映画「暴力金脈」

暴力金脈暴力金脈
梅宮辰夫、松方弘樹                  松方弘樹、小沢栄太郎

今回は中島貞夫監督1975年製作「暴力金脈」をピックアップする。
本作は”東映実録路線”過渡期の異色作で、現代やくざの変種といえる総会屋の生態を描いており、初めての松方弘樹さん主演作品である。

暴力金脈暴力金脈
丹波哲郎                        梅宮辰夫、田中邦衛

【ストリー】
早朝5時、大阪通天閣を朝日が射す頃、総会屋の端くれである中江宏(松方弘樹)は、大平重工の総務部へ出かけ整理券を貰う。会社の始る9時から整理券の順番にそって総務部に出向き、手当を貰う。宏は、そういう付き合いの中から“貰いつづけて30年”〃と自称する古い万才屋・乃木万太郎(小沢栄太郎)と知り合い、総会屋の手ほどきを受ける。総会屋だけでは食えない宏は、合間に三味線とハンバーグの材料にする猫捕りを手伝っていたが、その縁で暴力団・寺岡組の若い衆で、宏とは同郷の奥田寛次(梅宮辰夫)と親しくなる。大物総会屋への野望に燃える宏、日本一の組長をめざす奥田の二人は連係を約する。奥田の腕力と、乃木の協力を得た中江は、関西で実力一の総会屋・神野(田中邦衛)と対決し、浪花相互銀行を事件にし、その熾烈な戦いで乃木は死んだ。やがて、頭取の不正融資をネタに3,000万円脅し取った宏は、東京に進出した。八方破れな行動力に目をつけた綜合商社・東商物産副社長の長尾(大滝秀治)は、買収に失敗し続けている東亜制作所の攻撃を宏に依頼した。長尾の後には曽宮社長(若山富三郎)に対する反社長派の常務・三浦(嵯峨善兵)の画策があった。しかし、東亜制作所についている総会屋は、その名も知られた西島一光(丹波哲郎)だった。彼は暴力団・綿志会を背景に敢然たる勢力を持っていた。西島には綿志会が、中江のバックには奥田が寺岡組を率いて上京し、それぞれ眠みをきかせた。曽宮の愛人関係を調べていた中江は、クラブのママ、上原アヤ(池玲子)の存在を知った。アヤには父は無く、たった一人の母も死に、曽宮の世話を受けながら、彼の異常な性欲のハケロになっていた。宏はそんなアヤを抱いた。そしてアヤを調査しているうちに彼女は曽宮の実の子である事を知った。そしてアヤは証拠物件である母親の日記を宏に渡して自殺した。総会前夜、宏は曽宮に会い、アヤの死と、彼女が実の娘であった事を告げた。そして総会。宏の工作は西島に敵わなかった。だが、曽宮は一身上の都合を理由に社長を退陣した。闘いは終った。しかし東亜制作所はビクともせず厳然と残る。新たな野望に燃える宏は会場を後に力強く歩き出した。

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若山富三郎、池玲子                  絵沢萠子
暴力金脈暴力金脈
若山富三郎                     松方弘樹、室田日出男

題名:暴力金脈
監督:中島貞夫
企画:日下部五朗、佐藤雅夫
脚本:野上龍雄、笠原和夫
撮影:増田敏雄
照明:北口光三郎
録音:中山茂二
美術:富田治郎
装置:吉岡茂一
装飾:西村和比古
背景:松原邦四郎
美粧:長友初生
結髪:白鳥里子
衣装:豊中健
擬斗:三好郁夫
記録:石田照
編集:堀池幸三
音楽:津島利章
現像:東映化学
進行主任:上田正直
監督補佐:清水彰
助監督:藤原敏之
演技事務:森本英次
スチール:中山健司
出演:松方弘樹、梅宮辰夫、池玲子、小沢栄太郎、田中邦衛、若山富三郎、丹波哲郎、山城新伍、大滝秀治、伊吹吾郎、絵沢萠子、室田日出男、川谷拓三、森田めぐみ、橘麻紀、浜田寅彦、嵯峨善兵、片桐竜次、汐路章、志賀勝
1975年日本・東映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー95分35mmフィルム
暴力金脈 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

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池玲子                         松方弘樹

映画「大いなる驀進」

大いなる驀進大いなる驀進
中村賀津雄                       佐久間良子

今回は関川秀雄監督1960年製作「大いなる驀進」をピックアップする。
本作は「大いなる旅路」の姉妹編として東京~長崎間の寝台特急さくらを舞台にしている。国鉄(日本国有鉄道=JRの前身)の全面協力で制作された作品である。1967年には松竹制作で「喜劇 急行列車」「喜劇 初詣列車」「喜劇 団体列車」が瀬川昌治監督、主演を渥美清さん、佐久間良子さんで国鉄協力のもと作られている。いずれも今はない路線、列車など貴重な鉄道記録にもなっている。

大いなる驀進大いなる驀進
三国連太郎、中村賀津雄                 中原ひとみ

【ストリー】
東京--長崎間を驀進する特急さくら。専務車掌の松崎義人(三國連太郎)、列車給仕の矢島敏夫(中村賀津雄)、食堂車のウェイトレス松本芳子(中原ひとみ)らの乗務員、そして種々の乗客をのせて、列車は今日も長崎めざして驀進する。発車まぎわに慌しく乗り込んだのは矢島の恋人望月君枝(佐久間良子)だった。結婚するには列車給仕などしていられない、という矢島を君枝は必死になだめた。矢島を秘かに愛する芳子は二人の姿を淋しく見ていた。富士川鉄橋を渡る頃、車内巡視に廻った矢島は客の時定から殺人犯の同乗を密告された。殺人犯の七郎(直木明)は静岡駅で逮捕された。京都近くで車内に盗難事件が発生した。すりのカメレオンの松(花澤徳衛)の仕業らしかった。真夜中、列車は大阪駅に到着した。プロ球団の選手たちが下車し、血清を抱いた看護婦森原数子(久保菜穂子)とサブ(曽根晴美)という青年殺し屋が乗車した。発車間ぎわ、風速40メートルという台風襲来のニュースが入った。豪雨の中を驀進するさくらの中では、乗客の一人、炭坑主の吉田(小川虎之助)が自殺を図った。医者(小沢栄太郎)が岡山駅からかけつけ、命は助かった。台風は瀬戸内海沿岸に上陸し、松崎は間もなく前方に崖崩れを発見した。急停車する列車、松崎は騒然たる乗客をなだめると、シャベルを抱えて風雨の中にとび出した。乗務員も続いた。半ばふてくされて、とび出そうとしない矢島を、松崎は殴打した。崖崩れに埋もれた鉄路を救おうとして、必死に努力する人々の姿をみる矢島の胸底には、忘れていた感動がよみがえった。彼もシャベルをつかんでとび出した。君枝も、芳子も、数子までも鉄路の泥と闘った。何時間か後、さくらは再び驀進した。徳山駅では、下車した駈け落ちの男女が、迎えに出た男に叱咤されていた。下関で事件が起きた。殺し屋時定(波島進)が、殺し屋サブにめった斬りにされたのである。七郎の復讐らしかった。カメレオンの松は、台風と闘う鉄道員の姿に心を打たれたといって悔悛した。終着駅長崎はもうすぐである。君枝は矢島に鉄道員としての誇りを自覚させたことが嬉しかった。松崎が二人の仲人をするという。二人の前途を祝福するかのように、さくらは終着駅長崎にすべり込んだ。

大いなる驀進大いなる驀進
中村賀津雄                      大いなる驀進

題名:大いなる驀進
監督:関川秀雄
企画:坪井与、岡田寿之、加茂秀男
製作:大川博
脚本:新藤兼人
撮影:仲沢半次郎
照明:銀屋謙蔵
録音:大谷政信
美術:森幹男
編集:長沢嘉樹
音楽:斎藤一郎
進行主任:登石集一
助監督:山田稔
協力:日本国有鉄道
出演:中村賀津雄、三国連太郎、佐久間良子、中原ひとみ、久保菜穂子、小宮光江、曽根晴美、大村文武、花澤徳衛、上田吉二郎、大原幸子、八名信夫、沢彰謙、小沢栄太郎、小川虎之助、直木明、波島進
1960年日本・東映東京撮影所/シネスコサイズ・スラー89分35mmフィルム
大いなる驀進 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

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佐久間良子、中原ひとみ                大いなる驀進

映画「雁」


「雁」若尾文子

若尾文子                              小沢栄太郎

今回は池広一夫監督1966年製作「雁」をピックアップする。
本作は、1953年に同じ大映で豊田四郎監督が高峰秀子さん主演で製作した森鶴外の原作「雁」のリメイクになる。若尾文子さんが実に美しい。


山本学                                山岡久乃

【ストリー】
口入屋おさん(武智豊子)はお玉(若尾文子)に妾になれとしきりに勧めていた。お玉には嫌なことだったが一度男に騙されて傷物になった身だし、貧乏暮しの父親善吉(伊井友三郎)に対する孝行かもしれないと思って承知した。旦那の末造(小沢栄太郎)は大きな呉服屋の主人で女房に死なれたから、お玉は本妻同様ということだった。末造は優しくしてくれたし、善吉の面倒もよくみてくれた。無緑坂に住むようになったお玉は幸せだと思うようになった。だが長くは続かなかった。商店では妾呼ばわりされて売ってもらえないし、末造の本妻(山岡久乃)は死んではいなかったのだ。善吉は、今の良い生活を捨てたくないので騙されたのに黙っていた。お玉は自分が暗い、惨めな日陰者だということをしみじみ感じるのだった。ぼんやりと外を眺めて暮す日が多くなった。ある日、毎日同じ時刻に無緑坂を通る学生が蛇に襲われたお玉の紅雀を助けてくれた。お玉は紅雀が自分のような気がした。岡田(山本学)というその学生に明るく広い世界へ紅雀のように救い出してもらいたかった。そんな期待と共に、お玉は岡田にほのかな想いをいだきはじめた。そして何とか小鳥のお礼をいい、自分の境遇を話したかったが機会はなかった。毎日無縁坂を通る岡田を見ているばかりだった。ある日、末造が商用で家に来ないとわかった。お玉は女中(姿美千子)を帰し、いそいそと食事の仕事をして、岡田が通るのを門の前で待っていた。だがその日の岡田は友だちを連れていた。二人の話しではドイツ留学が決まったらしい。お玉は声をかけることもできないほどがっかりしてしまった。岡田はお玉の切ない気持ちがわかったがどうしようもなかった。静かな夕暮れの無線坂を岡田は去っていった。その時、不忍池から一羽の雁が飛び立った。お玉はじっと立ちつくしていた。無縁坂で会った二人は、しょせん縁の無い人間だったのだ。


「雁」若尾文子

藤原礼子、若尾文子。姿美千子、水戸光子 小沢栄太郎、武智豊子、伊井友三郎、若尾文子

題名:雁
監督:池広一夫
企画:仲野和正
原作:森鴎外
脚本:成澤昌茂
撮影:宗川信夫
照明:田熊源太郎
録音:三枝康徐
美術:仲美喜雄
編集:中静達治
音楽:池野成
製作主任:林秀樹
助監督:岡崎明
スチール:柳沢英雄
出演:若尾文子、小沢栄太郎、山本学、姿美千子、山岡久乃、水戸光子、藤原礼子、伊井友三郎、井川比佐志、石黒三郎、武智豊子、篠田三郎(デビュー作)
1966年日本・大映/シネスコサイズ・モノクロ87分35mmフィルム
雁(1966)-DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


山本学、若尾文子

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