹岡幸三郎
助監督:磯村一路
監督助手:平山秀幸、福岡芳穂、増本千尋
撮影助手:喜久村徳章、寺沼範雄、五十嵐英弘
照明助手:金沢正夫、白石宏明、井上英一、関野高弘
美術助手:山田正徳
編集助手:北沢良雄
録音スタジオ:にっかつスタジオセンター
制作協力:内野二郎
車両:富士映画
スチール:中島俊雄
出演:内田裕也、吉行和子、中村れい子、風祭ゆき、宮下順子、小泉今日子、アン・ルイス、佐藤慶、ビートたけし、横山やすし、阿藤海、清水宏、下元史朗、梅津栄、小林稔侍、安岡力也
1983年日本・ニュー・センチュリー・プロデューサーズ/ビスタサイズ・カラー108分35mmフィルム
十階のモスキート -DVD-
2019年6月現在、DVDレンタルはありません。

十階のモスキート十階のモスキート
中村れい子                       風祭ゆき
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十階のモスキート

映画「コミック雑誌なんかいらない!」


「コミック雑誌なんかいらない!」内田裕也

内田裕也                         麻生祐未

今回は滝田洋二郎監督1985年製作「コミック雑誌なんかいらない!」をピックアップする。
本作は、獅子プロダクションで助監督として入門し、ピンク映画で監督昇進した滝田洋二郎監督が、主演と企画・脚本を務めた内田裕也さんに指名されて制作した作品である。虚実入り混じった斬新な構成で、一般映画第一作という事もあり、力の入った演出は高い評価を受け、後の2008年「おくりびと」では、日本映画初の第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞している。

本作は、1985年に実際に日本で起きた事件をバックグラウンドに、テレビ業界とジャーナリズムの嘘を問いかける内容だ。
豊田商事事件は事実を精査して描き出し、クライマックスの会長刺殺においてのビートたけしさんの狂気がよりリアルなものにしている。ロス疑惑事件では、渦中の三浦和義氏の自然なやり取りが芝居だという事に驚き、山口組と一和会の抗争については、VTRのキネコ映像であったが、芝居ではなく現実の画であった。芸能人のスキャンダルは全て仕込みだが、本人が何組か登場しているのも凄い。これらの出来事をリアルタイムで見ていた者にとって、事件現場に役者を放り投げる手法は、衝撃的で新しかった。しかしこれは、内田裕也さんだから出来たのだと思う。顔つきも物腰も柔和な今時の役者では、想像すら出来ない。
本作を見返して、2019年3月17日に他界された事がほんとに残念だと思う。合掌。

※本作は1985年秋に東映化工で初号試写をし完成したが、翌年2月公開まで配給先が決まらなかった。

【1985年に登場する事件等】
豊田商事事件、豊田商事会長刺殺事件
日航ジャンボ機墜落事故
山口組と一和会の抗争(山一抗争)
ロス疑惑(三浦和義氏が作品内に出演)
松田聖子さんと神田正輝さんの結婚(松田さんと以前交際していたとされる郷ひろみさんが出演)
桃井かおりさんと高平哲郎さんとの交際(桃井さんが作品内に出演)


「コミック雑誌なんかいらない!」桃井かおり

桃井かおり、内田裕也               三浦和義、内田裕也

【ストリー】
テレビワイドショーのレポーター、キナメリ(内田裕也)は突撃取材で人気がある。妻(渡辺えり子)は生コマーシャル・タレントだが、二人の時間帯はまったくかみ合わない。ハードなスケジュールで動くキナメリは、朝食ではパンにビタミン剤をはさんで食べている。その日も、成田から飛び立つ桃井かおりに、放送作家の高平哲郎氏との恋愛についてマイクを向けていたが、まるで相手にされなかった。しかし、ワイドショーの司会者(小松方正)はそのコケにされ方がいいと誉める。キナメリは、あるときは運送屋に変装して人気タレントを追い、バリ島から帰ってきた三浦和義を成田で待ちうけた。町を歩けば娘たちにサインを求められる。ある晩、キナメリは馴染みのバーに入ると、そこにはロックン・ローラーの桑名正博と安岡力也がおり、かつて大麻で捕ったときに、二人はキナメリに手痛い目に合わされたことがあった。二人はキナメリにからみ、店から追い出してしまう。キナメリの表情は思いを内に秘めたようにクールだ。松田聖子、神田正輝の結婚式が近づいており、キナメリは聖子の家に張り込み、彼女が喜びのあまり、風呂場で唄う「お嫁サンバ」を録音することに成功するが、電信柱に昇っているところを警官に捕ってしまう。警察ではこっぴどく叱られ、始末書を書かされるが、プロデューサー(原田芳雄)はどんどん過激にやれ、後の面倒は局が見るからとキナメリを煽る。キナメリは聖子・正輝の結娘式ではガードマンに殴られ、準備中と札の出ているフルハムロード・ヨシエに入って三浦和義にマイクを向けてコーラを浴びせかけられてしまう。彼は大阪に向かい、山口組、一和会の抗争の取材もする。その頃、彼のマンションの隣りに住む老人(殿山泰司)が、セールス・ウーマンから金を2,000万円で買ったという話を聞く。疑問を抱いたキナメリは独自に、金の信用販売会社を捜索し始めた。その頃、キナメリの取材が行き過ぎということで、彼は夜の番組に移されることになり、風俗産業をレポートすることになる。その番組で、金の信用販売についてレポートしたいとプロデューサーに提案するが相手にされない。夜の新宿を歩くキナメリは、アルタの壁面のビデオで三浦が逮捕されたことを知った。ある日、ホストクラブを取材し、一日ホストを勤めた彼は、ある女(志水季里子)に買われホテルに入る。女は激しく体を求め、終ると、金の替りに数百万円の金の証明書を彼に渡した。数日後、テレビのニュースで女が、ガス爆発で自殺したことを知り、彼はハッとして隣りの老人のドアを叩くが返事はなく、数日分の新聞がたまっていた。日航機の堕落を取材したキナメリは東京に戻り、金の信用販売会社、社長のマンションに向かうと、そこに二人組の男が現れ、取材陣の前で窓を破って中に入ると、アッという間に社長を刺殺してしまう。後を追って中に入ったキナメリも傷を負ってしまう。部屋から出て来たキナメリに、他の取材陣は室内の情況を訊くが、彼は口を開かない。取材陣がキナメリをののしると、彼はポツリと“I can’t speek fucking Japanese”と呟いた。


小松方正、内田裕也、原田芳雄              渡辺えり子

題名:コミック雑誌なんかいらない!
監督:滝田洋二郎
企画:内田裕也
製作総指揮:海野義幸
製作:多賀英典、内野二郎、岡田裕
脚本:内田裕也、高木功
撮影:志賀葉一
照明:金沢正夫
特機:N.K特機
録音:杉崎喬
美術:大澤稔
装飾:石田登、矢ノ口栄子
美粧:榊原あけみ
衣裳:岡敏明
記録:高山秀子
編集:酒井正次
音楽:大野克夫
撮影機材:日本映機
照明機材:ハイ・ライト
現像:東映化学
製作主任:田中雅夫
製作進行:望月政雄、竹内正樹
演技事務:杉田広、木原昌彦
助監督:藤原幣吉
監督助手:佐々部清、小久保利巳、山田吉紀
撮影助手:栢野直樹、坂江正明、片山浩
照明助手:吉角荘介、井上英一、渡辺豊
録音助手:辻健太郎、和田覚
編集助手:高藤雅志
制作協力:増田通二
スチール:中島俊雄
出演:内田裕也、麻生祐未、渡辺えり子、村上里佳子、小田かおる、片桐はいり、おニャン子クラブ、桑名正博、安岡力也、逸見政孝、嶋大輔、片岡鶴太郎、殿山泰司、常田富士男、河原さぶ、小松方正、港雄一、久保新ニ、篠原勝之、下元史朗、螢雪次郎、ルパン鈴木、池島ゆたか、桃井かおり、原田芳雄、横澤彪、三浦和義、ビートたけし、スティービー原田、郷ひろみ
1985年日本・ニュー・センチュリー・プロデューサーズ/ビスタサイズ・カラー124分35mmフィルム
コミック雑誌なんかいらない! -DVD-
2019年4月現在、DVDレンタルはありません。


郷ひろみ                   おニャン子クラブ、内田裕也

安岡力也、内田裕也                内田裕也、殿山泰司

内田裕也、ビートたけし               内田裕也

「コミック雑誌なんかいらない!」ビートたけし

内田裕也                    コミック雑誌なんかいらない!

映画「われに撃つ用意あり」


原田芳雄                        桃井かおり

今回は若松孝二監督1990年製作「われに撃つ用意あり(READY TO SHOOT)」をピックアップする。
本作は、全共闘で戦った主人公が、ヤクザから逃げる不法入国のベトナム女性を助ける事によって、全共闘世代の仲間達のその後が炙り出される。本作の一面で、あの時代の総括として訴求したと思うのは深読みなのか?初見の方は、60年代後半~70年代の若松孝二監督作品を観てから本作を観るべきである。

作品リスト


ルー・シュウリン                    蟹江敬三

【ストリー】
新宿・歌舞伎町。スナック“カシュカシュ”のマスター郷田克彦(原田芳雄)の前に、ヤクザに追われている女が現れる。女の名はヤン・メイラン(ルー・シュウリン)、ベトナム人である。その頃、外では桜道会系戸井田組々長が銃殺される事件が発生し、新宿署のマル暴刑事・軍司(蟹江敬三)が捜査を開始していた。殺人現場にはVHS-Cビデオのアダプターが残されていたが中身のテープはなかった。一方“カシュカシュ”では20年間続いたこの店の閉店パーティが行なわれており、克彦のかつての全共闘の同志である季律子(桃井かおり)、秋川(石橋蓮司)、三宅ら(小倉一郎)が集っていた。中にはメイランの姿も見え、実は彼女がベトナム難民であり、偽造パスポートを持つ密入国者であることが判明する。逃走のためのパスポートを取りに店を出たメイランは、戸井田組に追われるが克彦はそんな彼女を救出するのだった。一方、事件を追う軍司は、戸井田組がタイの女にパスポートをネタに売春させ、その女に組長が殺されたらしいことと、女がビデオテープを持っていることをつきとめた。時を同じくして香港ヤクザが戸井田組々員を殺害する事件が起り、そこで軍司はビデオテープを発見する。それは桜道会桜田のフィリピン女の殺人シーンだった。メイランは克彦と仲間に戸井田に脅され、犯されそうになった時、銃が暴発して戸井田を殺してしまったことを打ち明ける。そして対策を練っていた時、秋川が香港ヤクザに殺されてしまい、メイランもさらわれてしまう。克彦は一人でメイランを救出することを決意する。そんな克彦と行動を共にする季律子。リボルバーを手に香港ヤクザのいるフィリピンパブへ向う二人は、ヤクザと警察を向こうに激しい銃撃戦の末、メイランを無事逃がす。そして、負傷した二人は互いを支え合いながら薄れかける意識の中で笑い合うのだった。


麿赤児

題名:われに撃つ用意あり
英題:READY TO SHOOT
監督:若松孝二
企画・製作:若松孝二
製作:清水一夫
原作:佐々木譲「真夜中の遠い彼方」
脚本:丸内敏治
撮影:伊東英男、田中一成、佐久間栄一
照明:安河内央之
録音:栗林豊彦
美粧:大石聖子
編集:鈴木歓、遠山千秋
音楽:梅津和時 主題歌:原田芳雄「新宿心中」「魂の1/2」
フィルム:イーストマンコダック
撮影機材:ナック (Arriflex)
現像:東映化学 タイミング:新井喜久也
助監督:田代廣孝
製作協力:花田企画
モデルガン:BIG SHOT
スチール:佐々木美智子
出演:原田芳雄、桃井かおり、ルー・シュウリン、蟹江敬三、石橋蓮司、松田ケイジ、室田日出男、吉澤健、山口美也子、小倉一郎、西岡徳馬、佐野史郎、山谷初男、麿赤児、外波山文明、下元史朗、又野誠治
1990年日本・若松プロダクションシ+松竹/ビスタサイズ・カラー106分35mmフィルム
われに撃つ用意あり -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


石橋蓮司                                            松田ケイジ、桃井かおり、原田芳雄、ルー・シュウリン

われに撃つ用意あり」原田芳雄、桃井かおり 新宿歌舞伎町コマ劇場前(現在はありません)