映画「新座頭市 破れ!唐人剣」


勝新太郎                         王羽

今回は安田公義監督1970年製作「新座頭市 破れ!唐人剣」をピックアップする。
本作は、座頭市シリーズの第22作で勝プロダクションとゴールデン・ハーベスト(香港)との合作になる。その為に日本公開版と香港公開版があり、ラストシーンの座頭市と王(王羽)の対決は、二通りになった。日本公開版は座頭市が勝ち、香港公開版は王剛が勝つというバージョンである。香港公開版は、香港のトップスターであるジミー・ウォング(王羽)の代表作、片腕必殺剣(獨臂刀)シリーズの第3作目としている。

座頭市シリーズ


勝新太郎、浜木綿子                    寺田路恵

【ストリー】
襲いくる杉戸一家のやくざを叩っ斬り、今日も、御法度の裏街道を旅していた座頭市(勝新太郎)は、瀕死の唐人から小栄(香川雅人)という子供を預けられた。街道筋で南部藩といさかいを起こして追われる身となった王(王羽)という唐人剣士が小栄の知人であることを知った市は王を救い小栄を渡してやった。一夜の宿に、と入った水車小屋で市は再び二人に出合い、小栄のカタコトの通訳で王が福龍寺に友人をたずねていくと知った市は、心よく案内役を買ってでた。寺へいく途中、親切な与作(花澤徳衛)、お米(寺田路恵)の親子から、懸賞金ほしさに王を追っている藤兵ヱ一家の探索が続いていることを知った市は、二人を親子にかくまってもらうことにした。王、小栄の食料を求めて町にでた間に、藤兵ヱ一家に襲われ、やっと市がたどりついた時はすでに与作夫婦は斬殺されお米、王、小栄の三人の姿は見えなかった。その足で藤兵ヱの家に馳け込んだ市は得意の居合でお米を助けだしたが、お米に裏切者との思いもかけぬ言葉をぶつけられて茫然とした。やりきれぬ思いを酒でまぎらわせる市に、酌婦お仙(浜木綿子)は、あでやかな姿で言いたってきたが、これも杉戸一家生き残りの為助と用心棒の片捧をかつぐ手管だった。スキをうかがい斬りつけてきた為助(森章二)らを、目にも止まらぬ居合で斬り捨てた市は、わずかな望みを胸に、福龍寺をたずね王、小栄の無事を聞き安心したものの、王が市を裏切者と思いこんでいるとは夢にも考えてはみなかった。だが王と小栄を売ったのは、親友と信じていた福龍寺の覚全(南原宏治)であり、覚全の手引きで不意を襲ってきた南部藩士に、不覚にも小栄を奪われてしまった王は、小栄奪回のために菩提ヶ原へ乗り込んでいき、南部藩士たちと凄惨な闘いを展開していった。一方お仙の宿に逃げ込んできたお米から、王、小栄の危機を告げられた市は、お米と少々頭のいかれた、波の市(三波伸介)、新七(伊東四朗)、亀(戸塚睦夫)の手を借りて策を練った。盲の利を生かし、夜の街道を急ぐ唐丸篭護送隊に斬り込んみ、小栄を救い出して、お米に託した市は、懸命に菩提ヶ原に向った。市を必死にはばむ藤兵ヱ一家は、荷車、分銅ぐさりなどの武器で市の行手をはばんだが怒りに燃えた市を倒すことはできなかった。藩士の死体の横たわる菩提ヶ原にたどりついた市の前に、死闘のあともなまなましい王の凄惨な姿が現われた。市は王の無事を喜んだものの、誤解のとけない王は、市に血だらけの剣を向けて闘いを挑んできた。語りかけることのできない目と話しかけても通じない言葉が、非情な剣の対決に二人を陥しいれた。勝負は一瞬のうちに決まり、王の体は静かに崩れ落ちていった。


南原宏治                勝新太郎、伊東四朗、三波伸介、戸塚睦夫

題名:新座頭市 破れ!唐人剣
監督:安田公義
製作:勝新太郎
原作:子母沢寛
脚本:安田公義、山田隆之
撮影:牧浦地志
照明:美間博
録音:大谷巖
音効:倉嶋暢
美術:西岡善信
擬斗:楠木栄一
編集:谷口登司夫
音楽:富田勲
現像:東洋現像所
製作補佐:西岡弘善
製作主任:眞田正典
助監督:太田昭和
スチール:大谷栄一
出演:勝新太郎、王羽(ジミー・ウォング)、浜木綿子、南原宏治、寺田路恵、安部徹、花澤徳衛、てんぷくトリオ(三波伸介、伊東四朗、戸塚睦夫)、佐々木孝丸、山本一郎、森章二、大前均、橋本力、香川雅人、汪玲
1970年日本・香港・勝プロダクション+ゴールデン・ハーベスト/シネスコサイズ・カラー94分35mmフィルム
新座頭市 破れ!唐人剣 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


勝新太郎                            王羽

王羽、勝新太郎                                                新座頭市 破れ!唐人剣

映画「ずべ公番長 東京流れ者」


「ずべ公番長 東京流れ者」大信田礼子

大信田礼子                                渡瀬恒彦

今回は山口和彦監督1970年製作「ずべ公番長 東京流れ者」をピックアップする。
本作は「ずべ公番長 夢は夜ひらく」に続く、シリーズ第2作になる。1971年までに4作品が大信田礼子さん主演で制作された。
内容は前作の方が良かった様に思う。

【ずべ公番長 シリーズ】
1970年「ずべ公番長 夢は夜ひらく
1970年「ずべ公番長 東京流れ者
1971年「ずべ公番長 はまぐれ数え唄
1971年「ずべ公番長 ざんげの値打ちもない
以上の4本が山口和彦監督、大信田礼子さん主演で作られた”お色気アクション”ものだ。


「ずべ公番長 東京流れ者」大信田礼子

人見明                                   宮城千賀子

【ストリー】
2年前、新宿で大暴れして赤城学園に逆もどりした影山リカ(大信田礼子)は出所して、真面目に生活しようと小さな町工場で働いていたが、ミスが多すぎてクビにされてしまった。古巣新宿に戻ったリカは学園の大先輩、ガセ寅一家の女親分お蘭(宮城千賀子)の身内になった。そこで学園を出所して間のないマリ(賀川雪絵)、長子(橘ますみ)、ツナオ(左とん平)らに再会する。一方新興ヤクザでキャバレー・ブラックジャックの社長黒江(南原宏治)は、錦糸町を縄張りとする錦元組をバックに、ガセ寅一家の金看板の横取りをたくらんでいた。秋の神農祭が終った日、一人先祖の墓に参るお蘭に黒江の魔手がのび、お蘭は斬殺されてしまう。この知らせを聞いたリカ、長子、マリらはネオンの消えた新宿を、ブラックジャックへと殴り込んでいった。


南原宏治                                    集三枝子

題名:ずべ公番長 東京流れ者
監督:山口和彦
企画:吉峰甲子夫、高村賢治
脚本:宮下教雄、山口和彦
撮影:中島芳男
照明:元持秀雄
録音:広上益弘
美術:藤田博
装置:根上徳一
装飾:上原光男
擬斗:日尾孝司
記録:高津省子
編集:長沢嘉樹
音楽:津島利章 主題歌:大信田礼子「東京流れ者」
現像:東映化学
進行主任:志村一治
助監督:深町秀煕
スチール:藤井善男
出演:大信田礼子、渡瀬恒彦、人見明、宮城千賀子、南原宏治、橘ますみ、集三枝子、賀川雪絵、南利明、南利明、上田吉二郎、由利徹、佐々木梨里、六本木はるみ、左とん平、藤山浩二、佐藤晟也、東八郎(トリオ・スカイライン)、小島三児(トリオ・スカイライン)、原田健二(トリオ・スカイライン)、沖田俊一、山田禅二、見明凡太朗、白石恵美子、児島春美、章文栄、堀としみ、土山登志幸、小林稔侍、円山理映子、久地明、織田暁子、鈴木暁子、須賀良
1970年日本・東映/シネスコサイズ・カラー86分35mmフィルム
ずべ公番長 東京流れ者 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


ずべ公番長 東京流れ者

映画「悪い奴ほどよく眠る」


三船敏郎                         香川京子

今回は黒澤明監督1960年製作「悪い奴ほどよく眠る」をピックアップする。
本作は黒澤監督が東宝を退社し、黒澤プロダクションを設立してからの第1弾作品で、直接制作費8,200万円で興行収益は東宝と折半したそうだ。冒頭の結婚式のシーンで、マスコミ記者に登場人物を語らせて状況を整理するという手法は、当時画期的だったに違いないと思う。内容は、西幸一(三船敏郎)が、政治汚職を背景に父親を死に追いやった元凶である政治家達に様々な方法で復讐して行くが、悪の根源はもっと深いところにあるというものだ。やや冗長な構成ではあるが、優れた作品である。

2018年、軍国的な教育を行う学校法人に賛同した安倍内閣総理夫妻に忖度して、10億円する国有地を1億円で払い下げた森友学園問題は、売却を担当した財務省職員が不正に耐えられず自殺した。
虚偽答弁、事実隠蔽、公文書改竄を平然と続ける安倍晋三とその一味……。悪の根源は、現在も何ら変わっていない。
むしろ罷り通っている。50年以上前に作られた本作は、現在も続くテーマを内包している事に、私は黒澤監督の偉大を思う。


志村喬、森雅之、三橋達也              三船敏郎、西村晃

【ストリー】
日本未利用土地開発公団の副総裁岩淵(森雅之)の娘佳子(香川京子)と、秘書の西幸一(三船敏郎)の結婚式は、異様な舞囲気に満ちていた。政界、財界の名士を集めた披露宴が始まろうとする時、公団の課長補佐和田(藤原釜足)が、のりこんだ捜査二課の刑事に連れ去られた。押しかけた新聞記者たちは、5年前、一課長補佐が自殺しただけでうやむやのうちに終った庁舎新築にからまる不正入札事件に、やはり現公団の副総裁岩淵と管理部長の守山(志村喬)、契約課長の白井(西村晃)が関係していたことを思いだした。ウェディング・ケーキが運ばれてきた。それは、5年前の汚職の舞台となった新築庁舎の型をしていた。しかも、自殺者が飛び降りた7階の窓には、真赤なバラが一輪突きささっていた。その頃、検察当局には差出人不明の的確な密告状が連日のように舞いこんでいた。そのため、開発公団と大竜建設の30億円にのばる贈収賄事件も摘発寸前にあった。だが、肝心の証拠が逮捕した和田や大竜建設の経理担当三浦(清水元)の口からも割りだすことができず拘留満期がきて二人は釈放された。三浦は拘置所の門前で、トラックに身を投げ出して自殺、和田も行方不明となった。和田は公団の開発予定地である火口から身を投げようとした。その前に立ちふさがったのは西だった。翌日の新聞は、和田の自殺を報じた。奇怪な事件がまた起った。岩淵と守山の命で貸金庫の鍵を開けた白井が、金が消えさっている代りに、例の新築庁舎の絵葉書が一枚残されているのを発見したのだ。その貸金庫のカラクリを知っているのは、白井と死んだ和田しか知らないはずだ。白井はその夜、自宅の街燈の下に和田の姿を見て、ショックのため気が狂った。そんな白井が不正事件を発覚させないかと案じた大竜建設の波多野社長(松本染升)と金子専務(山茶花究)は、岩淵と守山に処分を命じた。彼らは殺し屋(田中邦衛)を使って白井を消そうとした。白井を救ったのは、またしても西だった。西は5年前自殺した古谷の息子だったのである。すべては父の復讐をするためだったのだが、守山に感づかれた。西は守山を造兵廠跡の廃墟に閉じこめた。和田が佳子を電話で呼び出し、廃虚に連れてきた。何もかも聞き幸せですという佳子を、西は初めて抱きしめた。帰った佳子を岩淵はだまし、西の居所を言わせた。西は薬用アルコールを静脈に注射され、自動車に失心状態のまま押しこまれて、貨物列車にぶつけられた。岩淵は記者に「申し分のない秘書を、しかも、娘の婿を失って呆然自失--」とつぶやいた。


志村喬、西村晃、森雅之              田中邦衛、西村晃

題名:悪い奴ほどよく眠る
監督:黒澤明
製作:田中友幸、黒澤明
脚本:小國英雄、久板榮二郎、黒澤明、菊島隆三、橋本忍
撮影:逢澤譲
特機:大隅銀造
照明:猪原一郎
録音:矢野口文雄、下永尚
音効:三縄一郎 (パースペクタ立体音響)
美術:村木興四郎
小道具:浜村幸一
技髪:山田順二郎
結髪:浅見知子
衣裳:栗原正次
記録:斎藤照代
編集:黒澤明
音楽:佐藤勝
特殊技術:東宝技術部
現像:キヌタ・ラボラトリー
製作担当:根津博
製作進行:江口英彦
助監督:森谷司郎
監督助手:坂野義光、西村潔、松江陽一、川喜多和子
撮影助手:斎藤孝雄、木村大作
美術助手:佐久間純
編集助手:兼子玲子
演技事務:吉竹悠一
音楽事務:原田英雄
製作宣伝:林醇一
スチール:副田正男
出演:三船敏郎、森雅之、香川京子、三橋達也、志村喬、西村晃、加藤武、藤原釜足、笠智衆、宮口精二、南原宏治、土屋嘉男、山茶花究、田中邦衛、菅井きん、松本染升、清水元
1960年日本・黒澤プロダクション+東宝/東宝スコープ(シネスコサイズ)・モノクロ150分35mmフィルム
悪い奴ほどよく眠る -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


加藤武、香川京子、三橋達也               森雅之

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