映画「トラック野郎 爆走一番星」


「トラック野郎 爆走一番星」あべ静江

菅原文太、愛川欽也                  あべ静江

今回は鈴木則文監督1975年製作「トラック野郎 爆走一番星」をピックアップする。
前作「トラック野郎 御意見無用」の予想外のヒットで、松竹「男はつらいよ」シリーズの向こうを張って作られる事になった本作は、姫路、長崎、博多などを駆け巡って活躍する“一番星の桃次郎”(菅原文太)と“やもめのジョナサン”こと金造(愛川欽也)の様式化されたコメディ・ロードムービー第2弾になる。

トラック野郎シリーズ


加茂さくら                      春川ますみ

【ストリー】
派手なデコレーションで飾った11トン車と4トン車を運転する“一番星の桃次郎”(菅原文太)と“やもめのジョナサン”こと金造(愛川欽也)は、今日もペアーを組んで、日本列島を西へ、東へ、北へ、南へ、と突っ走っている。金造と波の女房・君江(春川ますみ)は、桃次郎に身を固めさせようとしていたが、桃次郎は、姫路近郊のドライブ・イン「おふくろ」でウェイトレスをしている高見沢瑛子(あべ静江)に一目惚れした。瑛子は女子大生で「おふくろ」に下宿し、アルバイトをしているのだった。桃次郎は、自分の見合写真を瑛子に渡すように頼むが、金造は勘違いしてパキュームカーの女運転手・杉本千秋(加茂さくら)に渡してしまった。瑛子との結婚話が進んでいると思っている桃次郎は、太宰治の愛読者である瑛子に近づこうと必死に文学書を読み始めた。一方、千秋は桃次郎に気持が傾き始め、千秋に心を寄せている交通係巡査・赤塚(なべおさみ)は内心穏やかではない。金造は子供を生むのに忙がしく、まだ新婚旅行に連れて行っていない君江へのサービスで、9人の子供たちを引き連れて、長崎見物に行くことになった。桃次郎も子供の世話を買って出て同行した。一行は長崎で小学生の薫(千葉由美)と雄一の姉弟と知り合った。母が死に、出稼ぎ中の父の帰りを待つ健気な姉弟に桃次郎と金造は心を打たれるのだった。桃次郎の瑛子への思慕が一向に冷めそうもないので、金造はついに千秋に事の経過を話した。千秋は「心配せんといて、男なんか邪魔だから…!」と微笑しながらも、心の中で泣いた。そんなある日、元花巻の鬼台貫・金造を仇と狙うダンプの運転手ボルサリーノ2(田中邦衛)が、復讐を仕掛けてきた。桃次郎は金造をかばい、挑戦を受けて立ち、激烈なカーレースを展開させた。数日後、金造からプロポーズの手ほどきを受けた桃次郎は、瑛子に求婚した。だが、瑛子には恋人がいた。彼女は恋人・片岡光二(夏八木勲)と別れる寸前であったが、運転手たちの交流の中で、人間を愛する意味を教えられ、光二との結婚の決意を固めたところだった。桃次郎の恋ははかなくも破れ去った……。
暮も押し迫ったある日、桃次郎の車に“当り屋”が飛び込んだ。その中年男は、薫の父親・松吉(織本順吉)だった。「親父よ、除夜の鐘を子供と一緒に聞くんだぜ」桃次郎は、松吉をトラックに引きずり上げると長崎へ向けてスタートさせた。一方、薫と雄一の家を訪れていた金造は、土産と正月の晴れ着を買い、二人を励ましていた。長崎へ急ぐ桃次郎は、白バイとパトカーに追跡されたが、丁度通りかかったボルサリーノ2が激しく蛇行して、パトカーの進路をさえぎってくれた。除夜の鐘が鳴りはじめた頃、一番星は粉雪の舞う長崎に到着した。父子の涙の再会を横目で見た桃次郎と金造は「このいい気分、女なんかに分かんねえぜ……」と、固く手を握りしめた。


田中邦衛                 なべおさみ、関根勤(旧名:ラビット関根)

題名:トラック野郎 爆走一番星
監督:鈴木則文
企画:天野完次、高村賢治
脚本:鈴木則文、澤井信一郎
撮影:飯村雅彦
照明:山口利雄
録音:井上賢三
美術:桑名忠之
装置:畠山耕一
装飾:米沢一弘
美粧:井上守
美容:花沢久子
衣装:内山三七子
技斗:日尾孝司
記録:山内康代
編集:鈴木宏始
音楽:津島利章 主題歌:菅原文太、愛川欽也「一番星ブルース」
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学
製作主任:志村一治
助監督:澤井信一郎、馬場昭格
スチール:藤井善男
出演:菅原文太、愛川欽也、あべ静江、加茂さくら、春川ますみ、なべおさみ、田中邦衛、山城新伍、夏八木勲、研ナオコ、織本順吉、千葉由美(子役)、関根勤(旧名:ラビット関根)
1975年日本・東映東京撮影所/シネスコサイズ・カラー104分35mmフィルム
トラック野郎 爆走一番星 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


菅原文太、織本順吉              「トラック野郎 爆走一番星」

映画「化身」


藤竜也                        黒木瞳

今回は東陽一監督1986年製作「化身」をピックアップする。
渡辺淳一氏の同名小説を映画化した本作は、東陽一監督が今まで幻燈社のスタッフと一緒に映画を作って来たスタイルから、撮影の川上皓市氏、編集の市原啓子氏を除いて東映東京撮影所界隈のスタッフで作られたそうだ。「女が時めき美しくなって行くのに対し男はだんだんと駄目になって行き次第に逆転していく」をモチーフに、黒木瞳さんの映画デビュー作として阿木燿子さんと共に大胆なベットシーンで話題になった作品だ。特に藤竜也さんの抑えた芝居が、文芸作品にしている軸だと思う。


阿木燿子                      青田浩子

【ストリー】
京都から帰京した文芸評論家の秋葉大三郎(藤竜也)は、東京駅に降りた時、「鯖の味噌煮が食べたい」と珍しいことを言っていた銀座のホステスを想いだした。里美(黒木瞳)というそのホステスのいるバー「魔呑」へ友人、能村(梅宮辰夫)と出かけた秋葉は彼女をデートに誘った。デートの日、泥臭さが抜けきらないが素朴なところに魅かれた秋葉は、里美を抱いた。里美は本名を八島霧子といった。霧子は不思議な魅力を持っていた。髪形やファッションを変えると見違えるように変身した。秋葉には編集者で38歳の田部史子(阿木燿子)という愛人がいたが、霧子と付合うようになってから、仲が遠のいていた。たちまち「魔呑」の売れっ子となった霧子を別荘に連れて行った秋葉は、そこで史子と出くわす。史子は秋葉の心変わりを知った。霧子は「魔呑」を辞め、秋葉は彼女のために高級マンションを与えた。彼は日毎に容姿も肉体もいい女になっていく霧子に充足感を覚えていた。霧子が代官山に洋服のリサイクルの店を出したいと言ってきた。二千万近い資金は秋葉が都合し、霧子は店の名を秋葉のアと霧子のキから「アンティック・阿木」と名付けた。新しい情報と品物の仕入れの為に霧子がニューヨークに発った。秋葉も同行するはずだったが、母の久子(淡島千景)が脳血栓で倒れたため、仕方なくニューヨーク在住の商社員、室井達彦(永井秀和)に霧子の世話を頼む。ある日、秋葉は「阿木」から出て来た史子と会った。彼女とは一年近くも会っていなかったが、昔のことにはふれず逆にサバサバした様子だった。霧子が帰国した。出迎えた秋葉は別人のように美しくなった霧子を見て呆然とする。霧子の身辺は急に多忙になった。マスコミの付合いなどで秋葉が介入する余地がないほどだ。霧子は自立する女に変りかけていた。ある夜、別れ話をきりだした霧子はマンションを飛びだした。追いかけた秋葉は史子の部屋に入って行く霧子を見て呆然とした。二人は半年前からの知り合いだと言う。久子の葬儀の日、霧子が焼香に現われ、秋葉に別れの理由を語る。霧子はまだ秋葉を愛していたが、史子と彼の関係を知り愛の不確さを感じたのだ。そして、男に去られる前に生甲斐を見つけて去って行くことを考えたのだった。

題名:化身
監督:東陽一
企画:三堀篤、瀬戸恒雄、前田勝弘(幻燈社)
原作:渡辺淳一
脚本:那須真知子
撮影:川上皓市
照明:梅谷茂
録音:久保田幸雄
美術:今保太郎
記録:山之内康代
編集:市原啓子
音楽:加古隆 主題歌:高橋真梨子
撮影機材:特殊映材社
現像:東映化学
製作主任:酒井喬二
監督助手:栗原剛志
表紙絵:原万千子
スチール:加藤光男
出演:藤竜也、黒木瞳、阿木燿子、梅宮辰夫、青田浩子、加茂さくら、三田佳子、淡島千景、永井秀和、小倉一郎
1986年日本・東映/ビスタサイズ・カラー105分35mmフィルム
化身 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


化身

映画「セカンド・ラブ」


セカンド・ラブ

Michell S35R Mark II BNC キャメラを覗く大原麗子さん(CF撮影の劇中劇)

西岡徳馬、大原麗子                大原麗子、小林薫

今回は東陽一監督1983年製作「セカンド・ラブ」をピックアップする。
都会の中で生きがいと愛を求めて必死に生きる若い再婚女性の姿を描いた本作は、大原麗子さんが37歳の時に主演した作品だ。大原麗子さんはテレビドラマで多くの主演作品が多いが、何と映画の主演は、本作と1970年「三匹の牝蜂(東映/監督:鳥居元宏)」だけだとは知らなかった。しかし、CMへの出演も多く「すこし愛して、ながーく愛して」という台詞で魅力を拡散した市川崑監督によるサントリーのCM(1977~1990年放映)は珠玉の名作だ。

東陽一監督は、私が10代の頃、企業PR映画で製作進行助手で就かせて戴いた事があり、それから10数年後、私が撮影チーフ助手の時に自動車のCMでもお世話になった。その後お会いしてないが、お元気だろうか?

CM撮影の劇中劇でトリビアを見つけた。本作の撮影チーフを担当された篠田昇氏が、そのまま劇中スタッフとして入射メーターで計測し、出演している!私とは、前述した企業PR映画の仕事で知り合い、その後何度か撮影助手で就かせて戴いた事があった。篠田さんは1985年には相米慎二監督「ラブホテル」で撮影技師(カメラマン)としてデビューされている。その後、1987年神代辰巳監督「噛む女」1994年岩井俊二監督「スワロウテイル」2002年行定勲監督「月に沈む」など40作品以上の劇映画を担当されたが、2004年6月に急逝されてしまった。私が最後にお会いしたのは、別々の仕事で東映化学現像所だったと記憶する。2004年行定勲監督「世界の中心で、愛をさけぶ」が遺作となった。謹んでご冥福をお祈りしたい。

【当ブログで紹介した東陽一監督作品】
1979年「もう頬づえはつかない
1981年「ラブレター
1986年「化身


セカンド・ラブ

アイ・ジョージ                 大原麗子、アイ・ジョージ

【ストリー】
日向一実(大原麗子)32歳。職業グリーン・コーディネイター、CF撮影など感性を要求される世界で男まさりの仕事をしている。一実は再婚女性で、夫の秀夫(小林薫)は二つ年下の建築家、結婚二年目。最近いつもかかってくる正体不明の電話に、秀夫は前夫の影を感じていた。そんな時、一実に妊娠の予感、しかしなぜか秀夫には黙っていた。そんな一実に微妙な視線を向けるもう一人の男性がいた。行きつけの喫茶店のマスター友春(アイ・ジョージ)だ。いま一実は、あまりポピュラーでない自分の仕事がささやかでも認められたらと、近づく個展の準備に余念がなかった。個展当日、一実の母志保(荒木道子)、姉の茅(赤座美代子)子もお祝いにかけつけた。盛況にホッと胸をなでおろす一実に、女性誌のフリーライターを名乗る展子(中村れい子)という若い女性が取材に来た。そこに顔を出した秀夫が、オートバイに乗ることを知った展子は、執拗に彼にまといつき、彼が建築中の家へ案内してもらう。一方、一実は友春の店で仲間と個展の成功を祝い、一人帰途につくと、台所で見知らぬ男が死んでいた。そこへ秀夫が帰ってきて、またも前夫の影を口走った。事件を契機に二人のモヤモヤしたものが一気に噴き出す。そんな秀夫に展子の存在は、火に油を注ぐようなものだった。秀夫は、突然故郷の和歌山に帰ると言いだした。上京してきた実兄功一(河原崎建三)の話がその気にさせたらしい。久しぶりに故郷の空気を満喫する秀夫、その彼の帰りを熱海駅で待ち構えていたのは展子だった。その頃、一実も友春に一瞬唇を奪われていた。そして医者からは妊娠確実の宣告。ある日、一実が友人たちを招いてパーティを開いた。そこに正体不明の電話が。いらだった秀夫は、挙句の果てに一実の仕事を、自然をもて遊ぶ虚業と決めつけた。大粒の涙をためながら反論し、一実は思いのたけを、皆の前でぶちまける。夜、あやまる秀夫に一実は妊娠を告げた。その日、一実は奇妙な夢を見た。そして二人の間の何かがふっ切れた矢先、ローラースケート遊びの子供を避けようとして一実は怪我をした。事故の知らせを聞いた秀夫に展子から電話が。それをふりきってオートバイで出かけた秀夫もまた転倒した。頭に包帯を巻いて区役所から出てきた一実に、ビッコを引き引き近寄る秀夫。一実の手には母子手帳が、しっかりと握られていた。


中村れい子                     小林薫、中村れい子

題名:セカンド・ラブ
監督:東陽一
企画・製作:吉田達、前田勝弘
脚本:田中晶子、東陽一
撮影:川上皓市
照明:磯崎英範
特機:明光セレクト
録音:久保田幸雄
美術:綾部郁郎
編集:市原啓子
音楽:田中未知
現像:東映化学
製作主任:中村喜代太
製作進行:小松原時夫
助監督:栗原剛志
撮影助手:篠田昇
撮影機材:三和映材社
照明機材:日本照明
スチール:遠藤正
出演:大原麗子、小林薫、アイ・ジョージ、中村れい子、河原崎建三、長谷川初範、西岡徳馬、荒木道子、赤座美代子、加茂さくら
1983年日本・東映+幻燈社/ビスタサイズ・カラー103分35mmフィルム
セカンド・ラブ -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


小林薫、大原麗子

セカンド・ラブ

私の好きな女優、大原麗子さんは、2009年8月3日に不慮の死を遂げ、満62歳で亡くなった。
ほんとに残念でならない。

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