映画「愛のきずな」


藤田まこと                                 園まり

今回は坪島孝監督1969年製作「愛のきずな」をピックアップする。
本作は松本清張氏原作「たづたづし」を映画化したものだが、私にとって歌手のイメージが強かった園まりさんが、貞淑な人妻とコケティッシュな喫茶店のホステスを演じ分け、所作・佇まい・仕草などで魔性を見事に醸し出している。原作の脚色も良いのではないかと思う。


原知佐子                                 佐藤允

【ストリー】
東西観光の総務課長代理鈴木良平(藤田まこと)は、専務(山茶花究)の娘(原知佐子)と結婚し、皆から羨まれていた。だが、父親の権威をかさにきる妻との生活は、良平にとって愉快なものではなかった。ある雨の夕べ、良平は清純な娘雪子(園まり)と知合った。やがて二人に愛が芽生え夢のような数ヵ月が過ぎた。だから、良平が雪子に服役中の夫(佐藤允)がいると囁かれた時ショックは大きかった。雪子は、夫が出所したら、良平との関係を話し離婚すると言った。だが、小心な良平は、その時から強迫観念に襲われるようになった。雪子が離婚話を夫にしたら、必ず凶暴な彼女の夫は自分を刺しに来る。そう信ずる良平は、雪子に離婚を諦めるよう説得するのに、懸命だった。だが、雪子の良平に対する愛は変らなかった。良平は雪子を信州に誘って殺した。ところが、皮肉なことに良平は新たな恐怖にさいなまれはじめた。雪子のはめていたオパールの指輪を抜取ることを忘れたのだ。東西観光に雪子の夫が現われたのは、それから数日後だった。良平は、公金を横領して逃げている社員を自分とすり変えて難を逃れた。それから数日、良平は再び緊張した。自社のコマーシャル映画に雪子が映っていたからだった。良平が信州に尋ねた雪子は喫茶店に勤めていた。雪子は、突然の衝撃で失神したものの、死んだのではなかった。だが、雪子はその時のショックで過去の一切を失っていた。良平は雪子を東京に連れ帰り、再び恋仲となった。しかし、自分がまた事件の渦中に入り、死への運命を辿っていることを良平は知らなかった。


園まり                            藤田まこと

題名:愛のきずな
監督:坪島孝
製作:渡辺晋、五明忠人
原作:松本清張「たづたづし」
脚本:小川英、坪島孝
撮影:内海正治
照明:高島利雄
美術:育野重一
録音:指田漸
整音:杉崎喬 (目黒スタジオ)
編集:武田うめ
音楽:広瀬健次郎 主題歌:園まり「ひとりにしないで」
現像:東洋現像所 合成:三瓶一信
製作担当者:篠田啓助
助監督:松本正志
スチール:橋山直己
出演:藤田まこと、園まり、原知佐子、佐藤允、山茶花究、上田吉二郎、左とん平、千石規子
1969年日本・渡辺プロダクション+東宝/シネスコサイズ・カラー98分35mmフィルム
愛のきずな -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


藤田まこと、佐藤允                        園まり

中央本線 181系 特急あずさ号 (1966年~1975年まで同系列で運行)

映画「儀式」


河原崎建三                          賀来敦子

今回は大島渚監督1971年製作「儀式」をピックアップする。
日本アート・シアター・ギルド(ATG)の創立10周年を記念し、創造社と提携制作した本作は、家長制を頂点とした桜田家に集まる複雑な血縁関係者が織りなす人間模様を通して、日本の戦後民主主義を問い詰める内容だ。撮影は巨匠成島東一郎氏が担当されている。

作品リスト


佐藤慶                          小山明子

【ストリー】
「テルミチシス」テルミチ」という奇妙な電報を受取った桜田満洲男(河原崎建三)は輝道のかつての恋人律子(賀来敦子)と共に急拠打電地の南の島へと旅立っていった。その道行で、満洲男は過去桜田家で行なわれた数々の冠婚祭の儀式と、その時にだけ会うことのできる親戚の人々の事を想い起こしながら、この電報の意味を考え続けた。昭和8年満洲事変の余波さめやらぬ頃、満洲で生まれた満洲男が、昭和22年、母親のキク(高山真樹)と共に命からがら引き揚げて九州の桜田家にたどり着いた日は、満洲男の父韓一郎の一周忌の日だった。韓一郎は敗戦の年、満洲から東京に渡ったが、日本の前途に絶望して自殺した。その法事の席には、内務官僚であったために追放中の祖父の一臣(佐藤慶)、祖母のしづ(乙羽信子)、曽祖母の富子(河原崎しづ江)、祖父の兄嫁のちよ(三戸部スエ)、ちよと一臣の間に生まれた守(戸浦六宏)、父親の腹ちがいの弟の勇(小松方正)、もう一人の腹ちがいの弟進の子忠(土屋清)、叔母の節子(小山明子)とその子供の律子、しづが可愛がっている輝道(中村敦夫)などが列席した。幼ない弟を満洲で失い、これから母と二人で生き抜こうと決心した満洲男であったが、祖父の命令で桜田家の跡継として、この複雑な血縁関係のなかに引き込まれていった。昭和27年の夏、全国高校野球大会に東京代表チームの投手で四番打者として活躍していた満洲男は、準々決勝戦の前夜、母の危篤を知らされた。翌日の試合で満洲男が致命的な失投をした頃、母は息を引きとった。追放がとけ、ある公団の総裁に就任した祖父の力もあってキクの葬儀は盛大であった。その通夜の晩、滴洲男は節子から父の遺書を手渡されたことによって父と節子が愛し合っていたこと、そして、その愛が祖父によて引き裂かれ、節子は祖父の政治的野望の犠牲になったことを知った。そして、その夜、満洲男は、自分の憧れの的であった節子が、輝道の愛撫を受けているのを見てしまうのだった。その翌年、輝道が祖父の秘書として上京したのと入れかわりに、満洲男は京大に入り、再び野球の世界に没入していった。昭和31年、日共の党員である叔父勇(小松方正)の結婚式が行なわれ、その席には中国から戦犯としての刑期を終えて帰国した叔父進(渡辺文雄)の顔があった。その夜、満洲男は好きだという自分の気持を律子に言いだせず、輝道が律子を抱くのをただ呆然とながめていた。夜更け、節子が死んだ。原因不明のまま自殺として盛大に葬られた節子の死を、満洲男は祖父が殺したのだと思った。昭和36年、政財界人を集め祖父の命令で行われた自分の結婚式、花嫁の失踪をかくした虚飾に満ちた披露宴に怒りをぶつけた忠(土屋清)、その忠の事故死。そして輝道の家出。その後、満洲男は、輝道が自分の父の許嫁と祖父との間にできた子であることを知った。そして偉大な祖父の死などさまざまな出来事の想い出が満洲男の脳裏を横切っていった……。旅の終りが近づいていた。満洲男と律子を乗せた船は、紺碧に輝く南の海を、輝道のいる島へと進んだ。そして、そこで見たものは、全裸で横たわる輝道の死体だった。生きる意志を失った律子は、満洲男の目前で自ら手足を縛り薬を口に含んだ。


中村敦夫                           乙羽信子

題名:儀式
監督:大島渚
製作:葛井欣士郎、山口卓治
脚本:田村孟、佐々木守、大島渚
撮影:成島東一郎
照明:山下礼二郎
録音:西崎英雄
音効:倉嶋暢
美術:戸田重昌、下石坂成典
装置:吉見光男、馬場保行
背景:高橋作次
装飾:眞城一夫
結髪:宇野久夫
美粧:ムラハシ英子
記録:松田美津子
編集:浦岡敬一
音楽:武満徹
現像:東洋現像所
撮影助手:藤井秀男、杉村博章
移動効果:西村伊三男
照明助手:石原喜三
録音助手:山田貢、高井唯夫
編集助手:永富勲
製作主任:眞田正典
製作進行:足立源一郎
協力:大映京都撮影所
出演:河原崎建三、賀来敦子、中村敦夫、土屋清、乙羽信子、佐藤慶、小山明子、小松方正、渡辺文雄、戸浦六宏、原知佐子、小沢栄太郎、殿山泰司、高山真樹、河原崎しづ江、椿隆一、大田良明、成島有美
1971年日本・創造社+日本ATG/シネスコサイズ・カラー123分35mmフィルム
儀式 -DVD-
2018年11月現在、DVDレンタルはありません。


佐藤慶、椿隆一                                                   土屋清、中村敦夫

儀式                           大田良明、小山明子、成島有美

映画「女競輪王」


前田通子                          小倉繁、前田通子、杉山弘太郎

今回は小森白監督1956年製作「女競輪王」をピックアップする。
女眞珠王の復讐」が大ヒットした前田通子さん主演2作目である。内容は当時華やかだった女子競輪選手のサクセス・ストーリーだ。しかし実際の女子競輪選は、1964年9月8日に開催された名古屋競輪場でのレースが最後となったそうだ。


沼田曜一、前田通子

【ストリー】
魚屋“魚清”の娘美樹(前田通子)は毎朝の魚市場への往復で自転車なら人に負けぬ自信があった。娘心の華やかな夢を満たそうと許婚の五十嵐健一(杉山弘太郎)に競輪選手になりたいと打明け、健一の父源造(小倉繁)に金を借りてくれと頼んだ。念願かない美樹は日本競輪学校で猛訓練を受けB級選手となった。一たん家に帰り店の手伝いをする美樹のもとに千葉レースの通知が来た。開催地の旅館で美樹が仲間の好子(江畑絢子)、慧子(遠山幸子)と明日の英気を養っていると古参の菊(加藤欣子)が呼びに来て、秋山選手(宮田文子)が明日のレースに敗れると馘になるから手加減してくれと八百長を強要された。しかし当日、美樹は一着になり、子供を抱えた未亡人秋山は悄然と去った。美樹は悲しみに身を震わせた。その時、美樹の肉体を狙う無敵のチャンピオン倉本(沼田曜一)が勝利の乾盃を約して来た。美樹は倉本を好く慧子を代りにやったが慧子は温泉マークに連れ込まれた。美樹はその後27連勝を記録、源造に借りた10万円も返した。源造は商売不振の折、この金で事業挽回と、もう10万円作ろうと昔の親方御手洗(江川宇禮雄)を訪ねたが、目的を達せず、且つ八百長レースに乗らされる。御手洗の言った通り本命の倉本は2着、観客は八百長だと叫んだが警備員が御手洗の顔で編成されているため、どうにもならなかった。美樹は、やがて待望のミス競輪レースの出場権を得た。そんなある日、御手洗が源造を訪れ、美樹がレースに負けるよう詰寄った。源造は美樹に八百長を頼んだ。しかしミス競輪に一切を賭けた美樹は大会に優勝、源造の頼みを裏切った。大会後、新聞社の座談会の帰途、美樹は御手洗らに暴行された源造を発見した。御手洗は逮捕され、一味に倉本の名もあった。が美樹の心は晴れなかった。野望のために人間の真実を見失っていたと気づいた美樹に、ようやく健一の愛情が甦って来た。

題名:女競輪王
監督:小森白
製作:島村達芳 「欲望の広場」
原作:竹森一男
脚本:杉本彰
撮影:鈴木博
照明:関川次郎
録音:村山絢二
美術:加藤雅俊
編集:後藤敏男
音楽:飯田信夫
製作主任:永野祐司
助監督:土屋敬之助
出演:前田通子、江畑絢子、遠山幸子、沼田曜一、阿部寿美子、杉山弘太郎、小倉繁、江川宇礼雄、田原知佐子(原知佐子)、鮎川浩
1956年日本・新東宝/スタンダードサイズ・モノクロ88分35mmフィルム
女競輪王 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


女競輪王                            杉山弘太郎、前田通子

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