映画「若大将対青大将」


「若大将対青大将」酒井和歌子

加山雄三                        酒井和歌子

「若大将対青大将」吉沢京子

大矢茂                        吉沢京子

今回は岩内克己監督1970年製作「若大将対青大将」をピックアップする。
本作は、1971年1月9日に公開された若大将シリーズの第17作になる。
同時上映は「初めての旅(監督:森谷司郎 出演:岡田裕介、二谷英明)」であった。

本作をもって若大将は、加山雄三さんから大矢茂さんに”若大将”をバトンタッチされる内容だが、次作で実現されなかった。
翌1971年は、撮影所システムと言われる日本映画制作各社の旧来の制作システムが急激に衰退を迎えていた時期であり、各社一本立て興行に移行、1953年から続いた五社協定が崩壊し、12月には大映が倒産した。日活では”ロマンポルノ”を11月からスタートさせ、1988年まで制作し続けた。こうした状況で、若大将シリーズの次作は、1975年になり、草刈正雄さん主演の3代目若大将で「がんばれ!若大将(監督:小谷承靖)」が制作されたという経緯がある。


田中邦衛                       高松しげお

【ストリー】
8年がかりでやっと京南大学を卒業した青大将こと石山新次郎(田中邦衛)の卒業祝いが、後輩のモータークラブ員の太田茂夫(大矢茂)の提案で、茂夫の母春江(三条美紀)の経営するドライブ・イン「ピット」の店内で開かれた。モータークラブ元キャプテン田沼雄一(加山雄三)と茂夫のクラスメートの令子(森るみ子)、悦子(早坂八千代)たちが駈けつけ、青大将も感激のあまりオイオイ泣きだした。それからほど近い、ある日、新次郎の父親、石山剛造(松村達雄)の経営する石山商事株式会社の営業部に勤務する雄一のもとへ、新入社員として新次郎が配属されてきた。新次郎は出社第一日目にして、さっそく美人タイピストの節子(酒井和歌子)に一目惚れ、猛アタックを開始した。しかし同僚の富士子(太田淑子)から節子と雄一が相思相愛の仲だと知らされ、大ショックを受けた。新次郎は何とか節子を手に入れようと策略をめぐらし、たまたま、父の剛造から、英語の達者な若手を営業部からニューヨーク支店へ送るということを聞き、雄一を推薦。恋仇の転勤をまんまと成功させた。雄一は日本を留守の間、茂夫に、新次郎の手から節子を守ることを託すと、アメリカへ飛び立っていった。学期末、茂夫たちのモータークラブでは、グランプリにそなえて、鈴鹿サーキットで合宿練習をすることになった。新次郎はそのすきに節子に接近しようとするが、茂夫のために失敗する。新次郎はたびたびの邪魔に破れかぶれとなり、茂夫と恋人の圭子(吉沢京子)の仲をぶちこわしにかかった。サーキットにやってきた圭子は、新次郎から節子と茂夫の仲をほのめかされ、怒って東京に帰ってしまい、アメリカからバイヤーを案内して日本にやってきた雄一と節子の仲も新次郎にぶちこわされかかってしまう。こうしてグランプリ当日がきた。今は茂夫からことの真相を知らされた節子、そして雄一から茂夫の気持を聞いた圭子は、雄一と茂夫のいる鈴鹿サーキットヘ駆けつけた。スタートにつまづき、苦戦をしいられている茂夫を心配そうにピットで見守る雄一たち。だがレースは後半になって、圭子の姿を目にした茂夫はたちまちラスト付近から次々と他の車を追い抜いていった。遂に茂夫は先頭に立ってゴールイン。晴れてグランプリ・レースに優勝した。


松村達雄                        千石規子

三条美紀                        大矢茂

題名:若大将対青大将
監督:岩内克己
製作:藤本真澄、安武龍
脚本:田波靖男
撮影:原一民
照明:小島真二
特機:田中豊夫、加賀見正友
録音:吉岡昇
整音:東宝録音センター
美術:薩谷和夫
装置:蜷川修治
小道具:秋元和男、高津幸一、永山勝美
電飾:山口清
衣裳:後藤信義
美粧:高橋勝巳
結髪:上田美穂子
擬斗:宇仁貫三
記録:木村靖子
編集:岩下広一
音楽:萩原哲晶 主題歌:大矢茂「「アダムとイブのように」」
現像:東京現像所 合成:三瓶一信
製作担当:村上久之
製作進行:大門正雄
演技事務:小倉斉
助監督:吉松安弘
監督助手:岡田文亮、中野俊一
撮影助手:上田正治、古山正、五十畑幸勇、山田健一
照明助手:清水博、友成富男、畑日出夫、大場明、後藤一男、高瀬昇、小池文夫、矢吹圭司
美術助手:大竹久彌、鈴木儀雄
録音助手:林頴四郎、池田昇、近田進、佐藤祐史
編集助手:砂原泰子、船沢昌介
製作宣伝:鹿野英男
スチール:中尾孝
出演:加山雄三、大矢茂、田中邦衛、酒井和歌子、吉沢京子、松村達雄、三条美紀、太田淑子、千石規子、南利明、人見明、高松しげお、江戸家猫八、森るみ子、早坂八千代
1970年日本・東宝/東宝スコープ(シネスコサイズ)・カラー83分35mmフィルム
若大将対青大将 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


酒井和歌子、加山雄三                若大将対青大将

映画「ずべ公番長 東京流れ者」


「ずべ公番長 東京流れ者」大信田礼子

大信田礼子                                渡瀬恒彦

今回は山口和彦監督1970年製作「ずべ公番長 東京流れ者」をピックアップする。
本作は「ずべ公番長 夢は夜ひらく」に続く、シリーズ第2作になる。1971年までに4作品が大信田礼子さん主演で制作された。
内容は前作の方が良かった様に思う。

【ずべ公番長 シリーズ】
1970年「ずべ公番長 夢は夜ひらく
1970年「ずべ公番長 東京流れ者
1971年「ずべ公番長 はまぐれ数え唄
1971年「ずべ公番長 ざんげの値打ちもない
以上の4本が山口和彦監督、大信田礼子さん主演で作られた”お色気アクション”ものだ。


「ずべ公番長 東京流れ者」大信田礼子

人見明                                   宮城千賀子

【ストリー】
2年前、新宿で大暴れして赤城学園に逆もどりした影山リカ(大信田礼子)は出所して、真面目に生活しようと小さな町工場で働いていたが、ミスが多すぎてクビにされてしまった。古巣新宿に戻ったリカは学園の大先輩、ガセ寅一家の女親分お蘭(宮城千賀子)の身内になった。そこで学園を出所して間のないマリ(賀川雪絵)、長子(橘ますみ)、ツナオ(左とん平)らに再会する。一方新興ヤクザでキャバレー・ブラックジャックの社長黒江(南原宏治)は、錦糸町を縄張りとする錦元組をバックに、ガセ寅一家の金看板の横取りをたくらんでいた。秋の神農祭が終った日、一人先祖の墓に参るお蘭に黒江の魔手がのび、お蘭は斬殺されてしまう。この知らせを聞いたリカ、長子、マリらはネオンの消えた新宿を、ブラックジャックへと殴り込んでいった。


南原宏治                                    集三枝子

題名:ずべ公番長 東京流れ者
監督:山口和彦
企画:吉峰甲子夫、高村賢治
脚本:宮下教雄、山口和彦
撮影:中島芳男
照明:元持秀雄
録音:広上益弘
美術:藤田博
装置:根上徳一
装飾:上原光男
擬斗:日尾孝司
記録:高津省子
編集:長沢嘉樹
音楽:津島利章 主題歌:大信田礼子「東京流れ者」
現像:東映化学
進行主任:志村一治
助監督:深町秀煕
スチール:藤井善男
出演:大信田礼子、渡瀬恒彦、人見明、宮城千賀子、南原宏治、橘ますみ、集三枝子、賀川雪絵、南利明、南利明、上田吉二郎、由利徹、佐々木梨里、六本木はるみ、左とん平、藤山浩二、佐藤晟也、東八郎(トリオ・スカイライン)、小島三児(トリオ・スカイライン)、原田健二(トリオ・スカイライン)、沖田俊一、山田禅二、見明凡太朗、白石恵美子、児島春美、章文栄、堀としみ、土山登志幸、小林稔侍、円山理映子、久地明、織田暁子、鈴木暁子、須賀良
1970年日本・東映/シネスコサイズ・カラー86分35mmフィルム
ずべ公番長 東京流れ者 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


ずべ公番長 東京流れ者

映画「キネマの天地」


有森也実                        中井貴一

今回は山田洋次監督1986年製作「キネマの天地」をピックアップする。
本作は、1982年に深作欣二監督が角川映画(松竹配給)で「蒲田行進曲」を東映京都撮影所で撮り、大ヒットし(興行収入17億6,300万円)、それに奮起した松竹のスタッフが、松竹大船撮影所50周年記念作品として作られた経緯がある。

松竹が撮影所を大船に移転する直前の1934年頃の松竹蒲田撮影所(城戸四郎所長)を舞台に、若き日の斎藤寅次郎、島津保次郎、小津安二郎、清水宏ら気鋭の監督たちが腕を競い、田中絹代(本作のモデル)がスターへの階段を上りかけた映画黄金期(サイレントからトーキー)時代を背景にしている。

今とは違い、映画会社がキャスト(俳優部)、スタッフ(演出部、脚本部、撮影部、照明部、録音部、美術部、編集部など)を抱え、一丸となって映画創りに勤しんでいた時代である。

本作に出てくるサイレント映画キャメラのクランクによる手動スプリング駆動は、実機を用いて撮られているが、同時録音シーンのNCミッチェルのプリンプは、ハリボテではないかと思う。

サイレント映画キャメラのクランクによる手動スプリング駆動は、ジャイロが付いているとはいえ、3コマ落ちると1ステップ、8コマ落ちると1ストップの露光オーバーになる。手動で定速コマ数を維持するのは職人技である。ちなみにトーキーは今日でも24コマ/秒であるが、サイレントは16コマ/秒であった。

蒲田撮影所時代を経験し小津安二郎監督作品の撮影技師である厚田雄春氏は、「蒲田行進曲」「キネマの天地」のどちらも蒲田撮影所の当時の雰囲気が出ておらず、それは無理もないとしながらも、やっぱり物足りないと評している。

私はCF作品で有森也実さんを撮影した事がある。その現場の印象は、大作の主演女優を果たした側面は一切見せず、真摯にテーマである商品を引き立てる芝居に懸命だったと記憶する。
中井貴一さんは、私が撮影チーフ助手最後の作品でフランスロケに行った時にご一緒させて戴いた事があるが、気さくな方であった。

※「蒲田行進曲」は時代劇全盛の東映京都撮影所が舞台。
※大船撮影所については「太陽の墓場」で記述してます。
※本作でサイレント映画のキャメラはミッチェルスタンダード、シンクレア等が使われている。

松竹蒲田撮影所 1920年6月~1936年1月15日 閉鎖
日本映画黎明期をリードする撮影所として一時代を築いた。小津安二郎や成瀬巳喜男、田中絹代、高峰秀子等の映画人を輩出し、国産初の本格的トーキー映画を生み出したのも同撮影所である。

松竹大船撮影所 1936年1月15日~2000年6月30日 閉鎖
それまで松竹は東京市蒲田区(現・東京都大田区)の蒲田撮影所で撮影をしていたが、町工場の多い蒲田では騒音がトーキーの撮影に差し障るという理由から神奈川県鎌倉市大船に移転した。


渥美清、前田吟、倍賞千恵子                油井昌由樹、すまけい、中井貴一

【ストリー】
浅草の活動小屋で売り子をしていた田中小春(有森也実)が、松竹キネマの小倉監督(すまけい)に見出され、蒲田撮影所の大部屋に入ったのは昭和8年の春だった。小春は大震災で母親を失い、若い頃旅回り一座の人気者だったという病弱の父・喜八(渥美清)と長屋でのふたり暮らしだ。蒲田撮影所での体験は何もかもが新鮮だった。ある日、守衛(桜井センリ)に案内されて小倉組の撮影見学をしていた小春はエキストラとして映画出演することになった。だが素人の小春にうまく演じられる訳がなく、小倉に怒鳴られた小春は泣き泣き家に帰り、女優になることをあきらめた。長屋に戻って近所の奥さんにことのいきさつを話している小春を、小倉組の助監督島田健二郎(中井貴一)が迎えにきた。「女優になりたがる娘はいっぱいいるけど、女優にしたい娘はそんなにいるもんじゃない」。健二郎の言葉で、小春は再び女優への道を歩み始めた。やがて健二郎と小春はひと眼を盗んでデートする間柄になった。小春は幸福だった。しかし時がたつにつれ、映画のことにしか興味をしめさない健二郎に少しずつ物足りなさを覚えるようになった。小春の長屋の住人たちは不況下の失業にあえいでいた。そんな中で、唯一の希望はスクリーンに登場する小春だった。夏もすぎ秋になって、小春はプレイボーイとして有名な二枚目スター、井川時彦(田中健)と親しくつき合うようになった。師走に入って、健二郎は、労働運動で警察から追われている大学時代の先輩(平田満)をかくまったとして、留置所に入れられてしまう。その留置所生活で得たのは、かつてなかった映画作りに対する情熱だった。年が明けて、小春が大作の主演に大抜擢された。主演のトップスター川島澄江(松坂慶子)が愛の失踪事件を起こしたため、その代打に起用されたのだ。しかしその大作「浮草」で演技の壁にぶつかって、小春は苦悩した。その小春を、喜八はかつて旅回り一座の看板女優だった母と一座の二枚目俳優のロマンスを語り励ました。実は小春の本当の父親はその二枚目であることも--。「浮草」は成功した。人があふれる浅草の映画館でゆきと「浮草」を見に行った喜八は、映画を見ながら静かに息をひきとった。


松本幸四郎                         田中健

題名:キネマの天地
監督:山田洋次
製作総指揮:奥山融
製作:野村芳太郎、杉崎重美、升本喜年、島津清
脚本:井上ひさし、山田太一、朝間義隆、山田洋次
撮影:高羽哲夫
照明:青木好文
録音:鈴木功
調音:松本隆司
美術:出川三男
装置:小島勝男
装飾:町田武
美粧:宮沢兼子、吉野桂子
床山:八木かつら
衣裳:松竹衣装
編集:石井巌
音楽:山本直純
現像:イマジカ
撮影機材:パナビジョン
製作主任:新井重美
製作進行:副田稔、玉生久宗
助監督:五十嵐敬司
プロダクション・コーディネーター:内藤誠、田中康義
風俗考証:林美一、結城一朗
スチール:赤井博且
出演:中井貴一、有森也実、渥美清、松坂慶子、倍賞千恵子、美保純、笠智衆、桃井かおり、田中健、すまけい、岸部一徳、堺正章、柄本明、油井昌由樹、山本晋也、なべおさみ、大和田伸也、広岡瞬、レオナルド熊、石倉三郎、山城新伍、木の実ナナ、下條正巳、三崎千恵子、平田満、財津一郎、ハナ肇、桜井センリ、佐藤蛾次郎、人見明、関敬六、前田吟、吉岡秀隆、笹野高史、藤山寛美、松本幸四郎(9代目)
1986年日本・松竹/ビスタサイズ・カラー135分35mmフィルム
キネマの天地 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


笹野高史、渥美清                     有森也実

1 2 3 8