映画「生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言」


倍賞美津子                       平田満

今回は森崎東監督1985年製作「生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言」をピックアップする。
本作の時代背景は、1979年に起きたスリーマイル島原発事故以降、原発に対する不安が世界的に高まり原発への信頼は急激に揺らぐ中、本作公開の翌年に歴史上最大の原発事故が、ロシアのチェルノブイリ原発で起きる。そして2011年3月11日に起こった東日本大震災は、15mの津波に襲われた東京電力福島第一原子力発電所は、1~5号機で全交流電源を喪失し、原子炉を冷却できなくなり、1号炉・2号炉・3号炉で炉心溶融(メルトダウン)が発生し、大量の放射性物質の漏洩を伴う重大な原子力事故である。これで原発は絶対安全という神話は根底から崩壊した。

本作は、時代を先取りし正しい視点に立った作品であり、原発ジプシー、ジャパユキサン(出稼ぎに来た女性外国人労働者)、コザ暴動(1970年12月20日)、校内暴力など深刻な社会問題をプロットに組み入れ、問題提起した優秀な作品だ。


倍賞美津子、原田芳雄               平田満、倍賞美津子、上原由恵

【ストリー】
旅回りのストリッパー、バーバラ(倍賞美津子)が名古屋に帰って来た。沖縄集落の中のタケ子(小林トシ江)が経営する飯み屋の二階が彼女の住居で、内縁の夫・宮里(原田芳雄)と親友のアイコ(上原由恵)が待っているはずだった。その日は、バーバラの弟の正(片石隆弘)とタケ子の娘、タマ枝(竹本幸恵)、和男(久野真平)の不良中学生三人が修学旅行からはずされた腹イセに積立金強奪騒動を起こし、人質の野呂教諭(平田満)が縛られ、物干し台に転がされていた。宮里は原発を転々と渡り歩く労働者・原発ジプシーでヤクザの仲間入りをしている。バーバラとは沖縄のコザ暴動以来の間柄で、彼女はそろそろ、二人で堅気の仕事に就いて結婚したがっていた。バーバラは宮里の顔を見るや、アイコのことを聞く。アイコは福井の美浜で原発労働者相手の娼婦をさせられていて、宮里の手引きで逃げて来たが、前日、美浜へ帰ってしまっていた。バーバラは、宮里がやくざに寝返ってアイコを帰したと思い込み、学校をクビになった野呂を鞄持ちとして再びドサ回りの旅に出た。そして、美浜に向かう。殺されたと思っていたアイコは元気だった。彼女は好きな男、安次(泉谷しげる)を葬ったところであった。学校を追われた正たちも宮里と共に美浜に来ていた。事故で死んだという安次は、本当は原発で作業中に廃液漏れで被爆し、事故隠しの為にボート小屋に監禁されたのだった。アイコは一計を案じ、安次を死んだことにして埋葬するが、後日、やくざの目を盗んで安次を墓から掘り出し、バーバラと野呂を仲人に墓場で結婚式をあげる。二人は浜を急ぐが、海上の船から銃で撃たれてしまう。バーバラや正たちは、アイコと同じ境遇にあるフィリッピン女性のマリア(ジュビー・シバリオス)にもやくざの魔の手が迫っているのを知り、マリアを連れて名古屋にもどる。そして、老船長(殿山泰司)の船でフィリピンまでマリアを連れて密航しようと考えた。マリアを追ってやって来たやくざの戸張(小林稔侍)は、宮里にアイコ殺しの代人として自首しろという。宮里は拒否し、戸張を銃で撃つが、暫く後、戸張の子分に撃たれてしまう。よろよろと外に出る宮里をやくざとつながっている鎧刑事(梅宮辰夫)が待っていた。そして、瀕死の宮里から銃をもぎ取ったバーバラが刑事めがけて発砲する。


殿山泰司                         左とん平 

題名:生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言
監督:森崎東
製作:木下茂三郎
脚本:近藤昭二、大原清秀、森崎東
撮影:浜田毅
照明:長田達也
特機:NK特機
録音:武進
整音:席勇次郎
音効:帆苅幸雄 (東洋音響)
美術:高橋章
装飾:佐藤結樹、遠藤光男、中山誠
美粧:小張えり子 (STUDIO 717)
衣裳:京都衣裳
特効:大平火薬
記録:森田溶子
編集:菅野善雄 ネガ編集:辻井好子
音楽:宇崎竜童 主題歌:五木ひろし「あほう鳥」
現像:東洋現像所
撮影スタジオ:にっかつ撮影所
録音スタジオ:アオイスタジオ
プロデューサー:中沢敏明
製作担当:越智貞夫
製作進行:山口吉郎、中島一
企画協力:市川康満
監督補:下村優
助監督:武内孝吉
監督助手:室岡信明、元波正平、当摩寿史、早川喜貴
撮影助手:井上明夫、図書紀芳、田中潤
照明助手:渡辺孝一、岡尾正行、豊見山明長
録音助手:中村淳、飴田秀彦、岩橋政志
美術助手:正田俊一郎
編集助手:阿部浩英
スチール:竹内健二
出演:倍賞美津子、原田芳雄、平田満、片石隆弘、竹本幸恵、久野真平、小林トシ江、ジュビー・シバリオス、上原由恵、乱孝寿、梅宮辰夫、河原さぶ、小林稔侍、左とん平、殿山泰司、泉谷しげる
1985年日本・キノシタ映画+ATG/ビスタサイズ・カラー105分35mmフィルム
生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言 -DVD-
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倍賞美津子

映画「神様のくれた赤ん坊」

神様のくれた赤ん坊神様のくれた赤ん坊
桃井かおり                       渡瀬恒彦

今回は前田陽一監督1979年製作「神様のくれた赤ん坊」をピックアップする。
本作は「同棲中のカップル、小夜子と晋作の下を見知らぬ女が訪れ、少年は晋作の子供だと一方的に押し付けて消えてしまう。身に覚えのない晋作は、置手紙に書いてある五人の男を探しに、仕方なく小夜子と共に、尾道、別府、天草、唐津、若松と父親捜しの旅に出る。」といった内容だが、現在ではDNA鑑定で物語りは成立しない。その点を除くとロードムービーとしては良い構成であり、脚本が素晴らしく、笑いに優しさがあると思う。撮影当時、桃井かおりさんが27歳、渡瀬恒彦さんが35歳だった。
【訃報・渡瀬恒彦さん死去…72歳】
2017年3年16日(木) 5:00配信スポニチアネックス
俳優の渡瀬恒彦(本名同じ)さんが2017年3月14日、胆のうがんのため東京都内の病院で死去した。72歳。島根県出身。葬儀は近親者のみで営む。喪主は妻い保(いほ)さん。兄の渡哲也(75)とはまた違った男の魅力で人気を誇ったスター俳優だった。
早大法学部を除籍になった後、電通PRセンターに入社。兄の渡は既に日活の青春スターとしてスターの階段を駆け上がっていたが、渡瀬さんは芸能界に全く興味がなかった。そこを口説いたのが東映の岡田茂社長(当時)で、1969年に同社と契約を結んだ1970年に石井輝男監督「殺し屋人別帳」でデビュー。「仁義なき戦い」シリーズなど数多くのやくざ映画やアクション作品で実力を養い、1978年に出演した深作欣二監督の「赤穂城断絶」と野村芳太郎監督の「事件」の演技でブルーリボン賞助演男優賞などを受賞した。その後も「震える舌」「南極物語」などの話題作で存在感を見せる一方、映画界の斜陽化に伴ってテレビでの活躍も目立つようになった。
1973年に女優の故大原麗子さんと結婚したが1976年に離婚。2004年のTVドラマ「十津川警部シリーズ 東北新幹線“はやて”殺人事件」で大原さんと26年ぶりの共演を果たし話題を呼んだ。大原さんが2009年8月に62年の生涯を閉じると、同8月23日に営まれた「お別れの会」には渡瀬さんも参列し、別れを告げていた。

【前田陽一監督作品】
1964年「にっぽん・ぱらだいす
1965年「ちんころ海女っこ」
1966年「スチャラカ社員」
1968年「進め!ジャガーズ 敵前上陸」
1970年「喜劇 右むけェ左!」
1970年「喜劇 冠婚葬祭入門」
1970年「喜劇 あゝ軍歌」
1971年「起きて転んでまた起きて」
1971年「喜劇 命のお値段」
1971年「喜劇 猪突猛進せよ!!」
1972年「虹をわたって」
1972年「喜劇 男の子守唄」
1973年「喜劇 日本列島震度0」
1975年「三億円をつかまえろ」
1976年「喜劇 大誘拐」
1977年「坊っちゃん」
1979年「神様のくれた赤ん坊
1980年「土佐の一本釣り」
1983年「喜劇 家族同盟」
1987年「Let’s豪徳寺!」
1999年「新・唐獅子株式会社」
※1998年5月没。享年63歳。
※「新・唐獅子株式会社」は南部英夫、長濱英孝の両監督が引継ぎ公開された。

神様のくれた赤ん坊神様のくれた赤ん坊
泉谷しげる、渡瀬恒彦

【ストリー】
同棲中の森崎小夜子(桃井かおり)と三浦晋作(渡瀬恒彦)のところに、見知らぬ女(樹木希林)が六歳ぐらいの子供を連れて現われ、晋作の子供だと言って押しつけていった。女の話では隣りに住んでいた明美という女が坊やを残して駆け落ちし、置手紙に晋作をはじめ五人の男の往所氏名が書いてあった。新一という坊やの名はあなたから取ったのだろう、と小夜子はむくれている。窮した晋作は新一を連れて父親捜しの旅に出た。小夜子も、ふるさとを探すと言って付いてきた。最初に名前のあった尾道の田島啓一郎(曽我廼家明蝶)は、市長選挙に立候補中だったが、事情を話すと、田島は十年前にパイプカットしていて、晋作は恐喝で逮捕されてしまう。結局、秘書が田島の名をかたっていたことがわかり、養育費として30万円を貰うが、血液型から父親ではなかった。別府では第二の男、福田(吉幾三)はおりしも結婚式のまっ最中、小夜子が100万円をふんだくったが、これまたシロ。天草で母親の生家に立寄った小夜子は母、千代(楠トシエ)が長崎丸山の大野楼にいたことを聞く。そして、千代は唐津に移ったという。第三の男は元ライオンズの選手で、今バーテンをしている桑野(小島三児)だが、みじめったらしく逃げ回るばかりだ。その夜、意地とやせ我慢で関係のなかった二人は、久びさに燃えた。仲直りした二人は唐津に向かい、そこで、小夜子は子供の頃の風景に、しばし、思い出に耽る。最後の一人は、若松の川筋者、高田五郎。五郎の家に行くと、親爺の幾松が出て「五郎は死んだ」とのことで、未亡人のまさ(吉行和子)が、新一を引き取ると言う。亡くなった五郎は発展家で、よそで作った子供は新一で四人目だそうだ。ところが、晋作と小夜子は長い旅をともにした新一に情が移り、別れるのが辛く、まさに新一を託して高田家を出たものの、再び引き取りに戻るのだった。

神様のくれた赤ん坊神様のくれた赤ん坊
渡瀬恒彦、桃井かおり                      嵐寛寿郎

題名:神様のくれた赤ん坊
監督:前田陽一
製作:大谷信義
脚本:南部英夫、前田陽一、荒井晴彦
撮影:坂本典隆
照明:八亀実
録音:平松時夫
整音:小尾幸魚
美術:森田郷平
装飾:磯崎昇
編集:太田一夫
音楽:田辺信一 主題歌:「もしかしたら」高橋真梨子
現像:東洋現像所
製作主任:吉岡博史
製作進行:副田稔
助監督:今関健一
スチール:長谷川宗平
出演:桃井かおり、渡瀬恒彦、鈴木伊織(子役)、河原崎長一郎、吉幾三、泉谷しげる、森本レオ、小松政夫、小島三児、正司歌江、小林トシ江、楠トシエ、樹木希林、吉行和子、曽我廼家明蝶、嵐寛寿郎
1979年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー91分35mmフィルム
神様のくれた赤ん坊 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

神様のくれた赤ん坊神様のくれた赤ん坊
渡瀬恒彦、吉行和子、桃井かおり       渡瀬恒彦、鈴木伊織、桃井かおり