映画「やくざの詩」



小林旭                          芦川いづみ

今回は舛田利雄監督1959年製作「やくざの詩」をピックアップする。
本作は1960年1月31日に公開された日活ヤクザ映画だが、東映のそれとは全く違うものだ。それまでの日活の芸風を残しながら細かい設定を曖昧にして展開する内容だ。これは脚本の賛否を問うものではなく、会社の意向に従い作ったものだと言わざる得ない。本作から13年後、俳優の小林旭さんや金子信雄さんは、”仁義なき戦いシリーズ“に多数出演し真価を魅せている。


「やくざの詩」南田洋子

南田洋子                         二谷英明

【ストリー】
佐伯組のやくざ安田(木島一郎)が何者かに射たれた夜、滝口哲也(小林旭)と名乗る男がピアノ弾きと称して佐伯組にもぐり込んだ。哲也は安田をすばやく治療した。かつて若く、将来を嘱望された医師哲也は、或日何の遺恨もないやくざに恋人を殺された。その日から哲也は狂ったようにそのやくざを追った。佐伯組に入ったのもその為だった。安田が倒れたのは黒沢組との不和が原因だった。佐伯組に出入りするアル中の老医水町(金子信雄)にはインターンに通う清純な娘道子(芦川いづみ)がいた。佐伯組と黒沢組との不和に乗じた相川一郎(二谷英明)という拳銃ブローカーが出入りを始めた。昔、哲也に命を助けられた相川は、今もなお哲也が恋人を撃ったスペイン製のゲルニカの弾丸を求めていることを知り愕然とした。日本に三つしかないというゲルニカを弟の次郎(垂水悟郎)は持っている。しかし次郎は兄の忠告を嘲い、翌日哲也を狙った。哲也は腕をかすったゲルニカの弾丸にこおどりした。次の夜、ゲルニカの弾丸は哲也をそれて水町医師を倒した。その夜次郎を客人とした黒沢組が佐伯組を襲った。哲也は宿敵ゲルニカと対決した。一瞬、次郎の拳銃が飛び、一郎が次郎の助命を乞うた。次の夜の決闘を哲也に約した次郎は、情婦由美(南田洋子)を訪ねた。高飛びの同行を拒まれ、カッとした次郎が襲いかかろうとした瞬間、次郎の腕は不気味な音をたてて折れた。しかもそれは醜い義手だった。次郎は由美を倒すと、哲也を求めて決闘場に足を運んだ。暗闇の中、勝ち誇った次郎は死体を見てがく然とした。それは哲也へ昔の借りを返した兄の姿だった。次郎と哲也は対峙した。次郎の一発が哲也の首にかかったゲルニカの弾丸をはねた。復讐の呪いは解けた。銃を捨てた哲也に次郎が迫った。しかし、由美を慕うチンピラの透(和田浩治)に次郎は撃たれた。次郎を救おうと哲也は必死に手術した。医者としても必死の再起だった。道子が歓びの声をあげた。夜明けの太陽が赤く輝き、次郎がうっすらと眼を開いた。


和田浩治                         垂水悟郎

題名:やくざの詩
監督:舛田利雄
企画:坂上静翁
脚本:山田信夫
撮影:藤岡粂信
照明:藤林甲
録音:中村敏夫
美術:佐谷晃能
擬斗:峰三平
記録:新関良子 (ノンクレジット)
編集:辻井正則
音楽:黛敏郎、中村八大 主題歌:小林旭「やくざの詩」トミー藤山:「なんにも言えず」
現像:東洋現像所
製作主任:栗橋正敏
製作進行:岡田康房 (ノンクレジット)
助監督:河辺和夫
監督助手:江崎実生、奥山長春 (ノンクレジット)
色彩計測:安藤庄平
出演:小林旭、芦川いづみ、南田洋子、二谷英明、和田浩治、金子信雄、垂水悟郎、内藤武敏、木島一郎、宮崎準、深江章喜、木島一郎
1959年日本・日活/シネスコサイズ・カラー87分35mmフィルム
やくざの詩 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


金子信雄                         芦川いづみ、小林旭

映画「明日は咲こう花咲こう」


吉永小百合

吉永小百合                     中尾彬

今回は江崎実生監督1965年製作「明日は咲こう花咲こう」をピックアップする。
本作は、由起しげ子氏原作“ヒマワリさん”を映画化したもので、山梨県塩山、三富村、秩父連山、本栖湖畔、日活国際会館屋上ビヤ・ガーデン、有楽町界などでロケーション撮影を行ったそうだ。吉永小百合さんのアップが多く、清廉な美しさに魅せられる作品だった。


三田明、山内賢                 三田明、吉永小百合

山本陽子                    吉永小百合、西尾三枝子

伊藤雄之助、吉永小百合                 金子信雄

【ストリー】
週刊毎朝の記者浜野新樹(中尾彬)を恋人にもつ小日山ひろ子(吉永小百合)は、ある日新樹との議論を機会に、ある情熱にもえて僻地姫虎村に保健婦として赴任した。だが姫虎村は、ひろ子の想像をこえる貧困と、住民の無知が蔓延していた。そのうえ、村長の率いる観光派と、助役の率いる合併派の間に醜い争いが起きていた。飲料水と洗濯水の共同使用、病人をコンコリ教の信仰で治すという原始的方法は、ひろ子に驚きを与えた。そして、村に一軒ある診療所の医師有賀は、何の情熱もない、投げやりな態度で事を処理していた。絶望の中で、村人の中をかけまわるひろ子を、村人は冷たい眼で見た。村を訪れた新樹は、ひろ子へ離村をすすめたが、ひろ子の決意は固かった。そんな中で、ようやくひろ子になついて来た孤児のタクミ(頭師佳孝)の明るい顔はひろ子の救いであった。だがコンコリ教の票をめあてにする合併派の籔本助役(金子信雄)は、ひろ子の活動が邪魔となり、教祖(伊藤雄之助)と奸策を練って、産児制限の講習会をひろ子に開かせるよう計った。さすがのひろ子もたじろいたが、彼女の情熱はこの難関を突破した。姫虎村出身の人気歌手三田明が、故郷へ帰って来たのだ。村人たちの無智にむしゃくしゃしていたひろ子は、折から野猿湖で行われた保健婦学院の同窓会へ行った。だが心の晴れないひろ子のもとへ、姫虎村から電報が来た。村でタクミが赤痢になったのだ。急ぎ帰ったひろ子に、有賀(垂水悟郎)も、村)長(花澤徳衛、籔本らも、責任をまぬがれるため、赤痢としての処置、発表を妨げた。だが蔓延を恐れたひろ子は有賀を説き伏せて、病気の伝染を防いだ。村長の息子今朝雄、明らの協力で宮野市から急援隊が到着、村人は初めてひろ子の献身を知ったのだった。村がこれを機に明るくなった頃、ひろ子は助産活動をしたという違法行為で免職となり、村を去った。見送る村人の中、タクミが、ひろ子の車を追っかけて走った。


吉永小百合

題名:明日は咲こう花咲こう
監督:江崎実生
企画:横山弥太郎
原作:由起しげ子「ヒマワリさん」
脚本:宮内婦貴子、山田信夫
撮影:姫田真佐久
照明:藤林甲
録音:沼倉範夫
美術:千葉和彦
記録:桑原みどり
編集:辻井正則
音楽:伊部晴美 主題歌:吉永小百合、三田明
現像:東洋現像所
製作主任:野村耕祐
監督助手:曽我仁彦
色彩計測:安藤庄平
スチール:井本俊康
出演:吉永小百合、中尾彬、山内賢、三田明、西尾三枝子、山本陽子、伊藤雄之助、金子信雄、砂塚秀夫、武藤章生、頭師佳孝、垂水悟郎、鏑木はるな、河上信夫、鈴木瑞穂、武智豊子
1965年日本・日活/シネスコサイズ・カラー89分35mmフィルム
2017年3月現在、DVD販売・レンタルはありません。


映画「紅の拳銃」

紅の拳銃
赤木圭一郎
紅の拳銃紅の拳銃
赤木圭一郎                   赤木圭一郎、垂水悟郎

今回は牛原陽一監督1961年製作「紅の拳銃」をピックアップする。
本作は公開直後「激流に生きる男(野村孝監督1962年)」の撮影中に若干21歳にして自動車事故死を遂げた赤木圭一郎さんの遺作になる。内容は荒唐無稽な筋書きだが、小沢昭一さんや小沢栄太郎さん、藤村有弘さんの香港マフィア中国人役は実にレアなものだ。視点を変えて見ると面白い作品だと思う。

紅の拳銃紅の拳銃
笹森礼子                     白木マリ、小沢昭一

【ストリー】
石岡国四郎(垂水悟郎)は上司の小寺(芦田伸介)の依頼で殺し屋を探す。石岡はバーで酒をあおっている中田(赤木圭一郎)という男をスカウトした。石岡は軍隊時代には射撃の名手としてならしたが、戦争で右腕を失い、今は暗黒街に身を置いていた。小寺は戦争中、石岡の上官だった男だ。石岡は、目をつけた男に銃の扱い方を教え込み、殺し屋として仕立て上げ、ボスに送り込む。それが彼の仕事だった。中田は石岡の申し出をあっさり承諾する。そこへ、ホステスの千加子(白木マリ)が中田に助けを求めて飛び込んで来た。中田は千加子を追ってきたギャングを殴り倒す。石岡の教育を受けて中田の射撃の腕はみるみる上達した。石岡には菊代(笹森礼子)という盲目の可憐な妹がいた。同情した中田が医者に診せると、神戸の大学病院に行けば治るかもしれないとの診断であった。小寺は中田の上達ぶりを見て、仕事を依頼した。女を殺せと小寺が差し出した写真には千加子が写っていた。干加子は神戸のボス・陳万昌(小沢昭一)の情婦で、麻薬ルートの秘密を知っている彼女を殺そうと、陳が小寺に命じたのだった。中田の先任者はその仕事に失敗して死に、中田はその後釜だという。中田は千加子を殺すと見せかけて、ふたりで逃走した。小寺は裏切りを怒り、石岡に中田を殺すよう命じた。小寺は陳を殺し、直接香港と取引しようとしていた。ところが、中田は陳に捕まっていた。中田を追って神戸にやって来た石岡も、陳の罠に落ちる。神戸の大学病院に来た菊代も捕まり、3人は監禁された。そこへ陳の弟・大隆(草薙幸二郎)が香港にいた麻薬王・劉徳源(小沢栄太郎)を殺して帰って来た。陳兄弟は市場を独占するため、東京の小寺一派を消す相談をした。大隆は中田と石岡兄妹を殺すため、砂丘へと連れ出す。そのとき、劉徳源が差し向けた殺し屋・キム(藤村)が現われ銃を撃ち、中田たちを救い出した。キムに連れられて事務所に行くと、死んだはずの劉が現れた。劉は小寺とともに陳を殺してくれと改めて依頼した。そこに劉の妻・張栄光が現れた。彼女は、中田のかつての恋人・美津(吉行和子)だった。苦い気持ちで再会するふたり。劉一味は陳邸を襲撃した。激しい撃ち合いの中で、千加子は陳を射ち殺す。中田は自分の正体が刑事であることを明かす。前任者の殺し屋こそ、中田の兄だったのだ。やがて菊代の手術が成功し、目が全治した。中田は石岡に別れを告げるのだった。

紅の拳銃紅の拳銃
芦田伸介                       藤村有弘

題名:紅の拳銃
監督:牛原陽一
企画:高木雅行
原作:田村泰次郎
脚本:松浦健郎
撮影:姫田真佐久
照明:岩木保夫
録音:沼倉範夫
美術:木村威夫
編集:辻井正則
音楽:小杉太一郎
現像:東洋現像所
製作主任:武藤良夫
色彩計測:安藤庄平
スチール:斎藤誠一
出演:赤木圭一郎、笹森礼子、白木マリ、垂水悟郎、芦田伸介、藤村有弘、小沢昭一、草薙幸二郎、吉行和子、小沢栄太郎、野呂圭介、浜村純
1961年日本・日活/シネスコサイズ・カラー86分35mmフィルム
紅の拳銃 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

吉行和子紅の拳銃
吉行和子                                                          草薙幸二郎
紅の拳銃紅の拳銃

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