映画「人間の証明」


人間の証明

岡田茉莉子                      松田優作

今回は佐藤純彌監督1977年製作「人間の証明」をピックアップする。
本作は「犬神家の一族(1976年/市川崑監督)」に次ぐ角川春樹事務所製作第二弾で、興行収入は22.5億円だったそうだ。当時の日本映画では稀なニューヨークロケが行われ話題になった。脚本は賞金500万円を掲げて大々的に脚本を公募した。プロアマ問わずとの条件で最終選考に残ったのは、脚本家・監督の松山善三氏だった。
劇場で見たこの40年前の本作を今見直すと…..。鈍調なリズムで物語を展開する手法にいささか辛かったが、豪華俳優陣の采配は今ではあり得ない。当時は角川映画が日本映画の原動力だった事を思い出す。


松田優作、ハナ肇                   三船敏郎

【ストリー】
東洋的な風貌を頬に刻んだひとりの黒人青年ジョニー・ヘイワード(ジョー山中)が、ニューヨーク・バンクで6,000ドルの大金を白人紳士から受け取り、みすぼらしいスラムをあとに、一路東京へと飛び発った。キスミーに行くという言葉を残して。東京ロイヤル・ホテルの四十二階で、人気絶頂の女流デザイナー八杉恭子(岡田茉莉子)のファッション・ショーが始まって間もないころ、エレベーターの中で、黒人が胸にナイフを突き刺し、西条八十詩集を抱いたままその場に倒れて死んでいた。麹町署に捜査本部を置き、警視庁の那須班の刑事たちは、エレベーター・ガールの証言から、ジョニーが死にぎわに口走った“ストウハ……”という言葉を最初の手がかりとして、捜査を開始した。棟居刑事(松田優作)とベテラン刑事横渡(ハナ肇)らは、現場近くの潜水公園を検証し、そこで古い麦わら帽子を発見した。ストウハ……、それはストロウ・ハット(麦わら帽子)の事なのか?--その夜、別の場所で車による轢殺事件が起きた。東洋技研の新見部長(夏八木勲)に、家の近くまで送られてきたホステスのなおみ(范文雀)が車から降りて間もなく、別の方向から走ってきた車にはね飛ばされた。運転していた郡恭平(岩城滉一)は、女友達の路子(高沢順子)と共に、なおみの死体を車に担ぎこみ、山林に埋めた。一方、なおみのことが気にかかり、彼女と別れた場所に戻った新見は、そこで血のにじんだ時計を見つける。それは息子の恭平に、八杉恭子が買い与えた物だった。ニューヨーク市誓の刑事ケン・シュフタン(ジョージ・ケネディ)は、日本からの依頼で、ジョニーの身元捜査のため、彼のアパートを訪ね、そこでパーク・アベニューに住む、ライオネル・アダムスの名を記したメモを見つけた。アダムス(リック・ジェイソン)の話によると、数カ月前、彼の車にぶつかってきたウィルシャー・ヘイワードという名の黒人に6,000ドルを要求され、彼の息子のジョニーに支払ったという。一方、失踪した愛人のなおみを追っていた新見は、時計の持主が郡恭平であることをつきとめた。新見から依頼を受けた棟居と横渡が、郡家を訪れると、すでに恭平はニューヨークへ発った後である。恭平が事故を起こした事を知った恭子が、彼を国外へ逃がしたのであった。郡家からの帰途、おでん屋に立ち寄った棟居と横渡は、酔い痴れた客が、西条八十の詩の中の“霧積”と言葉を口ずさむのを耳にする。ジョニーが言った“キスミー”それは、もしかすると、この霧積のことではないのか? 早速その霧積へ飛んだ棟居と横渡は、この地に古くから住む中山たねという老婆が、昔、霧積にやって来た黒人の親子連れを見かけたことがあるという話を聞きこみ、そのたねのもとへ駈けつけたが、たねはその直前に殺されていた。棟居らは、たねのいとこよしのから、たねが終戦直後、横須賀でバーを開いていたこと、そしてその店で意外な女性が働いていたことを知った。中山たねが、昔見かけた黒人の親子連れというのは、この女と、ウィルシャー・ヘイワード、そしてジョニーのことではないだろうか。ウィルシャーが、わが身を犠牲にしてまで、息子を日本へ旅立たせた訳は、ジョニーを母に会わせるためだったのではないだろうか? そして、日本へやって来たジョニーと、この母との間に何かが起きた--棟居はいっきにニューヨークに飛び、25分署のケン・シュフタンとコンビを組んで、ジョニーの父親ウィルシャー・ヘイワードの捜査を開始したが、意外にも日本とアメリカの二人の刑事は、宿命的な絆によって結ばれていたのだ。戦後30年、さまざまな生き方をしてきた人々が、見えない一本の糸にからまれるように、深く関り合う。東京とニューヨークを結ぶこの捜査が進むにつれ、事態の展開は、息をのむような新しい事実をほりおこし、また意外な事件を生んでゆく。


ジョー山中                    ジョージ・ケネディ

ジョージ・ケネディ、松田優作            三船敏郎、岡田茉莉子

坂口良子                 カメオ出演:姫田真佐久氏(本作撮影技師)

鶴田浩二、鈴木瑞穂                   竹下景子 

岩城滉一                        松田優作

題名:人間の証明
監督:佐藤純彌
製作:角川春樹、吉田達、サイモン・ツェー
原作:森村誠一
脚本:松山善三
撮影:姫田真佐久
照明:熊谷秀夫
録音:紅谷愃一
美術:中村修一郎
衣装:山田実、春日潤子
結髪:志賀喜久江
技髪:渡辺喜己
技斗:伊藤浩市
記録:小山三樹子、鈴木清司
編集:鍋島惇 ネガ編集:大山似四登
音楽:大野雄二 主題歌:ジョー山中「帽子」
撮影機材:パナビジョン
現像:東洋現像所
製作補佐:武田英治
製作進行:桜井勉、細谷修身
助監督:葛井克亮
スチール:加藤光男
<<ニューヨーク・ユニット>>
撮影:ソール・ネグレン(Sol Negrin)
美術:デーブ・ムーン(Dave Moon)
録音:マイク・トローマー(Mike Trommer)
衣装:ジョージ・ニューマン’George Newman)
製作主任:リーランド・ハース
製作補佐ミルトン・モシュラック(Milton Moshlak)
助監督:アレックス・ハプセス(Alex Hapsas)
出演:岡田茉莉子、松田優作、ジョージ・ケネディ、ハナ肇、三船敏郎、鶴田浩二、夏八木勲、ジョー山中、岩城滉一、リック・ジェイソン、竹下景子、范文雀、ジャネット八田、鈴木瑞穂、坂口良子、峰岸徹、地井武男、和田浩治、高沢順子、大滝秀治、佐藤蛾次郎、北林谷栄、西川峰子、室田日出男
1977年日本・角川春樹事務所・東映/ビスタサイズ・カラー132分35mmフィルム
人間の証明 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


ハナ肇、松田優作                    岡田茉莉子

映画「仁義なき戦い 頂上作戦」


菅原文太                       梅宮辰夫

今回は深作欣二監督1974年製作「仁義なき戦い 頂上作戦」をピックアップする。
“仁義なき戦い”シリーズ第4作となる本作は、広島第二次抗争(代理戦争)が描かれ、脚本の笠原和夫氏と深作欣二監督はシリーズ終焉作と決めていたそうだが、シリーズのヒットで東映側の要請があり「完結編」が作られる事になったそうだ。


黒沢年男                      小林旭

【ストリー】
昭和38年春/西日本広域暴力団明石組と、ライバル神和会との代理戦争とも言うべき広島抗争は、激化する一方だった。明石組系の打本組(広島)と広能組(呉)、神和会系の山守組(広島)の双方は、はっきりと対立の様相を呈していた。同年5月相次ぐ暴力事件への市民の批判と相まって、警察は暴力団撲滅運動に乗り出し“頂上作戦”を敷いた。その頃、呉市では広能組が、山守組傘下の槙原組と対立していた。広能(菅原文太)と打本(加藤武)は、広島の義西会・岡島友次(小池朝雄)に応援を依頼し、ひたすら中立を守る岡島を、明石組の岩井(梅宮辰夫)も説得する。やがて、広能組の若衆河西(八名信夫)が、槙原組の的場(成瀬正孝)に射殺されたことから、広能と山守の対立は正に一触即発となった。一方、広島では、打本組々員三上が、誤って打本の堅気の客を殺害したことから、一般市民、マスコミの反撥が燃えあがり、警察も暴力取締り強化に本腰を入れはじめた。その頃、山守組系の早川組若衆仲本が、女をめぐって打本組の福田を襲撃、惨殺した。同年6月19日/山守組傘下の江田組々員が、打本組の若衆に凄絶なリンチを加え、一人を死に至らしめた。だが、打本は、その弱腰から報復に打って出なかった。広能は、岩井の発案で、殺された組員河西の葬式を行なうという名目で、全国各地から応援千六百人を集め、一気に山守組に攻め込もうとした。同年7月4日/打本が、山守系の武田組に位致され、山守に脅迫されたために、広能の計画を吐いてしまった。山守は早速、警察に密告する。同年7月5日/広能は別件容疑で逮捕され、明石組とその応援組員は呉から退去。ここに形勢は逆転し山守、福原が呉を支配するようになった。以後も、広熊組と槙原組との間に、血の応酬が相次いだ。同年8月下旬/岡島友次は、愚連隊川田組々長を金で買収し、山守勢と対決すべく決心をした。同年9月8日/岡島の動向をキャッチした山守は、組員吉井に、岡島を射殺させた。同年9月12日/打本組の谷口等が山守組のアジトに、義西会の藤田等が江田組事務所に、それぞれ爆弾を投げ込んだ。同年9月21日/命を狙われ憔悴した山守は、早川組のバーに身を隠していたが、そこにも打本組々員が殴り込み、山守はからくも逃亡した。いきり立つ打本組若衆たちは、山守・江田両組の組員たちと凄絶な市街戦を行ない、市民を恐怖のどん底に陥入れた。暴力団追放の世論が沸騰し、警察と検察当局は、ついに幹部組長一斉検挙に踏み切った。やがて、山守は逮捕された。一方、岩井は、広島に乗り込んで義西会を中心に陣営の再建に着手し始めるが、武田は、暴力団を糾合して、岩井の挑戦を真向から受けて立った。同年9月24日/明石組事務所を、武田組組員が爆破。明石組は、これを神和会の仕業と誤解して即座に報復したために、武田組と岩井組の間で、激烈な銃撃戦の火ブタが切って落された。かくして、広島抗争事件は、西日本をゆるがす大流血事件と発展してしまった……。死者17名、負傷者20余人を出した実りなき抗争。広能は、ひとり獄舎で深い虚しさを噛みしめていた……。


小倉一郎                      松方弘樹、小池朝雄

題名:仁義なき戦い 頂上作戦
監督:深作欣二
企画:日下部五朗
原作:飯干晃一
脚本:笠原和夫
撮影:吉田貞次
照明:中山治雄
録音:溝口正義
美術:井川健道
装置:近藤幸一
装飾:松原邦四郎
衣装:松本俊和
技斗:上野隆三
記録:田中美佐江
編集:宮本信太朗
音楽:津島利章
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学
助監督:土橋亨
製作進行:伊藤彰将
スチール:藤本武
出演:菅原文太、梅宮辰夫、黒沢年男、松方弘樹、小林旭、田中邦衛、金子信雄、木村俊恵、中村英子、中原早苗、渚まゆみ、小池朝雄、山城新伍、加藤武、内田朝雄、小倉一郎、夏八木勲、八名信夫、成瀬正孝
1974年日本・東映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー101分35mmフィルム
仁義なき戦い 頂上作戦 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


金子信雄、山城新伍                                               小林旭、中村英子

映画「陽はまた昇る」

陽はまた昇る陽はまた昇る
渡辺謙、西田敏行                 西田敏行、真野響子

今回は佐々部清監督2002年製作「陽はまた昇る」をピックアップする。
本作は、家庭用ビデオテープ規格競争の最中、VHSの開発プロジェクトの実話を描いたものだが、日本ビクター、ソニー、松下電器産業(現:パナソニック)など実名会社が出て来る。特に松下電器産の松下幸之助氏のエピソードは興味深い。

陽はまた昇る陽はまた昇る
西田敏行、緒形直人                   渡辺謙

当時ソニーが開発したベータマックス(BETAMAX)と多数が占めるVHSがあったが、家庭用ビデオテープの規格はVHSが主流となり、ベータマックスの規格 は、ベーカム(BETACAM)として3~6倍の速度に上げてハイビジョン(HD)が登場するまで、放送用ENGカメラの主流となった。今は家庭用ビデオテープは姿を消し、DVDまたはBlu-rayが主流となり、日本発の映像規格は無くなった。

※DVDはVHSと同等の画質で133分の録画が可能となる4.7GB(片面一層)の容量が収まる。
※Blu-ray(ブルーレイ)は25GB(片面一層)の容量が収まり、DVDより画質は向上した。

陽はまた昇る陽はまた昇る
西田敏行、仲代達矢、渡辺謙

【ストリー】
1970年代前半、それまで右肩上がりだった日本経済が初めてマイナス成長に陥った。そんな中、家電メーカー業界8位の日本ビクター本社開発部門に勤める開発技師・加賀谷に、事業部長として赤字続きの非採算部門である横浜工場ビデオ事業部への異動と大幅な人員整理の厳命が下る。だが、人材こそ何よりの財産と考える加賀谷は、ひとりの解雇も出さないために極秘のプロジェクト・チームを結成。本社に悟られぬようにしながら、家庭用VTRVHSの開発に着手する。ところが数年後、家電メイカーの雄・ソニーがベータマックスを発表。足踏み状態の続くビデオ事業部は崖っぷちに立たされるが、それでも彼らはVHSに夢と希望を託し開発を続けた。そして、遂にベーターマックスを超える録画が可能な試作機が完成する。しかし、その時既にベータマックスは国内規格として採用されようとしていた。このままでは、自分たちの努力が水泡に帰してしまう。そこで加賀谷は大阪へ向かい、親会社である松下電器相談役・松下幸之助にVHS方式の採用を直訴。果たして、加賀谷の願いは聞き入れられ、その結果、ひとりの解雇者も出さずにVHS方式のプレイヤーの販売にこぎ着けることに成功するのだった。その後、加賀谷は脳梗塞で倒れた妻の世話のために、定年を前に退職を決めた。最後に彼が工場を訪れた時、従業員たちはVHSの人文字で彼を送った。

陽はまた昇る陽はまた昇る
緒形直人、篠原涼子                   夏八木勲

題名:陽はまた昇る
監督:佐々部清
企画:坂上順、西村元男
製作:高岩淡
原作:佐藤正明「映像メディアの世紀」
脚本:佐々部清、西岡琢也
撮影:木村大作
照明:礒野雅宏
録音:高野泰雄
音効:佐々木英世、西村洋一
美術:福澤勝広、新田隆之
装飾:若松孝市
衣裳:山田夏子
記録:石山久美子
編集:大畑英亮
音楽:大島ミチル 挿入歌:「わたしの彼は左きき」麻丘めぐみ
フィルム:イーストマンコダック
現像:東映化学
製作担当:林周治
助監督:瀧本智行
撮影効果:南好哲、渡辺孝
撮影応援:加藤雄大、佐々木原保志、林淳一郎
プロデューサー:厨子稔雄、小松茂明
ラインプロデューサー:菊池淳夫
音楽プロデューサー:北神行雄 、 津島玄一
スチール:阿部昌弘
出演:西田敏行、渡辺謙、緒形直人、真野響子、倍賞美津子、田山涼成、國村隼、津嘉山正種、仲代達矢、中村育二、石田法嗣、石丸謙二郎、石橋蓮司、新克利、樹音、篠原涼子、江守徹、蟹江一平、夏八木勲、加藤満、永倉大輔、井川比佐志、崔哲浩
2002年日本・東映/ビスタサイズ・イーストマンカラー108分35mmフィルム
陽はまた昇る [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

陽はまた昇る陽はまた昇る
倍賞美津子

陽はまた昇る陽はまた昇る
VHS第四次試作機                 撮影:木村大作氏

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