映画「東京の暴れん坊」


小林旭                        浅丘ルリ子

今回は斎藤武市監督1960年製作「東京の暴れん坊」をピックアップする。
本作は当時共演が多かった小林旭さんと浅丘ルリ子さんの息の合ったマシンガン・トークが見ものだ。さらに銀座の銀座四丁目交差点 服部時計店などや文京区の後楽園球場(現:東京ドーム)、小田原市箱根町芦ノ湖のロケなど時代の貴重な背景にも価値がある様に思う。


小川虎之助、近藤宏

【ストリー】
銀座のキッチン「次郎」の若主人清水次郎(小林旭)は、パリー帰りのフランス料理の名人で、元レスリング選手の美男子である。銭湯松の湯で彼が鼻うたを歌うと、女湯ではバーのマダム、リラ子や他の女たちが大騒ぎである。松の湯の娘秀子(浅丘ルリ子)は次郎の大学の後輩である。彼女の一家は、銭湯を改造して大ソープランドを作ろうとする代議士浅井(三島雅夫)の誘惑をうけていた。浅井の息子隆三(相原巨典)は秀子に求婚していた。キッチン「次郎」に、元総理大臣で政界の黒幕である一本槍鬼左衛門(小川虎之助)がやってきた。新聞記者やお供などが彼を追いかけてきて大騒ぎである。次郎は厳然として彼の非礼をたしなめた。この事件で鬼左衛門はすっかり次郎が気に入ってしまった。翌日ぐれん隊台風くらぶの幹部千吉(近藤宏)と小西(弘松三郎)がが、このことをネタに鬼左衛門をユスリに出かけたが、やってきた次郎に撃退された。キッチン「次郎」は鬼左衛門のきもいりで日本一の料理店に改装された。開店祝いの日、リラ子(中原早苗)が店にかけこんできた。次郎は彼女をめぐる三人の男たちの争いをおさめてやった。ぐれん隊の千吉は次郎の部下になった。ある日、女給のトシ子(千代侑子)が中村清という男にすてられて自殺を計った。次郎はトシ子をなぐさめ、相手の男を探しに行った。ところが意外に中村は子もちで、女房のいる男だった。だが次郎は、中村が実は身代りの男で、実際のトシ子の相手は浅井隆三なのを見破った。次郎は策を用いて、秀子と隆三の結婚式に身代り花嫁としてトシ子を送りこんだ。一本槍老の計いでトシ子は隆三と結ばれた。浅井代議士は台風くらぶの連中を使って「次郎」の店をこわしたが、一本槍老は、再び丈夫な建物を作ってやると笑うのだった。


「東京の暴れん坊」銀座四丁目交差点(1960年)の実景

「東京の暴れん坊」日活撮影所内オープンセット

中原早苗、十朱久雄、小沢昭一、藤村有弘

題名:東京の暴れん坊
監督:斎藤武市
企画:岩井金男
原作:松浦健郎
脚本:石郷岡豪
撮影:高村倉太郎
照明:大西美津男
録音:米津次男
美術:中村公彦
記録:白鳥あかね
編集:近藤光雄
音楽:小杉太一郎 主題歌:小林旭「ノーチサヨン節」「東京かっぽれ」
現像:東洋現像所
製作主任:栗橋正敏
助監督:神代辰巳
色彩計測:幸田守雄
スチール:石川久宜
出演:小林旭、浅丘ルリ子、中原早苗、藤村有弘、近藤宏、小沢昭一、内田良平、小川虎之助、十朱久雄、三島雅夫、野呂圭介、森川信、相原巨典、弘松三郎、千代侑子
1960年日本・日活/シネスコサイズ・カラー79分35mmフィルム
東京の暴れん坊 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


東京の暴れん坊

映画「くノ一化粧」


西村晃                          露口茂

今回は中島貞夫監督1964年製作「くノ一化粧」をピックアップする。
本作は、肉体を武器にした女忍者の活躍を軽妙なタッチで描いた「くノ一忍法」に続き“くノ一”シリーズの第二弾になる。前作同様、東映京都撮影所内での贅沢なセット撮影が多用されている。


春川ますみ、小沢昭一                 露口茂、芦屋雁之助

春川ますみ                       緑魔子 

【ストリー】
慶安4年、由井正雪(原健策)、丸橋忠弥を中心にした幕府転覆計画は失敗に終った。老中松平伊豆守(原田甲子郎)は由井正雪の動きを早くから察知し、その資金源を、老忍者服部半助(多々良純)に探らせていた。その結果、豊臣家が遺した巨億の財宝がかくされていることを知った。そして、その在りかを解く鍵は、豊臣家の恩恵を浴した大友忍者6人のくノ一が胎内に秘めた6個の鈴であった。鈴を強奪せよという伊豆守の命を受けた、天草扇千代(露口茂)を首領とする、道忍(西村晃)、狂念(小沢昭一)、兵部(脇中昭夫)、鞭馬(芦屋雁之助)、水阿弥(加藤武)ら6人の鍔隠れの忍者は、くノ一の住む長崎に向った。しかし彼等の動きは、早くもくノ一の首領天姫(弓恵子)の許にも伝わった。天姫を中心に、もみじ(西岡慶子)、お志乃(緑魔子)、お珠(松井康子)、夕心尼(岬瑛子)、お貞(三島ゆり子)の6人は鈴の死守を誓った。お志乃は夢幻琴の音、密霞の術を使い篝火兵部を倒しながら、扇千代のために術を破られ、忍法山彦によって自らも命を絶った。しかし扇千代も天姫の髪縫いの術によって盲目になった。一方鍔隠れ忍者の逗留する丸山遊廓を襲ったお貞は、逆に鞭馬のおとこ化粧の術で殺され鈴を奪われた。さらに鞭馬は、お貞に扮し、くノ一の本拠持仏堂に乗りこんだが、正体を見破られ、お珠の先祖返りの術にかかり、赤ん坊になってしまった。だが、お珠も、一寸した油断を、かけつけた水阿弥につかれ殺された。しかし、その水阿弥にも天姫の術がかかり、扇千代の姿が幻覚で裸身のくノ一に見えるのだった。抜討ちに切りかかる水阿弥を扇千代の刃が切って捨てた。部下を斬り良心の苛責に悩む扇千代は、惚れた遊女伽羅(春川ますみ)との情事に我を忘れた。そんなうちにも、両者の争いは苛烈で、天姫と扇千代を残して、次々と倒れていった。残った天姫は奪われた鈴を取り返そうと、伽羅の肉体を借りて扇千代に近づいた。が、女の本能は抱かれた扇千代の胸の中で、初めての喜びにふるえた。くノ一の宿命と、女の真の喜びが激しく交錯した。が、突然、扇千代が求めているのは自分ではなく伽羅であることに気づき、取返した鈴をも投げ捨て、扇千代の叫ぶ声を後に悄然と去っていくのだった。


多々良純                             弓恵子

題名:くノ一化粧
監督:中島貞夫
企画:小倉浩一郎、折茂武雅
原作:山田風太郎
脚本:倉本聰、中島貞夫、金子武郎
撮影:赤塚滋
照明:和多田弘
録音:藤本尚武
美術:吉村晟
装置:温井弘司
装飾:柴田澄臣
美粧:佐々木義一
結髪:白鳥里子
衣装:三上剛
擬斗:上野隆三
記録:墨はつ子
編集:神田忠男
音楽:山本直純
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学
製作主任:田村守
助監督:富田義治
スチール:深野たかし
出演:西村晃、露口茂、小沢昭一、芦屋雁之助、脇中昭夫、加藤武、春川ますみ、緑魔子、三島ゆり子、多々良純、弓恵子、岬瑛子、原健策、原田甲子郎、西岡慶子、松井康子
1964年日本・東映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー90分35mmフィルム
くノ一化粧 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


くノ一化粧                                                        弓恵子、春川ますみ

映画「無頼漢」


仲代達矢                           岩下志麻
今回は篠田正浩監督1970年製作「無頼漢」をピックアップする。
本作は、大島渚監督、吉田喜重監督と共に松竹ヌーベルバーグの旗手と呼ばれれ、2003年に「スパイ・ゾルゲ」を最後に映画監督からの引退を発表した篠田正浩監督の寺山修司氏脚本による異色時代劇である。

美しく、狂おしく 岩下志麻の女優道」 (春日太一著・文藝春秋刊)より
A:岩下志麻 Q:春日太一
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Q:これは東宝の作品です。松竹側は大丈夫でしたか?
A:他社出演に関しては結構スムーズでしたね。ですから、本当にありがたかったです。
Q:今回は花魁役でしたが、どのような役作りを?
A:花魁の役は初めてでしたので、まず高いぽっくりを履いて練り歩くのが難しくて。最初、ぽっくりだけ借りてずいぶん歩きの練習をしました。歩くのも、外側に足を廻して歩かないといけないんですよね。しかもゲタが高いでしょう。ですから結構難しくて。
Q:相手役は仲代さんでした。
A:仲代さんはいつも厳しかったり逞しかったり、という役が多いのですが、あれは白塗りでナヨッとしていて、妙に色っぽく見えました。それから、お母さんの市川翠扇さんが素晴らしくて。あの市川翠扇さんと仲代さんの母子関係、母親が子どもにベタベタする関係もよかったですね。
Q:反権力の集団を描く、篠田監督らしい時代劇でした。
A:そこを意識して作った映画なんじゃないかなと私は思いました。ああいうかたちを借りて、体制と反体制をクリアに描いていると思うんです。「権力は変わらない、交代するだけだ」という水野忠邦の最後のセリフがありますが、あの言葉は印象的でした。
Q:独立プロでありながら進んでメジャーと組んで大作を作っていくところが、表現社というか篠田監督の面白さでもあります。
A:そうです。表現社製作で受け持つ場合と、スタッフだけ貸す場合と、いろいろな形があります。表現社単体で作るのが難しい場合は無理に作らない。
Q:作品のスケールや必要な予算に応じて柔軟に製作体制を変えている印象があります。
A:ですから、独立プロで赤字を作らないでずっとこれたのは、表現社ぐらいじゃないかしら。他はみんな家を売ったりして苦労されていますものね。
Q:そこの計算が見事ですね。
A:篠田が絶対に自分のところで背負い過ぎないような製作体制にして、作品のスケールによって作り方を変えていたと思います。


仲代達矢、岩下志麻                    丹波哲郎

【ストリー】
天保13年、水野忠邦(芥川比呂志)の天保の改革は庶民を苦しめ、市井には不満の声が満ちていた。江戸、猿若町の見世物小屋が軒を並べるあたり、役者志願の遊び人直次郎(仲代達矢)は、美しい花魁犬口屋の三千歳(岩下志麻)を知った。直次郎が母親のくま(市川翠扇)と住む犯罪長屋。1年ぶりに帰ってきたなまけ者丑松(小沢昭一)だが、留守中に女房お半と子供は、御用聞き、五斗米市と家主の紋左衛門(春日章良)の手にかかり姿を消していた。芝居小屋の前で「水野体制批判」をして役人に追われた三文小僧を救ったのは、河内山宗俊(丹波哲郎)だった。三千歳を直次郎とはり合う森田屋(渡辺文雄)は御家人くずれの金子市之丞(米倉斉加年)に直次郎殺しを頼んだ。だが金子市は、直次郎と間違えて河内山を襲い、顔を合わせた金子市、河内山、森田屋の三人は、互にふくみ笑いして見合った。直次郎は老いて醜い、おくま(市川翠扇)がいては三千歳と世帯ももてないと考え蒲団にくるみ、大川へ投げ込んだ。一方、河内山は上州屋の一人娘浪路(太地喜和子)が、松江出雲守(中村敦夫)にめかけになれと無理難題を押しつけられているのを聞き、200両で浪路をとり返すことをうけあった。河内山の生命をかけた大仕事を知り直次郎が仲間に加わった。ところで、金子市は丑松、三文小僧など水野体制からはみだした連中を集め、改革に謀叛の火を打ちあげんとしていた。松江家では依然、出雲守が浪路を追い回していたが、家老北村大膳はこの乱行が外にもれることを怖れ、浪路と近習頭宮崎数馬を不義の仲とデッチあげた。そこへ、河内山扮する御使僧北谷道海と直次郎扮する駕篭脇に控える侍桜井新之丞が現れ、晴れの舞台よろしく、大芝居をうった。出雲守からまんまと、浪路をだましとった河内山だが、大膳に見破られ凄絶な最後をとげた。直次郎は邪魔者おくまを背負って捨てに家を出たが、その時、夜空にひろがる花火を見た。それは金子市、丑松、三文小僧の三人が打ち上げた謀反の火柱だった。


市川翠扇                              小沢昭一

題名:無頼漢
英題:THE SCANDALOUS ADVENTURES OF BURAIKAN
監督:篠田正浩
製作:藤本眞澄、若槻安重
原作:河竹黙阿弥「天衣紛上野初花」
脚本:寺山修司
撮影:岡崎宏三
照明:榊原庸介
録音:西崎英雄 (アオイスタジオ)
音効:本間明
美術:戸田重昌
装飾:荒川大
衣装:上野芳生
結髪:細野明
調度:高津年晴
風俗構成:林美一
題字:粟津潔
記録:島田はる
編集:杉原よ志
音楽:佐藤勝
撮影機材:パナビジョン(三和映材社)
現像:東京現像所
製作担当:小笠原清
助監督:中野恵之
演技事務:中村英子
スチール:遠藤正、亀倉正子
出演:仲代達矢、岩下志麻、小沢昭一、丹波哲郎、渡辺文雄、米倉斉加年、山本圭、芥川比呂志、市川翠扇、中村敦夫、浜村純、藤原釜足、蜷川幸雄、太地喜和子、春日章良
1970年日本・表現社+にんじんくらぶ/シネスコサイズ・カラー103分35mmフィルム
無頼漢 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


丹波哲郎、米倉斉加年                   仲代達矢、岩下志麻、渡辺文雄

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