映画「トラック野郎 男一匹桃次郎」


「トラック野郎 男一匹桃次郎」夏目雅子

菅原文太                       夏目雅子

今回は鈴木則文監督1977年製作「トラック野郎 男一匹桃次郎」をピックアップする。
本作はシリーズ第6作で舞台を九州に移し、剣道三段の女学生(夏目雅子)に恋する桃次郎(菅原文太)を描いているが、夏目雅子さん映画初出演の作品でもある。

トラック野郎シリーズ


愛川欽也                       若山富三郎

【ストリー】
熊本の青果市場で桃次郎(菅原文太)と金造(愛川欽也)は、C調トラックを運転する電吉(左とん平)と知り合う。電吉のおごりでフグ料理を食べるが、桃次郎はフグ中毒にかかってしまう。この地方に伝わる解毒法といわれ、土の中に埋められた桃次郎の目の前に、女子大生の小早川雅子(夏目雅子)が現れる。一方、金造は築地の酒場の仲居和代(浜木綿子)の気をひこうとしているのを女房(春川ますみ)に見つかり、離婚を訴えられる。剣道の九州大会に出場する雅子を会場まで送ろうとする桃次郎の前に、タンクローリーを運転する袴田太一(若山富三郎)が現れ、雅子を連れ去った。袴田は雅子の姉の夫であった。友人の借金の保証人となった袴田は、借金を返すことができなかった友人のために生活に破綻をきたし、妻と別れたのであった。捜しあてたものの、意地をはり、太一のところへ戻ろうとしない由紀を桃次郎は説得し、彼と再会させる。一方、雅子は、結婚を誓った恋人・村瀬(清水健太郎)が不運の連続から海外に旅立とうとしていたため、心中は穏やかではなかった。桃次郎が雅子に求婚するが、村瀬の存在を知らされる。そして、村瀬は6時間後に鹿児島空港から出発するという。愛する人の元へ向うように桃次郎は雅子に話すと、彼女をトラックに乗せ、鹿児島空港へと驀走していった。


浜木綿子                        左とん平

桂歌丸、三遊亭小円遊               愛川欽也、春川ますみ

題名:トラック野郎 男一匹桃次郎
監督:鈴木則文
企画:天尾完次、高村賢治
脚本:鈴木則文、掛札昌裕
撮影:飯村雅彦
照明:川崎保之丞
録音:広上益弘
美術:桑名忠之
装置:安沢重治
装飾:片桐正雄
美粧:井上守
美容:宮島孝子
衣装:福崎精吾
技斗:日尾孝司
記録:山内康代
編集:田中修
音楽:津島利章 主題歌:菅原文太、愛川欽也「一番星ブルース」
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学
製作主任:小島来吉弘
助監督:福湯通夫、澤井信一郎
スチール:遠藤努
出演:菅原文太、愛川欽也、夏目雅子、浜木綿子、若山富三郎、加藤嘉、清水健太郎、湯原正之、春川ますみ、左とん平、野村昭子、南利明、桂歌丸、三遊亭小円遊、笑福亭鶴光、堺正章、ばってん荒川
1977年日本・東映東京撮影所/シネスコサイズ・カラー104分35mmフィルム
トラック野郎 男一匹桃次郎 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


清水健太郎、夏目雅子                菅原文太、夏目雅子

「トラック野郎 男一匹桃次郎」

「トラック野郎 男一匹桃次郎」

「トラック野郎 男一匹桃次郎」夏目雅子

映画「鬼龍院花子の生涯」


「鬼龍院花子の生涯」夏目雅子

夏目雅子                     仲代達矢、室田日出男

今回は五社英雄監督1982年製作「鬼龍院花子の生涯」をピックアップする。
本作は高知出身の直木賞作家・宮尾登美子氏の同名小説を初の映画化をしたもので、27歳という若さで惜しまれて亡くなった伝説の女優、夏目雅子さんの松恵役に拘った意欲作でもある。しかし、驚いた事に本作の製作経緯として女優の梶芽衣子さんが著書「真実(文藝春秋刊)」で次の様に述べている事実は看過出来ない。

…(中略)…本屋さんで気になった本を手に取ったなかで、ある人が勧めてくださったのが宮尾登美子さんの「鬼龍院花子の生涯」でした。土佐の任客・鬼龍院政五郎と周囲の女たちの生き様を描いた物語です。読み進めるうちに、以前にテレビドラマで見た若尾文子さん主演の「櫂」(1975年)を思い出しました。女性の視点で女衒の世界を描いた内容が新鮮で「櫂」はとても印象に残っていたのですが、その作風に同じ作家であることに気づいたのです。…(中略)…最初の企画としては「鬼龍院花子の生涯」のほうが通りやすいだろう。かなりどぎつい物語だけれども、あの親子の性や女の情念の世界を増村保造監督が描いたらどんなふうになるだろう。主人公の鬼政、鬼龍院政五郎を若山富三郎さんが演じたら素晴らしいだろうな。…(中略)…おこがましいとは思いながらも思い切って若山さんにお話ししたところ、ご賛同くださったのです。そこでさっそくシノプシス(あらすじ)をまとめ、キャスティングやスタッフ案を書き記した企画書をマネージャーの兼田に作成してもらいました。東映には「さそり」シリーズ続編をめぐる降板問題でご迷惑をおかけしたことがありましたので、この映画を絶対に当ててご恩返しができたら、という思いがありました。東映京都にしたのは、大正から昭和にかけての高知の話ということもあり東京よりふさわしいだろうと思ったからです。…(中略)…当時そうした企画の窓口となっていた奈村協プロデューサーを訪ねました。当時の奈村さんは宮尾登美子さんという作家をご存じなかったのですが企画書を預かってくださり、私たちはその返事を待つことにしました。ところがその返事はなかなかいただけず、東映がダメなら別のところに、大変だろうけど独立プロで製作してもいいとも思い始めた矢先のこと…。ある日突然、原作の映画化を勧めてくれた知人から電話がかかってきたのです。
…(中略)… 東映が「鬼龍院花子の生涯」の映画化を発表したというのです。…(中略)…そこに奈村さんから「こんなことになっちゃって…」と事務所に電話がかかってきました。奈村さんは発表された事実を改めて告げた後、「ほかの役ならどれでもいいって、五郎ちゃんが言っている」と言うのです。五郎ちゃんというのはプロデューサーの日下部五朗さんのことで、私が出演した作品にプロデューサーとして名前が入っていることはありましたが、一度もお会いしたことのない方です。……..。
「真実」梶芽衣子著 文藝春秋刊より(2018.3.12発刊)

私は、本作で企画・製作総指揮としてクレジットされている日下部五朗氏が、梶芽衣子さんが持ち込んだ企画をパクったという事実に驚愕した。これは世間には知られてない真実なのだろうか!?ただし本書は梶芽衣子さんの映画人生を時系列で綴ったものであり、本作の経緯に限った事で書かれてはいない事をお断りしておく。


岩下志麻                       夏木マリ

【ストリー】
大正10年、松恵(仙道敦子)は土佐の大親分・鬼龍院政五郎(仲代達矢)の養女となった。松恵は政五郎の身の回りの世話を命じられたが、鬼龍院家では主屋には正妻の歌(岩下志麻)が住み、向い家には妾の牡丹(中村晃子)と笑若(新藤恵美)が囲われており、その向い家に政五郎が出向く日を妾二人に伝えるのも幼い松恵の役割りだった。ある日、政五郎は女や子分たちを連れ土佐名物の闘犬を見に行った。そこで漁師の兼松(夏八木勲)と赤岡の顔役・末長(内田良平)の間で悶着がおき、政五郎の仲介でその場はおさまったが、末長は兼松の持ち犬を殺すという卑劣な手段に出た。怒った政五郎は赤岡に出むいたが、末長は姿を隠していた。帰りぎわ、政五郎は末長の女房・秋尾(夏木マリ)の料亭からつる(佳那晃子)という娘を掠奪した。この確執に、大財閥の須田(丹波哲郎)が仲裁に入り一応の決着はついたが、以来、政五郎と末長は事あるごとに対立することになる。これが機縁となってつるは政五郎の妾となり、鬼篭院の女たちと対立しながら翌年、女児を産んだ。花子と名付けられ、政五郎はその子を溺愛した。勉強を続けていた松恵(夏目雅子)は、女学校に入学した。昭和9年、土佐電鉄はストライキの嵐にみまわれ、筆頭株主である須田の命を受けた政五郎はスト潰しに出かけた。そこで政五郎はストを支援に来ていた高校教師の田辺恭介(山本圭)と知り合い意気投合、須田から絶縁されるハメに陥った。だが政五郎は意気軒昂、田辺を16歳になった花子(高杉かほり)の婿にし一家を継がせようとしたが、獄中に面接に行かされた小学校の先生となっていた松恵と田辺はお互いに愛し合うようになっていた。やがて出所した田辺は政五郎に松恵との結婚を申し出、怒った政五郎は田辺の小指を斬り落とさせた。そして数日後、政五郎に挑みかかられた松恵は死を決して抵抗、転勤を申し出、鬼龍院家を出た。16歳になった花子と神戸・山根組との縁談が整い、その宴の席で歌が倒れた。腸チフスだった。松恵の必死の看病も虚しく歌は死んだ。松恵は再び家を出、大阪で労働運動に身を投じている田辺と一緒に生活するようになった。だが、花子の婚約者がヤクザ同士の喧嘩で殺されたのを機に、田辺と共に鬼龍院家に戻った。南京陥落の提灯行列がにぎわう夜、花子が末長に拉致され、これを救おうとした田辺も殺された。政五郎が末長に殴り込みをかけたのはその夜のうちだった。それから2年後、政五郎は獄中で死んだ。そして数年後、松恵がやっと消息を知り大阪のうらぶれた娼家に花子を訪ねた時、花子も帰らぬ人となっていた。


中村晃子、新藤恵美                  佳那晃子

仙道敦子

佳那晃子、仲代達矢                   夏木マリ

題名:鬼龍院花子の生涯
監督:五社英雄
企画:日下部五朗、佐藤正之
製作:奈村協、遠藤武志
原作:宮尾登美子
脚本:高田宏治
撮影:森田富士郎
照明:増田悦章
録音:平井清重
整音:荒川輝彦
美術:西岡善信
装置:三浦公人
装飾:西田忠男、福井啓三
背景:西村三郎
衣装:松田孝
美粧・結髪:東和美粧
刺青:毛利清二
技斗:土井淳之祐
記録:田中美佐江
編集:市田勇
音楽:菅野光亮
和楽:中本敏生
製作主任:山本吉應
助監督:清水彰
演技事務:寺内文夫
スチール:小山田幸生
出演:仲代達矢、夏目雅子、岩下志麻、仙道敦子、佳那晃子、中村晃子、夏木マリ、山本圭、高杉かほり、新藤恵美、内田良平、小沢栄太郎、室田日出男、梅宮辰夫、成田三樹夫、丹波哲郎、夏八木勲
1982年日本・東映京都+俳優座映画放送/ビスタサイズ・カラー146分35mmフィルム
鬼龍院花子の生涯 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


丹波哲郎                        仲代達矢

夏目雅子、仲代達矢

映画「魚影の群れ」

魚影の群れ魚影の群れ
魚影の群れ
魚影の群れ魚影の群れ
緒形拳

今回は相米慎二監督1983年製作「魚影の群れ」をピックアップした。
本作は下北半島・大間を舞台に苛酷なマグロの一本釣りに生命を賭ける海の男と、寡黙であるが情熱的な女の世界を描いている。苛酷なのは撮影もそうであっただろう。その緊張感が芝居に反映されている。それがないと1カット長廻しなど見るに堪えない。1985年に若干27歳で惜しくも亡くなった夏目雅子さん、緒形拳さん(2008年71歳没)、レオナルド熊さん(1994年59歳没)、そして2001年に亡くなった相米慎二監督(53歳没)、皆がフィルムに生きていた。

【相米慎二監督作品】
1980年「翔んだカップル」
1981年「セーラー服と機関銃」
1983年「ションベン・ライダー」
1983年「魚影の群れ」
1985年「ラブホテル」
1985年「台風クラブ」
1985年「雪の断章 情熱」
1987年「光る女」
1990年「東京上空いらっしゃいませ」
1993年「お引越し」
1994年「夏の庭 The Friends」
1998年「あ、春」
2001年「風花」
2001年9月9日59歳没

魚影の群れ魚影の群れ
下川辰平、緒形拳                佐藤浩市、夏目雅子

【ストリー】
多くの漁師が40代で辞めてしまう中で、小浜房次郎(緒形拳)は初老を感じながらもマグロ漁を続けている。娘トキ子(夏目雅子)が結婚したいという、喫茶店をやっている依田俊一(佐藤浩市)に会う。養子になって漁師になってもいいという。漁に命を賭けてきた房次郎は簡単に漁師になると言われ、無性に腹立たしくなる。店を畳んで大間 に引越してきた俊一は房次郎の持ち船・第三登喜丸の前で待ち、漁を教えて欲しいと懇願する。10日以上も俊一を無視し続けたが、一緒に乗り込むのを許す。 エイスケ(三遊亭圓楽)の忠告で、トキ子が家出した妻アヤ(十朱幸代)のように自分を捨てるのではと怯えたのだ。不漁の日が続き、連日船酔いと闘ってきた 俊一がようやく打ち勝った日、マグロの群れに遭遇する。餌が放り込まれた瞬間、マグロが引張る釣糸が俊一の頭に巻きつき、血だらけになる。だが、房次郎は マグロとの死闘を続け、マグロを仕留めた時、俊一の眼には憎悪が浮かんでいた。数ヵ月後に退院した俊一はトキ子と町を去る。1年後、北海道の伊布港に上陸 した房次郎はアヤに再会する。壊しさと20年の歳月がわだかまりを溶かすが、ヒモの新一(矢崎滋)に絡まれ、房次郎は半殺しにし、止めに入ったアヤまで殴る。翌日、 伊布沖で房次郎は生まれて初めて釣糸を切られ、ショックを受ける。たくましくなって俊一が大間に戻って来た。ある日、俊一の第一登喜丸の無線が途絶える。 一晩経っても消息はつかめず、トキ子は房次郎に頭を下げて捜索を依頼する。長年の勘を頼りに第一登喜丸を発見。300キロものマグロと格闘中であった。重 傷を負っているのを見て房次郎が釣糸を切ろうとすると「切らねでけろ。俺も大間の漁師だから」という俊一にマグロとの闘いに加わる。2日間の死闘の末、大物は仕留められる。帰港の途中、来年の春に生まれる子が男だったら漁師にしたいと告げ、俊一は息を引き取る。

魚影の群れ魚影の群れ
夏目雅子、佐藤浩市

題名:魚影の群れ
監督:相米慎二
製作:織田明、中川完治、宮島秀司
原作:吉村昭
脚本:田中陽造
撮影:長沼六男
照明:熊谷秀夫
特機:NK特機
録音:信岡実
美術:横尾嘉良
編集:山地早智子
音楽:三枝成章 挿入歌:「Bright light, in the sea」原田芳雄、アンリ菅野「遣らずの雨」川中美幸
現像:東洋現像所
助監督:榎戸耕史
漁業技術指導:中森幸夫
スチール:星野健一
出演者:緒形拳、夏目雅子、佐藤浩市、十朱幸代、矢崎滋、下川辰平、レオナルド熊、石倉三郎、寺田農、三遊亭圓楽(5代目)、木之元亮、工藤栄一
1983年日本・松竹/ビスタサイズ・カラー141分35mmフィルム
魚影の群れ [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

魚影の群れ魚影の群れ
石倉三郎、レオナルド熊              佐藤浩市、緒形拳