映画「リングの王者 栄光の世界」


「リングの王者 栄光の世界」宇津井健

宇津井健                           池内淳子

今回は石井輝男監督1957年製作「リングの王者 栄光の世界」をピックアップする。
本作は石井輝男監督のデビュー作である。新東宝でスポコンものは珍しいが、何のオチもなく拳闘(ボクシング)ものだった。この年「明治天皇と日露大戦争」からシネマスコープ・レンズによるシネスコサイズ(1:2.35)での撮影が波及する訳だが、本作はスタンダードサイズ(1:1.37)であり、石井監督は、内容からしてシネスコサイズで撮りたかったのではないかと思料するが、シネマスコープ・レンズは、映写機にも装着しないと上映出来ないので、系列劇場の準備が揃わなかったのかもしれない。


池内淳子、宇津井健

中山昭二                                 伊沢一郎

【ストリー】
魚河岸の青年塚本新一郎(宇津井健)はかねて東洋新聞の運動部記者畑(伊沢一郎)から拳闘界入りをすすめられていたが、母志づ(真山くみ子)や恋人の京子(池内淳子)の反対で断っていた。しかし家の借金や足の悪い妹敏子(福田則子)の手術代などで切羽詰った新一郎は遂に畑を訪れた。その夜、畑は銀座裏のバーに彼をつれて行き、マダム奈美子(毛利啓子)を手伝っている元ボクサーの岩崎健次(中山昭二)にトレーナーを頼む。岩崎は一旦ははねつけたが畑の情熱に動かされて承諾する。旭光拳闘クラブで猛練習を続ける新一郎に、志づたちも次第に応援するようになるがジムの中ではライト級の三田村(細川俊夫)らの冷い目があった。やがて新一郎は前座に出て派手なデビューをしたが岩崎や畑の祝をよそに京子と連れだって帰る姿に、畑は京子を訪ね拳闘に女は禁物だ、彼の将来のために暫らく遠去かってくれと頼む。京子の姿がみえなくなり新一郎は落胆するが、果されなかった自分の夢を彼に託して岩崎の指導は日増しに激しくなってゆく。漸く新一郎が外部に認められた頃ライト級選手権をとった三田村は金の為にクラブを移る。一方、試合毎に現れるキャバレーのマダム、ルリ子(若杉嘉津子)の執拗な誘惑に心ならずもひきづられて行く。女の為に身をくずした昔の自分を思い出し岩崎は心を痛める。やがて新一郎は三田村とノンタイトル戦を行うことになったが、彼の殺人パンチに脆くも敗北を喫し、ルリ子の豹変した冷い態度に気落ちしてしまうが岩崎と畑に励まされて一心にファイトを燃やして行く。そしてタイトル・マッチの当日、汗がとび散り鮮血の流れる激しい打合いの末、見事三田村を倒した新一郎の眼には涙があふれ、祝福してくれる岩崎、畑や、病気もなおり京子に手をひかれて駈けよる妹敏子の姿がかすんでしまうのだった。


「リングの王者 栄光の世界」宇津井健

中山昭二、宇津井健                         細川俊夫

題名:リングの王者 栄光の世界
監督:石井輝男
製作:佐川滉
脚本:内田弘三
撮影:鈴木博
照明:傍土延雄
録音:中井喜八郎
美術:小汲明
編集:神田帰美
音楽:斎藤一郎
製作主任:川田信義
助監督:三輪彰
出演:宇津井健、池内淳子、中山昭二、伊沢一郎、細川俊夫、若杉嘉津子、小高まさる、御木本伸介、田原知佐子、福田則子、真山くみ子、毛利啓子、天知茂
1957年日本・新東宝/スタンダードサイズ・モノクロ78分35mmフィルム
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宇津井健、若杉嘉津子                            田原知佐子(原知佐子)

福田則子、池内淳子、宇津井健                リングの王者 栄光の世界

映画「憲兵と幽霊」


中山昭二、久保菜穂子                       天知茂

今回は中川信夫監督1958年製作「憲兵と幽霊」をピックアップする。
新東宝ティストに満ちた本作は、日本軍悪徳憲兵のホーラー・サスペンスものである。
天知茂さんの鬼畜憲兵役が印象に残り、構成も他の新東宝作品よりテンポが良かった。


三原葉子                               三村俊夫

【ストリー】
田沢憲兵伍長(中山昭二)と明子(久保菜穂子)は、波島憲兵少尉(天知茂)の嫉妬をよそに結婚した。翌年の夏、憲兵隊から機密書類が盗まれた時、波島と腹心の部下高橋軍曹(三村俊夫)は、罪を田沢にかぶした。明子と母(宮田文子)を拷問されて、田沢は偽りの自白を強いられ、銃殺された。射手として兄の銃殺に立会い、自分の無実と呪いの言葉を叫ぶ兄の姿をみた田沢二等兵(中山昭二:二役)は、復讐を誓って憲兵を志願した。波島は、国賊とののしられ、生活に苦しむ明子に毒牙をのばし、母を自殺に追いやった末、遂に彼女を征服した。浪島は、大陸における日本軍の配置図を、中国側の張覚仁(芝田新)に手渡すため大陸に渡ったが、途中の船中で、部屋に入ってきた高橋軍曹の顔が、亡き田沢伍長にみえて、これを軍刀で殺してしまう。彼は死体を行李に詰めて海に投じた。大陸について憲兵隊に出頭した波島は、皮肉にも小森中佐(中村彰)に、大物スパイ張覚仁の逮捕を命じられた。部下として同行を言渡されたのは、今は憲兵となった田沢上等兵だった。しかし波島の連絡によって、現場では身代りとして金成日(国創典)が捕えられたのみだった。金成日は、自分は張覚仁でないことを主張し、証人として知合いの日本人看護婦を呼んだ。それは明子だった。彼女も復讐のために大陸にきていたのだ。取調べ室で対決させられることになった波島は、金成日を殺して張のもとに逃れ、張の情婦で自分と通じている紅蘭(三原葉子)と、共謀して張を殺し、逃走した。しかし、憲兵隊の手は彼等を逃さなかった。田沢の母の顔に見えた紅蘭をつき放し、墓地に追いつめられた波島は、その一つ一つが田沢の顔にみえる十字架に行手をはばまれ、逮捕された。軍法会議の重罰が波島を待っていた。今は心晴れて陸軍病院の病室に田沢上等兵を見舞った明子は、戦争が終って、二人とも無事であったらという条件で、田沢上等兵の求婚を承諾した。


「憲兵と幽霊」万里昌代

万里昌代

題名:憲兵と幽霊
監督:中川信夫
企画:津田勝二
製作:大蔵貢
脚本:石川義寛
撮影:西本正
照明:関川次郎
録音:片岡造
美術:黒沢治安
編集:後藤敏男
音楽:江口夜詩
製作主任:永野裕司
助監督:石川義寛
出演:中山昭二、久保菜穂子、天知茂、三原葉子、万里昌代、宮田文子、中村彰、胡美芳、三村俊夫(村上不二夫)、芝田新、村山京司、国創典、高村洋三
1958年日本・新東宝/シネスコサイズ・モノクロ75分35mmフィルム
憲兵と幽霊 -DVD-
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憲兵と幽霊

映画「女王蜂と大学の竜」


「女王蜂と大学の竜」三原葉子

三原葉子                       吉田輝雄

今回は石井輝男監督1960年製作「女王蜂と大学の竜」をピックアップする。
本作は新東宝が制作した”女王蜂シリーズ”の第三弾である。プロデューサーである大蔵貢氏は、その後の大蔵映画で「女王蜂の欲情(1966年)」「女王蜂乱行(1969年)」とシリーズに拘って制作している。

1958年「女王蜂」     監督:田口哲  主演:久保菜穂子
1958年「女王蜂の怒り」  監督:石井輝男 主演:久保菜穂子
1960年「女王蜂と大学の竜」監督:石井輝男  主演:三原葉子
1961年「女王蜂の逆襲」  監督:小野田嘉幹 主演:三原葉子


万里昌代                    天知茂、嵐寛寿郎

【ストリー】
終戦後間もない頃、新橋附近の露天地区では、三国人が横暴の限りを尽くしていた。この地区の縄張である関東桜組は、露天商人達のためにその地区を必死に守った。広岡竜二(吉田輝雄)またの名を“大学の竜”という若い豪の者が桜組にワラジをぬいだ。組長の千之助(嵐寛寿郎)が見込んで学資を出すといっても、竜二はそれを断った。千之助の一人娘珠美(三原葉子)は、一家の指揮もとる男勝りで、竜二の加入を心から喜んだ。かねて三国人と桜組の争いに乗じ、シマ乗っ取りを企らむ土橋組の魔手がのびて来た。桜組の幹部、血桜の達を籠絡して双方をそそのかし、大喧嘩をさせようという企みだった。しかしこの計画は千之助と竜二の活躍で粉砕された。夏祭りの季節が来た。土橋組が神輿の上にストリッパーを乗せると、負けん気の珠美も半纏をぬいで神輿に上る。そこへ祭りの面をつけた一団がなだれ込んで、千之助を人気のない運河のほとりまで拉致した。必死に抵抗するうちに、竜二と珠美がかけつけて、千之助は危急を免れた。堪忍袋の緒を切った千之助は、関東一家の親分衆に回状を廻し、珠美に代をゆずると、土橋一味を敢然叩き伏せてしまった。3年の月日がたった。かつてのマーケットの跡にはビルがたち、桜組は桜建設となった。ヤクザのいなくなった復興祭の舞台では、夫婦約束をした珠美と竜二が楽しそうに踊る姿が見られた。

題名:女王蜂と大学の竜
監督:石井輝男
企画:佐川滉
製作:大蔵貢
原案:牧源太郎
脚本:内田弘三、石井輝男
撮影:岡田公直
照明:矢口明
録音:鈴木勇
美術:朝生治男
編集:鹿島秀男
音楽:渡辺宙明
製作主任:藤岡治郎
助監督:武部弘道
出演:三原葉子、万里昌代、吉田輝雄、天知茂、嵐寛寿郎、近衛敏明、沖竜次、杉山弘太郎、大友純
1960年日本・新東宝/シネスコサイズ・カラー81分35mmフィルム
女王蜂と大学の竜 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


女王蜂と大学の竜

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