映画「生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言」


倍賞美津子                       平田満

今回は森崎東監督1985年製作「生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言」をピックアップする。
本作の時代背景は、1979年に起きたスリーマイル島原発事故以降、原発に対する不安が世界的に高まり原発への信頼は急激に揺らぐ中、本作公開の翌年に歴史上最大の原発事故が、ロシアのチェルノブイリ原発で起きる。そして2011年3月11日に起こった東日本大震災は、15mの津波に襲われた東京電力福島第一原子力発電所は、1~5号機で全交流電源を喪失し、原子炉を冷却できなくなり、1号炉・2号炉・3号炉で炉心溶融(メルトダウン)が発生し、大量の放射性物質の漏洩を伴う重大な原子力事故である。これで原発は絶対安全という神話は根底から崩壊した。

本作は、時代を先取りし正しい視点に立った作品であり、原発ジプシー、ジャパユキサン(出稼ぎに来た女性外国人労働者)、コザ暴動(1970年12月20日)、校内暴力など深刻な社会問題をプロットに組み入れ、問題提起した優秀な作品だ。

【追記・訃報】
「喜劇・女は度胸」「時代屋の女房」など庶民の反骨精神を明るく描いてきた映画監督の森崎東(もりさき・あずま)さんが2020年7月16日死去した。92歳だった。1956年に松竹入社。野村芳太郎や山田洋次の助監督に付き、69年、「男はつらいよ」第1作の脚本を山田とともに執筆する。初監督は同年、山田の原案になる泥臭い人情ドラマ「喜劇・女は度胸」。翌年には「男はつらいよ フーテンの寅」を監督するが、過激な描写が寅さんの雰囲気に合わないとして、シリーズからはずされる。その後、「喜劇・女は男のふるさとヨ」「喜劇・女生きてます」など人情豊かな喜劇を監督。「喜劇ではなく怒劇」と自ら称するように、社会から虐げられている庶民の怒りを代弁する作品を生涯撮り続けた。75年フリーになり、「黒木太郎の愛と冒険」を発表するも不遇が続く。83年に古巣松竹で撮った夏目雅子主演の「時代屋の女房」がヒット。85年の「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」も話題を集めた。04年の「ニワトリはハダシだ」で芸術選奨文部科学大臣賞。認知症の母親の介護を明るくつづった13年公開の「ペコロスの母に会いに行く」が、キネマ旬報ベスト・テンの1位に選ばれた。これが最後の作品になった。
2020.7/17(金)12:00配信 朝日新聞デジタル


倍賞美津子、原田芳雄               平田満、倍賞美津子、上原由恵

【ストリー】
旅回りのストリッパー、バーバラ(倍賞美津子)が名古屋に帰って来た。沖縄集落の中のタケ子(小林トシ江)が経営する飯み屋の二階が彼女の住居で、内縁の夫・宮里(原田芳雄)と親友のアイコ(上原由恵)が待っているはずだった。その日は、バーバラの弟の正(片石隆弘)とタケ子の娘、タマ枝(竹本幸恵)、和男(久野真平)の不良中学生三人が修学旅行からはずされた腹イセに積立金強奪騒動を起こし、人質の野呂教諭(平田満)が縛られ、物干し台に転がされていた。宮里は原発を転々と渡り歩く労働者・原発ジプシーでヤクザの仲間入りをしている。バーバラとは沖縄のコザ暴動以来の間柄で、彼女はそろそろ、二人で堅気の仕事に就いて結婚したがっていた。バーバラは宮里の顔を見るや、アイコのことを聞く。アイコは福井の美浜で原発労働者相手の娼婦をさせられていて、宮里の手引きで逃げて来たが、前日、美浜へ帰ってしまっていた。バーバラは、宮里がやくざに寝返ってアイコを帰したと思い込み、学校をクビになった野呂を鞄持ちとして再びドサ回りの旅に出た。そして、美浜に向かう。殺されたと思っていたアイコは元気だった。彼女は好きな男、安次(泉谷しげる)を葬ったところであった。学校を追われた正たちも宮里と共に美浜に来ていた。事故で死んだという安次は、本当は原発で作業中に廃液漏れで被爆し、事故隠しの為にボート小屋に監禁されたのだった。アイコは一計を案じ、安次を死んだことにして埋葬するが、後日、やくざの目を盗んで安次を墓から掘り出し、バーバラと野呂を仲人に墓場で結婚式をあげる。二人は浜を急ぐが、海上の船から銃で撃たれてしまう。バーバラや正たちは、アイコと同じ境遇にあるフィリッピン女性のマリア(ジュビー・シバリオス)にもやくざの魔の手が迫っているのを知り、マリアを連れて名古屋にもどる。そして、老船長(殿山泰司)の船でフィリピンまでマリアを連れて密航しようと考えた。マリアを追ってやって来たやくざの戸張(小林稔侍)は、宮里にアイコ殺しの代人として自首しろという。宮里は拒否し、戸張を銃で撃つが、暫く後、戸張の子分に撃たれてしまう。よろよろと外に出る宮里をやくざとつながっている鎧刑事(梅宮辰夫)が待っていた。そして、瀕死の宮里から銃をもぎ取ったバーバラが刑事めがけて発砲する。


殿山泰司                         左とん平 

題名:生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言
監督:森崎東
製作:木下茂三郎
脚本:近藤昭二、大原清秀、森崎東
撮影:浜田毅
照明:長田達也
特機:NK特機
録音:武進
整音:席勇次郎
音効:帆苅幸雄 (東洋音響)
美術:高橋章
装飾:佐藤結樹、遠藤光男、中山誠
美粧:小張えり子 (STUDIO 717)
衣裳:京都衣裳
特効:大平火薬
記録:森田溶子
編集:菅野善雄 ネガ編集:辻井好子
音楽:宇崎竜童 主題歌:五木ひろし「あほう鳥」
現像:東洋現像所
撮影スタジオ:にっかつ撮影所
録音スタジオ:アオイスタジオ
プロデューサー:中沢敏明
製作担当:越智貞夫
製作進行:山口吉郎、中島一
企画協力:市川康満
監督補:下村優
助監督:武内孝吉
監督助手:室岡信明、元波正平、当摩寿史、早川喜貴
撮影助手:井上明夫、図書紀芳、田中潤
照明助手:渡辺孝一、岡尾正行、豊見山明長
録音助手:中村淳、飴田秀彦、岩橋政志
美術助手:正田俊一郎
編集助手:阿部浩英
スチール:竹内健二
出演:倍賞美津子、原田芳雄、平田満、片石隆弘、竹本幸恵、久野真平、小林トシ江、ジュビー・シバリオス、上原由恵、乱孝寿、梅宮辰夫、河原さぶ、小林稔侍、左とん平、殿山泰司、泉谷しげる
1985年日本・キノシタ映画+ATG/ビスタサイズ・カラー105分35mmフィルム
生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言 -DVD-
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倍賞美津子