映画「帝都物語」

帝都物語
嶋田久作
帝都物語帝都物語
勝新太郎                      石田純一

今回は実相寺昭雄監督1988年製作「帝都物語」をピックアップする。
本作は90年代CG全盛前のバブル絶頂期に、製作費18億円を投入した大作で、実相寺監督とコダイを中心とした撮影技術陣が遺憾なく実力を発揮した作品であり、当時コダイ・グループの末席にいた私にとって尊敬する先輩たちの集大成=実相寺ワールドを見せて戴いたという思いがある。本作は富士フィルムを使用し、レンズはBNCマウントのCineoVisionで撮影された事はエンドタイトルからも分かる。スタッフも知人が多く参加しているので語り尽くせないが、本作クランクアップ後に油谷監督、特技監督の大木淳吉氏と特撮怪獣映画(劇場非公開)の撮影を担当させて戴いたのを思い出す。

※CineoVisionについては「地獄の黙示録」でエピソードがあります。
※コダイ・グループは中堀正夫氏を中心に撮影部・照明部の事務所です。(現在は代々木上原)
[追記・訃報]
本作で特殊美術を担当された池谷仙克氏が2016年10月25日(享年76歳)に亡くなられた。
撮影現場では勿論の事、株式会社コダイ代表でもある事から私が事務所を間借りした時にお世話になった。また本作に出演された俳優の平幹二朗氏は2016年10月23日(享年82歳)に亡くなられた。謹んでご冥福をお祈りします。

帝都物語
原田美枝子
帝都物語帝都物語
平幹二朗                        西村晃

【ストリー】
明治45年。実業家・渋沢栄一(勝新太郎)は土御門家の陰陽師・平井保昌(平幹二朗)や物理学者・寺田寅彦(寺泉憲)らに協力を求め、ある計画を進めていた。それは「東京改造計画」といい、帝都・東京を軍事的にだけでなく霊的にも守護しようとするものだった。しかし、謎の魔人・加藤保憲(嶋田久作)がその計画の前に立ちふさがっていた。加藤は1000年前関東に独立国を築こうとして失敗し、謀反人として討伐された平将門の霊を呼び醒まし、東京を壊滅させようと企んでいた。そして加藤は将門の末裔・辰宮由佳理(姿晴香)を霊媒として選んだ。平井や文豪・幸田露伴(高橋幸治)の努力により加藤の企みは潰えたかに見えたが、由佳里の胎内には恐るべきサイキック・パワーを秘めた生命が宿っていた。加藤との闘いに敗れた平井は大正12年9月1日を帝都壊滅の日と予言し、明治天皇崩御の日、自刃する。大正12年9月1日。大地震は起こったが幸田は死闘の末、加藤に傷を負わせた。結局、将門の怨霊は目醒めず、帝都破壊は不完全に終わった。そして東京は渋沢らの手により急速に復興していった。昭和2年。日本初の地下鉄道が開通しようとしていたが、加藤の放った魔物が妨害していた。寺田はその解決策として西村真琴(西村晃)が作った日本で最初のロボット“学天則”を利用。加藤は力を回復し再び帝都破壊を企むが、新たな宿敵が現われた。将門の命を受け、由佳里の兄・辰宮洋一郎(石田純一)へ嫁いで来た目方恵子(原田美枝子)である。加藤は由佳里に産ませた雪子(山本清美)を銀座の雑踏で誘拐し、将門の霊を呼び戻そうとする。しかし、実は雪子は加藤の子ではなく洋一郎と由佳里の間に産まれた子だった。洋一郎は自らの霊力で将門の霊を封じ、恵子はサイキック・パワーで加藤と死闘を繰りひろげた。春。銀座では“帝都復興式典”が開かれ、賑わっている。花見客のあふれる神田明神では易者姿の泉鏡花(坂東玉三郎)が加藤に似た軍服姿の男を見つけドキッとするが、人ごみにまぎれて行った。

帝都物語

上の写真は、昭島市の昭和の森で総工費3億円と45日間を費やして、銀座4丁目交差点から新橋方面の街並みを150メートル3,000坪を再現し、銀座通りを走る市電も2,000万円を使って製造して走行させ、延べ3,000人のエキストラを動かしたそうだ。

帝都物語帝都物語
佐野史郎                         宍戸錠
帝都物語
帝都物語
帝都物語帝都物語
坂東玉三郎                       桂三枝

題名:帝都物語
監督:実相寺昭雄
企画:村井美登、宇田川和雅、花田良知
製作:堤康二
原作:荒俣宏
脚本:林海象
撮影:中堀正夫
照明:牛場賢二
特機:石井健、秋山勲
録音:瀬川徹夫
美術監督:木村威夫
特殊美術:池谷仙克
美術:内田欣哉
特技監督:大木淳吉
アニメーター:真賀里文子
特殊メイク:原口智生
衣装:川崎健二
装飾:安田彰一
記録:宍倉徳子
編集:浦岡敬一、ネガ編集:南とめ
音楽:石井眞木
製作総指揮:一瀬隆重
アソシエイト・プロデューサー:和田康作
プロデューサー:飯泉征吉
ビジュアルプロデューサー:久里耕介
コンセプチャル・デザイナー:H・R・ギーガー
特美デザイナー:大澤哲三
イメージ・デザイン:椋尾篁
衣裳デザイン:合田瀧秀
助監督:服部光則、油谷誠至
セカンドユニット・撮影:宮島正弘、小林裕
セカンドユニット・照明:熊谷茂
特殊効果:菅野幸光
視覚効果:中野稔
オプチカル:宮重道久
オプチカル合成:デン・フィルムエフェクト
現像:イマジカ
撮影機材:シネオカメラ
照明機材:三和照明
マネージメント:太田啓子(コダイ・グループ)
製作協力:ウイズ、大王製紙 企画協力:西洋環境開発
スチール:原田大三郎
出演:勝新太郎、嶋田久作、原田美枝子、石田純一、平幹二朗、坂東玉三郎、姿晴香、佐野史郎、いとうせいこう、寺田農、峰岸徹、中村嘉葎雄、宍戸錠、井川比佐志、島田正吾、大滝秀治、西村晃、桂三枝、寺泉憲、高橋幸治、山本清美
1988年日本・EXE/ビスタサイズ・カラー135分35mmフィルム
実相寺昭雄監督公式サイト
帝都物語-DVD-
2017年1月現在、DVDレンタルはありません。

帝都物語帝都物語
いとうせいこう                    姿晴香
帝都物語帝都物語
帝都物語
帝都物語帝都物語

映画「陽はまた昇る」

陽はまた昇る陽はまた昇る
渡辺謙、西田敏行                 西田敏行、真野響子

今回は佐々部清監督2002年製作「陽はまた昇る」をピックアップする。
本作は、家庭用ビデオテープ規格競争の最中、VHSの開発プロジェクトの実話を描いたものだが、日本ビクター、ソニー、松下電器産業(現:パナソニック)など実名会社が出て来る。特に松下電器産の松下幸之助氏のエピソードは興味深い。

陽はまた昇る陽はまた昇る
西田敏行、緒形直人                   渡辺謙

当時ソニーが開発したベータマックス(BETAMAX)と多数が占めるVHSがあったが、家庭用ビデオテープの規格はVHSが主流となり、ベータマックスの規格 は、ベーカム(BETACAM)として3~6倍の速度に上げてハイビジョン(HD)が登場するまで、放送用ENGカメラの主流となった。今は家庭用ビデオテープは姿を消し、DVDまたはBlu-rayが主流となり、日本発の映像規格は無くなった。

※DVDはVHSと同等の画質で133分の録画が可能となる4.7GB(片面一層)の容量が収まる。
※Blu-ray(ブルーレイ)は25GB(片面一層)の容量が収まり、DVDより画質は向上した。

【追記・訃報】
映画「陽はまた昇る」「半落ち」などで知られる、映画監督の佐々部清(ささべ・きよし)さんが、2020年3月31日に、山口県下関市で亡くなったことが分かった。山口県生まれの佐々部さんは、明大文学部演劇科を経て、84年から映画、テレビドラマの助監督を務め、キャリアを積んだ。崔洋一監督、杉田成道監督、降旗康男監督、和泉聖治監督らに師事した。高倉健さん主演の映画「鉄道員」「ホタル」の助監督も務めた。監督デビュー作、2002年「陽は-」で、日刊スポーツ映画大賞石原裕次郎賞、日本アカデミー賞優秀作品賞に選ばれた。2004年「半落ち」で2度目の石原裕次郎賞に輝き、日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した。「シネコンでは中高年が見られる作品が少ない」と、自らプロデューサーを務めて監督した。2007年「八重子のハミング」では、認知症を発症した妻と支える夫を描いた。資金集めから始め、全国各地での上映会を企画し評判は口コミで広がった。8館でスタートした作品は100館以上の規模で公開された。3/31(火)18:01配信 日刊スポーツ

陽はまた昇る陽はまた昇る
西田敏行、仲代達矢、渡辺謙

【ストリー】
1970年代前半、それまで右肩上がりだった日本経済が初めてマイナス成長に陥った。そんな中、家電メーカー業界8位の日本ビクター本社開発部門に勤める開発技師・加賀谷に、事業部長として赤字続きの非採算部門である横浜工場ビデオ事業部への異動と大幅な人員整理の厳命が下る。だが、人材こそ何よりの財産と考える加賀谷は、ひとりの解雇も出さないために極秘のプロジェクト・チームを結成。本社に悟られぬようにしながら、家庭用VTRVHSの開発に着手する。ところが数年後、家電メイカーの雄・ソニーがベータマックスを発表。足踏み状態の続くビデオ事業部は崖っぷちに立たされるが、それでも彼らはVHSに夢と希望を託し開発を続けた。そして、遂にベーターマックスを超える録画が可能な試作機が完成する。しかし、その時既にベータマックスは国内規格として採用されようとしていた。このままでは、自分たちの努力が水泡に帰してしまう。そこで加賀谷は大阪へ向かい、親会社である松下電器相談役・松下幸之助にVHS方式の採用を直訴。果たして、加賀谷の願いは聞き入れられ、その結果、ひとりの解雇者も出さずにVHS方式のプレイヤーの販売にこぎ着けることに成功するのだった。その後、加賀谷は脳梗塞で倒れた妻の世話のために、定年を前に退職を決めた。最後に彼が工場を訪れた時、従業員たちはVHSの人文字で彼を送った。

陽はまた昇る陽はまた昇る
緒形直人、篠原涼子                   夏八木勲

題名:陽はまた昇る
監督:佐々部清
企画:坂上順、西村元男
製作:高岩淡
原作:佐藤正明「映像メディアの世紀」
脚本:佐々部清、西岡琢也
撮影:木村大作
照明:礒野雅宏
録音:高野泰雄
音効:佐々木英世、西村洋一
美術:福澤勝広、新田隆之
装飾:若松孝市
衣裳:山田夏子
記録:石山久美子
編集:大畑英亮
音楽:大島ミチル 挿入歌:「わたしの彼は左きき」麻丘めぐみ
フィルム:イーストマンコダック
現像:東映化学
製作担当:林周治
助監督:瀧本智行
撮影効果:南好哲、渡辺孝
撮影応援:加藤雄大、佐々木原保志、林淳一郎
プロデューサー:厨子稔雄、小松茂明
ラインプロデューサー:菊池淳夫
音楽プロデューサー:北神行雄 、 津島玄一
スチール:阿部昌弘
出演:西田敏行、渡辺謙、緒形直人、真野響子、倍賞美津子、田山涼成、國村隼、津嘉山正種、仲代達矢、中村育二、石田法嗣、石丸謙二郎、石橋蓮司、新克利、樹音、篠原涼子、江守徹、蟹江一平、夏八木勲、加藤満、永倉大輔、井川比佐志、崔哲浩
2002年日本・東映/ビスタサイズ・イーストマンカラー108分35mmフィルム
陽はまた昇る [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

陽はまた昇る陽はまた昇る
倍賞美津子

陽はまた昇る陽はまた昇る
VHS第四次試作機                 撮影:木村大作氏

映画「男はつらいよ・望郷篇」


渥美清                     長山藍子(マドンナ役)

今回は山田洋次監督1970年製作「男はつらいよ・望郷篇」をピックアップする。
第5作となる本作のロケ地は、千葉県浦安市、北海道札幌市、小樽市、仁木町、共和町などで行われ、封切り時の観客動員は72万7,000人、配給収入は1億8,000万円だったそうだ。当時のロードショー入場料金は50円、併映は「なにがなんでも為五郎(監督:野村芳太郎 出演:ハナ肇、谷啓、光本幸子、曽我迺家明蝶、小沢栄太郎、有島一郎)」であった。当初は本作でシリーズを完結させる予定で、TVドラマでさくら役を演じた長山藍子さんがマドンナとして、団子屋のおばちゃん役を演じた杉山とく子さんがマドンナの母役、博役を演じた井川比佐志さんが恋敵を演じるなどTVドラマのキャストを総動員させたが、余りの人気にシリーズは延長される事になったそうだ。


三崎千恵子、太宰久雄、森川信     渥美清、三崎千恵子、倍賞千恵子、森川信

倍賞千恵子             渥美清、倍賞千恵子、森川信、太宰久雄、三崎千恵子、笠智衆

【ストリー】寅(渥美清)さんは旅先で、おいちゃんが病気で倒れる夢を見てそのことが気にかかり、故郷の葛飾・柴又に帰ってくる。おいちゃんの車竜造(森川信)は、たまたま遊びに来た隣家の工場主の梅太郎(太宰久雄)の横で、暑さのために、グッタリして、横になっているが、これを見た寅さんは「やっばりあの夢はほんとうだった」と手まわしよろしく帝釈天の御前様(笠智衆)はじめ近所の人や、葬儀屋まで集めてしまう。悪意がないとは知りながらも、生き仏にされてしまったおいちゃんの怒りは常にもまして激しく、一方心の底からおいちゃんのことを心配してやった行為がどうしてこんな結果を招いてしまったのか理解に苦しむ寅さんは口論の末、大喧嘩となってしまった。そこへ寅さんの舎弟登(秋野太作)が、昔寅さんが世話になった札幌の竜岡親分(木田三千雄)が重病で、寅さんに逢いたがっていることを知らせに訪ねてくる。義理と人情を信条とする寅さんは、さっそく登を連れて札幌に向かった。病院についてみると、親分にはもう昔の華やかな面影はなく医療保護にすがって生きている今にも枯れはててしまいそうな老人と変っていた。身よりもなくたった一人の親分は寅さんの来道に涙を流して喜こんだ。そして寅さんを男と見こみ、最後の願いとして二十年前、旅館の女中に生ませた息子を捜してくれるよう頼むのだった。二つ返事で引き受けた寅さんと登は息子捜しに奔走し、やっとの思いで小樽の居場所をつきとめたが、息子の澄夫(松山政路)から返ってくる返事は意外に冷たかった。「二十年もほったらかしておいて今さら親子などと虫のいいことを言うな」という澄夫の言葉も考えてみれば当然のことであるが、義理、人情だけでは割り切れない人間心理の複雑さに寅さんは大きく動かされる。そして病院に帰ってみるとすでに親分は息を引きとり、ここでもやくざ渡世の末路のみじめさを思い知らされる。このことが原因で寅さんはやくざ稼業から足を洗うことを決意し、いやがる登を田舎に帰し再び柴又へ帰って来た。寅さんの突如の変貌ぶりにおいちゃんたちは目を丸くして驚くのだが、地道に、額に汗して働こうと、心に誓った寅さんは柴又とは目と鼻の先の浦安の町の豆腐屋「三七十屋」に住み込みで働くようになる。この店は、母親のとみ(杉山とく子)と娘の節子(長山藍子)の二人暮しだが、寅さんの働きぶりに二人ともすっかり感心し、次第に心を許すようになってくる。ところがいつの間にか寅さんの節子に対する片想いが始まりこの噂さはいつともなく浦安から柴又まで広がっていくが結局、節子の恋人・木村(井川比佐志)の出現によって、寅さんは失恋してしまう。夢破れたあまりのいたたまれなさに耐えきれず江戸川の花火大会の夜、寅さんはひとり淋しく浦安を後にするのだった。


松山政路                     秋野太作、渥美清

題名:男はつらいよ・望郷篇
監督:山田洋次
企画:高島幸夫、小林俊一
製作:小角恒雄
原作:山田洋次
脚本:山田洋次、宮崎晃
撮影:高羽哲夫
照明:青木好文
録音:小尾幸魚
調音:松本隆司
美術:佐藤公信
編集:石井巌
音楽:山本直純
製作主任:峰順一
製作進行:池田義徳
助監督:宮崎晃
スチール:堺謙一
出演:渥美清、長山藍子、倍賞千恵子、前田吟、三崎千恵子、太宰久雄、笠智衆、佐藤蛾次郎、森川信、秋野太作、杉山とく子、井川比佐志、木田三千雄、谷村昌彦、松山政路、谷よしの
1970年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー88分35mmフィルム
公式サイト
男はつらいよ・望郷篇 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


木田三千雄、渥美清、秋野太作         渥美清、長山藍子

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