映画「赤い天使」

赤い天使赤い天使
若尾文子                若尾文子、芦田伸介 ※コスプレのシーン

今回は増村保造監督1966年製作「赤い天使」高評価作品sをピックアップする。
本作は同年製作「陸軍中野学校」に続く戦争の狂 気をテーマにした作品であり、日中戦争で戦傷者たちが無数に横たわる地獄と化した野戦病院の悲惨で狂気に満ちた状況を描くと同時に愛とエロスを追及した内容だ。主演は増村監督とタグを組んでいた美しい若尾文子さん、ベテラン俳優の芦田伸介氏、川津祐介氏が物語に厚みを持たせている。撮影は名匠小林節雄氏が「陸軍中野学校」に続いて担当されている。
※アナモフィック単レンズを装着したMICHELL S35Rキャメラを使用している。(下写真)

赤い天使赤い天使
芦田伸介、若尾文子

1972年9月29日の日中国交正常化以降に日中戦争を描いた日本映画はほとんどない。
本作の様に日中戦争をモチーフにした良質の高評価作品が作られなくなったのは、日本軍が登場するだけで軍国主義的とする様な風潮がもしあるとしたら大変な間違いだと思う。
その意味で本作は日本以上にフランスで評価された増村保造監督作品になっているそうだ。

赤い天使赤い天使
芦田伸介、若尾文子            若尾文子、川津祐介

【ストリー】
昭和14年、西さくらは従軍看護婦として天津の陸軍病院に赴任した。その数日後、消灯の後の巡回中、彼女は数人の患者に犯されてしまった。そして、二カ月 後、深県分院に転属となった彼女は、軍医岡部の指揮の下で忙しい毎日を送っていた。一つの作戦ごとに、傷病兵は何台ものトラックで運ばれてきた。大手術が 毎日のように行なわれ、手術台の傍の箱には切断された手足があふれていた。そんな精神をすりへらす仕事に、岡部軍医はいつしかモルヒネを常用するように なっていた。勤務交代で天津に戻ったさくらは岡部のお蔭で生命が助かったという折原一等兵に会った。
そして、哀願する折原のために、さくらはホテルの一室で全裸になった。男の機能を復活させることが、自分の使命だと思ったからだった。しかし、あくる日、 折原は病院の屋上から投身自殺を遂げた。再び深県分院に戻ったさくらは、岡部がモルヒネのために不能になっていることを知り、それを治そうと一緒に寝た。 さくらは岡部をいつしか愛してもいたのだった。やがて岡部は応急看護班を編成して前線にいくことになり、さくらも行動を共にした。しかし、前線を走るト ラックは、まだ目的地に着かないうちに、営林鎮集落で敵の包囲を受けた。しかも、極度に衛生状態の悪い集落ではコレラが発生していた。
無線機は故障していた。総ての望みを絶たれた岡部とさくらは、ある日の夜、二人きりで部屋に閉じこもった。岡部は、間もなく禁断症状を起こして暴れたが、 さくらは必死になって押えつけ、夜の白む頃まで格闘した。そして岡部が正気に戻った時、二人は激しい抱擁をくり返したが、間もなく、中国軍の攻撃が始まっ た。そして、圧倒的な中国軍の前に、全員が散っていったのだった。援軍が到着した時、さくらは岡部の死体を抱きしめて倒れていた。

赤い天使赤い天使
※キャメラはS35R(MICHELL)        ※演出をする増村保造監督

題名:赤い天使
監督:増村保造
企画:久保寺生郎
原作:有馬頼義
脚本:笠原良三
撮影:小林節雄
照明:泉正蔵
録音:飛田喜美雄
美術:下河原友雄
編集:中静達治
音楽:池野成
スチール:柳沢英雄
出演:若尾文子、芦田伸介、川津祐介、赤木蘭子、千波丈太郎、池上綾子
1966年日本・大映/シネスコサイズ・モノクロ95分35mmフィルム
赤い天使 [DVD]
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映画「ある殺し屋」

ある殺し屋ある殺し屋
市川雷蔵(8代目)

今回は森一生監督1967年製作「ある殺し屋」をピックアップする。
本作は藤原審爾氏の原作「前夜」を映画化したもので、8代目市川雷蔵が「陸軍中野学校」同様にクールなキャラクターを演じ、続編「ある殺し屋の鍵(1967年)」も制作された。脚本を増村保造監督、撮影を巨匠宮川一夫氏が担当されている和製フィルム・ノワールの傑作だ。現在も活躍されている演歌歌手の小林幸子さんが出演しているのがトリビアだった。

ある殺し屋ある殺し屋
野川由美子                   小林幸子

【ストリー】
塩沢(市川雷蔵)は名人芸の殺し屋として、やくざ仲間に名を知られていた。ふだんは平凡な一杯飲屋の主人だが、どんな困難な殺人でもやってのけた。ある日、塩沢は、無銭飲食と引きかえに、体で金を払うというズベ公スタイルの女、圭子(野川由美子)の金を払ってやった。その日から圭子は塩沢につきまとい、塩沢のやっている小料理屋“菊の家”までおしかけ、あげくの果にはおしかけ女中として“菊の家”に住みこんでしまった。塩沢が意外と小金を持っているらしいと睨んでのことで、夜ごと、塩沢を挑発するがぜんぜん相手にされなかった。そんなところへ、暴力団木村組組長(小池朝雄)から、競争相手のボス大和田を殺してほしいと依頼があった。塩沢は二千万円でその仕事を引きうけた。
競馬場、大和田邸、大和田の二号茂子(渚まゆみ)のマンションと、塩沢は大和田をつけ狙ったが、強力なボディガードに守られた大和田に手が出なかった。しかし、ついに大和田主催のパーティに芸人として潜りこんだ塩沢は、大和田暗殺に成功した。塩沢の手口の鮮やかさと、報酬の大きさに惚れこんだ、木村組幹部前田(成田三樹夫)は、塩沢に弟子入りを頼んだが断わられた。しかし、前田は圭子から手なづけようと、強引に圭子と関係を結んだ。前田の若さと強引さに惹かれた圭子は、塩沢を殺して彼の金を盗ろうと前田にもちかけた。前田と圭子は色と慾で組んだ。そして計画を練った。
それは、ボスを失った大和田組が麻薬を扱っているから、それを横どりしようというのだ。無論塩沢に異存はなかった。塩沢一流の周到な計画で、塩沢、前田、圭子の三人は、大和田組から二億円の麻薬をカツあげした。その瞬間前田は塩沢に拳銃を向けた。しかし、裏切りを予想していた塩沢は前田の拳銃の弾を抜いていた。愕然とする前田に、塩沢は約束通り麻薬を三等分して去っていった。
初めて本当の男の気持にふれた前田は、麻薬も圭子も捨てて塩沢の後を追っていくのだった。

ある殺し屋ある殺し屋
成田三樹夫                   小池朝雄

題名:ある殺し屋
監督:森一生
原作:藤原審爾
脚本:増村保造、石松愛弘
撮影:宮川一夫
照明:美間博
録音:林土太郎
美術:太田誠一
編集:谷口登司夫
音楽:鏑木創
現像:東洋現像所
助監督:大洲斉
スチール:大谷栄一
出演:市川雷蔵(8代目)、野川由美子、成田三樹夫、渚まゆみ、千波丈太郎、小池朝雄、小林幸子
1967年日本・大映京都/シネスコサイズ・カラー82分35mmフィルム
ある殺し屋 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

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