映画「水で書かれた物語」

水で書かれた物語
岡田茉莉子

今回は吉田喜重監督1965年製作「水で書かれた物語」をピックアップする。
本作は撮影の鈴木達夫氏が岩波映画製作所を経てフリーになり、長編劇映画第一作となった作品で、チーフ撮影助手にCF撮影の大御所である押切隆世氏も担当されている。また美術の平田逸郎氏は1980~90年代に仕事でご一緒させて戴いた事があり、今更ながら名作スタッフの方々がタイトルされているのに驚いた。

作品リスト

水で書かれた物語水で書かれた物語
岡田茉莉子

ロケ地は、長野県上田市で上田呈連寺周辺、大輪寺、ほていや百貨店、1972年に廃線になった上田丸子電鉄北東線、そして栃木県日光市の中禅寺湖周辺で行われたそうだ。

水で書かれた物語水で書かれた物語
浅丘ルリ子                    岡田茉莉子山形勲

【ストリー】
松谷静雄(入川保則)は美しい母静香(岡田茉莉子)と二人暮しの平凡なサラリーマン。だがこの平凡な静雄の性格は、どこか孤独で内向的な様子であった。そ れはあまりにも美しい静香にまつわる忌しい秘密でもあった。静香と静雄の父高雄(岸田森)との結婚は不幸であった。病院暮しの多い高雄との生活を静香は一 人で支えていた。だが静雄が静香と橋本伝蔵(山形勲)の関係を知ったのは、二人の噂が町に広まってからであった。静雄は高雄と比べて強健で自信に満ちた権 力者伝蔵を憎んでも、不倫な母は憎めなかった。かえってそんな母に一種の魅力さえ感じていた。だが母と伝蔵から、伝蔵の娘ゆみ子(浅丘ルリ子)との結婚を すすめられると、静雄はたじろいだ。ゆみ子とは幼な馴染みだが、朗らかで無邪気なゆみ子を見るにつけ、静香と伝蔵の関係が静雄の脳裏をかすめた。伝蔵と静 香の晴れやかな顔をみて激怒した静雄は伝蔵に静香との関係を質した。「異母兄妹の結婚だ!」と叫ぶ静雄に伝蔵は否定しながらもたじろいだ。静雄の脳裏に焼 きついた若い母の面影。美しく、晴れがましい姿。何度子供心に憧れ、また人の口にのぼる母の背徳に暗い思いをしたことか。数カ月後、静雄とゆみ子は結婚し た。だが母の背徳を背負った結婚生活に静雄は迷い悩んだ。異母兄妹とは知らぬゆみ子は、そんな静雄を理解しかねた。会社もやめ、すべての生活を放棄した静 雄は、母の家を訪ねた。美しい母の白い肌、静雄は、不思議な官能にとらわれた。もう何の希望もない親子、静雄は、静香に自殺を誘った。もう生きても一刻。 その夜訪ねてきたゆみ子と、初めての狂おしい愛を交わした静雄は二人の間に、こだわりない愛が芽生えたことを感じた。だがその頃静香は、伝蔵とふたり静か にその黒い関係を断っていた。水辺に嗚咽する静雄を、ゆみ子がしっかり支えていた。

水で書かれた物語水で書かれた物語
岸田森、岡田茉莉子

題名:水で書かれた物語
監督:吉田喜重
企画:芥川和敏
製作:伊東博吉、駒崎秋夫
原作:石坂洋次郎「ちんころ海女っこ」
脚本:石堂淑郎、高良留美子、吉田喜重
撮影:鈴木達夫
照明:海野義雄
録音:橋本国雄(アオイスタジオ)
音効:栗原嘉男
美術:黒沢治安、平田逸郎
編集:浅井弘
音楽:一柳慧
現像:東洋現像所
製作主任:田中雄三
助監督:中川亘
撮影助手:押切隆世
スチール:長谷川元吉
出演:岡田茉莉子、浅丘ルリ子、山形勲、入川保則、弓恵子、岸田森、桑山正一
1965年日本・中日映画社/シネスコサイズ・モノクロ109分35mmフィルム
※ノーカット版:120分
水で書かれた物語 デラックス版 [DVD]
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水で書かれた物語水で書かれた物語

水で書かれた物語
吉田喜重監督と岡田茉莉子さん(2004年10月)

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