映画「東京暗黒街 竹の家」


東京暗黒街 竹の家(HOUSE OF BANBOO)

ロバート・スタック              シャーリー・ヤマグチ(山口淑子)

今回はサミュエル・フラー監督1955年製作「東京暗黒街 竹の家(HOUSE OF BANBOO)」をピックアップする。本作は東京(浅草松屋の屋上、月島、銀座など)、神奈川(横浜港、鎌倉など)、山梨で、43日間にわたり日本で撮影が行なわれ、室内シーンの多くは、ハリウッドの撮影所に作られた日本家屋などのセットが使われている。
特筆すへきは、富士山をバックに蒸気機関車が走るトップシーン(上画)で、富士山麓電鉄(現・富士急行線)の富士吉田駅と河口湖駅の区間約5kmを、20世紀フォックス社が借り切って撮影したそうだ。
1955年2月7日から9日の午前7時30分から午後4時まで、列車を運休して撮影するという前代未聞の撮影は、戦後10年経った当時、アメリカ政府、軍の圧力と日本政府、外務省、運輸省、山梨県、東京都などの忖度があって実現したものである。
開業時から電化されていた富士山麓電鉄(現・富士急行線)は、蒸気機関車はなく、わざわざ国鉄(現・JR東海)から借りて来たそうだ。
(ウィキペディア参照)


ロバート・ライアン                  ブラッド・デクスター、ロバート・スタック、早川雪洲

【ストリー】
日本の富士山麓で列車ギャング事件が起こり、アメリカ軍の兵器が 奪われ、軍曹が殺される。東京警視庁のキタ警部(早川雪洲)はアメリカ憲兵隊と協力し、ハンスン大尉(ブラッド・デクスター)と共に捜査に乗り出す。数日後、ギャングは東京の工場を襲い、その時傷ついた一味の1人ウェッバーが逃げおくれて死ぬ。ハンスン大尉は男の所持品の中からスパニア(ロバート・スタック)という男の手紙を発見し、その内容から、スパニアがアメリカの刑務所に入っていること、出所したら東京へ来ることなどが判明する。またナゴヤ・マリコ(シャーリー・ヤマグチ)という日本人の女性の写真も発見され、この女はウェッバーと結婚していたのである。東京へ来たスパニアはマリコに会い、ウェッバーが殺されたことを知る。彼はやがてグリフとその親分サンディ(ロバート・ライアン)の組織するギャングの仲間入りをしたが、実はハンスン大尉の頼みでスパイとして一味の行動を探ることになったのである。スパニアとマリコは次第に親しくなり、ギャングが大工場を襲撃した際、自分がスパイであることを告げてハンスン大尉への連絡を頼むようになる。サンディ一味は次に銀行の現金輸送車を襲う計画をたてるがマリコが事前に憲兵隊へ知らせたので失敗に帰し、スパニアがスパイであったことを知る。そこでサンディは計略をつかって彼を警官に射殺させようとするが失敗し、かえってスパニアに殺されてしまう。スパニアはマリコと結ばれる。


シャーリー・ヤマグチ(山口淑子)           ロバート・スタック

題名:HOUSE OF BANBOO
邦題:東京暗黒街 竹の家
監督:サミュエル・フラー
製作:バディ・アドラー
脚本:ハリー・クライナー、サミュエル・フラー
撮影:ジョー・マクドナルド
録音:ジョン・D・スタック、ハリー・M・レオナルド
美術:ライル・R・ウィラー、エディソン・ハー、ウォルター・M・スコット、スチュアート・リース
特殊効果:レイ・ケロッグ
編集:ジェームズ・B・クラーク
音楽:リー・ハーライン、ライオネル・ニューマン
撮影レンズ:Bausch & Komb
現像:デラックスカラー
出演:ロバート・スタック、シャーリー・ヤマグチ(山口淑子)、ロバート・ライアン、キャメロン・ミッチェル、早川雪洲、ブラッド・デクスター、ビフ・エリオット
1955年アメリカ/シネスコサイズ・カラー102分35mmフィルム
東京暗黒街 竹の家 -DVD-
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シャーリー・ヤマグチ、ロバート・スタック、ロバート・ライアン               浅草松屋の屋上


東京暗黒街 竹の家(HOUSE OF BANBOO)

上のカットは、当時の京浜急行電鉄大師線(小島新田駅~桜本駅)の軌道区間中で川崎市電に譲渡された塩浜駅~桜本駅間と思われる。大師線の現在はルート変更され、軌道区間は川崎市電廃止で存在しない。

映画「醜聞(スキャンダル)」

醜聞(スキャンダル)醜聞(スキャンダル)
三船敏郎                       山口淑子

今回は巨匠黒澤明監督1950年製作「醜聞(スキャンダル)」をピックアップする。
黒澤監督が東宝争議(※)後に松竹で初めて撮った本作は、テレビ放送が始まる前の時代に、雑誌ジャーナリズムの横暴を取り上げた内容に先見性がある。しかし、やや冗長気味なストリーと構成に詰めが足らないと感じるのは、65年後の今だから言えるのだろうか?と思った。

醜聞(スキャンダル)醜聞(スキャンダル)
小沢栄太郎                      志村喬

【ストリー】
新進画家青江一郎は、ある日愛用のオートバイを飛ばして伊豆の山々を写生に出掛けた。三人の百姓が不思議そうな顔をして彼の絵を眺めている。そこへ美しい歌声が聞こえてくる。やがて派手な格好をした一人の女が山を登って来た。人気歌手西條美也子である。バスが故障で歩いて来たが宿屋までが大変だ、と嘆く。よろしい、それなら荷物だけでも僕のオートバイに積んでってあげましょうと、青江が申し出た。ついでの事に貴嬢も乗っけて行きましょうということになった。オートバイの相乗りで二人は宿屋まで素ッ飛ばした。百姓は呆れてそれを見送っていた。二人のカメラマンが突然宿屋に現れ、女中に西條美也子に逢わせてくれいう。西條さんは写真は撮りませんと女中は断った。二人は残念そうに宿屋の廻りをうろつき歩く。風呂に入った美也子の部屋に青江が挨拶に来る。二人は庭に面した手すりにもたれて話を始めた。その時、先程のカメラマンがこれを見つけて、パチリとシャッターを切って、シメシメと逃げてしまった。このカメラマンはカストリ雑誌アムール社の写真部員だったのである。現像を見た社長の堀は有頂天に喜んだ。こいつは特ダネだ!そこで彼は編集長に命じて、青江と美也子のラブロマンスをでっち上げさせた。新進画家青江一郎と人気歌手西條美也子の秘めたる恋。恋はオートバイに乗って!煽情的見出しでこの雑誌は飛ぶように売れた。一万部刷り、堀は図に乗って大々的宣伝をやり出した。青江一郎は仰天し、憤怒の形相物凄くアムール社に乗り込んだ。堀は馬鹿丁寧に挨拶した。その顔に青江の拳固が一発飛んだ。この事は雑誌の売れ行きを更に増した。青江は遂に訴訟問題にしようと定めた。ちょうど、ひどくはやらない弁護士蛭田乙吉がわざわざ一肌ぬいでやろうと現れたので、彼に弁護を頼んだ。彼の家はひどい暮らしをしていた。一人娘の正子は胸を病んで長らく寝たままであった。青江はこの清純な少女がすっかり好きになった。この娘の父親なら蛭田はキット正義に味方する人物だろうと思い込んだ。ところが堀は蛭田に手を廻して自分の有利に裁判を導こうと札ビラを切って彼の丸め込みに成功した。十万円の小切手が蛭田のフトコロに入った。彼は娘の正子を見る度に良心の呵責に耐えかね酒ばかり飲んだ。一方西條美也子は訴訟は取り下げてくれと青江に言ったが、彼は正義は必ず勝つんだと言い張って聞かなかった。堀の方は弁護士として法曹界の重鎮片岡博士が出馬した。裁判は開かれた。蛭田の弁護はシドロモドロで青江は反って不利になっていった。二回三回と公判は進んだ。片岡博士の論陣は明快で鋭かった。蛭田は十万円の小切手の為、言わねばならない証言さえ黙って答なかった。青江の立場はいよいよ妙な所に追い詰められていった。美也子も遂に公判に現れた。この馬鹿々々しい醜聞は是非とも消してしまわなければならなかった。そんな時、正子が遂に不帰の客となったのである。蛭田の悲嘆ぶりはひどいものであった。最終の公判に臨む蛭田の面上には今迄とまるで違う気魄が感じられた。彼は証人台に立ち十万円の小切手を取り出した。片岡博士は、自分の側の敗訴をあっさりと認めた。青江と美也子は晴れて愛情を打ち明ける仲となった。

醜聞(スキャンダル)醜聞(スキャンダル)
志村喬、左卜全

題名:醜聞(スキャンダル)
監督:黒澤明
製作:小出孝
脚本:菊島隆三、黒澤明
撮影:生方敏夫
照明:加藤正夫
録音:大村三吉
整音:大村三郎
美術:浜田辰雄
装置:小林孝正
装飾:守谷節太郎
衣裳:鈴木文治郎
結髪:佐久間とく
床山:吉澤金五郎
記録:森下英男
編集:杉原よ志
現像:神田亀太郎 焼付:中村興一
音楽:早坂文雄
出演:三船敏郎、志村喬、山口淑子、桂木洋子、小沢栄太郎、千石規子、北林栄、日守新一、三井弘次、左卜全
1950年日本・松竹/スタンダードサイズ・モノクロ105分35mmフィルム
醜聞(スキャンダル) [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

醜聞(スキャンダル)醜聞(スキャンダル)

醜聞(スキャンダル)醜聞(スキャンダル)
決定稿シナリオ                 ポスター

【東宝争議について】
東宝争議は、1946年から1948年にかけて三次にわたり、日本の大手映画製作会社である東宝で発生した労働争議の事で、特に1948年の第3次争議は大規模なもので、最終的には砧撮影所の接収に警視庁予備隊および米軍が出動した。この事件は、一労働運動に軍が介入したことが後に波紋を広げた。
争議後、山本嘉次郎、成瀬巳喜男、黒澤明、谷口千吉監督らは、東宝で映画製作ができない為に退社して「映画芸術協会」を設立、新東宝、大映、松竹といった他社での仕事を余儀なくされた。
(参照:ウィキペディア)