映画「破戒」

破戒破戒
市川雷蔵                        長門裕之

今回は市川崑監督1962年製作「破戒」高評価作品sをピックアップする。
本作は島崎藤村氏の同名原作を和田夏十氏の脚本により映画化したものだが、日本が日露戦争に突入した時代に被差別部落問題をテーマにした原作を映像に昇華させた優秀な作品である。本作の演出、撮影、照明、美術、名優の芝居は一級品である事は間違いない。特に巨匠・宮川一夫氏の撮影が、絵画を見る様な美しい映像で脱帽する。

破戒破戒
三國連太郎                船越英二、長門裕之、市川雷蔵、宮口精二

【ストリー】
天の知らせか10年ぶりで父に会おうと信州烏帽子嶽山麓の番小屋にかけつけた、飯山の小学校教員瀬川丑松(市川雷蔵)は、ついに父の死にめに会えなかった。丑松は父の遺体に、「阿爺さん丑松は誓います。隠せという戒めを決して破りません、たとえ如何なる目をみようと、如何なる人に邂逅おうと、決して身の素性をうちあけません」と呻くように言った。下宿の鷹匠館に帰り、その思いに沈む丑松を慰めに来たのは同僚の土屋銀之助(長門裕之)であった。だが、彼すら被差別部落民を蔑視するのを知った丑松は淋しかった。丑松は下宿を蓮華寺に変えた。士族あがりの教員風間敬之進(船越英二)の娘お志保(藤村志保)が住職の養女となっていたが、好色な住職(二代目中村鴈治郎)は彼女を狙っていた。「部落民解放」を叫ぶ猪子蓮太郎(三國連太郎)に敬事する丑松であったが、猪子から君も一生卑怯者で通すつもりか、と問いつめられるや、「私は部落民でない」と言いきるのだった。飯山の町会議員高柳(潮万太郎)から自分の妻が被差別部落民だし、お互いに協力しようと申しこまれても丑松はひたすらに身分を隠し通した。だが、丑松が被差別部落民であるとの噂がどこからともなく流れた。校長の耳にも入ったが、銀之助はそれを強く否定した。校長から退職を迫られ、酒に酔いしれる敬之進は、介抱する丑松にお志保を嫁に貰ってくれと頼むのだった。町会議員の応援演説に飯山に来た猪子は、高柳派の壮漢の凶刃に倒れた。師ともいうべき猪子の変り果てた姿に丑松の心は決まった。丑松は「進退伺」を手に、校長に自分が被差別部落民であると告白した。丑松は職を追われた。骨を抱いて帰る猪子の妻と共に、丑松はふりしきる雪の中を東京に向った。これを見送る生徒たち。その後に涙にぬれたお志保の顔があった。

破戒破戒
市川雷蔵 、藤村志保                杉村春子、藤村志保

題名:破戒
監督:市川崑
企画:藤井浩明
製作:永田雅一
原作:島崎藤村
脚本:和田夏十
撮影:宮川一夫
照明:岡本健一
録音:大角正夫
美術:西岡善信
装置:梶谷輝男
編集:西田重雄
音楽:芥川也寸志
助監督:中村倍也、遠藤実
スチール:西地正満
出演:市川雷蔵、長門裕之、船越英二、藤村志保、三國連太郎、岸田今日子、中村鴈治郎(二代目)、杉村春子、宮口精二、浜村純、浦辺粂子
1962年日本・大映京都撮影所/シネスコサイズ・モノクロ119分35mmフィルム
破戒 [DVD]
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破戒破戒
岸田今日子
破戒破戒
市川崑監督と宮川一夫キャメラマン

映画「男はつらいよ・寅次郎恋やつれ」


渥美清                      吉永小百合(マドンナ役)

今回は山田洋次監督1974年製作「男はつらいよ・寅次郎恋やつれ」をピックアップする。
第13作となる本作のロケ地は、島根県津和野市、益田市、温泉津町などで行われ、封切り時の観客動員は194万4,000人、配給収入は8億7,000万円だったそうだ。第9作「柴又慕情」編で歌子を演じた吉永小百合さんが再登場する。(歌子のキャラクターは同じ)当時のロードショー入場料金は1,000円、併映は「超能力だよ 全員集合!!(監督:渡辺祐介 出演:ザ・ドリフターズ、長山藍子、榊原ルミ、フィンガー5)」であった。


高田敏江                   渥美清、三崎千恵子、太宰久雄

【ストリー】
香具師渡世の寅(渥美清)の夢は、カタギの職業について、気立の良い女性を妻に迎えて、東京は葛飾・柴又で暮す、おいちゃん(松村達雄)、おばちゃん(三崎千恵子)、そして妹さくら夫婦(倍賞千恵子・前田吟)を安心させることだった。そんな夢が一度にかないそうな機会がやって来た。温泉津というひなびた温泉町で、ひょっとしたキッカケから温泉旅館で働いていた寅は、夫が蒸発している働き者の絹代(高田敏江)という人妻と所帯を持とう、と決心したのだった。早速、柴又に帰った寅は、この縁談をまとめるべく、さくらと裏の工場の社長を引き連れて絹代に会いに行った。ところが、その絹代は寅の顔を見るなり、夫が戻って来たことを、嬉しそうに告げるのだった。さくらに置き手紙を置いてまた旅に出る寅。山陰にある城下町・津和野。ここで寅はなつかしい歌子(吉永小百合)と再会した。二年前、寅の恋心を激しく燃え上らせた歌子は、小説家の父の反対を押し切って陶芸家の青年と結婚したのだが、その後、その夫が突然の病気で亡くなり、今は夫の実家のあるこの町で図書館勤めをしていた。現在の彼女は不幸に違いないと思った寅は「困ったことがあったら、“とらや”を訪ねな」と言って別れるのだった。歌子が柴又を訪ねたのは、それから十数日後。人生の再出発をする決意ができた、と語る歌子は、暫くの間とらやの二階に住むことになった。それからの寅は、歌子を励まし、歓ばせるための大奪闘を続ける。歌子にとって一番の気懸りは、喧嘩別れしたままの父・修吉(宮口精二)のこと。寅は早速、単身修吉を訪ね、歌子の代りに言いたい放題を言って帰って来た。そのことを知って皆が蒼くなっているところへ修吉が現われ、歌子と二年ぶりの父娘の対面となった。一同の心配をよそに、お互の心情を語りあった修吉と歌子は和解するのだった。やがて、歌子は東京に帰って来たもう一つの目的である仕事について、博とさくらにも相談して、悩みぬいた結果、伊豆大島にある心身障害児の施設で働くことを決心した。技術も資格もない彼女が誇りをもって参加できる仕事として彼女はこの職場を選択したのだった。歌子にその決意を聞かされた寅は、ホッとしたような少し疲れたような様子で「よかったネ、歌子ちゃん」と答え、励ますのだった。


倍賞千恵子、宮口精           倍賞千恵子、渥美清、松村達雄、太宰久雄、三崎千恵子

題名:男はつらいよ・寅次郎恋やつれ
監督:山田洋次
企画:高島幸夫、小林俊一
製作:島津清
企画:高島幸夫、小林俊一
原作:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
撮影:高羽哲夫
照明:青木好文
録音:中村寛
調音:松本隆司
美術:佐藤公信
編集:石井巌
音楽:山本直純 主題歌:渥美清
フィルム:富士フィルム
現像:東京現像所
製作主任:内藤誠
製作進行:玉生久宗
助監督:五十嵐敬司
スチール:長谷川宗平
出演:渥美清、吉永小百合、倍賞千恵子、前田吟、三崎千恵子、太宰久雄、笠智衆、佐藤蛾次郎、松村達雄、高田敏江、宮口精、武智豊子、高橋基子、泉洋子、石原昭子、光映子、小夜福子、中村はやと
1974年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー分104分35mmフィルム
公式サイト
男はつらいよ・寅次郎恋やつれ -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


松村達雄、三崎千恵子、前田吟、倍賞千恵子、太宰久雄         吉永小百合、渥美清

映画「男はつらいよ・柴又慕情」


渥美清                      吉永小百合(マドンナ役)

今回は山田洋次監督1972年製作「男はつらいよ・柴又慕情」をピックアップする。
第9作となる本作のロケ地は、石川県の尾小屋鉄道金平駅、兼六園、犀川河畔、福井県東尋坊越前松島、京福電鉄東古市駅、岐阜県多治見市などで行われ、封切り時の観客動員は188万9,000人、配給収入は5億1,000万円だったそうだ。本作より、8月(盆休み)と12月(年末年始)の公開ローテーションが確立され、TVシリーズ版から”おいちゃん”役を演じた森川信さんの急逝に伴って松村達雄さんが登板する事となった。当時のロードショー入場料金は600円、併映は「祭りだお化けだ 全員集合!!(監督:渡辺祐介 出演:ザ・ドリフターズ、林美智子、仁科明子)」であった。


渥美清、倍賞千恵子                松村達雄、三崎千恵子

【ストリー】
“フーテンの寅”こと車寅次郎(渥美清)が、初夏を迎えた東京は葛飾柴又に久しぶりに帰って来た。ところが、団子屋「とらや」を経営しているおじ夫婦は寅が急に帰って来たのでびっくり仰天。と言うのも寅の部屋を貸間にしようと「貸間あり」の札を出していたからである。案の定、札を見た寅は捨てゼリフを残して出て行ってしまった。さて、寅の下宿探しが始まった。ところが、手前勝手な条件ばかり言う寅を不動産屋は相手にしない。やっと三軒目の不動産屋(佐山俊二)に案内されたのがなんと「とらや」だった。その上、不動産屋は手数料を要求する。払う気のない寅と居直る不動産屋との間が険悪になりそうになったが、結局、博(前田吟)が仲に入り手数料を払った。今度はそのことで、寅はおじ夫婦(松村達雄、三崎千恵子)とも喧嘩になり、果ては建築中のさくら夫婦の家にケチをつけさくら(倍賞千恵子)を泣かせてしまった。居づらくなった寅は、また旅に出ることにした。最初に行った金沢で寅は、久し振りに弟分登(秋野太作)と再会した。その夜、飲めや唄えのドンチャン騒ぎで、数年振りの再会を喜び合うのだった。翌日、登と別れた寅は、三人の娘たちと知り合った。歌子(吉永小百合)、マリ(泉洋子)、みどり(高橋基子)というこの娘たちを寅は何故か気に入り、商売そっちのけで御馳走したり、土産を買ってやったり、小遣いをやったりする始末。やがて、三人と別れた後、急に寂しくなった寅は柴又に帰ることにした。すっかり夏らしくなった柴又・帝釈天。寅は境内でみどりとマリに再会した。二人は金沢へ旅したときの楽しさが忘れられず、もう一度寅に会いに来たのだった。翌日には、みどりに聞いた歌子がひとりで寅を訪ねて来て想い出話に花を咲かせる。それ以来、たびたび歌子は遊びに来るようになった。そして寅は歌子に熱を上げ始めた。ところが歌子は、小説家の父(宮口精二)と二人暮しで、好きな青年との結婚と、父との板挟みで悩んでいたのである。歌子はこの悩みをさくらに打ち明けた。「すべて貴方の気持次第ね」というさくらに力ずけられた歌子はその青年と一緒に田舎で暮すことを決心した。このことを歌子からじかに聞かされた寅は、翌日、引き止めるさくらに「ほら見なよ、あの雲が誘うのよ」と言い残し、また旅立ってしまった。ひと月後、結婚して幸福な生活を送っている歌子から「とらや」に届いていた手紙には、留守中、寅が訪ねて来たらしいがもう一度寅に会いたいと記してあった。


松村達雄、前田吟、三崎千恵子      渥美清、前田吟、佐藤蛾次郎、三崎千恵子

題名:男はつらいよ・柴又慕情
監督:山田洋次
企画:高島幸夫、小林俊一
製作:島津清
原作:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
撮影:高羽哲夫
照明:青木好文
録音:中村寛
調音:松本隆司
美術:佐藤公信
編集:石井巌
音楽:山本直純 主題歌・唄:渥美清
フィルム:富士フィルム
現像:東京現像所
製作主任:池田義徳
製作進行:玉生久宗
助監督:五十嵐敬司
スチール:堺謙一
出演:渥美清、吉永小百合、倍賞千恵子、前田吟、松村達雄、三崎千恵子、太宰久雄、笠智衆、佐藤蛾次郎、秋野太作、宮口精二、泉洋子、高橋基子、佐山俊二、桂伸治、吉田義夫、中田昇、大杉侃二郎
1972年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー108分35mmフィルム
公式サイト
男はつらいよ・柴又慕情 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


吉永小百合                     渥美清

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