映画「長屋紳士録」


飯田蝶子

今回は小津安二郎監督1947年製作「長屋紳士録」をピックアップする。
本作は太平洋戦争後の小津安二郎監督再起第一回監督作品である。舞台となる長屋(セット)は、東京の一角にあり、戦災で未だ到る所に瓦礫の山が見えるのがロケ撮影で分かる。築地本願寺や上野公園も映っていた。

作品リスト


笠智衆

【ストリー】
東京の焼け跡に復興の家がぼつぼつ建ちはじめ、昔なじみの顔もそろってきた。数年前夫を失い続いて一子をも失ったおたね(飯田蝶子)は、たった一人で昔通りの荒物屋を開いている。ある日彼女の家の裏に住む占見登竜堂先生(笠智衆)は一見戦災孤児のような少年幸平(青木放屁)を拾ってきた。しかし自分で育てる力のない登竜堂はそれをおたねに押しつけた。おたねは内心甚だ迷惑に思ったが、別にどこへ行かすあてもないので仕方なく一夜だけ泊めてやる。そして翌日近所の家々を頼んで歩いたが、どの家庭を見ても、一人暮らしのおたね以上幸平を養うのに適した家はなかった。おたねは少年がかつて父と共に住んでいたという田舎の町へ、幸平を連れて出かけたが、求める家は見当らなかった。いまはおたねも幸平を捨てる訳にもゆかず、やむを得ずまた自分の家に連れ戻った。そして二人の生活が続き幸平の少年らしい仕草を見ているうち、おたねは自分の失った愛児の面影を想い出さずにはいられなかった。近所のどの家庭を見ても、皆子供を中心に幸福そうである。子供の良さは誰の子も同じではないか。おたねはついに幸平を我が子として育てようと決心する。やがては学校にも上げてやらねばなるまい。幸平もおたねになついてきた。しかしある日不意に幸平の父(小沢栄太郎)が訪ねて来た。彼は東京へ仕事を求めに来た時、幸平とはぐれてしまったのである。おたねは礼を言って去る親子を見送って、少年の本当の幸福をしみじみと願った。


青木放屁、飯田蝶子

題名:長屋紳士録
監督:小津安二郎
製作:久保光三
脚本:池田忠雄、小津安二郎
撮影:厚田雄春
照明:磯野春雄
録音:妹尾芳三郎
美術:浜田辰雄
編集:杉原よ志
現像:林龍次 焼付:小林四郎
音楽:齋藤一郎
出演:飯田蝶子、青木放屁、小澤榮太郎、吉川満子、河村黎吉、三村秀子、笠智衆、坂本武、高松榮子、長船フジヨ、河村祐一
1947年日本・松竹/スタンダードサイズ・モノクロ72分35mmフィルム
長屋紳士録 -DVD-
2017年11月現在、DVDレンタルはありません。


長屋紳士録

映画「秋日和」


原節子                      佐分利信

今回は小津安二郎監督1960年製作「秋日和」をピックアップする。
本作は夫を亡くした母と娘のお互いを思いやる気持ちを中心に、亡夫の友人たちが起こす騒動を安定したローアングルと50mmレンズ1本で描いている。また小津作品の撮影チーフ助手(色彩計測)を務めた川又昂氏の監修による4Kスキャニング・デジタル修復を実施したHDマスターが2013年11月23日より東京神田の神保町シアター「生誕110年・没後50年記念 映画監督 小津安二郎」にて上映された。

作品リスト


司葉子                     岡田茉莉子

【ストリー】
亡友三輪の七回忌、末亡への秋子(原節子)は相変らず美しかった。娘のアヤ子(司葉子)も美しく育ちすでに婚期を迎えていた。旧友たち、間官(佐分利信)、田口(中村伸郎)、平山(北竜二)はアヤ子にいいお婿さんを探そうと、ついお節介心を起した。が、アヤ子がまだ結婚する気がないというので、話は立ち消えた。秋子は友達の経営する服飾学院の仕事を手伝い、アヤ子は商事会社に勤めて、親子二人郊外のアパートにつつましく暮している。たまの休みに街に出て一緒に過すのが、何よりのたのしみだった。母も娘も、娘の結婚はまだまだ先のことのように思えた。或る日母の使いで間宮を会社に訪ねたアヤ子は、間宮の部下の後藤(佐田啓二)に紹介された。後藤はアヤ子の会社に勤める杉山(渡辺文雄)と同窓だった。土曜日の午後、間宮は喫茶店で、杉山や後藤と一緒にいるアヤ子を見た。後藤とアヤ子の間に恋愛が生れたもの、と間宮は思った。ゴルフ場で田口や平山に話すとアヤ子は母親への思いやりで結婚出来ない、という結論になった。秋子の再婚ということになった。候補者はやもめの平山だった。息子まで極力賛成されてみると、平山もまんざらではない。秋子を訪ねた田口は、亡夫への追慕の情たちがたい秋子にとっても再婚の話はもち出せない。アヤ子を呼んで説得したところ、アヤ子は母は父の親友と再婚するものと早合点して、母と正面衝突した。アヤ子は親友の百合子に相談した。百合子は田口、平山、間宮を訪ねると、その独断を責め立てたので、三人もいささか降参し、アヤ子は、一時は誤解したものの、母の知らない話だと分ってみれば、和解も早い。これから先、長く一人で暮す母を思って、二人は休暇をとって、思い出の旅に出た。伊香保では三輪の兄の周吉(笠智衆)が経営する旅館があった。周吉は秋子の再婚にも、アヤ子の結婚にも賛成だった。その旅の夜、秋子は娘に自分がこれから先も亡き夫とともに生きることを語った。アヤ子と後藤の結婚式は吉日を選んで挙げられた。間宮も、田口も、平山も、ほっとした。ひとりアパートに帰った秋子は、その朝まで、そこにいたアヤ子を思うと、さすがにさびしかった。


岡田茉莉子、渡辺文雄

題名:秋日和
監督:小津安二郎
製作:山内静夫
原作:里見とん
脚本:野田高梧、小津安二郎
撮影:厚田雄春
照明:石渡健蔵
録音:妹尾芳三郎
美術:浜田辰雄
編集:浜村義康
音楽:斎藤高順
フィルム:アグファカラー
現像:東京現像所
色彩計測:老川元薫
デジタル修復監修:川又昂
出演:原節子、司葉子、佐分利信、岡田茉莉子、佐田啓二、桑野みゆき、三上真一郎、笠智衆、中村伸郎、三宅邦子、岩下志麻、十朱久雄、渡辺文雄、北竜二
1960年日本・松竹/スタンダードサイズ・カラー128分35mmフィルム
秋日和 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


笠智衆                    佐田啓二、司葉子

映画「左利きの女」

左利きの女左利きの女

今回はペーター・ハントケ監督1977年製作「左利きの女(THE LEFT-HANDED WOMAN)」をピックアップする。
本作のプロデューサーはヴィム・ヴェンダース氏が担当し、同監督作品「まわり道(1974年)」「ベルリン・天使の詩(1987年)」の脚本を担当したペーター・ハントケ氏が本作の監督をしている。
劇中、小津安二郎監督をオマージュした肖像写真と映画館のシーンで1930年代に製作されたと思われるサイレント映画作品が出て来る。それらは小津調には程遠いが、随所に影響を受けたと思われるイメージがインサートされている。日本劇場未公開作品とあってDVD原版が、色補正の取れてないダメージプリントをポジテレシネ→キャプチャーした為に画質が悪いのが残念だった。

左利きの女左利きの女

【ストリー】
長期出張に出かけていたブルーノが家に戻って来る。妻マリアンヌはブルーノに別れを告げ、彼は一晩も自分の家に泊まることなく出て行くことになる。マリアンヌには8歳になる一人息子のステファンがいる。昔つとめていた出版社を頼り、フランス語の翻訳の仕事を得て、自立しようとする。なかなか集中できずいらだつことも多い。友人のフランチェスカからは寂しくないのかと聞かれ、つらいと答えるマリアンヌ。ブルーノも復縁を迫るが、マリアンヌの決心は動きそうもない。 心配して父親もやってくる。そうこうしているうちに春になり、マリアンヌは少しずつ元気を出していくが・・・。

左利きの女左利きの女

題名:DIE LINKESHANDIGE FRAU/THE LEFT-HANDED WOMAN
邦題:左利きの女
監督:ペーター・ハントケ
製作:ヴィム・ヴェンダース
脚本:ペーター・ハントケ
撮影:ロビー・ミューラー
出演:エディット・クレヴァー、ブルーノ・ガンツ、マルクス・ミューライゼン、アンゲラ・ヴィンクラー、ジェラール・ドパルデュー、ベルンハルト・ヴィッキ
1977年西ドイツ/スタンダードサイズ・カラー115分35mmフィルム[日本劇場未公開]
左利きの女 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

左利きの女左利きの女

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