映画「関東緋桜一家」



藤純子                        鶴田浩二

今回はマキノ雅弘監督1972年製作「関東緋桜一家」をピックアップする。
本作は、最後のプログラムピクチャーといえる東映任侠映画スター藤純子さんの引退記念映画(東映専属で90本の映画に出演)であり、1960年「八州遊侠伝 男の盃」でデビュー時のマキノ雅弘監督作品で締めくくっている。共演は、片岡千恵蔵、嵐寛寿郎、鶴田浩二、若山富三郎、高倉健、菅原文太といった当時の東映スター俳優、藤山寛美、水島道太郎、木暮実千代、南田洋子、長門裕之、待田京介、金子信雄といったベテラン俳優が脇を固め、東映オールスターキャストで製作された。またマキノ雅弘監督も本作を最後にテレビ映画以外の劇場用映画の演出からは完全に引退し、このフィナーレとともに任侠路線も終焉を迎えた。

【追記・訃報】
「鬼龍院花子の生涯」や「極道の妻たち」シリーズなど数多くのヒット映画を世に送った東映京都撮影所の名プロデューサー、日下部五朗(くさかべ・ごろう)氏が2020年2月7日に腎不全のため死去した。2月18日、東映が発表した。85歳。岐阜県生まれ。葬儀は家族のみで営まれた。日下部氏は早稲田大学卒業後に東映に入社。1963年「変幻紫頭巾」でデビュー。「緋牡丹博徒」などの任(人ベンに峡の旧字体のツクリ)ものから、「柳生一族の陰謀」などの大型時代劇まで130本を超える映画をプロデュースした。主な作品に「陽暉楼」「肉体の門」「寒椿」「藏」などがある。また、今村昌平監督がメガホンをとった「楢山節考」は83年のカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを獲得した。(本作で企画担当)
2/18(火) 14:04配信 スポニチアネックス


片岡千恵蔵                      高倉健

【ストリー】
明治末頃--柳橋一帯の町内頭で鳶「に組」の副組頭の河岸政の娘・芸者鶴次(藤純子)はその美貌と男まさりの侠気と、幼い頃から呑竜(若山富三郎)という北辰一刀流の達人で講釈師から学んだ剣術で評判を呼んでいた。鶴次には「に組」の組頭吉五郎(片岡千恵蔵)の一人息子である纒持信三(高倉健)という末を誓い合った男がいたが、信三は彼女に酔ってからんだヤクザ数人と乱斗し、その中の一人をあやめてしまったことから旅に出てしまった。その頃、日本橋の博徒新堀一家の客分である、刑事くずれの博徒鬼鉄(遠藤辰雄)が、柳橋で賭場を開き、河岸政(水島道太郎)が世話になってる旦那衆から金や財産を捲き上げたことから、いざこざが起こるようになった。新堀一家の親分辰之助(嵐寛寿郎)と河岸政とは兄弟分であり、柳橋では賭場は開かないという約束が二人の間でかわされていたが、床に伏せている辰之肋をよいことに、代貸の中州の常吉と鬼鉄は河岸政の縄張りに目をつけ、その拡張を計っていたのだ。一挙に勢力拡大を狙う鬼鉄、その身内の大寅(天津敏)、小寅(山本麟一)は、河岸政を大川端に襲って暗殺した。鶴次の決意と「に組」小頭由次郎の力添えによって、女であるからという頭取衆の反対を説き伏せて、鶴次が父の跡目をついだ。ある夜、独り大川河岸を歩く鶴次に大寅達がまたも襲いかかった。数人を叩き伏せたが、進退きわまった鶴次を渡世人風の男が救った。それは河岸政の悲報を開いて九州から帰った信三だった。一方、鶴次暗殺に失敗した鬼鉄は、バカ熊(汐路章)に命じて、割烹旅館金柳館に火を放った。「に組」の消火作業で金柳館は一部を焼失しただけで済み、信三はバカ熊を捕えた。鶴次は、鬼鉄に奪われた金柳館の権利証とバカ熊を賭けた勝負を挑んだ。鬼鉄は、新堀一家に草鞋を脱いだばかりの客人旅清(鶴田浩二)をたて挑戦を受けた。鶴次の心意気を察した旅清は勝を譲った。それからしばらくして辰之助が後事を、義兄弟旅清に託して息を引きとった。一方、銀次が、廓に売られ入水自殺を計ったお志乃(南田洋子)とその子供を救ったことから、お志乃は鬼鉄の妾であることが判明し、引き渡しを迫る鬼鉄と、母子をかばう銀次の対立は激しさを増した。だが、吉五郎の仲裁によって鬼鉄の野望は消えたかに見えたが、吉五郎と呑竜は鬼鉄の闇打ちにあい死んだ。喧嘩仕度で湧き立つ鬼鉄一家。新堀一家を引き連れて助っ人に向おうとした常吉の前に立ち塞がった旅清は、常吉の白刃を腹に受けながら叩き斬った。父のかたみの手カギを手に、鬼鉄の賭場に向う鶴次と信三、そして腹にサラシを巻いた旅清。三人を前に鬼鉄達は倒れた。しかし、最後の力をふり絞った旅清は、鶴次と信三に見とられ息を引き取った。


菅原文太                      嵐寛寿郎

藤山寛美                   木暮実千代、藤純子

題名:関東緋桜一家
監督:マキノ雅弘
企画:俊藤浩滋、日下部五朗、武久芳三
製作:岡田茂
脚本:笠原和夫
撮影:わし尾元也
照明:増田悦章
録音:渡部芳丈
美術:富田治郎
装置:稲田源兵衛
装飾:山田久司
美粧・結髪:東和美粧
衣装:松田孝
技斗:上野隆三
振付:藤間勘三郎
記録:牧野淑子
編集:宮本信太郎
音楽:木下忠司
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学
進行主任:渡辺操
助監督:清水彰
演技事務:伊駒実麿
スチール:木村武司
出演:藤純子(富司純子)、鶴田浩二、高倉健、若山富三郎、菅原文太、片岡千恵蔵、嵐寛寿郎、藤山寛美、渡瀬恒彦、木暮実千代、金子信雄、待田京介、伊吹吾郎、山城新伍、水島道太郎、八名信夫、遠藤辰雄、天津敏、山本麟一、長門裕之、南田洋子、工藤明子、潮健児、石山律三郎、汐路章
1972年日本・東映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー102分35mmフィルム
関東緋桜一家 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


潮健児、南田洋子、待田京介             金子信雄

「関東緋桜一家」東映京都撮影所オープンセット

関東緋桜一家

「関東緋桜一家」マキノ雅弘監督

映画「尼寺マル秘物語」


「尼寺マル秘物語」藤純子

藤純子                       三田佳子、藤純子

今回は中島貞夫監督1968年製作「尼寺マル秘物語」をピックアップする。
本作は「大奥(秘)物語」「続・大奥(秘)物語」に続く第三弾である。「昭和10年頃の京都を舞台にベールに包まれた尼僧たちの夜と昼を、エロチシズムたっぷりに描いた」と言うが、全く描けていない。出演者が豪華であるだけだ。ヌードシーンがないエロチシズムを描いた秀作は、1964年に増村保造監督が製作した「卍(まんじ)」であると思う。


大原麗子                      若山富三郎

【ストリー】
琳光寺には門跡尼の万里小路秀英(三田佳子)をはじめ、恵照尼(荒木雅子)、浄真尼(藤純子)、法順尼(悠木千帆)、そして下女はな(大原麗子)の5人が住んでいた。ある日、秀英は本寺の宗務総長覚全(若山富三郎)に、白蟻に喰い荒された本堂の修理を頼んだ。しかし、覚全はその費用に不満で引受けようとしなかった。秀英はこの一件を、執事として手腕のある浄真尼に任せることにした。浄真尼は本寺と交渉を始めたが、それにつけ込んだ覚全に無理やり手ごめにされてしまった。初めて男を知った浄真尼は、それ以来、本能を抑えようと苦悩しつづけるのだった。そんな時、琳光寺にキク(津川雅彦)という若い男が寺男としてやってきた。彼に心を燃やしたはなは自ら進んでキクの前に身体を投げ出した。はなは、本能を抑えようとする戒律に縛られてはいなかったからだ。浄真尼はそんなはなの態度を羨ましく思い、また、はなが愛しているキクにも好意を感じた。だが、浄真尼はその後も度々、覚全に身体を奪われていたのだ。慣例の儀式の費用、そして、本堂修理の費用は、寺院後援者の寄付に頼らざるを得なくなり、その橋渡しを顔のきく覚全に頼むより仕方なかったのである。覚全はそんな自分の立場を、最大限に利用する男だった。ところが、キクと浄真尼が親しいのを誤解したはなが、多額の寄付をしてくれた長尾の家宝を壊し、責任を浄真尼にかぶせた。はなの企みはすぐにバレたが、浄真尼はこれを機会にこの寺を去る決心を固めた。浄真尼は、覚全が自分の肉体だけを目的に利用していたことや、役職を利用して使い込んでいた多額の金の埋め合せに、琳光寺の宝物を盗ませようとしたことから、激しい憎しみを抱いていた。そして覚全を殺して寺を去ろうと決心したのだった。だが、それを察したキクが、一足先に覚全を殺していた。浄真尼は寺を去って行ったが、彼女の腹には、覚全の子が宿されていた。


津川雅彦                  ミヤコ蝶々、桑原幸子、曽我廼家明蝶

「尼寺マル秘物語」藤純子

「尼寺マル秘物語」大原麗子

題名:尼寺マル秘物語
監督:中島貞夫
企画:岡田茂、翁長孝雄、三村敬三
脚本:西澤裕子
撮影:赤塚滋
照明:和多田弘
録音:荒川輝彦
美術:鈴木孝俊
装置:上田正直
装飾:松原邦四郎
美粧:佐々木義一
結髪:橋本明子
衣装:豊中健
考証:伊藤清子
記録:矢部はつ子
編集:神田忠男
音楽:鏑木創
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学
製作主任:福井良春
助監督:牧口雄二
スチール:諸角義雄
出演:藤純子(富司純子)、津川雅彦、大原麗子、三田佳子、若山富三郎、悠木千帆(樹木希林)、荒木雅子、丹阿弥谷津子、沢村貞子、桑原幸子、曽我廼家明蝶、ミヤコ蝶々、芦屋雁之助
1968年日本・東映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー89分35mmフィルム
尼寺マル秘物語 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


沢村貞子、丹阿弥谷津子             若山富三郎、芦屋雁之助

「尼寺マル秘物語」三田佳子

映画「女渡世人 おたの申します」



藤純子、菅原文太                  島田正吾、藤純子

今回は山下耕作監督1971年製作「女渡世人 おたの申します」をピックアップする。
本作は、藤純子さん主演の任侠シリーズ「女渡世人」の第2作だ。私は藤純子さん主演の任侠映画で最高傑作であると思う。良く練られた優秀な脚本、手抜きのない華麗な殺陣、色香を漂わせ、人情の華を咲かせる表情豊かな藤純子さんの演技、どれをとっても素晴らしい。本シリーズは残念ながら、藤純子さんの結婚引退により本作で打ち切られていた。


藤純子、三益愛子                    金子信雄

【ストリー】
ひと昔前、上州で名を売った柔政の娘、太田まさ子(藤純子)は渡世修業のため各地を点々と旅していた。大阪に立ち寄ったまさ子は、博徒南田一家の賭場で宇野の船宿浜幸の息子良吉(林彰太郎)を徹底的に負かしてしまう。博奕で負け、その上、三百円の借金まで背負った良吉は、この博奕はいかさまだといってまさ子に刃を向けたが、その時、この前田一家の客人としてワラジをぬいでいた梅田の銀三(待田京介)が飛び出し、良吉を殺してしまう。賭博の胴師をつとめたまさ子は、やくざの掟に従い、賭けの借金取立てを引受けるとともに、良吉に対する多少の憐れみもあって、良吉の故郷宇野へと旅立つのだった。その旅の途中、元やくざで今は渡り床職人として旅をする音羽清次郎(菅原文太)と出逢ったまさ子は清次郎の人柄に魅かれるようになった。宇野へとやってきたまさ子は、幸作(島田正吾)と盲目の妻おしの(三益愛子)に歓迎されるうちに、二人の暖かい心に打たれた。幸作は、良吉が背負った、三百円の借金を作るために、船宿の権利証を担保に金融業者の小西(中村錦司)に金を貸り受けるが、小西が暴力団滝島組とつながっていたため、権利証は滝島(金子信雄)の手に渡ってしまう。この街に遊廓を作ろうと前々から幸作の土地を狙っていた滝島は、権利証を手に入れると、これをタテに幸作や、それに続く長屋の住人に圧力を加え始めた。金を受取ったものの、こういった事情を知ったまさ子は滝島組に乗り込み、権利証を返すように頼むが、滝島は受けつけなかった。その頃、まさ子に横恋慕する銀三は、滝島組の助勢のため南田とともに、宇野に到着した。数日後、まさ子と共に宇野にきていた清次郎は、銀三と会った。清次郎は、銀三に弟の勘次郎を殺されたことから床職人となって銀三を捜し続けていたのだった。幸作に恩義のある清次郎は、船宿の権利証と引きかえに助命をこう銀三を見逃した。無事権利証が幸作のもとに戻ったのも束の間、滝島組の作業員として働いていた三蔵が幸作に助けを求めてきたため、これをかくまったことから、幸作は銀三に殺されてしまう。おしのの閉された瞳から流れる涙を見たまさ子は、この知らせを聞いて駈けつけた清次郎と共に滝島組へと殴り込んでいった。まさ子は傷付きながらも滝島を討つが、清次郎は銀三たちと相打ちとなり倒れる。まさ子に抱きかかえられながら清次郎は「姐さん。お前さんだけは日向に咲かしてあげたかった。」と言い残し事切れる。警察に連行されるまさ子を人々は冷たい目で見送るが、おしのは必死でまさ子の名を叫ぶのだった…。


待田京介、菅原文太                 藤純子、南利明

題名:女渡世人 おたの申します
監督:山下耕作
企画:俊藤浩滋、日下部五朗
脚本:笠原和夫
撮影:山岸長樹
照明:中山治雄
録音:中山茂二
美術:鈴木孝俊
装置:近藤幸一
装飾:山田久司
美粧・結髪:東和美粧
衣装:松田孝
技斗:谷明憲
記録:田中美佐江
編集:宮本信太郎
音楽:渡辺岳夫 主題歌:藤純子「女渡世人」
進行主任:上田正直
助監督:篠塚正秀
スチール:木村武司
出演:藤純子(富司純子)、菅原文太、島田正吾、待田京介、金子信雄、三益愛子、南利明、遠藤辰雄、三原葉子、阿井美千子、林彰太郎、中村錦司、志賀勝
1971年日本・東映/シネスコサイズ・カラー103分35mmフィルム
女渡世人 おたの申します -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


女渡世人 おたの申します

1 2 3 5