映画「大魔神」


高田美和                       藤巻潤

今回は安田公義監督1966年製作「大魔神」をピックアップする。
大映京都撮影所で製作された大魔神は、本作と「大魔神怒る」「大魔神逆襲」の三作がある。
「座頭市シリーズ」「眠狂四郎シリーズ」などで手腕を発揮した安田公義監督と大映京都のスタッフは、長年築いた時代劇セットのノウハウをつぎ込み、見応えのある建物のミニチュアを制作し、魔神の背丈に合わせて瓦の各個の大きさまで1/2.5の縮尺したした上で、フィルムの速度も2.5倍(60コマ/秒)に統一したそうだ。クランク・インは1966年2月3日、クランク・アップは4月10日、テスト撮影を入れれば3か月かけて撮影が行われたそうだ。特筆すべきは、撮影の森田富士郎氏が本編と特撮を担当されている事だ。これは他の特撮映画ではない事である。

※大映京都撮影所は、1927年に日活太秦撮影所として開業し、1942年に戦時統合で大映京都撮影所となった。1971年大映倒産後、1974年に徳間書店傘下になることで再建したが、1986年4月には完全に閉鎖され跡地は住宅地となった。


青山良彦

【ストリー】
時は戦国、丹波のある山里の城下に恐ろしい魔神の伝説があった。この魔神は武神によって山奥の岩壁に封じこまれていたが時々暴れ出ようと、地響きをたてて人心を脅かし、領民は魔神封じの祭をして、平和を祈った。その祭の夜、城内に家老大舘左馬之助一味の諜反が起り、城主花房忠清夫妻は討たれ、遺児忠文(青山良彦)と小笹(高田美和)の二人は近臣猿丸小源太(藤巻潤)とともに魔神封じの巫女信夫の手引きで、武神像の傍らの洞窟で成長をとげた。その間勢力を増した左馬之助(五味龍太郎)は重税をかけ、領民の恨みをかった。城増築の大工事の作業員にまぎれた花房の遺臣たちは、連絡のため山を降りた左馬之助の腹臣犬上軍十郎に捕えられた。危難を知った忠文は山を降りたが、またも軍十郎の罠に陥り、取り押えられた。忠文らの安否を気使う信夫は、左馬之助を訪ね、山の神の怒りの恐ろしさを伝え、彼の暴虐なふるまいを戒めた。しかし左馬之助はかえって、山の神像をこわし、花房残党と領民の結びつきを切ると放言し反対する信夫を斬殺、軍十郎に神像破壊の厳命を下した。山に残された小笹と百姓茂助の子竹坊は、忠文、小源太らが明朝処刑されるのを聞き、信夫が亡くなったのを知った。神像破壊にいらだつ軍十郎は、タガネを神像の額に打込んだ。傷口から鮮血が落ちたと見るや、稲妻、雷鳴、地割れが起り、軍十郎は物凄い地割れの中にのみこまれた。小笹らは兄たちの命を気づかい必死に武神像に祈り続け自分の命にかえてもと大滝へ身を投げようとした瞬間、大地は震動して、神像は巨大な魔神の姿となって現われた。城下で大あばれにあばれた魔神は、忠文と小源太の処刑台を紛砕し、左馬之助は魔神の額にささったタガネで城門の柱に釘付けされ息絶えた。さらに村里へ向って猛威をふるいはじめた魔神に、小笹は静まってくれるよう、清い涙を落した。すると魔神の怒りの相は消え、大音響とともに土砂となってその場に崩れた。魔神は小笹の涙で消えたのだ。

題名:大魔神
企画:奥田久司
製作:永田雅一
監督:安田公義
特撮監督:黒田義之
脚本:吉田哲郎
撮影:森田富士郎 (本編・特撮)
照明:美間博
録音:林土太郎
音効:倉嶋暢
美術:内藤昭
技斗:楠本栄一
編集:山田弘
音楽:伊福部昭
現像:東洋現像所 合成:田中貞造
製作主任:田辺満
助監督:西沢鋭治
スチール:藤岡輝夫、小山田輝男
出演:高田美和、青山良彦、藤巻潤、五味龍太郎、島田竜三、遠藤辰雄、伊達三郎、出口静宏
1966年日本・大映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー83分35mmフィルム
大魔神 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

映画「泥棒番付」

泥棒番付泥棒番付
勝新太郎                      小林哲子

今回は池広一夫監督1966年製作「泥棒番付」をピックアップする。
本作は司馬遼太郎氏の「盗賊と間者」を原作に新撰組の隊士が大泥棒の悪党だったという仮説で展開する勝新太郎さん主演の時代劇だ。座頭市や兵隊やくざのスタッフが関わっているが、主人公のキャラクターは当然ながら演じ分けている。オープンセットの贅沢な使い方が凄いと思った、

泥棒番付泥棒番付
内田朝雄                      小林哲子

【ストリー】
俺は泥棒番付東正横綱の日本一の大泥棒とうそぶいていた佐渡八(勝新太郎)は、左手の人差指が途中からないにもかかわらず、幕末の動乱でごったがえす大阪界隈を荒しまわり大泥棒の名をほしいままにしていた。だがある日、新選組の池田屋騒動にぶつかり、残党狩りの非常警戒にひっかかった。鬼与力と異名をとる田中松次郎(内田朝雄)に捕えられ、油をしぼられた挙句、田中の恩情で解き放された佐渡八は、田中から預けられたこそ泥の清七(青山良彦)を預り、京都でうどん屋を開いて正業についた。佐渡八が最も尊敬する田中の十手から抜いた赤糸が彼の神様であった。一夜、近藤勇(五味龍太郎)に会った佐渡八は、その度胸を見込まれ、壬生屯所前で屋台を出すことを許された。ある日、田中から言いつかった大阪娘お慶(小林哲子)が、佐渡八と清七の面倒を見るためやって来た。並いる新選組隊士の中にあり、乱暴で尊大な五大という男は、いつも右手に弓を引く時のユガケをかけ、異様な存在であった。清七が風邪をひいたある日。佐渡八は隊士の一人から清七あての封じ文をことづかった。不審に思う佐渡八に、清七は封書を一読するや顔色を変えた。清七は実は長州藩士で、勤皇の志深い田中と連絡をとり、新選組の動静を探っていたのだった。手紙は大阪の田中らの秘密の会合を新選組が襲うとの知らせであった。お慶も田中の養女であったのだ。二人の素姓を知った佐渡八は、田中の危急を聞き、病床の清七に代わって大阪にとび、泥棒仲間の応援で田中の行方を探した。後を追ったお慶は、倒幕に情熱をかける清七よりも人間味あふれた佐渡八に強よく魅かれた。一方新選組隊員五大(内藤武敏)は、実は島破りの悪党で、長崎のオランダ倉庫を被った時、人差指をひきちぎられ、それを隠すためユガケをはめていたのだった。鬼与力田中の目がそれをのがすはずはなく、悪らつな五大は逆に田中の秘密を探り、隊を動かして襲ったのだ。田中らが倒幕資金に用意した金銀を爆薬を使って奪い、田中を殺害した五大に、佐渡八は烈火の如く怒った。佐渡八は左手の人差指のないことで、昔ぬれ衣を着せられ、長崎の町を追われた経験があるのだ。恩人の仇と復讐、佐渡八は泥棒番付けの腕をふるって、壬生屯所に佐渡八にもぐりこみ、ふくみ針で五大を殺すと、金銀を奪って、逃げるのだった。

泥棒番付泥棒番付
藤岡琢也                     勝新太郎、小林哲子

題名:泥棒番付
監督:池広一夫
企画:奥田久司
原作:司馬遼太郎「盗賊と間者」
脚本:伊藤大輔
撮影:武田千吉郎
照明:加藤博也
録音:林土太郎
美術:西岡善信
技斗:宮内昌平
編集:山田弘
音楽:鏑木創
現像:東洋現像所
製作主任:村井明彦
助監督:太田昭和
スチール:大谷栄一
出演:勝新太郎、青山良彦、小林哲子、内藤武敏、内田朝雄、藤岡琢也、遠藤辰雄、戸浦六宏、五味龍太郎
1966年日本・大映京都/シネスコサイズ・カラー82分35mmフィルム
泥棒番付 -DVD-
2017年9月現在、DVDレンタルはありません。

泥棒番付泥棒番付
勝新太郎

1 2 3