映画「お葬式」


山崎努                         宮本信子

今回は伊丹十三監督1984年製作「お葬式」をピックアップする。
本作は、伊丹監督が妻である宮本信子さんの父親の葬式で喪主となった実体験を基に、僅か1週間で脚本を書き上げ、神奈川県湯河原町にある伊丹監督の別荘(元自宅)をロケセットにして、ATG作品でありながら、1億円の製作費で作りあげた監督デビュー作である。製作費は、伊丹監督がCM出演した愛媛県の一六本舗(製菓会社)が出資したそうだ。

【伊丹十三監督作品】
1984年「お葬式
1985年「タンポポ
1987年「マルサの女
1988年「マルサの女2
1990年「あげまん
1992年「ミンボーの女
1993年「大病人
1995年「静かな生活
1996年「スーパーの女
1997年「マルタイの女
※各作品のリンクは、予約投稿で表示しないページがありますが、後日表示されます。


菅井きん                        財津一郎

笠智衆                        大滝秀治

【ストリー】
井上佗助(山崎努)、雨宮千鶴子(宮本信子)は俳優の夫婦だ。二人がCFの撮影中に、千鶴子の父が亡くなったと連絡が入った。千鶴子の父、真吉(奥村公延)と母、きく江(菅井きん)は佗助の別荘に住んでいる。その夜、夫婦は二人の子供、マネージャーの里見(財津一郎)と別荘に向かった。一行は病院に安置されている亡き父と対面する。佗助は病院の支払いを里見に頼み、20万円を渡すが、費用は4万円足らず、その安さにおかしくなってしまう。佗助にとって、お葬式は初めてのこと、全てが分らない。お坊さんへの心づけも、相場というのが分らず、葬儀屋の海老原(江戸家猫八)に教えてもらった。別荘では、真吉の兄で、一族の出世頭の正吉(大滝秀治)が待っており、佗助の進行に口をはさむ。そんな中で、正吉を心よく思わない茂(尾藤イサオ)が、千鶴子をなぐさめる。そこへ、佗助の愛人の良子(高瀬春奈)が手伝いに来たと現れる。良子はゴタゴタの中で、佗助を外の林に連れ出し、抱いてくれなければ二人の関係をみんなにバラすと脅した。しかたなく、佗助は木にもたれる良子を後ろから抱いた。そして、良子はそのドサクサにクシを落としてしまい、佗助はそれを探して泥だらけになってしまう。良子は満足気に東京に帰り、家に戻った佗助の姿にみんなは驚くが、葬儀の準備でそれどころではない。告別式が済むと、佗助と血縁者は火葬場に向かった。煙突から出る白いけむりをながめる佗助たち。全てが終り、手をつなぎ、集まった人々を見送る佗助と千鶴子。


高瀬春奈、山崎努

宮本信子、尾藤イサオ、菅井きん              お葬式

題名:お葬式
監督:伊丹十三
製作:玉置泰、岡田裕
脚本:伊丹十三
撮影:前田米造、浅井慎平(モノクロ部分)
照明:加藤松作
特機:落合保雄
録音:信岡実
音効:小島良雄 リーレコ:河野競司
美術:徳田博
装飾:山崎輝、畠山和久、河端賀恵子
衣裳:岩崎文男
美粧:小沼みどり
スタイリスト:小合惠美子、熊谷澄子
配役:笹岡幸三郎
記録:堀北昌子
編集:鈴木晄 ネガ編集:冨田功
音楽:湯浅譲二
現像:東洋現像所
撮影機材:三和映材社
録音スタジオ:にっかつスタジオセンター
プロデューサー:細越省吾
製作担当:藤田義則
製作進行:伊藤正敏、佐藤丈樹
演技事務:宮前寿美子
助監督:平山秀幸
演出助手:泰衛、上野勝
撮影助手:福沢正典、栗山修司、村石直人
照明助手:沖田秀則、本橋義一、三枝隆之、松岡康彦
録音助手:北村峰晴、塚本達郎、細井正次
編集助手:米山幹一
スチール:宮本唯志
出演:山崎努、宮本信子、菅井きん、大滝秀治、財津一郎、高瀬春奈、江戸家猫八、尾藤イサオ、岸部一徳、笠智衆、奥村公延、友里千賀子、津村隆、西川ひかる、海老名美どり、双葉弘子、吉川満子、藤原釜足、田中春男、香川良介、佐野浅夫、津川雅彦、小林薫
1984年日本・伊丹プロダクション+ニューセンチュリープロデューサーズ+ATG/スタンダードサイズ・カラー124分35mmフィルム
お葬式 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


お葬式

映画「セカンド・ラブ」


セカンド・ラブ

Michell S35R Mark II BNC キャメラを覗く大原麗子さん(CF撮影の劇中劇)

西岡徳馬、大原麗子                大原麗子、小林薫

今回は東陽一監督1983年製作「セカンド・ラブ」をピックアップする。
都会の中で生きがいと愛を求めて必死に生きる若い再婚女性の姿を描いた本作は、大原麗子さんが37歳の時に主演した作品だ。大原麗子さんはテレビドラマで多くの主演作品が多いが、何と映画の主演は、本作と1970年「三匹の牝蜂(東映/監督:鳥居元宏)」だけだとは知らなかった。しかし、CMへの出演も多く「すこし愛して、ながーく愛して」という台詞で魅力を拡散した市川崑監督によるサントリーのCM(1977~1990年放映)は珠玉の名作だ。

東陽一監督は、私が10代の頃、企業PR映画で製作進行助手で就かせて戴いた事があり、それから10数年後、私が撮影チーフ助手の時に自動車のCMでもお世話になった。その後お会いしてないが、お元気だろうか?

CM撮影の劇中劇でトリビアを見つけた。本作の撮影チーフを担当された篠田昇氏が、そのまま劇中スタッフとして入射メーターで計測し、出演している!私とは、前述した企業PR映画の仕事で知り合い、その後何度か撮影助手で就かせて戴いた事があった。篠田さんは1985年には相米慎二監督「ラブホテル」で撮影技師(カメラマン)としてデビューされている。その後、1987年神代辰巳監督「噛む女」1994年岩井俊二監督「スワロウテイル」2002年行定勲監督「月に沈む」など40作品以上の劇映画を担当されたが、2004年6月に急逝されてしまった。私が最後にお会いしたのは、別々の仕事で東映化学現像所だったと記憶する。2004年行定勲監督「世界の中心で、愛をさけぶ」が遺作となった。謹んでご冥福をお祈りしたい。

【当ブログで紹介した東陽一監督作品】
1979年「もう頬づえはつかない
1981年「ラブレター
1986年「化身


セカンド・ラブ

アイ・ジョージ                 大原麗子、アイ・ジョージ

【ストリー】
日向一実(大原麗子)32歳。職業グリーン・コーディネイター、CF撮影など感性を要求される世界で男まさりの仕事をしている。一実は再婚女性で、夫の秀夫(小林薫)は二つ年下の建築家、結婚二年目。最近いつもかかってくる正体不明の電話に、秀夫は前夫の影を感じていた。そんな時、一実に妊娠の予感、しかしなぜか秀夫には黙っていた。そんな一実に微妙な視線を向けるもう一人の男性がいた。行きつけの喫茶店のマスター友春(アイ・ジョージ)だ。いま一実は、あまりポピュラーでない自分の仕事がささやかでも認められたらと、近づく個展の準備に余念がなかった。個展当日、一実の母志保(荒木道子)、姉の茅(赤座美代子)子もお祝いにかけつけた。盛況にホッと胸をなでおろす一実に、女性誌のフリーライターを名乗る展子(中村れい子)という若い女性が取材に来た。そこに顔を出した秀夫が、オートバイに乗ることを知った展子は、執拗に彼にまといつき、彼が建築中の家へ案内してもらう。一方、一実は友春の店で仲間と個展の成功を祝い、一人帰途につくと、台所で見知らぬ男が死んでいた。そこへ秀夫が帰ってきて、またも前夫の影を口走った。事件を契機に二人のモヤモヤしたものが一気に噴き出す。そんな秀夫に展子の存在は、火に油を注ぐようなものだった。秀夫は、突然故郷の和歌山に帰ると言いだした。上京してきた実兄功一(河原崎建三)の話がその気にさせたらしい。久しぶりに故郷の空気を満喫する秀夫、その彼の帰りを熱海駅で待ち構えていたのは展子だった。その頃、一実も友春に一瞬唇を奪われていた。そして医者からは妊娠確実の宣告。ある日、一実が友人たちを招いてパーティを開いた。そこに正体不明の電話が。いらだった秀夫は、挙句の果てに一実の仕事を、自然をもて遊ぶ虚業と決めつけた。大粒の涙をためながら反論し、一実は思いのたけを、皆の前でぶちまける。夜、あやまる秀夫に一実は妊娠を告げた。その日、一実は奇妙な夢を見た。そして二人の間の何かがふっ切れた矢先、ローラースケート遊びの子供を避けようとして一実は怪我をした。事故の知らせを聞いた秀夫に展子から電話が。それをふりきってオートバイで出かけた秀夫もまた転倒した。頭に包帯を巻いて区役所から出てきた一実に、ビッコを引き引き近寄る秀夫。一実の手には母子手帳が、しっかりと握られていた。


中村れい子                     小林薫、中村れい子

題名:セカンド・ラブ
監督:東陽一
企画・製作:吉田達、前田勝弘
脚本:田中晶子、東陽一
撮影:川上皓市
照明:磯崎英範
特機:明光セレクト
録音:久保田幸雄
美術:綾部郁郎
編集:市原啓子
音楽:田中未知
現像:東映化学
製作主任:中村喜代太
製作進行:小松原時夫
助監督:栗原剛志
撮影助手:篠田昇
撮影機材:三和映材社
照明機材:日本照明
スチール:遠藤正
出演:大原麗子、小林薫、アイ・ジョージ、中村れい子、河原崎建三、長谷川初範、西岡徳馬、荒木道子、赤座美代子、加茂さくら
1983年日本・東映+幻燈社/ビスタサイズ・カラー103分35mmフィルム
セカンド・ラブ -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


小林薫、大原麗子

セカンド・ラブ

私の好きな女優、大原麗子さんは、2009年8月3日に不慮の死を遂げ、満62歳で亡くなった。
ほんとに残念でならない。

映画「それから」

それからそれから
松田優作                      藤谷美和子

今回は森田芳光監督1985年製作「それから」をピックアップした。
本作は夏目漱石の原作を映画化したもので明治後期の東京を舞台に、親友の妻への愛に悩む主人公の姿を描いた文芸大作だ。松田優作さんの俳優としての幅の広さを魅せられる作品でもあった。

それからそれから
小林薫                        笠智衆

【ストリー】
明治後期の東京。長井代助(松田優作)は、30歳になってもあえて定職を持たず、本を読んだり界隈を散歩したり、毎日を気ままに送る思索者である。しかし生活に困ることはない。父・得(笠智衆)は大実業家で、兄・誠吾(中村嘉葎雄)がその事業を継いでおり、次男の代助に多大な援助を与えていたからだ。おかげで、代助は別宅を構え、老婢と門野(羽賀研二)という書生を置いていた。父や兄は、そんな代助に、早く身を固めろと説き、しきりに縁談を持ち込んだが、その都度、何らかの理由をつけてはそれを拒んできた。そんな代助を、兄嫁の梅子(草笛光子)や子供たちの縫(森尾由美)と誠太郎が好ましい視線で見ていた。ある朝、代助に、親友・平岡常次郎(小林薫)からの便りが届いた。平岡は代助とは異なり、大学を出るとすぐに大手銀行に入社し、地方の支店に勤務していたが、部下が引き起こした問題の責任を負うことになり、辞職し東京へ戻るというのだ。平岡(小林薫)とは三年ぶりの再会になるが、それは、また彼の妻・三千代(藤谷美和子)との再会をも意味していた。三千代は、かつて大学時代、代助が想いを寄せていた女性で、親友・菅沼(風間杜夫)の妹であった。が、平岡もまた三千代に惹かれていることを知り、自らの義侠心にのっとった友情で、三千代を平岡に嫁がせたのであった。上京した平岡は、明らかに変っていた。彼の三年間の社会人としての生活は、平岡を俗人に変貌させていた。金のために働くことには意味がないと言う代助に、それは世に出たことのない男の甘い考えにすぎないと、平岡は非難をあびせた。が、そんな代助に、平岡は自分の就職の相談を持ちかけるのだった。一方、三年ぶりに会った三千代は、生活にやつれている様子はあるものの、以前にも増してしっとりとした美しさを備え、代助の心に不安な胸騒ぎのような感情が湧くのだった。平岡のために、住居を手配し、果ては借金の口ききまで奔走する代助は、やむなく兄に頭を下げた。そんな代助を見て梅子が力を貸してくれた。用立てた金銭のことで幾度となく三千代に会ううちに、代助は、過去に自分が選択した道が誤りであったことを深く実感した。平岡に三千代を譲るべきではなかったと。そして、三千代もまたかつてより押えていた代助への愛が押えきれなくなっている自分におののきを覚えていた。一方、家の繁栄のために、長井家とゆかりの深い財産家・佐川の令嬢との縁談を望む得と誠吾は、強引に代助に見合いをさせた。音楽会、食事会と次々に見合いの席を用意し、代助も、素直にそれに臨んだ。しかし、縁談が順調に進めば進むほど、代助の中で、ある一つの決意が固まっていた。「昔の自然に今、帰るのだ」--。三千代に自分の気持ちを打ち明ける決意をした代助は、思い出のある百合の花を飾り、三千代を家に呼び寄せた。代助の思いきった告白に、三千代は涙を流した。なぜ、もっと早くに言ってくれなかったのか。あなたは残酷な人だ、となじりながら、その中には喜びが含まれていた。「覚悟を決めます」という三千代を代助はみつめた。しかし、この二人の決意は、二人の社会からの離反を意味していた。得の家に縁談をことわりに行った代助に、三千代とのことを平岡からの手紙で知った誠吾が罵声をあびせた。ついに、得は、代助に言い切った。「出ていけ!」。今は無一文になった代助は、それからを思い、ひたすら、歩き続けるのだった。

それからそれから
草笛光子、美保純

題名:それから
監督:森田芳光
原作:夏目漱石
脚本:筒井ともみ
撮影:前田米造
照明:矢部一男
特機:落合保雄(NK特機)
録音:橋本文雄、宮本久幸
美術:今村力
衣裳:北村道子
記録:森永恭子
編集:鈴木晄
音楽:梅林茂 音楽プロデューサー:石川光
撮影機材:パナビジョン(三和映材社)
現像:東映化学
プロデューサー:黒澤満、藤峰貞利
企画:サンダンス・カンパニー
助監督:原隆仁
スチール:目黒祐司
出演:松田優作、藤谷美和子、小林薫、美保純、森尾由美、イッセー尾形、羽賀研二、川上麻衣子、泉じゅん、笠智衆、草笛光子、中村嘉葎雄、風間杜夫
1985年日本・東映/ビスタサイズ・カラー130分35mmフィルム
それから [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

それからそれから

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