映画「雨あがる」


寺尾聰                        宮崎美子

今回は小泉堯史監督2000年製作「雨あがる」をピックアップする。
本作の脚本執筆中に骨折して療養生活に入り、完成させることなく亡くなった巨匠黒澤明監督の助監督として脚本執筆の手伝いをしていた小泉堯史氏の監督デビュー作である。小泉氏が黒澤監督から聞いた構想や残されたノートを参考に、補作して完成させた脚本を8ヶ月間の準備をしてからクランクインしたそうだ。以降、2002年「阿弥陀堂だより」2006年「博士の愛した数式」2008年 「明日への遺言」2014年「蜩ノ記」2020年公開予定「峠 最後のサムライ 」と作品を作られているが、全て35mmフィルムで撮られている。現在の日本の映画監督で、ムビオラやスタインベックでポジ編集を出来る方は希少であり、若い人は見たり触ったりした事もないと思うが、映し出された画は、デジタル映像では決して見れない奥深い世界がある。フィルムとはネガで撮影しポジで観るものであり、ネガ現像だけしてテレシネにするCM撮影などは本来のフィルム撮影ではない。

※黒澤明監督/1998年9月6日に享年88歳で亡くなられた。遺作は1993年製作「まあだだよ」
※日本では1985年頃を境にCM作品はフィルム納品(35mm→16mm)からデジタルテープ(D2)納品になり、ラッシュを取らずネガ・テレシネしてノンリニア編集する形態になった。


原田美枝子                       檀ふみ

【ストリー】
亨保時代。武芸の達人でありながら、人の好さが災いして仕官がかなわない武士・三沢伊兵衛(寺尾聰)とその妻・たよ(宮崎美子)。旅の途中のふたりは、長い大雨で河を渡ることが出来ず、ある宿場町に足止めされていた。ふたりが投宿する安宿には、同じように雨が上がるのを鬱々として待つ貧しい人々がいた。そんな彼らの心を和ませようと、伊兵衛は禁じられている賭試合で儲けた金で、酒や食べ物を彼らに振る舞う。翌日、長かった雨もようやくあがり、気分転換に表へ出かけた伊兵衛は若侍同士の果たし合いに遭遇する。危険を顧みず仲裁に入る伊兵衛。そんな彼の行いに感心した藩の城主・永井和泉守重明(三船史郎)は、伊兵衛に剣術指南番の話を持ちかけた。ところが、頭の固い城の家老たちは猛反対。ひとまず御前試合で判断を下すことになるが、そこで伊兵衛は、自ら相手をすると申し出た重明を池に落とすという大失態をしてしまう。それから数日後、伊兵衛の元にやってきた家老は、賭試合を理由に彼の仕官の話を断った。だが、たよは夫が何のために賭試合をしたかも分からずに判断を下した彼らを木偶の坊と非難し、仕官の話を辞退するのだった。そして、再び旅に出る伊兵衛とたよ。ところがその後方には、ふたりを追って馬を駆る重明の姿があった…。


仲代達矢                     寺尾聰、三船史郎

題名:雨あがる
監督:小泉堯史
製作:原正人、黒澤久雄
原作:山本周五郎
脚本:黒澤明
撮影:上田正治
照明:佐野武治
録音:紅谷愃一
音効:斎藤昌利
美術:村木与四郎
衣裳:黒澤和子
殺陣:久世浩
編集:阿賀英登
音楽:佐藤勝 音楽プロデューサー:斎藤昌利
フィルム:富士フィルム
撮影機材:シネオカメラ
現像:イマジカ
製作主任:木村利明
製作担当:熊田雅彦、鶴賀谷公彦
監督補佐:野上照代
助監督:鈴木康敬
撮影協力:斎藤孝雄
題字:黒澤明
アソシエイト・プロデューサー:桜井勉。吉田佳代
プロデューサー・アシスタント:荒木美也子
スチール:佐藤芳夫
【芸術文化振興基金助成事業作品】
出演:寺尾聰、宮崎美子、三船史郎、仲代達矢、吉岡秀隆、松村達雄、井川比佐志、加藤隆之、原田美枝子、檀ふみ、井川比佐志、頭師孝雄
2000年日本・アスミック・エース エンターテイメント/ビスタサイズ・カラー91分35mmフィルム
雨あがる -DVD-
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「雨あがる」                  宮崎美子、寺尾聰

映画「乱」


今回は黒澤明監督1985年製作「乱」をピックアップする。本作はシェークスピアの「リア王」をベースに毛利3兄弟の骨肉の争いを描く、フランスとの合作で製作費27億円を投じた壮大な時代劇だ。中でも富士山の裾野に作った城のロケ・セットだけでも4億円を投じたそうだ。黒澤監督は、長い芝居を複数台のキャメラを同時に回し、ワンシーン・ワンカットで撮影するという手法を取っている。この手法で俳優・スタッフの緊張感を高め、リアルな迫力ある画になっているが、ライティングに時間が必要な事は予想出来る。

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題名:乱
監督:黒澤明
脚本:黒澤明、小国英雄、井手雅人
製作総指揮:古川勝巳
製作:原正人、セルジュ・シルベルマン
撮影:斎藤孝雄、上田正治
照明:佐野武治
録音:矢野口文雄、吉田庄太郎
整音:安藤精八
音効:三繩一郎
美術:村木与四郎、村木忍
衣裳:ワダエミ
視覚効果:中野稔(デン・フィルム・エフェクト)
殺陣:久世竜、久世浩
編集:黒澤明
音楽:武満徹
撮影機材:パナビジョン(三和映材社)
フィルム:イーストマンコダック
現像:東洋現像所
ゼネラル・プロダクション・マネージャー:ウーリッヒ・D・ピカール
プロダクション・コーディネーター:黒澤久雄
プロダクションデザイン:野上照代
演出補佐:本多猪四郎
撮影協力:中井朝一
監督助手:岡田文亮
狂言指導:野村万作
スチール:原田大三郎、佐藤芳夫
出演:仲代達矢、寺尾聰、根津甚八、隆大介、原田美枝子、宮崎美子、井川比佐志、ピーター、油井昌由樹、植木等、加藤武
1985年アカデミー衣裳デザイン賞、英国アカデミー賞メイクアップ賞、外国語映画賞、全米映画批評家協会最優秀作品賞・撮影賞、ニューヨーク映画批評家協会外国語映画賞
1985年日本・フランス/ビスタサイズ・カラー162分35mmフィルム
乱 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

【ストリー】
過酷な戦国時代を生き抜いてきた猛将一文字秀虎(仲代達矢)は七十歳を迎え、家督を三人の息子に譲る決心をした。「一本の矢は折れるが、三本束ねると折れぬ」と秀虎は、長男太郎(寺尾聰)は家督と一の城を、次郎(根津甚八)は二の城を、三郎(隆大介)は三の城をそれぞれ守り協力し合うように命じ、自分は三つの城の客人となって余生を過ごしたいと告げた。隣国の領主藤巻(植木等)と綾部(田崎潤)もこれには驚いた。しかし、末男三郎は三本の矢を自分の膝に当てて無理矢理へし折り、父秀虎の甘さをいさめた。秀虎は激怒し、三郎と重臣の平山丹後の二人を追放した。藤巻はその三郎の気性が気に入り、藤巻家の婿として迎え入れることにした。一方、太郎の正室楓の方(原田美枝子)は、秀虎が大殿の名目と格式を持っていることに不満を抱き、太郎をそそのかして親子を対立させた。実は楓の方は親兄弟を秀虎に滅ぼされた上、一の城もとりあげられているという過去をもっていた。太郎の態度に怒った秀虎は一の城を飛び出して二の城へ向かったが、二の城の次郎とその重臣、鉄(井川比佐志)、白根(児玉謙次)、長沼(伊藤敏八)の野望は一の城を手中にすることにあったため、秀虎は失意のうちに三の城へ向かわざるを得なかった。だがここにも悲劇は待ちうけていた。太郎と次郎が軍勢を率いて秀虎を攻めてきたのだ。三の城は陥落、秀虎の郎党、侍女たちは全員討死し、太郎も鉄の鉄砲に狙い撃たれて死んだ。秀虎はこの生き地獄を目の当りにして自害しようとしたが太刀が折れて果たせず、発狂寸前のまま野をさまよい歩く。夫の死を知らされた楓の方は一の城に入った次郎を誘惑、正室の末の方を殺して自分を正室にするよう懇願した。その頃、藤巻の婿になった三郎のもとに、秀虎と道化の狂阿彌が行くあてもなくなっているという知らせが丹後から届いた。三郎は即座に軍を率いて秀虎救出に向かい次郎軍と対峙した。それを見守る藤巻軍と、あわよくば漁夫の利を得ようとす綾部軍。三郎は陣を侍大将の畠山にまかせ、丹後、狂阿彌(ピーター)と共に父を探しに梓野に向かった。果たして秀虎はいた。心から打ちとけあう秀虎と三郎。が、その時一発の銃弾が、三郎の命を奪い、秀虎もあまりのことに泣き狂い、やがて息絶えた。そして一の城は綾部軍に攻め込まれ、落城寸前だった。一文字家を滅ぼしたのは楓の企みだったとして、鉄は楓を一刀のもとに斬り殺した。梓野では、秀虎と三郎の死体を運ぶ行列が続き、彼方には以前秀虎が滅した末の方の生家梓城の石垣だけが見えている。その石垣の上には以前秀虎に命と引きかえに両眼をつぶされた末の弟の鶴丸の姿があった。

映画「男はつらいよ・寅次郎の休日」


後藤久美子、渥美清                   後藤久美子

今回は山田洋次監督1990年製作「男はつらいよ・寅次郎の休日」をピックアップする。
第43作となる本作のロケ地は、大分県日田市、愛知県名古屋市などで行われ、封切り時の観客動員は208万3,000人、配給収入は14億1,000万円だったそうだ。当時のロードショー入場料金は1,500円、併映は「釣りバカ日誌3(監督:栗山富夫 出演:西田敏行、石田えり、三國連太郎、谷啓、五月みどり、戸川純)」であった。本作より、撮影部、録音部、照明部、編集部、美術部の各チーフ助手がタイトルされている。


後藤久美子、渥美清、前田吟、倍賞千恵子、下條正巳、太宰久雄、三崎千恵子/倍賞千恵子、太宰久雄、三崎千恵子

【ストリー】
ついに大学に入った満男(吉岡秀隆)はパッとしない毎日を過ごしていたが、そんなある日、名古屋に住む一年前の初恋の相手・泉(後藤久美子)がやって来る。泉は両親の別居という不自然な生活に耐えられず、愛人と同居しているという父・一男(寺尾聰)を説得しに来たのだった。そんな泉の切実な思いに動かされたさくら(倍賞千恵子)たちは泉を父親探しの旅に送り出すが、東京駅まで見送った満男も一緒に九州まで行ってしまう。
そんな満男の家出にオロオロしてしまうさくらに旅から帰って来た寅次郎(渥美清)は「いつまでも子供扱いするから一人前になれないんだ」と説教するが、泉の母・礼子(夏木マリ)がくるまやに現れたことによって寅次郎は「高校生とはいっても子供同然です。すぐ探しに行きましょう」と、引き留めるさくらたちを振り切って礼子と二人出て行ってしまう。その頃、一男を探し当てて相手の女性・幸枝(宮崎美子)に会った泉は、静かで慎ましい彼女を見て一男はもう二度と戻ってこないと確信し、満男は淋しそうな泉を慰めるのだった。一方、二人を追って駆けつけた寅次郎と礼子はその夜、四人で宿に泊まって家族のような楽しい一時を過ごすが、翌朝礼子と泉は置き手紙を残して去ってしまうのだった。そして年が明け、またいつもの生活に戻った満男の前に泉が姿を見せるのだった。


後藤久美子、吉岡秀隆                夏木マリ

題名:男はつらいよ・寅次郎の休日
監督:山田洋次
企画:小林俊一
製作総指揮:内藤誠
製作:島津清
原作:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
撮影:高羽哲夫
照明:青木好文
録音:鈴木功
調音:松本隆司
美術:出川三男
編集:石井巌
音楽:山本直純 主題歌・唄:渥美清
撮影機材:パナビジョン
フィルム:富士フィルム
現像:東京現像所
製作主任:峰順一
製作進行:副田稔
助監督:阿部勉
撮影助手:池谷秀行
スチール:金田正
出演:渥美清、後藤久美子、倍賞千恵子、前田吟、三崎千恵子、太宰久雄、笠智衆、佐藤蛾次郎、下條正巳、吉岡秀隆、夏木マリ、宮崎美子、寺尾聰、小島三児、田中世津子、笹野高史、関敬六
1990年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー116分35mmフィルム
公式サイト
男はつらいよ・寅次郎の休日 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


吉岡秀隆、後藤久美子、寺尾聰           倍賞千恵子、渥美清

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