映画「父と暮せば」


宮沢りえ                        原田芳雄

今回は黒木和雄監督2004年製作「父と暮せば」をピックアップする。
本作は黒木和雄監督の「TOMORROW/明日(1988年)」「美しい夏キリシマ(2003年)」に続く”戦争レクイエム三部作”の完結編である。シンプルなセット(2配)を背景に舞台劇を思わせる内容は、舞台の空気感が表出している。画の構成は、名匠鈴木達夫氏の見事なカメラワークにより創造的な映像空間に映し出されている。本作は、演技力の優れた俳優、練った台本、確かな撮影技術によって昇華された作品である。


浅野忠信                        宮沢りえ

【ストリー】
1948年夏、広島。原爆によって目の前で父・竹造(原田芳雄)を亡くした美津江(宮沢りえ)は、自分だけが生き残ったことに負い目を感じ、幸せになることを拒絶しながら生きている。そんな彼女の前に、竹造が幽霊となって現れた。実は、美津江が青年・木下(浅野忠信)に秘かな想いを寄せていることを知る竹造は、ふたりの恋を成就させるべく、あの手この手を使って娘の心を開かせようとするのだが、彼女は頑なにそれを拒み続けるのだった。しかし、やがて美津江は知るのである。瓦礫の下から助け出そうとする自分を、なんとしても逃がそうとした父の想いを。自分の分まで生きて、広島であったことを後世に伝えて欲しいという父の切なる願いを。こうして、美津江は生きる希望を取り戻し、それを見届けた竹造は再びあの世へと帰って行くのだった。


宮沢りえ                        父と暮せば

題名:父と暮せば
監督:黒木和雄
企画:深田誠剛
製作:石川富康、川城和実、張江肇、金澤龍一郎、松本洋一、鈴木ワタル
原作:井上ひさし
脚本:黒木和雄、池田眞也
撮影:鈴木達夫
照明:三上日出志
特機:宗特機
録音:久保田幸雄
音効:帆苅幸雄 (福島音響)
美術:木村威夫、安宅紀史
装飾:天野竜哉
小道具:福田弥生
衣裳:宮本茉莉
化粧:小堺なな、久道由紀(宮沢りえ)
特殊メイク:松井祐一
特殊効果:小林正巳
VFX:小林正巳、田中貴志、大屋哲男(マリンポスト)
記録:内田絢子
編集:奥原好幸
音楽:松村禎三 指揮:遠崎智宏
撮影機材:シネオカメラ
フィルム:富士フィルム
現像:東京現像所
プロデューサー:河野聡、木谷奈津子、桑島雅直、大村正一郎、奈良聡久、大橋孝史
ラインプロデューサー:上原英和
助監督:水戸敏博
スチール:遠藤智宏
出演:宮沢りえ、原田芳雄、浅野忠信
2004年日本/ビスタサイズ・カラー99分35mmフィルム
父と暮せば -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


父と暮せば

映画「紙の月」

紙の月
宮沢りえ
紙の月紙の月
宮沢りえ                       小林聡美

今回は吉田大八監督2014年製作「紙の月」をピックアップする。
本作は、2014年1月27日に東京でクランクインし、神戸市の旧居留地や神戸市営地下鉄、実際のラブホテルでも撮影されたそうだ。銀行の撮影には茨城県水戸市の中核施設・オハナコートの一画にある旧常陽銀行双葉台出張所が使われている。私は、宮沢りえさんの卓越した演技に驚かされ、ベテラン俳優の小林聡美さん、石橋蓮司さん、近藤芳正さん、田辺誠一さんなど脇を固める布陣も凄かった。また女優に一本立ちした大島優子さんの自然な芝居が良かった。私は、ラストまでは全てがバランス良く出来た作品だと思ったが、梨花(宮沢りえさん)が窓を破ってからのラストシーンで興ざめた。台無しだ。何も警察に捕まる様なくだりはいらないが、もっと別の結末があった筈だと思う。

紙の月紙の月
石橋蓮司

【ストリー】
1994年。梅澤梨花(宮沢りえ)は、子どもには恵まれなかったものの夫(田辺誠一)と穏やかな日々を送っている。契約社員として勤務する「わかば銀行」でも、丁寧な仕事ぶりで上司の井上(近藤芳正)からも高評価。支店では、厳格なベテラン事務員の隅より子(小林聡美)や、まだ若くちゃっかり者の窓口係・相川恵子(大島優子)ら、様々な女性たちが梨花と共に働いている。だが一見、何不自由のない生活を送っている梨花であったが、自分への関心が薄く鈍感なところのある夫との間には空虚感が漂い始めていた。ある夜、梨花の顧客で裕福な独居老人の平林(石橋蓮司)の家で一度顔を合わせたことのある孫の光太(池松壮亮)と再会した梨花は、何かに導かれるように大学生の彼との逢瀬を重ねるようになる。そんな中、外回りの帰り道にふと立ち寄ったショッピングセンターの化粧品売り場。支払い時にカードもなく、現金が足りないことに気づいた梨花が手を付けたのは、顧客からの預かり金の内の1万円だった。銀行に戻る前にすぐに自分の銀行口座から1万円を引き出して袋に戻したが、これが全ての始まりであった。学費のために借金をしているという光太に梨花は「顧客からの定期の申し込みがキャンセルになった」と200万を渡す。さらに顧客から預かった300万を自分の通帳に入れ、自宅で定期預金証書や支店印のコピーを偽造する……。
やがて横領する額は日増しにエスカレートしていくのだった、上海に赴任するという夫には同行せず、梨花は光太と一緒に高級ホテルやマンションで贅沢な時間を過ごすが、光太の行動にも変化が現れ、ある日、光太が大学を辞めたことを告げられる。そんな折、隅が、銀行内で不自然な書類の不備が続いていることを不審に感じ始めていた……。

紙の月紙の月
大島優子

題名:紙の月
監督:吉田大八
製作総指揮:大角正、高橋敏弘、安藤親広
製作:石田聡子、池田史嗣、明石直弓
原作:角田光代
脚本:早船歌江子
撮影:シグママコト
照明:西尾慶太
録音:加来昭彦
整音:矢野正人
美術:安宅紀史
衣裳:小川久美子
編集:佐藤崇
音楽:Little moa、小野雄紀、山口龍夫 音楽プロデューサー:緑川徹
主題曲・主題歌:ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ
助監督:甲斐聖太郎
出演:宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、田辺誠一、小林聡美、近藤芳正、佐々木勝彦、石橋蓮司、中原ひとみ、天光眞弓、伊勢志摩、平祐奈
2014年日本・ロボット/シネスコサイズ・カラー126分デジタルシネマ
紙の月 DVD
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

紙の月紙の月
平祐奈                        宮沢りえ

映画「トイレのピエタ」

トイレのピエタトイレのピエタ
野田洋次郎                       杉咲花

今回は松永大司監督2015年製作「トイレのピエタ」をピックアップした。
私は市川紗椰さんが出演しているから劇場で見ようかと思ったが、DVDになってしまった。主演は、4人組ロックバンドのRADWIMPSでボーカル&ギターを担当している野田洋次郎さん、期待の新人杉咲花さん、そしてRADWIMPSのファンである大竹しのぶさんと宮沢りえさんが出演オファーを快諾し、脇を固めたそうだ。内容は、美術大学出身のフリーター青年が癌に冒され、入院生活を経て、最後に自宅のトイレに壁画を描く。ピエタとは、磔で死んだキリストを抱いたマリアの絵画や象を指すそうだ。”余命三ヶ月”の”お涙頂戴もの”と予想したが、案の定、物語と展開が薄く”生と死”または”愛”を捉えている訳でもなく、軽薄なまま淡々と2時間も流れて行くだけなのでクライマックスのピエタは盛り上がらない。私は、感動とは程遠い”お涙頂戴もの”に涙は出ず、劇場に行かなくて良かったと思った。

トイレのピエタ
市川紗椰
トイレのピエタトイレのピエタ
リリー・フランキー                   宮沢りえ

【ストリー】
画家への夢を諦め、窓拭きのバイトで日々を暮らす園田宏(野田洋次郎)は、美大時代の恋人さつき(市川沙椰)と再会、彼女の個展に誘われるがもはや絵など見る気にもなれないでいた。そんなある日、宏は突然倒れ、病院へ運ばれる。精密検査の結果は家族と一緒にと言われるが、郷里の両親に連絡するのは煩わしい。さつきに頼み込んで病院に来てもらうが、絵を巡って口論となり、彼女は早々に帰ってしまう。その時、若い女の声がロビーに轟く。「制服破れたんですけど、弁償してもらえますか」と女子高生の真衣(杉咲花)がサラリーマンに因縁を付けていたのだ。宏は真衣に声をかけ、制服代を払う代わりに妹役をやってほしいと持ちかける。風変わりな依頼に首を傾げながらも、宏に付いていく真衣。宏の検査結果は、胃の悪性腫瘍。このまま何もしないと3カ月くらいの命だという。突然の余命宣告に呆然とする宏に真衣は明るく声をかける。「今から一緒に死んじゃおうか」バイクの後ろに真衣を乗せスピードを上げるが、そのまま死んでしまうことなど宏にはできなかった。入院して抗がん剤治療を始める宏だったが、副作用に苦しみ、郷里から駆けつけた父(岩松了)と母(大竹しのぶ)には本当の病名は伝えられない。漠然とした恐怖に支配される入院生活の中、宏は同室の患者・横田(リリー・フランキー)や小児病棟の拓人(澤田陸)、拓人の母(宮沢りえ)らと出会い、これまで知らなかった世界を垣間見る。ある時、拓人が大切にしていた塗り絵を捨ててしまった宏は、お詫びに自作の塗り絵をプレゼントすることを思いつく。久しぶりに絵を描こうとしたものの、資料となる本を買ってきてくれる人がいない。真衣に連絡した宏は「こっちは忙しいんだけど」と相変わらずの勢いに押されるが、それ以来、度々病院にやって来るようになった真衣との間に奇妙な交流が始まった。残された時間を知るまでは、この夏もいつものようにやり過ごすだけの季節になると思っていた。それが人生最期の夏に変わってしまった時、目の前に現れたあまりに無垢な存在。戸惑い、翻弄されながらも、宏は生と死の間に強烈な光を見るのだった……。

トイレのピエタトイレのピエタ
野田洋次郎                      市川紗椰

題名:トイレのピエタ
監督:松永大司
原案:手塚治虫
脚本:松永大司
撮影:池内義浩
照明:原由巳
録音:橋本泰夫
音効:朝倉三紀子
美術:愛甲悦子
装飾:岩間洋
スタイリスト:荒木里江
ヘアメイク:須田理恵
配役:杉野剛
作画:林田裕至
編集:宮島竜治
音楽:茂野雅道 主題曲・主題歌:RADWIMPS
エグゼクティブプロデューサー:吉田剛、江守徹
プロデューサー:小川真司、甘木モリオ
製作進行:高橋敏弘、巖本博、和田倉和利、善木準二、岡田哲、小川昭、清水英明
助監督:片島章三
スチール:太田好治
出演:野田洋次郎、杉咲花、リリー・フランキー、市川紗椰、大竹しのぶ、宮沢りえ、岩松了、澤田陸
2015年日本・シネバザール+ブリッジヘッド/ビスタサイズ・カラー120分デジタルシネマ
トイレのピエタ [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

トイレのピエタトイレのピエタ

1 2