映画「座頭市鉄火旅」

座頭市鉄火旅座頭市鉄火旅
勝新太郎                           藤村志保

今回は安田公義監督1966年製作「座頭市鉄火旅」をピックアップする。
1967年1月3日に公開された本作は、“座頭市”シリーズ”第15作目になる。仕込み杖を巡る逆転劇が、秀悦な演出でテンポ良く展開される秀作である。

座頭市シリーズ

座頭市鉄火旅座頭市鉄火旅
春川ますみ                    勝新太郎、東野英治郎

【ストリー】
行方定めぬ旅の途中、座頭市(勝新太郎)は偶然、何者かに斬られた足利の親分庄太郎の最期を看取り、旅芸人の一行と共に足利にやってきた。庄太郎亡きあと、県の岩五郎(遠藤辰雄)の暴虐に足利の人は難渋していたが、市は岩五郎の賭場に現われ、イカサマの裏をかいて大金をせしめた。ただでは帰さぬと追う子分を見事な居合で斬った市は、居合わせた鍛冶屋の仙造(東野英治郎)の世話になることにした。元刀工の仙造は市の刀が師匠の作であること、そして刀の寿命が尽きていることを告げた。市は愕然とした。自分の命を守ってきた仕込みが、すでに折れかかっているというからだ。これを機会に堅気になれという仙造の勧めどおり、市は旅篭下野屋で働くことになった。そこには庄太郎の息子清吉(青山良彦)と姉のお志津(藤村志保)がいたが、実はお志津は仙造の実の娘で、庄太郎の養女だったのである。そのお志津に好色な関八州見廻役桑山(須賀不二男)が目をつけ、お志津の望みである庄太郎一家の再興を餌に近づいてきた。一方、仙造は一世一代の名刀を作ることを悲願に、20年ぶりに鋼を鍛えていたが、桑山はそれにも目をつけ、岩五郎に密かに狙わせていた。ある日、岩五郎の子分は仙造を殺し刀を奪っていってしまった。そのうえ、庄太郎一家を再興されては困る岩五郎は、清吉をも殺してしまった。しかも、お志津は桑山の許に連れていかれた。市は仙造の家に預けてあった仕込みを手にすると、桑山の屋敷に駈けつけ、桑山を斬ってお志津を救い出したが、その時、仙造が殺される前に、新刀を市の仕込みにすり替えていたのを知った。市は亡き仙造の心に感謝し、待ち受けるやくざ共を斬りまくり、岩五郎をも斬った。翌朝、誰にも告げずに、再び旅に発った市の手には、新刀の仕込みが握られていたのである。

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藤田まこと                       水前寺清子 

題名:座頭市鉄火旅
監督:安田公義
企画:久保寺生郎
原作:子母沢寛
脚本:笠原良三
撮影:武田千吉郎
照明:古谷賢次
録音:大角正夫
美術:西岡善信
擬斗:宮内昌平
編集:谷口登司夫
音楽:斎藤一郎
現像:東洋現像所
製作主任:西沢鋭治
助監督:宮嶋八蔵
スチール:大谷栄一
出演:勝新太郎、藤村志保、青山良彦、藤田まこと、水前寺清子、東野英治郎、春川ますみ、遠藤辰雄、須賀不二男、明星雅子、山下洵一郎、五味龍太郎
1966年日本・大映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー92分35mmフィルム
座頭市鉄火旅 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

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春川ますみ、勝新太郎                    座頭市鉄火旅 

映画「大怪獣ガメラ」


大怪獣ガメラ

今回は大怪獣ガメラ・シリーズ第1作、湯浅憲明監督1965年製作「大怪獣ガメラ」をピックアップする。
特技監督に円谷英二氏を擁する東宝の「ゴジラ(1954年~)」 に続けと、日活は「大巨獣ガッパ(1967年/野口晴康監督)」松竹は「宇宙怪獣ギララ(1967年二本松嘉瑞監督)」東映は「怪竜大決戦(1966年/山内鉄也監督)」が追従した。そして大映が、原爆で目覚めるという “ゴジラ” そのままの設定で本作を製作した。その”ガメラ”の名付け親は、当時の大映社長・永田雅一氏だったそうだ。

製作の経緯は「宇宙人東京に現わる」「鯨神(1962年/田中徳三監督)」「秦・始皇帝(1962年/田中重雄監督)」などを大映が特撮作品を既に作っていた事から “怪獣映画” を目指し、巨大化したネズミが群れをなして東京を襲うというプロットで「大群獣ネズラ」を1963年に企画した。しかし、この作品は撮影の為に大量に集められたネズミからノミやダニなどが発生する等して深刻な衛生上の問題を引き起こした為に撮影は中断され、そのまま制作中止に至った。そして永田雅一氏の一声で、次なる怪獣映画企画としてシリーズ唯一のモノクロ作品「大怪獣ガメラ」が製作される事になり、ガメラの登場する映画は、1971年に大映が倒産するまでに7本が制作された。


山下洵一郎                                                  霧立はるみ、船越英二

【ストリー】
北極海上空で、国籍不明機が米国戦闘機によって撃墜された。落ちた飛行機は原爆を搭載していたため、恐しいキノコ雲が上空をおおった。そして、このショックで、地下で冬眠を続けていたといわれるイヌイット伝説の怪獣ガメラが眼をさまし、地上に甦えってしまった。やがて、この海ガメに似た怪獣ガメラは日本に上陸し、まず北海道の北端にある岬に姿を現し、灯台をふみ倒した。しかし、ガメラは逃げ遅れた灯台守の子俊夫(内田喜郎)をふみ殺そうとはせずそっと救けて、親のもとに帰した。それ以来動物好きの俊夫はすっかりガメラのファンになってしまった。一方地熱や石油などの炎を好むガメラは同じ北海道にある地熱発電所に向った。ガメラの侵入を防ごうとする自衛隊は、数万ボルトの高圧電流を仕かけたが、ガメラには一向に通じず、地底から吹きあげる炎をうまそうに吸いこんだガメラは、ますます勢いをまして暴れまわった。動物学者日高(船越英二)が提案した冷凍作戦も無為に終り、遂にガメラは東京にやってきて、猛威をふるった。これを知った全世界の科学者が続々と東京に集りガメラ防衛対策本部が設置された。連日会議は続き、その結果最終的結論として、Zプラン採用が決定した。Zプランは着々と実行に移され、まずガメラをZプラン遂行の唯一の場大島に導きいれるため、東京湾から大島まで長い石油の帯がしかれ点火された。炎が好物なガメラは炎をつたって大島に近づいた。が、大島に着く寸前火は強烈な風雨のため、石油がちり消えてしまった。だが無念がる日高ら世界の科学者たちの前で三原山が爆発したのだ。ガメラはまたこの火におびきよせられ遂に大島に上陸した。Zプランはただちに遂行された。炎をおとりに、ガメラを地下にすえつけたロケットの最前部におびきよせ、そのままガメラをロケット内にとじこめ、火星にむけてロケットを発射したのだ。ガメラ撃退に成功し喜び騒ぐ世界の科学者たちをよそに、俊夫はガメラを乗せたまま夜空にすいこまれていくロケットをいつまでもいつまでも見送っていた。

題名:大怪獣ガメラ
監督:湯浅憲明
企画:斎藤米二郎
ガメラデザイン:井上章、八木正夫
脚本:高橋二三
撮影:宗川信夫
特撮:築地米三郎
照明:伊藤幸夫
特撮照明:石坂守
録音:渡辺利一
美術:井上章
特撮美術:井上章
操演:関谷治雄
造形:八木正夫、八木宏
光学作画:飯塚定雄
合成:藤井和文
音楽:山内正
編集:中静達治
製作主任:上嶋博明
監督助手:阿部志馬
特撮製作主任:川村清
特撮助監督:石田潔
造形助手:村瀬継蔵、開米栄三
スチール:沓掛恒一
出演:船越英二、姿美千子、霧立はるみ、山下洵一郎 、北原義郎、内田喜郎、内田喜郎、浜村純、吉田義夫、左卜全、北城寿太郎
1965年日本・大映/シネスコサイズ・モノクロ79分35mmフィルム
大怪獣ガメラ -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


船越英二、山下洵一郎、霧立はるみ

映画「ろくでなし」

ろくでなしろくでなし
川津祐介                     津川雅彦

今回は吉田喜重監督1960年製作「ろくでなし」をピックアップする。
本作は吉田喜重監督が木下恵介監督の助監督を勤めた後に監督昇進したデビュー作である。吉田喜重監督は、大島渚監督、篠田正浩監督と共に松竹ヌーヴェルヴァーグの旗手と呼ばれた。
撮影は巨匠成島東一郎氏が担当されているが、本編で75mm(3inch)アナモフィックレンズ1本のみで撮られたそうだ。ズームレンズやワイドレンズは使用していない。
「焦点の合っている部分のみが強く印象づけられ、背景が霞む。こうした緊張感、映画全体が異様な、異質なものとして、観客の眼に映ることが、監督のデビューには欠かせないと思ったのです。そこにはおのずからスタイルが生まれる。しかし被写体に対しては、構図をレンズの選択によって決めるのではなく、キャメラ自体を常に動かすのですから被写体とキャメラのあいだに運動が起こり、写される俳優も舞台の定められた視点から見られているのではなく、みずからもキャメラに向かって運動する。(吉田喜重氏談)」そして次回作「血は渇いてる」も躍動感は続く。

作品リスト

ろくでなしろくでなし
高千穂ひづる

【ストリー】
初夏のオフィス街を、大学生の秋山俊夫は高級乗用車を走らせていた。同乗している北島淳、森下、藤枝もみな大学四年生だ。彼らは銀行帰りの郁子の前に車を止めた。彼女は俊夫の父秋山物産社長の秘書である。郁子を無理に乗せ、淳と森下は金を奪った。俊夫はやがて「遊びもこれまでだ」と金をかえすよう命令した。郁子は「大学までいっててロクデナシね」と言い捨てて降りた。ブルジョワ息子の俊夫と藤枝は盗むことに快感を得、森下はその金に誘惑を感じ、淳はなんの興味もなかった。
数日後の夕刻、郁子は同僚の篠原から映画に誘われ困惑していた。待っていた淳は、篠原を無視して強引にパーティに誘った。会場に行くと、大きな拍手が起こった。俊夫たちが郁子を帰国したばかりの新進シャンソン歌手にデッチあげていたのだ。俊夫たちは立往生している郁子を見て喜んだ。ピアノが演奏し始めた時淳が電気のスイッチを切った。車で待っていた。翌日、淳は森下らにパーティの損害弁償を迫られた。淳が払わないというと、学生たちは郁子に電話して払うことを約束させた。乱闘となった。俊夫が金を払っておさまった。郁子がき、金を置いて去った。
数日後、淳は郁子に金を返した。彼らは、葉山の海岸で最後の夏休みを送っていた。郁子は、アルバイトを探すために東京に帰る淳と一緒になった。郁子は秋山物産のアルバイトを世話すると約束し、家に誘った。室で、淳は郁子をベッドの上に押し倒した。数日後、帰りに郁子が待っていた。淳は俊夫の車に乗って去った。淳は郁子に束縛されるのがいやで、アルバイトをやめた。アパートに訪れた郁子に、あの夜のことは遊びにすぎず、二人は無関係だと言った。藤枝がアメリカへ行くことになった。
俊夫が仲間が欠けるなら解散しようと言い出した。森下は、最後の馬鹿でかい遊びをしてからにしようと郁子の銀行帰りを狙って金を奪うと言った。俊夫に拳銃を借りた。車の中で郁子を待つ森下は緊張し、淳は無表情にハンドルを握っていた。森下が郁子の鞄を奪った。淳が森下に飛びかかった。森下の拳銃が火を吐いた。淳は重傷に耐え、車で森下をひき倒した。淳は郁子に鞄を渡した。郁子は中から白い紙片を取り出した。お金は入っていなかった。淳の「あれは遊びだったんだよ」と呟く声は次第に聞こえなくなった。

ろくでなしろくでなし
川津祐介                     山下洵一郎

題名:ろくでなし
監督:吉田喜重
製作:今泉周男
脚本:吉田喜重
撮影:成島東一郎
照明:田村晃雄
録音:吉田庄太郎
美術:芳野尹孝
編集:浦岡敬一
現像:東洋現像所
音楽:木下忠司
出演:津川雅彦、高千穂ひづる、川津祐介、山下洵一郎、安井昌二、渡辺文雄
1960年日本・松竹/モノクロ・シネスコサイズ88分35mmフィルム
ろくでなし [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

ろくでなしろくでなし
津川雅彦、高千穂ひづる