映画「世界大戦争」

世界大戦争世界大戦争
フランキー堺                       宝田明
世界大戦争世界大戦争
星由里子                           乙羽信子

今回は松林宗恵監督1961年製作「世界大戦争」をピックアップする。
本作は、冷たい戦争と呼ばれた自由主義陣営と共産主義陣営との世界的対立構造と1947年の米国のマーシャル・プラン以降のヨーロッパに於ける東西軍事ブロックの確立、そして1961年にキューバ危機が起こり、ほんとうに核戦争の危機が迫った時代に作られた真に迫った作品である。当時の製作費で3億円、構想3年、4千名を越すエキストラ、そして特撮班が総力を挙げて水爆に見舞われた東京の姿を描き出している。東京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、モスクワが、核ミサイルによって破壊されるクライマックスシーンは、天地を逆にしたミニチュアの下から圧縮空気を吹き出させる方法で撮影されたそうだ。

世界大戦争世界大戦争
笠智衆、白川由美                     山村聡

【ストリー】
世界各地に連鎖反応的に起りつつある侵略と闘争は、全人類の平和を危機に追いつめていた。核戦争の鍵を握る同盟国側と連邦国側は、一触即発の状態を続けていた。戦争が始まったら、間違って押したボタン一つからでも音速の十倍以上で飛んでくるミサイルが、全人類を灰にし、地球は取返しのつかないことになってしまう。全人類が一つになって原水爆禁止のための何かをしなければならないのだ。アメリカ・プレス・クラブの運転手田村茂吉(フランキー堺)は裸一貫からささやかな幸せを築いてきた。娘冴子(星由里子)と二階にいる通信技師高野(宝田明)とは恋人同士で原水爆のことを真剣に考えていた。貨物船笠置丸船上で、突然夜空にオレンジ色から紫紅色へと膨らむ不思議な物体を見た高野は、冴子のもとへの帰途、胃潰瘍手術で九死に一生を得た船のコック長江原(笠智衆)を見舞った。彼は保母をやっている娘早苗(白川由美)や子供達に囲まれて生きる素晴しさを感じていた。連邦軍基地で核弾頭を装填したミサイルが手違いで発射されそうになった折、同盟国ICBM陣地でも作業員のミスからダイナマイトが暴発、核弾庫の誘爆の危機に襲われた。そうなれば世界は破滅だと判断した司令官は命を賭して起爆装置をはずした。皆、一兵卒に至る迄心から平和を念じているのだが……平和の願いはパリ首脳会談に託された。記者ワトキンス(ジェリー伊藤)を車で送った茂吉はこれらの状勢は金儲けのための株の変動への期待としか考えられなかった。そして神経痛に顔を歪めるお由(乙羽信子)に代って、庭にチューリップの球根を埋めてやるのだった。バーング海上で連邦軍と同盟軍編隊機の衝突から戦闘状態に入り、くすぶり続けた各地の侵略と闘争は再開され、日本政府は徒らに平和と停戦を呼び続けるのみだった。日本国内基地から飛び立った連邦軍爆撃機への報復として、同盟国の原子爆弾はロケットを発射し、東京は混乱の巷と化し、恐怖は全ての人を捉えた。保育園では早苗がなす術もなく、逃げまどう人々の心には平和を願い続けたのになぜ殺されねばならないのだ!と一様に去来した。冴子は無電機で高野の送信をキャッチした。「コーフクダッタネ……」やがて火球が東京を包み第三次世界大戦が勃発、巨大なビルは破片となって散り、全てが数万度の熱に晒された。ニューヨークでもパリでもモスコーでも……津波の後の静かな洋上を笠置丸は再び東京へ向っていた。東京の最期を見たのは高野達乗組員だけだろう。流れくる放射能のために生きて戻ることは不可能でも高野は帰りたいと思った。全世界がもっと早く声を揃えて戦争を反対すればよかったものを……あらゆる良識を無視して世界大戦は勃発し、そして終ったのだ。

世界大戦争世界大戦争
世界大戦争(THE LAST WAR)
世界大戦争世界大戦争
フランキー堺、星由里子、乙羽信子            東野英治郎

題名:世界大戦争
英題:THE LAST WAR
監督:松林宗恵
製作:藤本真澄、田中友幸
脚本:八住利雄、木村武
撮影:西垣六郎
照明:森弘充
特機:矢島袈裟夫、加賀見正友
録音:矢野口文雄
整音:下永尚
音響:北沢靖 (パースペクタ立体音響)
美術:北猛夫、安倍輝明
大道具:小川重太郎、田中喜一、大谷忠雄
舞台組付:徳竹信義
小道具:建守末好、佐伯慎也
衣裳:岩井正晴
結髪:鈴木和子
記録:米山久江
編集:岩下広一
音楽:団伊玖磨
現像:東洋現像所 合成:向山宏
製作担当:森本朴
製作進行:江口英彦
演技事務:松山元計
助監督:田実泰良
監督助手:岩内克己、砂原博泰、千葉隆司
撮影助手:永井仙吉、志田篤弘、宝田武久、入口勝男
照明助手:秋池深仁、大口良雄、宮下義雄、北川忠利
録音助手:田中信行、山田守、影山修
美術助手:育野重一、鈴木一八、秋森直美
【特殊技術】
監督:円谷英二
撮影:有川貞昌、富岡素敬
美術:渡辺明
照明:岸田九一郎
特機:中代文雄
火薬:山本久蔵、渡辺忠昭
石膏:利光貞三、安丸信行
造型・造形:利光貞三、八木康栄、八木勘寿、開米栄三
光学撮影:幸隆生、徳政義行
合成撮影:三瓶一信、鵜飼啓一
合成作画:石井義雄、塚田猛昭
光学作画:幸隆生、飯塚定雄、茂田江津子、黒川博通
編集:石井清子
製作担当:成田貫
製作進行:関和郎
助監督:浅井正勝
スチール:田中一清
出演:フランキー堺、宝田明、星由里子、乙羽信子、白川由美、笠智衆、ジェリー伊藤、東野英治郎、山村聡、上原謙、河津清三郎、中村伸郎、中北千枝子、富永裕子、阿部浩司
1961年日本・東宝/東宝スコープ(シネスコサイズ)・カラー110分35mmフィルム
世界大戦争 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

世界大戦争世界大戦争
星由里子、宝田明                      星由里子
世界大戦争世界大戦争
世界大戦争(THE LAST WAR)

映画「静かなる決闘」


三船敏郎                              三条美紀

今回は黒澤明監督1949年製作「静かなる決闘」をピックアップする。
本作は、東宝が第3次東宝争議によって映画撮影が困難だった時期に、黒澤監督は、山本嘉次郎、谷口千吉、本木荘二郎らと映画芸術協会を設立して東宝を脱退し、大映で制作した作品。前作「酔いどれ天使(東宝制作)」に続いて三船敏郎さんと志村喬さんが共演し、志村喬さんは同じ医師役である。本作を見終わって、黒澤明監督のテーマの選び方と先見性の凄さに驚かされる。


三船敏郎、志村喬                    千石規子、三船敏郎

【ストリー】
藤崎恭二(三船敏郎)は軍医であった。前線の野戦病院、次から次に運び込まれる負傷兵、患者、恭二は休む暇もなく手術台の側に立ち続けねばならなかった。陸軍上等兵中田龍夫(植村謙二郎)は下腹部盲腸で一命危ないところを、恭二の心魂こめた手術が成功してとりとめた。ところが中田は相当悪性の梅毒で、恭二はちょっとした不注意のため小指にキズを作り、それから病毒に感染した。敗戦後、恭二は父親(志村喬)の病院で献身的に働いていた。が、薬品のない戦地で、恭二の病気は相当にこじれていた。父にも打ち明けず、彼は深夜ひそかにサルバルサンの注射を打ち続けていた。思わしい効果は現れて来なかった。彼には許婚者松木美佐緒(三条美紀)という優しい女性があった。彼女にも無論病気の事は話してなかった。復員後すっかり変わってしまった恭二に美佐緒は何としても納得しかねる気持ちがあった。6年間も待ちつづけた恋しい人だったのに。まるで結婚の事は考えていない様子の恭二、隠している事があるに違いないのだ。彼女は根ほり葉ほり聞きだそうとしているが、一ツの線からは一歩も踏み込ませようとしない。間に入って困る父親、そして遂に何もかも判る時が来た。


三条美紀、三船敏郎                三船敏郎、町田博子、中北千枝子

題名:静かなる決闘
監督:黒澤明
企画:本木荘二郎、市川久夫
原作:菊田一夫「堕胎医」
脚本:黒澤明、谷口千吉
撮影:相坂操一
照明:柴田恒吉
録音:長谷川光雄
音効:花岡勝次郎
美術:今井高一
装置:石崎喜一
小道具:神田一郎
背景:西牧恭平
園芸:坂根喜次郎
電飾:横手三四郎
技髪:牧野正雄
結髪:田中つねえ
衣裳:藤木しげ
移動:大久保松雄
編集:辻井正則
記録:古川八千恵
音楽:伊福部昭
製作主任:川本武夫
俳優事務:相川好子
出演:三船敏郎、志村喬、三条美紀、千石規子、植村謙二郎、中北千枝子、宮崎準之助、山口勇、松本茂
1949年日本・大映東京撮影所/スタンダードサイズ・モノクロ94分
静かなる決闘 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


三船敏郎、植村謙二郎                      三船敏郎

静かなる決闘

映画「稲妻」


高峰秀子

今回は成瀬巳喜男監督1952年製作「稲妻」をピックアップする。
本作は黒澤明、小津安二郎、溝口健二と並び称される名匠、成瀬巳喜男監督が「おかあさん」に次いで高峰秀子さんを主演に迎えて女の弱さ、醜さ、美しさを描いたものだ。昭和27年の東京の知る由もない風景に感動する。


浦辺粂子、高峰秀子              小沢栄太郎、三浦光子

【ストリー】
清子(高峰秀子)は観光バスの案内嬢をしているが、次姉の光子(三浦光子)も長姉の縫子(村田知栄子)も結婚している。この三人と兄の嘉助(丸山修)とは、母おせい(浦辺粂子)が腹をいため子であったが、四人とも父がちがっていた。縫子が清子に両国のパン屋の綱吉(小沢栄太郎)との縁談を持って来たが、清子には縫子夫婦が、それを種に金儲けのうまい綱吉を利用しようとしている腹が見えていやだった。次姉の夫呂平が急死するが、その後に妾のリツ(中北千枝子)と子供が残されていたことがわかった。光子は泣くに泣けないような気持で、綱吉の新しくはじめた渋谷の温泉旅館へ手伝いに行くが、そこへ縫子は女房気取りでいりびたってしまい、無能な夫の龍三(植村謙二郎)は仕方なくおせいの許へころげ込んで来るのだった。それでも綱吉は図々しく清子を追いかけていたが、彼女がおせいの許を出て、杉山とめの家に下宿して一人の生活をはじめると、自分の望みに見込みのないことを悟り、嘉助の就職の件をご破算にしてしまうような男だった。光子は呂平の保険金がはいると喫茶店をはじめるが、綱吉はその光子の許へも旦那然とはいり込んでしまうのだった。しかし清子はとめの家の隣家国宗周三(根上淳)とその妹のつぼみ(香川京子)と知り合いになり、清らかな生活雰囲気にほっとした気持になるのだった。ある日おぬいが清子の下宿へたずねて来た。縫子と綱吉を間にしてもつれた光子が行方不明になったという。清子になぐさめられ、彼女の虎の子の貯金をもらったおぬいは、折からの稲妻に、稲妻のきらいだった光子はきっと帰ってくるよと、家路へ急ぐのだった。


村田知栄子                    香川京子、根上淳

題名:稲妻
監督:成瀬巳喜男
企画:根岸省三
原作:林芙美子
脚本:田中澄江
撮影:峰重義
照明:安藤慎之助
録音:西井憲一
美術:仲美喜雄
音楽:齋藤一郎
出演:高峰秀子、三浦光子、村田知英子、小沢栄、丸山修、浦辺粂子、植村謙二郎、中北千枝子、根上淳、香川京子
1952年日本・大映東京撮影所/スタンダードサイズ・モノクロ87分35mmフィルム
稲妻 -DVD-
2019年6月現在、DVDレンタルはありません。

1 2 3