映画「新 仁義なき戦い 組長最後の日」


菅原文太                      松原智恵子

今回は深作欣二監督1976年製作「新 仁義なき戦い 組長最後の日」をピックアップする。
“仁義なき戦い”シリーズ8作目の本作は、暴力団の抗争の中で常に上部組織に泣かされる弱小組織の男が、組長の命を狙い続ける執念を描いたものだ。深作欣二監督のシリーズ最後の監督作である。


和田浩治                      藤岡琢也

【ストリー】
坂本英光組長(小沢栄太郎)が統率する大阪の坂本組は、日本最強、最大の組織を誇る暴力団である。閏年の2月29日夜、坂本組と尼ケ崎・河原組の準構成員であるバイ人同志の縄張り争いでパンマが殺害され、抗争事件へと発展した。仲間を殺された坂本組系・米元組々員の中道(和田浩治)が、単身、河原組へ殴り込み、拳銃を乱射したため、河原組々員がその報復として、米元組長(藤岡琢也)を狙撃、次いで坂本組の事務所を爆破させた。これは、九州・広島・下関の組織からなる七人会のバック・アップを得た河原組の坂本組への挑戦だった。坂本組では緊急幹部会が開かれたが、河原組壊滅を唱える米元派と、警察の介入を恐れる松岡派との意見が対立した。一方、九州玄竜会では、坂本組の九州進攻作戦に備え、会長の船田(名和宏)、副会長の岩木(多々良純)以下、各組長が着々と準備を進めていた。老齢の岩木組組長の後継者と目される若者頭の野崎修一(菅原文太)は沈着冷静な男として評判が高いのだが、中道の女房・麻美(松原智恵子)が、野崎の妹であり唯一の肉親であるため、微妙な立場に立たされていた。阿蘇温泉で岩木が女マッサージ師によって殺された。米元の放った刺客であると睨んだ野崎は、寒川、伸吉他の子分を連れて大阪へ乗り込んだ。だが、その間に坂本、松岡、米元たちが小倉へ行き、船田と和解協定を結んだ。そして船田に説得された野崎は断腸の思いで復讐を諦らめるのだった。だが、野崎からの中止命令を待たずして米元の家に潜入していた殺し屋ジョーが、米元の妾と子分を殺してしまったために、烈火の如く怒った米元は船田に熱湯を浴びせかけ、再び険悪な空気が漂った。しかし、意外にも船田は、智恵者・松岡の提案した玄竜会には分の悪い和解に同調する腹づもりだった。ついに野崎は、船田の反対を押し切って、単独で坂本の首をとる決意をし、ハイウェイでドライブする坂本たちをダンプカーで襲った。だが、今一歩のところで、伸吉が運転を誤り失敗。野崎の首に500万円の賞金を賭け坂本組に謝罪した船田は、米元を破門し体面をつくろった松岡の絵図にまんまと陥っていくのだった。今や、手負い獅子となった野崎は、大阪に潜入、チャンスを狙っていた。そして野崎をつけ狙うチンピラ西本、子分でありながら裏切った寒川らを始末した野崎は、麻美の家を訪れた。九州の事件で片足を失った中道は、止める麻美を振り切り、野崎を撃とうとするが、車に轢ねられ即死してしまった。そして野崎は、天王寺駅でついに坂本を追いつめたが、坂本は発病して救急車で病院に運ばれ、野崎もまた坂本の子分に撃たれ、逮捕されて警察病院に運ばれた。しかし、麻美、伸吉の協力を得て病院から脱出した野崎は、坂本の病院先へ向かった。そして、付き添いの松岡を振り切り、今では枯木同然に横たわる坂本に向って、引き金を引いた……。


横山リエ                      桜木健一

題名:新 仁義なき戦い 組長最後の日
監督:深作欣二
企画:日下部五朗、橋本慶一、奈村協
脚本:高田宏治
撮影:中島徹
照明:増田悦章
録音:中山茂二
美術:雨森義允
装置:近藤幸一
装飾:柴田澄臣
背景:平松敬一郎
美粧:伊藤実
結髪:福本るみ
衣装:岩道保
技斗:上野隆三
編集:市田勇
記録:田中美佐江
音楽:津島利章
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学
製作主任:伊藤彰操
演技事務:森村英次
助監督:野田和男
スチール:中山健司
出演:菅原文太、松原智恵子、和田浩治、桜木健一、地井武男、尾藤イサオ、小沢栄太郎、成田三樹夫、藤岡琢也、八名信夫、名和広、多々良純、中原早苗、三上寛、川谷拓三、横山リエ
1976年日本・東映/シネスコサイズ・カラー91分35mmフィルム
新仁義なき戦い 組長最後の日 -DVD-
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「新 仁義なき戦い 組長最後の日」成田三樹夫      菅原文太

映画「関東無宿」


今回は鈴木清順監督1963年製作「関東無宿」をピックアップかする。
本作は既成の任侠映画ではなく、鈴木清順監督の様式美を貫いた作品である。
演出も意表を突いたものであり、商業映画の既成概念を砕こうとしている。

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題名:関東無宿
監督:鈴木清順
企画:浅田健三
原作:平林たい子「地底の歌」
脚本:八木保太郎
撮影:峰重義
照明:三尾三郎
美術:木村威夫
録音:中村敏夫
音楽:池田正義
現像:東京現像所
編集:鈴木晃
製作担当:二反田実
助監督:葛生雅美
色彩計測:森勝
スチール:式田高一
出演:小林旭、松原智恵子、平田大三郎、伊藤弘子、中原早苗、伊藤雄之助、安部徹、野呂圭介、高品格、殿山泰司、江角英明、木島一郎
1963年日本・日活/シネスコサイズ・カラー92分35mmフィルム
関東無宿 -DVD-
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【訃報】
「ツィゴイネルワイゼン」「オペレッタ狸御殿」などで知られた映画監督の鈴木清順氏(すずき・せいじゅん、本名・鈴木清太郎=すずき・せいたろう)が2017年2月13日午後7時32分、慢性閉塞性肺疾患のため東京都内の病院で亡くなった。93歳。東京都出身。葬儀・告別式は故人の遺志により近親者のみで執り行われた。喪主は妻・崇子(たかこ)さん。1923年(大12)生まれ。1948年に松竹入り、54年に日活に移籍し、56年「港の乾杯 勝利をわが手に」で監督デビュー。赤木圭一郎主演の「素っ裸の年齢」、小林旭主演「関東無宿」、渡哲也主演「東京流れ者」、高橋英樹主演「けんかえれじい」など独特の色彩感覚を生かした作品で人気を集めた。のちにカルト的な人気となった1967年「殺しの烙印」を最後に「分からない映画ばかり撮る」と日活を解雇されたが、1971年に裁判の末に和解。1977年「悲恋物語」で監督業に復帰した。1980年「ツィゴイネルワイゼン」が国内外で高く評価され、ベルリン国際映画祭で審査員特別賞に輝いたほか、日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀監督賞などを受賞。その後、「陽炎座」「夢二」などを発表し、第58回カンヌ国際映画祭で栄誉上映特別作品として招待された2005年の「オペレッタ狸御殿」が遺作となった。1990年紫綬褒章。スポニチアネックス 2017/2/22(水) 14:52配信

【ストリー】
新聞の片隅にある「やくざの出入り、親分射殺さる」の小さな見出し、この小さなみだしの裏には、やくざの掟に反抗しながら、悲惨な宿命を背負った二人の男の物語があった。伊豆組の幹部鶴田光雄(小林旭)は、どこか知的な鋭さをもつ男であった。その鋭さが、彼の印象を非情で、油断のない人間にしていた。親分伊豆荘太(殿山泰司)が、心を許せないのもこんな彼にであった。最近擡頭著しい吉田組と、伊豆組は何にかとおりあいが悪かったが、土建の請負仕事の権利をめぐって、一触即発の状態であった。古田組の乾分、ダイヤモンドの冬(平田大三郎)は、ある日花子(中原早苗)という女子学生に遇ったが、その日から冬は花子が忘れられなくなった。しかし花子は伊豆組の乾分鉄(野呂圭介)に売り飛ばされてしまった。狂気のように探す冬を見た伊豆は、吉田組の復讐を恐れ、鶴田に鉄と花子を探し出すように命じた。ある賭場に来た鶴田は、女博徒辰子(伊藤弘子)に再会した。三年前賭場で知り会った二人は、忘れられない人になっていたのだ。辰子はイカサマ博打師おかる八(伊藤雄之助)と組み、客から金を捲きあげていた。思いあまった鶴田は冬の家を訪ねだが、そこで辰子を見て驚いた。辰子は冬の姉だったのだ。鶴田の胸に顔を埋める辰子、その時から鶴田は、辰子の男、“おかる八”との対決を決意していた。花子を失い、連日連夜賭博にふける冬を心配して相談する辰子と、鶴田の間には、ヤクザの掟はなく慕情だけがあった。突然鉄が、ダイヤモンドの冬に刺されたと聞いた伊豆荘太は、鶴田の無能さをなじった。何事かを決意した鶴田は賭場に返した。突如数人の暴漢にかこまれた鶴田は、二人を一瞬に切って捨てた。その頃冬もまた吉田の命令で伊豆をドスで貫いていた。やくざの黒い掟に押し流された、若い二人はこうして社会から抹殺されていった。

映画「五番町夕霧楼」



松坂慶子                                              奥田瑛二

今回は山根成之監督1980年製作「五番町夕霧楼」をピックアップする。
本作は、家族を養うために丹後からきた少女とその幼馴染である学生僧との悲恋を描いている。舞台は、1958年の売春防止法施行まで存在していた京都の五番町遊廓だ。ベタな展開の物語で、少々退屈するが、俳優陣の上質な芝居で成立している作品である。金閣寺炎上というキーワードで言うならば、市川崑監督が1958年に製作した「炎上」の方が印象に残る。


浜木綿子                         長門裕之

佐分利信                        奈良岡朋子

【ストリー】
与謝半島の突端にある樽泊で木樵をしている片桐三左衛門(佐野浅夫)の長女、夕子(松坂慶子)は肺病の母と三人の妹をかかえ、家族のために京都西陣の五番町夕霧楼で働くことになった。一年の歳月が流れ、西陣帯の織元・甚造(長門裕之)との水揚げも済み、夕子は五番町で一、二を争う売れっ妓になっていた。ある日、夕霧楼に夕子の幼友達で、京都で修業を積む青年僧正順(奥田瑛二)がやってきた。その日以来二人の逢瀬は続く。貧乏修業僧の正順にかわって、夕子が費用を払っていた。正順は夕子を訪ねると、歌を唄い、話をして、彼女に指一本触れずに帰っていく。しかし、その逢瀬にも終りがやってきた。夕子を妾にしようとしていた甚造が、正順が修業している鳳閣寺の慈州(佐分利信)に廓通い告げたのだ。夕子はその頃から体の不調を訴え、肺病を患い入院してしまう。一方、さい銭をもって豪遊する寺の長老たちの姿を見て、立派な僧になることを念じ続けてきた正順は失望していた。そして、慈州とぶつかり、寺を飛び出した。夕霧楼で、夕子の入院を聞いて正順は病院へ急いだ。寺以外に生きる場所のない正順の思いつめた姿に、夕子はただならぬものを感じた。正順は「復讐してやる!」と言うと夕子を抱いた。怒りと悲しみをぶつけるかのように夕子を抱く。正順に応えるかのように夕子もがむしゃらにしがみつく。激しく切なく燃える最初で最後の愛。鳳閣寺が炎上したのはその晩であった。怒りに震える手で寺に火をつけた正順は、仏像に体をくくりつけ夕子の名を叫びながら焼死していった。新聞で事件を知った夕子は、与謝へ帰り、正順を追って自ら生命を絶つのだった……


風吹ジュン                    根岸季衣、松坂慶子

佐野浅夫                         横内正

題名:五番町夕霧楼
監督:山根成之
製作:樋口清
原作:水上勉
脚本:中島丈博
撮影:坂本典隆
照明:八亀実
録音:平松時夫
調音:小尾幸魚
美術:横山豊
装置:森勇
装飾:剣持政司
衣裳:松竹衣装
考証:小泉清子(衣裳)
編集:石井巌
音楽:岸田智史、田辺信一 主題歌:岸田智史「五番町夕霧楼」
現像:東京現像所
製作補佐:中川完治
製作主任:峰順一
製作進行:中沢宣明、水島誉志次
助監督:長尾啓司
スチール:長谷川宗平
出演:松坂慶子、奥田瑛二、浜木綿子、長門裕之、奈良岡朋子、加藤嘉、佐分利信、佐野浅夫、横内正、風吹ジュン、根岸季衣、水島美奈子、宇佐美恵子、中島葵、中原早苗、織本順吉、山谷初男、林ゆたか、清水石あけみ、佐々木梨里、佐久田修
1980年日本・松竹/ビスタサイズ・カラー129分35mmフィルム
五番町夕霧楼 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


五番町夕霧楼

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