映画「大いなる旅路」


三國連太郎                 風見章子、三國連太郎、小宮光江

今回は関川秀雄監督1960年製作「大いなる旅路」をピックアップする。
本作は国鉄機関士の青年が、壮年まで家族と共に歩んだ30年を描いた作品だ。当時の東映社長であった大川博氏は、国鉄OBだった事もあり、自ら企画をしたそうだ。その結び付もあって蒸気機関車の脱線シーンは、盛岡鉄道管理局長の立会いで実車を脱線転覆させて撮影を行ったというから凄い。東映は国鉄から、鉄道機関士の真摯な生き方を描く作品であると評価され表彰を受けたが、その後の「新幹線大爆破」で信頼・協力関係を失ったそうだ。


国鉄8620形蒸気機関車の脱線シーン      ※ミニチュアやCGではない実写撮影

【ストリー】
大正末期の北国。吹雪をついて機関車が進む。轟音を発し、なだれを浴びた機関車は断崖に転落した。橋本機関手(河野秋武)の助手をつとめていた岩見浩造(三國連太郎)にとって、この事件は、彼の一生を決定した。列車の安全運転に生涯をかけようというのだ。浩造には佐久間太吉(加藤嘉)という親友がいた。二人は東鉄教習所の試験を受けた。失敗した浩造は、黙々と山間の機関士を務めた。その間、石巻の漁師の娘ゆき子(風見章子)と結婚、長男忠夫(南廣)が出生した。世の中は満洲事変、日支事変、やがて大東亜戦争へと移り変った。家族は次男静夫(高倉健)、三男孝夫(中村賀津雄)、長女咲子(小宮光江)と増えた。父と同じ盛岡機関区に勤務する忠夫は出征した。静夫は東鉄教習所に見事パス。父の運転する列車で東京へ向った。孝夫は予科練に入隊した。その頃、忠夫の戦死公報が入った。咲子は親の反対を押切って、徴用工田辺(長谷部健)と家を出た。浩造とゆき子には心痛が続いた。静夫は太吉の娘芳江(八代万智子)と結ばれ、久しぶりに明るい表情が浩造夫婦に戻った。昭和30年。浩造の機関士生活も30年を教え、髪も雪のように白くなった。田辺に捨てられた咲子も名古屋の製材所で働く神崎(山本麟一)との新生活に再出発した。東京に出たまま行方がわからなかった孝夫が戻って来た。彼はみるかげもなくやつれ、数日後、短い一生を終った。新橋駅長になって帰郷した太吉は、浩造と想い出の岩手山を訪れた。鉄道記念日の日、浩造は国鉄から功績章を受けた。晴れの授賞の日に老妻ゆき子と二人で盛岡を出発した。功績章を胸につけた浩造は、ゆき子と静夫の運転する“こだま”に乗って名古屋に向った。そこには元気な咲子が待っていた。鉄道生活30年、雪と汗と油にまみれた。喜びも悲しみも機関手一筋に生き、鉄路を愛してきた浩造を、故郷の山河は暖く迎えた。そして明日への決意を新たにした。


高倉健                       中村賀津雄

題名:大いなる旅路
監督:関川秀雄
企画:岡田寿之、斎藤安代、加茂秀男
製作:大川博
脚本:新藤兼人
撮影:仲沢半次郎
照明:銀屋謙蔵
録音:廣上庄三
美術:森幹男
編集:長沢嘉樹
音楽:斎藤一郎
製作主任:山下明
助監督:梨岡元
出演:三國連太郎、高倉健、南廣、中村賀津雄、梅宮辰夫、風見章子、加藤嘉、小宮光江、八代万智子、利根はる恵、河野秋武、東野英治郎、日高澄子、山本麟一、長谷部健
1960年日本・東映/シネスコサイズ・モノクロ95分35mmフィルム
大いなる旅路 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

大いなる旅路
八代万智子、加藤嘉                  八代万智子

三國連太郎 (国鉄8620形蒸気機関車を運転)        高倉健 (国鉄151系こだま号を運転)

大いなる旅路」国鉄8620形蒸気機関車

大いなる旅路」国鉄151系こだま号

三國連太郎、風見章子                大いなる旅路

映画「日本女侠伝 侠客芸者」


「日本女侠伝 侠客芸者」藤純子

藤純子                        高倉健

今回は山下耕作監督1969年製作「日本女侠伝 侠客芸者」をピックアップする。
本作は日本女侠伝シリーズ第一作で、1972年まで5作品が東映東京撮影所で製作された。主演の藤純子(富司純子)さんは、1969年に「緋牡丹博徒 花札勝負」「緋牡丹博徒 二代目襲名」「緋牡丹博徒 鉄火場列伝」にも主演し「日本侠客伝 花と龍」「昭和残侠伝 唐獅子仁義」で高倉健さんと共演ている。当時のヘビーローテーションと人気ぶりに驚くばかりだ。


金子信雄                      若山富三郎

【ストリー】
明治末期の九州博多は、石炭ブームに沸いていた。馬賊芸者と評判が高い信次(藤純子)は、その美しさと、男勝りの気風と度胸が人気であった。そんな信次に惚れる、大須賀鉱業社長の大須賀善蔵(金子信雄)は土地のやくざの親分・万安こと万場安二郎(遠藤辰雄)と手を組み、九州一の炭坑主にのし上がろうとしていた。そんなある日、わずかな金で料亭「常磐」にやってきた花田炭坑の人夫たちの相手を勤めた信次は、人夫を連れ戻しに来た納屋頭の清吉(高倉健)と口論になるが、清吉の男気に信次は好意を抱いた。良質の石炭層を持つ花田炭坑を狙う大須賀は執拗に清吉を功徳が、自分を育ててくれた先代に報い日本一の炭坑にすると誓った清吉はそれを断った。ある日、お座敷帰りの信次はやくざから幸太(大木晤郎)と鈴江(伊藤栄子)の二人を救う。人夫の幸太を清吉に預けた信次は、二人を自由にするために大須賀炭坑に向かい、話をつけてきた。だが、大須賀炭坑で働く人々の地獄のような生活を見たのち、花田炭坑の小さいながらも明るく活気に満ちた現場を見た信次は感激し、仕事で疲れた人夫たちのために三味線に合わせて舞い踊る。だが大須賀の悪辣な策略は益々ひどくなっていく。坂田陸軍大臣(若山富三郎)の歓迎の宴のなかで、酒の飲めぬ清吉に恥をかかそうとする大須賀だったが、信次が代わりに大盃を空け見事な黒田節を舞う。恥をかかされた大須賀は、その報復に花田炭坑の石炭積出しをストップさせてしまう。


小松方正                      藤山寛美

藤純子、高倉健

題名:日本女侠伝 侠客芸者
監督:山下耕作
企画:俊藤浩滋、日下部五朗
脚本:野上龍雄
撮影:鈴木重平
照明:井上耕二
録音:渡部芳丈
美術:雨森義允
装置:梶谷信夫
装飾:松原邦四郎
美粧:久斗敏厚
結髪:妹尾茂子
衣装:松田孝
技斗:谷明憲
振付:藤間勘五郎
記録:矢部はつ子
編集:宮本信太郎
音楽:木下忠司
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学
製作主任:上田正直
助監督:篠塚正秀
スチール:諸角義雄
出演:藤純子(富司純子)、高倉健、金子信雄、若山富三郎、小松方正、三島ゆり子、遠藤辰雄、土田早苗、桜町弘子、正司花江、利根はる恵、藤山寛美、大木晤郎、伊藤栄子
1969年日本・東映/シネスコサイズ・カラー99分35mmフィルム
日本女侠伝 侠客芸者 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


日本女侠伝 侠客芸者

日本女侠伝 侠客芸者

日本女侠伝 侠客芸者

映画「武器なき斗い」

武器なき斗い武器なき斗い
下元勉                      渡辺美佐子、下元勉

今回は山本薩夫監督1960年製作「武器なき斗い」をピックアップする。
原作は西口克己氏の小説「山宣」を映画化したもので、山宣とは、右翼の凶刃に倒れた労働農民党の代議士・山本宣治氏の事だ。本作は、西口克己氏の講演会の後で、大阪市電の勤務者が映画化を提案したのを契機に企画され、製作資金の募金は大阪市交通局の労組、私鉄の労組、大阪総評傘下の労働者が呼びかけて始まった。没後30周年を記念する映画として、関西在住の3,000人が発起人になり、”山宣映画化実行委員会”を結成し、700万円のカンパが集められた。撮影にあたっては、延べ3,700人にのぼるエキストラが動員されたそうだ。

武器なき斗い武器なき斗い
中谷一郎                      宇野重吉

【ストリー】
大正12年、関東大震災が日本の経済に大打撃をあたえた直後。時の政府・資本家たちは治安維持法を制定してプロレタリア弾圧にのりだしていた。京都同志社大学で教壇にたって生物学者山本宣治は、その頃新しい考えかたによる性教育の必要を痛感して、教室で講義をしたり労組の集りで産児制限の講演をおこなったりしていた。だが、大学当局や政府筋は彼の行動を妨害した。大正14年。ソヴェト労組代表が来日し、これを機会に政府は多くの自由主義的な学生や労勧者を検束した。宣治も同志社を追放され、労働党の運動に加わった。佐山村農民組合争議の惨状を目のあたりにして、彼は自分の生物学者としての考えかたを世に徹底させるためには、まず政治を改めねばならぬのを知った。妻千代や三人の息子は彼のよさ理解者であった。生家である料亭花屋敷を経営する父亀松、母多年も、考えかたこそ異れ、息子を信頼していた。佐山村争議で宣治は小作人さき・清母子や共産党員本田、彼に好意をよせる娘のぶなどを知った。やがて金融恐慌がやってきて、支配階級は侵略戦争を起した。昭和3年、普選に労働党から立候補した宣治は、苦しい選挙干渉と弾圧をしりぞけて代議士に当選した。3月15日の全国的労農階級弾圧一斉検挙を迎えて、宣治は断固支配階級とたたかった。が、彼の身体は激しい日々の連続によって病魔におかされていた。政府は治安維持法をさらに改悪しようとした。宣治は一人、本会議場でこれの反対演説をおこなう決心をした。しかしその日を目前にひかえた夜、彼は神田の光来館で右翼の兇刃に倒れた。日本の暗い時代はますます重くるしく、ひろがっていこうとしていた。
--昭和4年のその日から年月が経て、侵略戦争は敗戦によって終止符をうった。はじめて赤旗に囲まれ、おこなわれた山宣の命日に、改めて人々は彼の姿を胸によるがえらせるのだった。

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多々良純                       小沢昭一

題名:武器なき斗い
監督:山本薩夫
企画:山宣映画化実行委員会
製作:角正太郎、伊藤武郎
原作:西口克己「山宣」
脚本:依田義賢、山形雄策
撮影:前田実
照明:田畑正一
録音:安恵重遠
美術:久保一雄
編集:河野秋和
音楽:林光
現像:東洋現像所
協力監督:今井正、小坂哲人
出演:下元勉、中谷一郎、渡辺美佐子、宇野重吉、東野英治郎、山本學、河原崎長十郎、小沢栄太郎、三島雅夫、多々良純、利根はる恵
1960年日本・大東映画/シネスコサイズ・パートカラー140分35mmフィルム
武器なき斗い [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

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