映画「愛と死をみつめて」


吉永小百合                       浜田光夫

今回は斎藤武市監督1964年製作「愛と死をみつめて」をピックアップする。
本作は1963年に出版された河野実さんと大島みち子さんの書簡集が原作の映画化になる。事実に基づいて脚色された作品であるだけに、当時相当の話題になったのを幼心に記憶する。ロケーション撮影は、大阪市、大阪駅、中之島公園、通天閣、京都市、京都御所、御所の築地塀、実景のみを長野県信州駒ケ岳頂上付近で行われたそうだ。


内藤武敏                        笠智衆

【ストリー】
高野誠(浜田光夫)が小島道子(吉永小百合)に会ったのは、誠が浪人中、阪大病院に入院したときであった。知的な美しい瞳と、清純な顔は、その日から誠の心の中に好感をもってむかえられた。一見健康そうにみえた道子は、誠が東京の大学に入って二年目に再会したときも、病院生活を送っていた。二人の文通は続けられた。入院生活を続ける道子の不安は、誠の手紙によって力づけられていた。高校をどうにか卒業した道子は、希望の大学に入学したが、軟骨肉腫の再発で四度目の入院をした。アルバイトで大阪に来た誠は、病院を訪れては、信州の山々の美しさや、野球の話に楽しい時間を過した。道子も、不安を抱きながらも、強いて明朗にふるまっていた。9月になって、誠は東京に帰ったが、道子は主治医のすすめで、大学を退学すると本格的な、闘病生活に入った。日本には、まだデータのない不治の病と聞かされた道子は、誠に別れの手紙を出すと、淋しく、病室に横たわった。手紙を受け取った誠は、病院にかけつけるとくじける道子の気持を責めた。道子も誠の誠実な愛情に号泣するのだった。一方主治医(内藤武敏)は、道子の生命を守るために、道子の顔半分がつぶれるという、大手術が必要だと言った。話を聞いた道子の動揺は激しかった。だが誠の愛情の大きさに、ついに道子は決意をきめて、手術を受けた。元気になって社会奉仕をしたい、道子の願いは、病床の中で強く燃えあがった。大手術のあと、容態は順調であった。道子の顔は左半分、白いガーゼで覆われたが、日増しに明るくなっていった。だがある日、道子は健康な右半分に、骨が出て来たのに気づき、愕然とした。再び、手術台の上で道子は21歳の誕生日を迎えた。手術半ば、道子はこの世を去った。道子の日記帳には誠との楽しい生活を夢みた、数々の青春の悲しみと喜びが記してあった。


ミヤコ蝶々、笠置シヅ子                宇野重吉

題名:愛と死をみつめて
監督:斎藤武市
企画:児井英生
原作:大島みち子、河野実
脚本:八木保太郎
撮影:萩原憲治
照明:大西美津男
録音:高橋三郎
美術:坂口武玄
記録:白鳥あかね
編集:近藤光雄
音楽:小杉太一郎 主題歌:吉永小百合「愛と死のテーマ」
製作主任:櫻井宏信
助監督:鍛冶昇
スチール:目黒祐司
出演:吉永小百合、浜田光夫、北林谷栄、内藤武敏、笠置シヅ子、初井言栄、ミヤコ蝶々、宇野重吉、笠智衆、原恵子、河上信夫、滝沢修、山田禅二、杉山元
1964年日本・日活/シネスコサイズ・モノクロ118分35mmフィルム
愛と死をみつめて -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


浜田光夫、吉永小百合              吉永小百合、浜田光夫

映画「讃歌」


河原崎次郎、渡辺督子                  乙羽信子 

今回は新藤兼人監督1972年製作「讃歌」をピックアップする。
本作は谷崎潤一郎氏原作の「春琴抄」を映画化したもので、新藤監督自身が鴫沢てる(乙羽信子)にインタビューするところから始まる文芸作品である。新宿のアートシアターで観た記憶がある作品だ。従えようとする少女と、従おうとする少年との“掠奪”と“献身”のすさまじい葛藤、それはやがて常識の域をふみこえた美的恍惚の世界へと向かうという内容である。


原田大二郎                       渡辺督子、河原崎次郎

【ストリー】
春琴(渡辺督子)と佐助(河原崎次郎)の墓は同じ場所にあったが、佐助の墓は春琴の半分くらいで、あたかも主人に仕えるごとくひっそりと立っていた。この墓に詣でた作者は鴫沢てる(乙羽信子)という78歳の老姿を知った。やがて、その老姿は春琴と佐助の物語を話し始めた--。春琴の家は代々鵙屋安左衛門と称し、薬種問屋の中でも名の聞えた老舗であった。そこの二女お琴は、9歳で失明したが、琴三弦を弾かせては並ぶ者のいない程の実力であった。その上、生まれつきの美貌と、我ままいっぱいの環境が彼女を驕慢にしていた。お琴は使用人の左助だけに身の回りを見させていた。その佐助が、知らず知らずに三味線を覚え、お琴に本格的に教示してもらうようになったが、お琴の指導は過酷を極めた。しかし佐助は、お琴の食事、風呂から厠の世話まで親身になってするのだった。お琴が妊娠した。しかしお琴は「一生独り身で暮すわたしには子は足手まといでございます」と涼しい顔で言い、生まれた子を里子に出した。やがて、お琴は師匠の看板を上げ、佐助と女中てると共に一戸をかまえた。それからというもの佐助は今まで以上にお琴に献身的に奉仕するのだった。弟子の中にはお琴の美しさを目あてに通う者も多かった。美濃屋九兵衛の伜利太郎(原田大二郎)きもその一人だった。ある夜。利太郎はお琴の寝室に忍び入ったが、誤って熱湯の入った鉄びんをお琴の頭上からあびせてしまった。無残な火傷をとどめたお琴の顔。「おまえにだけはこの顔を見られとうない」としつこく佐助に頼むお琴に、佐助も答えた、「お師匠さま、必ず見ないようにします」。数日後、佐助は我と我が眼を針で突いて、失明した。「佐助はお師匠さまと同じ世界へ参りました。うれしく思います」。佐助にとって見えるものは眼の底にしみついたお琴の美しい顔ばかりであった。盲目の二人の世界は、こまやかに厚く結ばれた。これこそたった二人の世界であった。


渡辺督子

題名:讃歌
監督:新藤兼人
製作:新藤兼人、葛井欣士郎、赤司学文
原作:谷崎潤一郎「春琴抄」
脚本:新藤兼人
撮影:黒田清巳
照明:岡本健一
録音:辻井一郎
音効:東洋音響
美術:渡辺竹三郎
化粧:小林重夫
衣裳:新井喜一
編集:近藤光雄
音楽:林光
現像:東京現像所
製作主任:櫻井勉
助監督:星勝二
監督助手:国上敦史、菊池昭典
撮影助手:高尾義照、金徳哲
照明助手:磯崎敏信、小山勲
美術助手:大谷和正
編集助手:近藤充雄
時代考証:高津年晴
書:貞広観山
録音所:アオイスタジオ
衣裳:京都衣裳 小道具:高津映画装飾
制作宣伝:花安静香
制作経理:吉野三保子
スチール:新関次郎
出演:乙羽信子、渡辺督子、河原崎次郎、原田大二郎、武智鉄二、殿山泰司、戸浦六宏、初井言栄、草野大吾、新藤兼人
1972年日本・近代映画協会+ATG/スタンダードサイズ・カラー102分35mmフィルム
讃歌 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


新藤兼人監督(本人役)                 乙羽信子

映画「あばよダチ公」


松田優作                  大門正明、松田優作、河原崎建三

今回は澤田幸弘監督1974年製作「あばよダチ公」をピックアップする。
本作は、松田優作さんの映画初主演作品である。日活がロマンポルノと並行して製作した一般映画で、アウトロー青春アクションものであるが、脚本が良くないのである。この種の内容は、ストリーや整合性に無理があっても気にならないものだが、粗ばかりが浮き出る印象だった。


佐藤蛾次郎、松田優作                 加藤小夜子

初井言栄、悠木千帆                   山本麟一

【ストリー】
3年ぶりに刑務所から帰って来た夏木(松田優作)。かつての漁村も、今では見る影もない。コンビナート群の威容、汚れた海。その死んだ海で釣をしている頭の少々弱い若者、梅(佐藤蛾次郎)。トラックの運転手でシャレ者の雅(河原崎建三)、パチプロの竜(大門正明)、夏木の仲間たちである。3年ぶりの再会で元気の出た4人は、出所祝いと称して乱痴気騒ぎの末、警察のお世話になってしまった。翌日釈放されてからも、4人は目的のない欲望のみで行動する毎日が続く。そんなある日、竜の親戚で家出娘のシン子(加藤小夜子)が訪ねて来た。彼女の父親が補償金つりあげのためにダム工事立ち退きを拒否してたてこもっており、その補償を合法的に奪いたい、というのである。相談の結果、夏木がシン子の婿養子となり、一同シン子の実家へ。ダイナマイトを腰に巻き着けて籠城している父、源太郎(山本麟一)に夏木とシン子は結婚を報告、そして源太郎を小屋から追い出した。夏木とシン子の初夜、むさぼりあう全裸の二人。だが、竜、雅、梅たちは悶々として寝つけない。刺激のない毎日が続き、竜、雅、梅のいらだちは、日増しに高まっていった。そんなある日、猟に来ていたハンターから夏木が銃を奪い取った。この事がきっかけで水源開発公団がようやく動き出した。町の暴力団半田(郷鍈治)に5人を叩き出す事を条件に、ダム工事の下請けを優先的に依頼するというのだった。半田の5人への挑発が始った。配下の鉄砲玉とホステスとのセックスによる挑発。それはセックスに飢えている竜たちには効果満点だった。おさまらない3人の為に夏木はホステス3人を強引に連れて来た。小屋の中はまるでセックスの饗宴である。だが数日後、そのホステスに梅が呼び出され半田に捕われてしまった。4人がこの土地から出て行くのなら梅を帰すというのだ。梅の命にはかえられないと決心した夏木は、シン子と源太郎に補償金問題を託し、町を出ることにした。だが、歩き続けるうちに持ち前の野放図な陽気さが甦って来た4人は、反撃を決意。今度は半田建設へ殴り込み、半田を捕虜にたてこもった。廻りを取り巻く警官たち。飛び込んで来る催涙弾。次第に疲労と焦燥が4人を襲う。折角、半田から取り上げた金が奪われるのは目に見えている。4人は止むなくその日銀券を喰い始めた……。その時、建築用クレーンがまるで怪獣の首のように壁を崩し始めた。4人はクレーンに挑むかのように飛びつき、空中に吊り上げられた。そして何か喚き散らしながら次々と落下していくのだった……。


郷鍈治                            下川辰平

題名:あばよダチ公
監督:澤田幸弘
企画:栗林茂
製作:結城良煕
脚本:神波史男
撮影:山崎善弘
照明:高島正博
録音:紅谷愃一
美術:徳田博
擬斗:田畑善彦
編集:鈴木晄
音楽:月見里太一 演奏:コスモスファクトリー
現像:東洋現像所
製作担当:天野勝正
助監督:加島春海
色彩計測:鈴木耕一
スチール:目黒祐司
出演:松田優作、大門正明、河原崎建三、加藤小夜子、佐藤蛾次郎、悠木千帆(樹木希林)、初井言栄、下川辰平、砂塚秀夫、山本麟一、郷鍈治
1974年日本・日活/シネスコサイズ・カラー93分35mmフィルム
あばよダチ公 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


河原崎建三、松田優作、大門正明            あばよダチ公


「あばよダチ公」撮影風景 キャメラはカメフレックスCM3

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