映画「ハナ肇の一発大冒険」


ハナ肇                               入川保則、倍賞千恵子

今回は山田洋次監督1967年製作「ハナ肇の一発大冒険」をピックアップする。
本作は「喜劇 一発勝負」に続く”一発シリーズ”の第二弾になる。
1968年「ハナ肇の一発大冒険」1969年「喜劇 一発大必」と松竹大船撮影所で制作された。


野村昭子、武智豊子                         桜井センリ、犬塚弘

【ストリー】
東京の下町で肉屋を営む間貫一(ハナ肇)は、陽気な好人物で、客に人気があった。ある日、レストランで好物の特大ビフテキを食べている時、貫一は美しい女性亜子(倍賞千恵子)と会い、鞄の中のダイヤを悪漢の手から守ってほしいと頼まれた。平凡な日常の中で、美女を助ける役目などは、そうざらにあることではない。貫一は喜んで引受け、ライトバンで逃避行を開始した。悪漢の目をくらますため、千葉に出て、さらにフェリーボートで横須賀に渡り、横浜に向かった。彼女の目的地は富山で、そこで相手側にダイヤを渡せばいいのだった。しかし、悪漢は執拗に二人を追っていた。やがて、二人を乗せた車は信濃路に入った。貫一は美人を乗せ、晩秋の美しい紅葉の中で車を走らせているのでごきげんだった。途中、二人は腹痛で苦しんでいる登山者真田(入川保則)を助け、近くの温泉場に連れていった。その夜、ダイヤの入った鞄が悪漢に奪われてしまった。責任を感じた真田は単身悪漢を追跡し、格闘の末、鞄を取戻して帰ってきた。この騒ぎで悪漢は警察に逮捕された。亜子はもう鞄を狙われる心配がなくなったと、安堵の胸をなでおろした。真田と亜子を乗せた貫一の車は、一路、新雪に輝くアルプスの麓を富山に向かった。三人は途中で一軒の山小屋にたどり着いた。ところがそこには警察に追われた殺人犯が潜んでいて、真田は彼の銃弾に殺されてしまった。貫一と亜子は危うくその場を逃れ、警察に事件を報告した。やがて、車は富山に着いた。亜子は別れを悲しむ貫一の頬に優しく接吻すると去って行った。貫一は再び平凡な日々の生活に帰って行った。一力月後、フランスにいる亜子から美しい絵葉書が届いた。貫一はそれを見るたびに、亜子との冒険旅行を思い出すのである。


ハナ肇、なべおさみ                           中村晃子、ハナ肇

題名:ハナ肇の一発大冒険
監督:山田洋次
製作:脇田茂
脚本:山田洋次、宮崎晃
撮影:高羽哲夫
照明:青木好文
録音:小尾幸魚
調音:佐藤広文
美術:重田重盛
装置:川添善治
編集:石井巌
音楽:坂田晄一
現像:東京現像所
製作主任:内藤誠
製先進行:池田善徳
監督助手:大嶺俊順
スチール:長谷川宗平
出演:ハナ肇、倍賞千恵子、入川保則、石井均、なべおさみ、野村昭子、武智豊子、久里千春、飯田蝶子、犬塚弘、桜井センリ、中村晃子、倍賞美津子
1967年日本・松竹+渡辺プロダクション/シネスコサイズ・カラー35mmフィルム
ハナ肇の一発大冒険 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


倍賞美津子                          ハナ肇の一発大冒険

映画「キネマの天地」


有森也実                        中井貴一

今回は山田洋次監督1986年製作「キネマの天地」をピックアップする。
本作は、1982年に深作欣二監督が角川映画(松竹配給)で「蒲田行進曲」を東映京都撮影所で撮り、大ヒットし(興行収入17億6,300万円)、それに奮起した松竹のスタッフが、松竹大船撮影所50周年記念作品として作られた経緯がある。

松竹が撮影所を大船に移転する直前の1934年頃の松竹蒲田撮影所(城戸四郎所長)を舞台に、若き日の斎藤寅次郎、島津保次郎、小津安二郎、清水宏ら気鋭の監督たちが腕を競い、田中絹代(本作のモデル)がスターへの階段を上りかけた映画黄金期(サイレントからトーキー)時代を背景にしている。

今とは違い、映画会社がキャスト(俳優部)、スタッフ(演出部、脚本部、撮影部、照明部、録音部、美術部、編集部など)を抱え、一丸となって映画創りに勤しんでいた時代である。

本作に出てくるサイレント映画キャメラのクランクによる手動スプリング駆動は、実機を用いて撮られているが、同時録音シーンのNCミッチェルのプリンプは、ハリボテではないかと思う。

サイレント映画キャメラのクランクによる手動スプリング駆動は、ジャイロが付いているとはいえ、3コマ落ちると1ステップ、8コマ落ちると1ストップの露光オーバーになる。手動で定速コマ数を維持するのは職人技である。ちなみにトーキーは今日でも24コマ/秒であるが、サイレントは16コマ/秒であった。

蒲田撮影所時代を経験し小津安二郎監督作品の撮影技師である厚田雄春氏は、「蒲田行進曲」「キネマの天地」のどちらも蒲田撮影所の当時の雰囲気が出ておらず、それは無理もないとしながらも、やっぱり物足りないと評している。

私はCF作品で有森也実さんを撮影した事がある。その現場の印象は、大作の主演女優を果たした側面は一切見せず、真摯にテーマである商品を引き立てる芝居に懸命だったと記憶する。
中井貴一さんは、私が撮影チーフ助手最後の作品でフランスロケに行った時にご一緒させて戴いた事があるが、気さくな方であった。

※「蒲田行進曲」は時代劇全盛の東映京都撮影所が舞台。
※大船撮影所については「太陽の墓場」で記述してます。
※本作でサイレント映画のキャメラはミッチェルスタンダード、シンクレア等が使われている。

松竹蒲田撮影所 1920年6月~1936年1月15日 閉鎖
日本映画黎明期をリードする撮影所として一時代を築いた。小津安二郎や成瀬巳喜男、田中絹代、高峰秀子等の映画人を輩出し、国産初の本格的トーキー映画を生み出したのも同撮影所である。

松竹大船撮影所 1936年1月15日~2000年6月30日 閉鎖
それまで松竹は東京市蒲田区(現・東京都大田区)の蒲田撮影所で撮影をしていたが、町工場の多い蒲田では騒音がトーキーの撮影に差し障るという理由から神奈川県鎌倉市大船に移転した。


渥美清、前田吟、倍賞千恵子                油井昌由樹、すまけい、中井貴一

【ストリー】
浅草の活動小屋で売り子をしていた田中小春(有森也実)が、松竹キネマの小倉監督(すまけい)に見出され、蒲田撮影所の大部屋に入ったのは昭和8年の春だった。小春は大震災で母親を失い、若い頃旅回り一座の人気者だったという病弱の父・喜八(渥美清)と長屋でのふたり暮らしだ。蒲田撮影所での体験は何もかもが新鮮だった。ある日、守衛(桜井センリ)に案内されて小倉組の撮影見学をしていた小春はエキストラとして映画出演することになった。だが素人の小春にうまく演じられる訳がなく、小倉に怒鳴られた小春は泣き泣き家に帰り、女優になることをあきらめた。長屋に戻って近所の奥さんにことのいきさつを話している小春を、小倉組の助監督島田健二郎(中井貴一)が迎えにきた。「女優になりたがる娘はいっぱいいるけど、女優にしたい娘はそんなにいるもんじゃない」。健二郎の言葉で、小春は再び女優への道を歩み始めた。やがて健二郎と小春はひと眼を盗んでデートする間柄になった。小春は幸福だった。しかし時がたつにつれ、映画のことにしか興味をしめさない健二郎に少しずつ物足りなさを覚えるようになった。小春の長屋の住人たちは不況下の失業にあえいでいた。そんな中で、唯一の希望はスクリーンに登場する小春だった。夏もすぎ秋になって、小春はプレイボーイとして有名な二枚目スター、井川時彦(田中健)と親しくつき合うようになった。師走に入って、健二郎は、労働運動で警察から追われている大学時代の先輩(平田満)をかくまったとして、留置所に入れられてしまう。その留置所生活で得たのは、かつてなかった映画作りに対する情熱だった。年が明けて、小春が大作の主演に大抜擢された。主演のトップスター川島澄江(松坂慶子)が愛の失踪事件を起こしたため、その代打に起用されたのだ。しかしその大作「浮草」で演技の壁にぶつかって、小春は苦悩した。その小春を、喜八はかつて旅回り一座の看板女優だった母と一座の二枚目俳優のロマンスを語り励ました。実は小春の本当の父親はその二枚目であることも--。「浮草」は成功した。人があふれる浅草の映画館でゆきと「浮草」を見に行った喜八は、映画を見ながら静かに息をひきとった。


松本幸四郎                         田中健

題名:キネマの天地
監督:山田洋次
製作総指揮:奥山融
製作:野村芳太郎、杉崎重美、升本喜年、島津清
脚本:井上ひさし、山田太一、朝間義隆、山田洋次
撮影:高羽哲夫
照明:青木好文
録音:鈴木功
調音:松本隆司
美術:出川三男
装置:小島勝男
装飾:町田武
美粧:宮沢兼子、吉野桂子
床山:八木かつら
衣裳:松竹衣装
編集:石井巌
音楽:山本直純
現像:イマジカ
撮影機材:パナビジョン
製作主任:新井重美
製作進行:副田稔、玉生久宗
助監督:五十嵐敬司
プロダクション・コーディネーター:内藤誠、田中康義
風俗考証:林美一、結城一朗
スチール:赤井博且
出演:中井貴一、有森也実、渥美清、松坂慶子、倍賞千恵子、美保純、笠智衆、桃井かおり、田中健、すまけい、岸部一徳、堺正章、柄本明、油井昌由樹、山本晋也、なべおさみ、大和田伸也、広岡瞬、レオナルド熊、石倉三郎、山城新伍、木の実ナナ、下條正巳、三崎千恵子、平田満、財津一郎、ハナ肇、桜井センリ、佐藤蛾次郎、人見明、関敬六、前田吟、吉岡秀隆、笹野高史、藤山寛美、松本幸四郎(9代目)
1986年日本・松竹/ビスタサイズ・カラー135分35mmフィルム
キネマの天地 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


笹野高史、渥美清                     有森也実

映画「白昼堂々」

白昼堂々白昼堂々
渥美清                        藤岡琢也

今回は野村芳太郎監督1968年製作「白昼堂々」をピックアップする。
本作はコメディと言うより人情劇になっているのは、名俳優達の心に残る演技が深みを持たせ、多くの登場人物が見事に描き分けられた演出が冴える作品だ。群像劇は散漫になりがちな作品が多いが、本作は例外である。

白昼堂々白昼堂々
倍賞千恵子                      生田悦子

【ストリー】
ワタ勝こと渡辺勝次(渥美清)は、名の通ったスリだった。しかし、敏腕なスリ係の刑事森沢(有島一郎)の説得もあり、堅気になって九州の炭坑で働いていた。ワタ勝は間もなくヤマがつぶれたのを機会に、仲間を集めてスリの集団組織をつくり上げたのだ。ワタ勝は東京のデパートに狙いをつけ、大仕掛けな万引きをやる計画を立てた。東京に向ったワタ勝は、盗品をさばくために昔のスリ仲間銀三(藤岡琢也)を口説いた。銀三は更生してデパートの警備員となり、女房の春子(三原葉子)は小さいながら洋品店を営んでいた。銀三は一人娘桃子(大貫泰子)のためにも、ワタ勝の誘いを断るべきだと思いながら、ついに自分の洋品店で盗品を捌くことになった。知恵者の銀三が仲間に加わったことで、万引集団の成果はうなぎ上りに上昇した。それも高級洋品の布地を一巻ごと万引きするという大掛りなものだった。東京、大阪、京都、北海道と、ワタ勝たちは全国を仕事場にしていたが、危なくなると九州のボタ山集落へ帰るという具合に、機動的である。デパート側が警備を強化しても、結局はワタ勝たちの素早さにかなわなかった。仲間が捕まると、専門の弁護士坂下(フランキー堺)に処理させるという具合。ある日、絶世の美人スリよし子(倍賞千恵子)が仲間に加わった。スリの鬼ワタ勝も彼女にはぞっこんまいり、見かねた銀三のとりもちでめでたく結婚した。一方、銀三やワタ勝がすっかり足を洗っていたものとばかり思っていた森沢は、万引集団が二人の手になるものと知って烈火の如く憤り、着々と捜査の輪をせばめていた。そんな時、ワタ勝は仲間があちこちで捕まり、しかも、よし子が仲間四人と名古屋で捕まったと知ってガックリした。盗品の捌きもストックがふえ出し、坂下が弁護料を大幅に値上げしてきている時でもあった。思いあまったワタ勝はデパートの売り上げ金二億円を奪うという、途方もない作戦を立てたのだ。デパートの警備員をやめた銀三は、その手助けは断ったがやはりなにかと援助するのだった。しかし、この計画は九分九厘まで成功しながら、森沢の炯眼の前に、あえなく潰えてしまった。銀三とワタ勝は逮捕された。しかし、二人ともくよくよしなかった。ワタ勝はよし子の手紙を読みながら、刑期の終るのを待っている。

白昼堂々白昼堂々
有島一郎                     フランキー堺

題名:白昼堂々
監督:野村芳太郎
製作:杉崎重美
原作:結城昌治
脚本:野村芳太郎、吉田剛
撮影:川又昂
照明:三浦礼
録音:栗田周十郎
調音:松本隆司
美術:梅田千代夫
編集:浜村義康
音楽:林光
現像:東洋現像所
製作主任:吉岡博史
助監督:吉田剛
スチール:長谷川宗平
出演:渥美清、倍賞千恵子、藤岡琢也、有島一郎、生田悦子、田中邦衛、新克利、フランキー堺、穂積隆信、高橋とよ、三遊亭歌奴、コント55号、大貫泰子、桜京美
1968年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー81分35mmフィルム
あの頃映画 「白昼堂々」 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

白昼堂々白昼堂々
コント55号                    渥美清、藤岡琢也

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