映画「修羅の群れ」


松方弘樹                       菅原文太

今回は山下耕作監督1984年製作「修羅の群れ」をピックアップする。
主演に松方弘樹さんを迎え、鶴田浩二さん、若山富三郎さん、菅原文太さん、丹波哲郎さん、北島三郎さん、北大路欣也さん等、東映の任侠映画路線を築き上げたベテラン俳優陣が重厚さを加えている。そして、東映初出演の酒井和歌子さんが華を添え元プロ野球選手の張本勲さんと小林繁さんも出演する。

【追記・訃報】
本作の主演をした松方弘樹さんが、2017年1月21日に死去した。享年74歳だった。


酒井和歌子                     北大路欣也

北島三郎                      鶴田浩二

【ストリー】
昭和8年の冬、雪の舞う横浜浅間町の柔道の吉岡道場を、横浜四親分の一人、加東伝三郎(丹波哲郎)が訪ねてきた。そこで柔道を習う稲原龍二(松方弘樹)は加東の勧めもあって、彼の若い衆になることに決めた。インテリでありながら博奕で身を滅ぼした父の仇をとるには、この道で男をあげるしかないと思ったのだ。龍二はよく働き、そんな彼に加東一家の兄貴分横山(鶴田浩二)が仁侠道のイロハを教えた。ある日、売り出し中の龍二は海岸でチンピラにからまれている娘を助ける。娘の名は中田雪子(酒井和歌子)、後の稲原夫人である。日本が太平洋戦争に突入した昭和15年、二人は結婚した。19年、勤労奉仕で御殿場の山北へ出かけた龍二は、伝三郎の兄弟分、横浜笹岡一家の桐原銀一郎とことを起こしてしまう。しかも、横浜四天王の一人、鶴岡政次郎(若山富三郎)の目前でだ。しかし、鶴岡は、弱い人間をかばって喧嘩した龍二を見込んで、身柄をあずかるといってくれた。戦後の混乱期の湯河原。賭場で無法をはたらいた海軍復員兵の長谷部(木之元亮)と森谷(清水健太郎)が龍二の貫禄に圧倒され、若い衆になった。更に、モロッコの辰、井沢輝一(菅原文太)というグレン隊あがりの暴れ者たちも次次と舎弟分となった。そして昭和24年春、熱海の山崎一家石井光之助親分の跡目を継ぎ、稲原組がうぶ声をあげた。僅か10年の間に稲原組は熱海を制覇するや、小田原、横浜、静岡へと進攻し、組員も増えた。龍二の人種差別しない心に感動した韓国人の山村修道(張本勲)、田上圭(小林繁)、五、六百人の若い衆をかかえる石河(北大路欣也)も、稲原に惚れ身内となった。組織が大きくなればなるほど上下の意志の疎通は欠けるようになり、井沢の独断専行が目にあまるようになった。横山は、彼を破門せよと迫り、龍二は断腸の思いでこれに従った。さらに不幸は襲った。龍二が親と仰いだ横山が死んだのだ。龍二は、横山のために建てた墓前で、更なる前進を誓うのだった。


若山富三郎                      丹波哲郎

題名:修羅の群れ
監督:山下耕作
製作総指揮:俊藤浩滋、高石淡
製作:佐藤雅夫、斎藤一重
原作:大下英治
脚本:村尾昭
撮影:赤塚滋
照明:海地栄
録音:平井清重
美術:井川徳道
装置:稲田源兵衛
装飾:渡辺源三
背景:西村三郎
衣装:豊中健
技斗:上野隆三
記録:石田照
編集:市田勇
音楽:木下忠司 主題歌:北島三郎「神奈川水滸伝」
製作主任:野口忠志
助監督:俵坂昭康
スチール:中山健司
主演:松方弘樹、鶴田浩二、菅原文太、北大路欣也、酒井和歌子、北島三郎、若山富三郎、丹波哲郎、小林繁、張本勲、品川隆二、小野さやか、目黒大樹、待田京介、木之元亮
1984年日本・東映/ビスタサイズ・カラー123分35mmフィルム
修羅の群れ -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


松方弘樹

映画「夢千代日記」


吉永小百合                       北大路欣也

今回は浦山桐郎監督1985年製作「夢千代日記」をピックアップする。
本作はテレビドラマとして高視聴率を上げた「夢千代日記」」シリーズの完結篇として原作者の早坂暁氏の要望で映画化され浦山桐郎監督の遺作(1985年10月死去、享年55歳)である。浦山桐郎監督と吉永小百合さんの「キューポラのある街」から23年後の作品で、日本を代表する女優の変わらぬ美貌とスピリチュアルな透明感が映し出されて感慨深い。


田中好子                                            左時枝、名取裕子

【ストリー】
山陰の雪深い温泉町、湯村。“はる家”の夢千代こと永井左千子(吉永小百合)は広島で被爆していた。“はる家”は夢千代が母から受け継いだ芸者の置家で、夢千代の面倒を子供の頃から見てくれている渡辺タマエ(風見章子)、気のいい菊奴(樹木希林)、スキー指導員・名村(渡辺裕之)に恋し自殺未遂を起こす紅(田中好子)、好きな木浦(前田吟)のため、彼の妻の替わりに子を宿す兎(名取裕子)、癌で三ヵ月の命だという老画伯・東窓(浜村純)に、束の間の命の灯をともす小夢(斉藤絵里)たちがいる。神戸の大学病院で「あと半年の命」と知らされた夢千代は、帰りの汽車の窓から祈るように両手を合わせて谷底へ落ちて行く女性を見た。同乗していた女剣劇の旅役者の一人、宗方勝(北大路欣也)もそれを見ていたが、彼の姿は消えてしまう。捜査の結果、その女性の駆け落ちの相手、石田が逮捕された。彼の子を身篭った女が邪魔になったのだろうという事だったが、夢千代には自殺としか思えなかった。翌日、旅芝居好きの菊奴の案内で春川一座を尋ねた夢千代は、宗方に本当のことを教えてほしいと嘆願するが、宗方は「見ていません」と冷く答えるのだった。夢千代はタマエから、死んで行くしかない特攻隊員との愛のかたみに母が女手一つで自分を産み落としたことを聞かされ、一度だけ出来た子供を堕したことを悔いた。ある夜、夢千代は春川一座へ出かけ、熱を出して倒れてしまう。そして、宗方に背おわれて“はる家”に戻ってきた。春川一座のチビ玉三郎(白龍光洋)は、母である座長や菊奴の前で宗方の夢千代に対する気持を言いあてる。その時、宗方は菊奴から夢千代の命が長くないことを知らされた。証人として宗方の身元を調べていた藤森刑事(加藤武)は、彼の名がでたらめであることを知る。さらに、15年前、父親を殺して指名手配中であることをつきとめ、夢千代に警告するのだった。宗方は一座から姿を消した。彼を隠岐行のフェリーで見かけたという紅の言葉を頼りに、夢千代は隠岐島へ向った。そして、宗方に愛を告白し、二人は結ばれた。宗方は衰弱した夢千代を“はる家”へ連れ帰る。皆の見守るなか、夢千代は息を引きとり、宗方は藤森によって逮捕されたのだった。


浜村純                                       斉藤絵里

題名:夢千代日記
監督:浦山桐郎
企画:早坂暁
製作:岡田裕介、佐藤雅夫、坂上順、斎藤一重
脚本:早坂暁
撮影:安藤庄平
照明:渡辺喜和
録音:荒川輝彦
美術:井川徳道、佐野義和
装飾:渡辺源三
背景:西村三郎
衣装:森譲、黒木宗幸
美粧・結髪:東和美粧
技斗:上野隆三
振付:藤間勘五郎
記録:森村幸子
編集:玉木濬夫
音楽:松村禎三 和楽:浪花三之介
現像:東映化学
製作主任:長岡功
助監督:鈴木秀雄
スチール:中山健司
出演:吉永小百合、名取裕子、田中好子、樹木希林、北大路欣也、風見章子、小川真由美、河原崎長一郎、斉藤絵里、渡辺裕之、三條美紀、小田かおる、左時枝、横内正、加藤武、前田吟、岸部一徳、白龍光洋
1985年日本・東映京都撮影所/ビスタサイズ・カラー128分35mmフィルム
夢千代日記 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


夢千代日記                                                            吉永小百合

映画「婉という女」


岩下志麻                         緒形拳

今回は今井正監督1971年製作「婉という女」をピックアップする。
本作は、封建制度下の土佐藩で40年もの間、幽閉された婉(えん)の実話を記した大原富枝氏の同名小説を映画化したもので、岩下志麻さんが好演している。しかし、狭いスタジオに配置された家屋のセットに感じた圧迫感は、狙いなのか?独立プロダクションでの低予算の為に用意出来なかったのか?分からなかった。


中村賀津雄                       北大路欣也

岸田今日子                       北林谷栄

【ストリー】
土佐藩家老野中兼山が失脚して死ぬと、藩政を握った政敵たちは、当時わずか四歳であった婉たち兼山の遺族を宿毛へ閉じ込めた。外界と完全に接触を断たれた婉は、せまい獄舎をそれ程苦しいとは思わなかったが、娘として成熟するにつれ、獄舎はせまくなり、自由ではなくなってきた。異腹の兄弟とはいえ、せまい一つの世界での男であり女である。「他人に会いたい!」くずれるような婉を学問が支えた。婉が二六歳になった時、奇蹟が訪れた。亡き父兼山を敬慕する青年学者谷秦山が幽居を訪ねてきたのである。獄吏に遮られ対面こそできなかったが、許された年に一、二度のそれも学問上の質疑に限られた秦山との文通は、婉の中の女の生命の炎を烈しく燃やした。そして四〇年ぶりに触れる新しい世界、岩石をくだき、白い飛沫をあげる川の流れ……。互の存在を知りあって実に二〇年ぶりの初対面。別れしな、婉の手をつつむように握った秦山の手のぬくもりは、いつまでも消えることはなかった。だが外界も婉ののぞんだような自由な世界ではなかった。世間の好奇な眼があり、妻子ある秦山と会う事は思うにまかせず、いぜんとして文通でしか心は通じあえなかった。世間という漠としてとらえがたい障害、しかも秦山はその力に抗じがたいものを見、婉から遠ざかろうとしている。秦山に想いを寄せる婉の気持とは逆に、秦山は婉に婚姻をすすめた。やがて思いがけぬ悲運が婉を見舞った。土佐藩の継続問題がもとで、秦山が幽居を命ぜられたのである。婉と秦山の立場が逆転した。「幽居にはじめて訪れたただ一人の人。こんどは私が会わずば気がすまぬ」。婉は駕篭を駆った。途中城代、山内主馬の行列とぶつかった。婉は侍たちをキッと見上げた。「元家老、兼山の娘、婉、邪魔だちは許しませぬぞ!」。婉の体内に政治へのすさまじい抵抗がみなぎっていた。

題名:婉という女
監督:今井正
企画:本田延三郎、高島幸夫、鈴木尚之、今井正
製作:内山義重
原作:大原富枝
脚本:鈴木尚之
撮影:中尾駿一郎
照明:平田光治
録音:安恵重遠
音効:福島幸雄
美術:川島泰三、平川透徹
装飾:荒川大
衣装:上野芳生
美粧:川口裕弘
技髪:川口義弘
考証:林美一
着付:橋本潔
記録:吉田栄子
編集:丹治睦夫
音楽:間宮芳生
製作主任:小山孝和
助監督:長井博
撮影助手:豊田収
照明助手:本橋俊男
美術助手:永沼宗夫
装飾助手:安田彰一
録音助手:中山義広
編集助手:丹治光代
スチール:木庭鴻志
現像:東洋現像所
出演:岩下志麻、中村賀津雄、緒形拳、江原真二郎、河原崎長一郎、北大路欣也、山本学、岸田今日子、加藤嘉、長山藍子、北林谷栄、織本順吉、田代美恵子、佐々木すみ江
1971年日本・ほるぷ映画/シネスコサイズ・カラー123分 35mmフィルム
婉という女 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


婉という女

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