映画「戒厳令」

戒厳令戒厳令
三國連太郎                  三國連太郎、松村康世

今回は吉田喜重監督1973年製作「戒厳令」をピックアップする。
本作は、昭和11年の2・26事件によって施行された戒厳令を背景に思想家・北一輝を描いたものだ。「二・二六事件と北一輝を扱った作品である。権力という視点に立てば、右翼と左翼、社会主義革命と天皇制は、ともに通底し合っており、パラレルなものでしかない。この作品と「エロス+虐殺』」「煉獄エロイカ」の三作品により、私のなかの同時代史を完成させた。(監督談)」

作品リスト

戒厳令戒厳令
松村康世                  三宅康夫、倉野章子

【ストリー】
大正10年の夏も終りに近いある日、小さな風呂敷包みを持った女が、北一輝(三國連太郎)のもとを訪れた。朝日平吾の姉と名乗る女(八木昌子)は、風呂敷包みに入っている血染めの衣を一輝に渡した。それは、安田財閥の当主・善次郎を刺殺し、その場で自殺した平吾の着ていたものであった。平吾の遺書を読む西田税(菅野忠彦)、その遺書には明きらかに、北一輝の「日本改造法案」の影響が読みとれた。一輝はその衣を、銀行へ持って行き、現われた頭取に、平吾がこの衣を自分のもとに届けた心情を語った。そんな一輝に頭取は金の入った包みを差し出した。昭和初期、陛下のため殉国捨身の奉公を願う一人の兵士(三宅康夫)がいた。「改造法案」はその兵士にとって、正にバイブルだった。彼は“ある行動”の参加を許されたが、彼に連絡がないまま、計画は失敗に終った。兵士は連絡の来なかった理由を一輝に質問した。個人テロ的革命に否定的だった一輝は、西田に命じ、この計画から陸軍側の将校を引き上げさせたのだった。「決行は5月15日だ」一輝は兵士に言った。この兵士に下された命令は、五月十五日、変電所を爆破することであった。だが、変電所に入ってはみたものの、命令を実行できなかった兵士は、妻と共に一輝の家を訪れた。失敗を詫びる兵士を前にして、一輝は自分の思想が、次第に大きく広がっていくのに恐怖に近いものを感じていた。その時、西田が撃たれた。一輝の思想の理解できぬ青年たちにとって、西田は裏切り者の一輝の身代わりであった。時代はさらに逼迫していく。満州事変以後、アジアに新しい秩序は確立されず、政党政治の腐敗堕落、巷間には失業者があふれ、暗い世相が充ち満ちていた……。さまざまな政治的矛盾を一挙に解決すべく、青年将校たちは「改造法案」に、最も忠実な、天皇の軍隊を使った日本における、最初にして最後のクーデターを計画した。雪が音もなく降りしきる、昭和十一年二月二十六日の早朝、近衛歩兵連隊約千四百名の決起によって維新は開始された。雪の首都に分散した軍隊は次ぎ次ぎと政府要人を襲撃。ついに戒厳令が布かれた……。やがて、クーデター未遂後、北一輝と西田税は、陰の指導者として処刑されたのである。

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松村康世                       倉野章子

題名:戒厳令
監督:吉田喜重
企画:吉田喜重、葛井欣士郎
製作:岡田茉莉子、上野昂志、葛井欣士郎
脚本:別役実
撮影:長谷川元吉
照明:中岡源権
録音:久保田幸雄
美術:内藤昭
編集:岡芳材
音楽:一柳慧
フィルム:富士フィルム
現像:東洋現像所
特別演奏:観世栄夫、高橋悠治、小杉武久
スチール:小山田幸生
出演:三國連太郎、倉野章子、三宅康夫、菅野忠彦、八木晶子、松村康世、三宅康夫、菅野忠彦
1973年日本・現代映画社+ATG/スタンダードサイズ・モノクロ110分35mmフィルム
戒厳令 [DVD]
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松村康世